【問1】憲法
予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。
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【解答】
〇
●国:予備費を設ける義務はない(任意) / 内閣の責任で予備費を支出できる → 内閣は、支出後、国会の承諾を得る
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができます(憲法87条1項)。
そして、上記すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければなりません(同条2項)。
よって、本肢は妥当です。

【問2】行政手続法
青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され、更正処分の取消事由とはならない。
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【解答】
×
●更正における付記理由不備の瑕疵 → 審査裁決の際に具体的根拠を明らかにしても瑕疵は治癒されない
「更正」とは、正しく直す、という意味です。
【事案】
事業者Xが確定申告をしたところ、税務署長Yから、増額更正を受けた(計算方法等が違うことにより、所得税も違いますよ!というお知らせを受けた)。
その際、更正通知書には付記理由(記載された理由)として、加算項目(何について増額されるか?)と加算額(いくら税金が増額されるか?)が簡単に記載されているに過ぎなかった。
これを不服としたXが、国税局長に審査請求をしたところ、国税局長は、前記更正処分の一部取消しをしたうえで、より詳細な理由を審査裁決書に付記した(付け加えた)。
Xは、この裁決にも不服であったため、理由付記の不備を主張して取消訴訟を提起した。
簡単に言えば、更正をする際に、理由をきちんと書いていなかった場合、後日審査裁決の時にきちんとした処分理由を明らかにしても、ダメですよ!ということです。
よって、「瑕疵が治癒されないため、取消事由として成立する」 という意味になります。
つまり、付記理由不備という瑕疵が残っているため、その更正処分は 取消事由となる ということです。
【判例】
「更正における付記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではない」と判示しています(最判昭47.12.5:理由付記の不備と瑕疵の治癒)。
簡単に言えば、更正をする際に、理由をきちんと書いていなかった場合、後日審査裁決の時にきちんとした処分理由を明らかにしても、ダメですよ!ということです。
【問3】会社法
発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
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【解答】
○
●設立時株式の引受人の募集をする旨の定め → 発起人全員の同意が必要
発起人は、「設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨」を定めようとするときは、発起人全員の同意を得なければなりません(会社法57条2項)。
よって、妥当です。そして、発起人全員の同意が必要なものは下記4つです。
- 設立時に発行する株式に関する事項の決定(会社法32条)
→発起人が割当てを受ける「設立時発行株式の数」と「設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額」、「成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項(資本金と資本準備金をどのように振り分けるか?)」
- 現物出資を行う者がいる場合の対抗要件の具備(会社法34条1項ただし書き)
→会社成立前に会社名義での登記・登録を行えない場合もあるので、発起人全員の同意を得て、登記・登録は会社成立後に行うことができる
- 発行可能株式総数に関する定款の定め(会社法37条)
→会社成立時までに発起人全員の同意で定めることが認められ、原始定款で定めた場合でも、発起人全員の同意で変更できる
- 設立時募集株式に関する事項の決定(会社法58条)
→「設立時募集株式数はどれだけにするか?」「払込金額はいくらにするか?」などを定める場合、発起人全員の同意が必要