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令和5年・2023|問26|行政法

地方公共団体に対する法律の適用に関する次の説明のうち、妥当なものはどれか。
(注)*1 公文書等の管理に関する法律  *2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

  1. 行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている。
  2. 行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている。
  3. 公文書管理法 *1は、地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならないとしている。
  4. 行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならないとしている。
  5. 行政機関情報公開法 *2は、地方公共団体は、同法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関して必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないと定めている。

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【答え】:5

【解説】

1.行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている。

1・・・妥当でない

行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについては、行政手続法が適用されないと定めています(行政手続法3条3項)。よって、妥当ではありません。

行政手続法3条3項 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定(行政手続法の規定)は、適用しない

2.行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている。

2・・・妥当でない

地方公共団体は、当該地方公共団体における不服申立ての状況等に鑑み同項の機関を置くことが不適当又は困難であるときは、条例で定めるところにより、事件ごとに、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関((不服審査機関)を置くこととすることができます(行政不服審査法81条2項)。地方公共団体は、常設の不服審査機関を置かず事件ごとに臨時の不服審査機関を置くようにできます。不服審査とは、例えば、〇〇市行政不服審査会と呼ばれるものです。

3.公文書管理法 *1は、地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならないとしている。

3・・・妥当でない

地方公共団体は、公文書管理法の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければなりません(公文書管理法34条)。また、地方公共団体は、情報公開法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければなりません(行政機関情報公開法25条)。つまり、地方公共団体が保有する公文書の管理も公開も、努力義務であり、条例で定める必要はありません。本肢は「条例を定めなければならない」となっているので妥当ではありません。

4.行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならないとしている。

4・・・妥当でない

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、行政代執行法の定めるところによります(行政代執行法1条)。よって、「条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならない」とはしていません。条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しても、別に法律で定めるか、もしくは、行政代執行法で定めます。

【理解】 〇〇法(別の法律)で、「義務履行の確保について条例で定めることができる」旨の規定があれば(=法律の委任があれば)、法律の委任に基づいて条例で行政上の義務の履行確保措置を定めることは可能です。

一方で、上記法律がない場合、勝手に条例で、行政上の義務の履行確保措置を定めることはできません。

次に、「条例により直接に命ぜられた行為」=条例に「~をしてはいけない」と規定されていて、~をした場合、代執行を行うと定めるとき(義務履行確保措置を定めるとき)、法律に基づく委任があって、条例で定めるのはOKですが、法律の委任なく単独で条例で定めることはできません。

5.行政機関情報公開法 *2は、地方公共団体は、同法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関して必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないと定めている。

5・・・妥当である

選択肢3でも解説した通り、地方公共団体は、情報公開法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければなりません(行政機関情報公開法25条)。よって、本肢は努力義務となっており、妥当です。


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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