再審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。
- 審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
- 再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。
- 再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。
- 再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。
1・・・誤り
行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。
つまり、「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合」は、再審査請求はできません。
よって、誤りです。
2・・・正しい
再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却します(行政不服審査法64条3項)。
よって、本肢は正しいです。
【条文理解】
再審査請求では「①原処分」と「②原裁決(1回目の審査請求に対する裁決)」のいずれを対象として争うこともできます。上記条文では、「②原裁決」を対象としてされた再審査請求についての規定です。
この「②原裁決(1回目の裁決)」が違法・不当であったとしても、「①原処分(一番初めの処分)」が違法・不当のいずれでもないのであれば、再審査請求は棄却されます。
【具体例】
Aが、福祉事務所に生活保護の申請をしました。
Aは、一定の収入があり、所長X(処分庁)は申請拒否処分をした。
この判断は妥当だった(処分が違法でも不当でもない)。
しかし、Aは不服があり、審査請求をした。
そしたら、知事Y(審査庁)は、審査請求の期間を過ぎているとして(不適法として)却下裁決をした。
しかし、実は審査請求期間内であった。(上記、原裁決が違法だった)
Aは、上記裁決は違法だということで、厚生労働大臣Z(再審査庁)に対して再審査請求をしました。
この場合、厚生労働大臣Zは、もともとの所長Xの申請拒否処分は妥当なので、
再審査請求を棄却する裁決をします。
3・・・誤り
行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。
そして、再審査請求は、「原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。)」又は「当該処分」を対象として、1項の法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。
よって、「請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる」が誤りです。
再審査庁は、「法律で定められた行政庁」です。
4・・・誤り
審査請求の裁決が既になされている場合、再審査請求は当該「裁決」を対象として行う必要はなく「原処分」を対象と行うこともできます。
これは選択肢3の「行政不服審査法6条2項」の解説の通り、
再審査請求は、「原裁決」又は「当該処分」を対象として、法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。
5・・・誤り
再審査請求は、「原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したとき」または、「原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したとき」は、することができません。ただし、正当な理由があるときは、上記期間を経過した後も行えます(行政不服審査法62条)。
よって、再審査請求の再審査請求期間は、原「裁決」があった日を基準として算定するので、誤りです。
| 問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 基礎法学 | 問33 | 民法:債権 |
| 問4 | 憲法 | 問34 | 民法:債権 |
| 問5 | 憲法 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
| 問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
| 問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 一般知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 一般知識・社会 |
| 問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 一般知識・経済 |
| 問20 | 国家賠償法 | 問50 | 一般知識・経済 |
| 問21 | 国家賠償法 | 問51 | 一般知識・社会 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 一般知識・経済 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 一般知識・社会 |
| 問24 | 地方自治法 | 問54 | 一般知識・社会 |
| 問25 | 情報公開法 | 問55 | 一般知識・情報通信 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問28 | 民法:物権 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
