地役権とは?
「地役権」とは、自分の土地の利益(メリット)のために他人の土地を利用することができる権利のことです。

要役地と承役地
利益を受ける土地を「要役地」、利益を与える方の土地を「承役地」と言います(民法281条1項)。
便益(利益・メリット)の種類
上図は、「通行」についての便益(利益・メリット)を対象としていますが、それ以外にも、日照や眺望等があります。
地役権の付従性
「地役権」は、「要役地の所有権」と切り離して、「要役地の所有権」のみを譲渡したり、「地役権」のみを譲渡したりすることはできません(民法281条2項)。
地役権の随伴性
地役権は、「要役地の所有権」の「従たる権利」です(民法281条1項)。
つまり、要役地の所有権に、地役権はくっついているイメージです。
そのため、「要役地の所有者A」が要役地を第三者Cに売却した場合、要役地の所有権は、AからCに移動するとともに、地役権もCに移動します。
地役権の不可分性
「地役権はできるだけ存続させる」イメージを持ってください!
①要役地や承役地が分割されたり、一部譲渡された場合、地役権は分割された各部分の上にも存続する
②共有者の一人について時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のために進行する→一人が時効完成したら、全員のために地役権は時効取得される
③要役地の共有者の一人が地役権の消滅時効について「時効の完成猶予又は更新」があると、他の共有者にも、「時効の完成猶予又は更新」の効力が及ぶ
④共有者の一人が地役権を時効取得した場合、他の共有者にも時効取得できる(下記「地役権の時効取得」参照)
⑤要役地・承役地の共有者は自己の持分についてのみ地役権を消滅させることはできない
地役権の時効取得
地役権は、「継続的に行使」され、かつ、「外形上認識することができる」ものに限り、時効によって取得することができます(民法283条)。
要役地が共有である場合、共有者の一人が、地役権を時効取得したときは、他の共有者も、地役権を時効取得します(民法284条1項)。これも「地役権はできるだけ存続させる」というイメージで導けます!
民法テキストの目次
総則
- 権利能力・意思能力・行為能力
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
- 心裡留保
- 虚偽表示
- 錯誤
- 詐欺
- 強迫
- 失踪宣告
- 代理の基本
- 無権代理の基本
- 無権代理と相続の関係
- 表見代理
- 時効の基本
- 「時効の完成猶予」と「時効の更新」
- 取得時効
- 消滅時効
物権
- 即時取得
- 占有権
- 占有保持・占有保全・占有回収の訴え
- 囲繞地通行権
- 竹木の枝・根の切除
- 共有
- 地役権
- 留置権
- 先取特権
- 質権
- 抵当権
- 抵当権の順位変更
- 抵当権の順位譲渡・順位放棄
- 法定地上権
- 根抵当権
債権
- 債務不履行
- 債権者代位権
- 詐害行為取消権(詐害行為取消請求)
- 連帯債務
- 保証債務(保証の基本)
- 連帯保証
- 債権譲渡
- 債務引受
- 弁済
- 相殺
- 契約解除
- 贈与
- 売買
- 契約不適合責任
- 賃貸借
- 転貸・賃借権の譲渡
- 貸人の地位の移転(賃貸人の変更)
- 賃貸借の終了
- 請負
- 委任
- 寄託
- 組合
- 事務管理
- 不当利得
- 不法原因給付
- 不法行為
- 使用者責任
- 工作物責任
親族
- 婚姻の基本
- 婚姻の無効と取消し
- 婚姻の解消
- 嫡出の推定
- 「嫡出否認の訴え」と「親子関係不存在確認の訴え」
- 認知
- 普通養子縁組
- 特別養子縁組
- 親権
- 扶養
- 相続欠格と相続廃除
- 特別受益者の相続分
- 単純承認・限定承認・相続放棄
- 遺言
参考条文
(地役権の内容)
第280条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
(地役権の付従性)
第281条 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
(地役権の不可分性)
第282条 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2 土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。
(地役権の時効取得)
第283条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
第284条 土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
2 共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のために進行する。
