新株予約権に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア.新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権を発行する場合において、募集新株予約権の割当てを受けた者は、払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、新株予約権者となる。
イ.募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるときには、募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければならない。
ウ.募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときには、株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
エ.新株予約権付社債を有する者は、新株予約権付社債についての社債が消滅した場合を除いて、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。
オ.新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権の払込金額は、新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、その全額を資本金に計上しなければならない。
- ア・イ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
【答え】:4
【解説】
募集新株予約権の割当てを受けた者は、割当日に、募集新株予約権の新株予約権者となります(会社法245条1項)。よって、本肢は「払込金額の全額を払い込んだとき」が誤りで、正しくは「割当日」です。
新株予約権の募集事項が決定されると、募集新株予約権の引受けに関する「申込み」、その後、「割当て」、「払込み」という手続きを経ます。
そして、「割当日」に新株予約権者になります。そして、新株予約権者は「払込期日」までに新株予約権の払い込まなければなりません。
もし、払い込み期日までに払込がなされない場合、新株予約権者は当該募集新株予約権を行使できません(246条3項)。その結果、当該権利は法律上当然に消滅します(287条)。
※「新株予約権の行使」とは、「株式を受け取ること」です。
募集新株予約権の募集事項の決定について払込金額が特に有利な金額の場合は、株主総会の特別決議が必要です。(会社法238条2項、309条2項6号)
そして、本問は「行使に際して出資する金銭その他の財産の価額」が誤りです。これは、「権利行使の話で、2度目の払込み」のことです。
2度目の払込みついては、有利発行の対象ではありません。正しくは「払込金額」です。つまり、「1度目の募集新株予約権の発行の際の払込み」です。
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができます(会社法247条)。
- 当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
- 当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合
したがって、本肢は正しいです。
これは効力発生前の措置(事前措置)と言えます。
原則、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできません。ただし、例外として、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡することはできます(会社法254条2項)。よって、本肢は正しいです。
株式会社の資本金の額は、原則、株主となる者が当該株式会社に対して払込した金額」です(会社法445条1項)。ただし、払込金額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができ、その部分は資本準備金として計上しなければならなりません(同条2項3項)。つまり、払込金額の2分の1以下を資本金に計上しなくてよいので、本肢は、誤りです。
平成22年度(2010年度)|行政書士試験の問題と解説
| 問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 基本的人権 | 問33 | 民法・債権 |
| 問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:親族 |
| 問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 財政 | 問36 | 会社法 |
| 問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政法 | 問40 | 法改正により削除 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政事件訴訟法 |
| 問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 一般知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 一般知識・政治 |
| 問19 | 国家賠償法 | 問49 | 一般知識・社会 |
| 問20 | 国家賠償法 | 問50 | 一般知識・経済 |
| 問21 | 地方自治法 | 問51 | 一般知識・経済 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 一般知識・社会 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 一般知識・社会 |
| 問24 | 地方自治法 | 問54 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問25 | 行政法 | 問55 | 一般知識・情報通信 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 一般知識・情報通信 |
| 問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |

