保証人とは?
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者を言います(民法446条1項)。
保証債務の成立
保証契約は、書面または電磁的記録(電子的な契約)でしなければ、無効となります(民法446条2項3項)。
保証債務の範囲
保証人が負う債務の範囲、「主たる債務」だけでなく「利息、違約金、損害賠償」等その債務に従たるすべてのものを含みます(民法447条1項)。
さらに、原状回復義務についても保証人は負います(最判昭40.6.30)。
保証債務と主たる債務の関係
保証人の負担が債務の目的又は態様が、主たる債務より重いときは、主たる債務の限度まで減らされます(民法448条1項)
【具体例】
主たる債務が100万円の場合、保証債務(保証契約)も最大100万円です。保証債務はあくまで、主たる債務を保証するだけなので、保証債務だけ150万円としても、100万円となります。また、主たる債務が100万円で、主たる債務者が50万円を返済して、残額が50万円になれば、保証債務も50万円に減ります。
また、主たる債務の目的又は態様が、保証契約の締結後に加重された場合、当然には保証人の負担は加重されません(民法448条2項)。保証債務も加重するには、別途保証人と契約が必要です。
保証人の要件
債務者が保証人を立てる義務を負う場合、その保証人は、下記2つの要件を満たす必要があります(民法450条1項)。
- 行為能力者であること(制限行為能力者はダメ)
- 弁済をする資力を有すること
保証債務の性質(付従性・随伴性・補充性)
付従性(ふじゅうせい)
主たる債務の債務(主債務)が消滅すれば、当然に、保証債務も消滅します。この性質を「付従性」と言います。
随伴性(ずいはんせい)
主たる債務の債務(主債務)が、別の者に移転した時は、保証債務も移転します。この性質を「随伴性」と言います。
【具体例】
下図のように、はじめは、Aが「貸金債権」と「抵当権」を有しています。
この貸金債権をCに譲渡(債権譲渡)することで、当然に抵当権もCに移ります。つまり、抵当権の譲渡契約などをしなくても当然に、Cに移ります。
補充性
主たる債務者が債務を履行しないときにはじめて、保証人は履行の責任を負います。この性質を「補充性」と言います。
保証人の権利(催告の抗弁権と検索の抗弁権)
催告の抗弁権
主たる債務者から履行請求があったとき、保証人は、まず主たる債務者に対して請求してください!と主張できます。これを「催告の抗弁権」と言います。
検索の抗弁権
主たる債務者から履行請求があったとき、保証人が「①主たる債務者に弁済する資力があること」と「②執行が容易であること」を証明した場合、主たる債務者の財産から先に取り立てをさせることができます。これを「検索の抗弁権」と言います。
民法テキストの目次
作成中・・・参考条文
(保証人の責任等)
第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。(保証債務の範囲)
第447条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。(保証人の負担と主たる債務の目的又は態様)
第448条 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。
2 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。(保証人の要件)
第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。
2 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。(他の担保の供与)
第451条 債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。(催告の抗弁)
第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。(検索の抗弁)
第453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

