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平成23年・2011|問35|民法・親族

改正民法に対応済

後見および扶養に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 未成年後見人が選任されている場合、家庭裁判所は、職権で、さらに別の未成年後見人を選任することはできない。
  2. 後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見監督人がある場合でも、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
  3. 未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始し、成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始する。
  4. 夫婦、直系血族および兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務があるが、姻族間においては、家庭裁判所は、特別の事情がある場合でも、扶養の義務を負わせることはできない。
  5. 扶養する義務のある者が数人ある場合において、扶養すべき者の順序については、配偶者を先にし、配偶者がないときの親等の異なる血族間では、親等の近い者を先にする。

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改正民法に対応済

【答え】:3

【解説】

1.未成年後見人が選任されている場合、家庭裁判所は、職権で、さらに別の未成年後見人を選任することはできない。

1・・・誤り

●未成年後見人 → 複数選任される場合もある 

未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができます(民法840条2項)。

具体例 「親族」と「弁護士等の専門家」の両者が後見人なる場合があります。

関連ポイント 未成年後見人は、「法人」もなることができる

後見人には本人の親族や弁護士、司法書士などのイチ個人がなることが多いのですが、福祉協議会・福祉公社や司法書士法人・弁護士法人などの法人も後見人になることが可能です(民法840条3項)。

法人が成年後見人になることのメリットは、①個人ではなく、組織として動くことができるので、効率よく後見人の仕事を進めていくことが可能です。また、②個人の場合だと、その個人の健康上の理由などで責任を果たせなくなると職務が滞ってしまい、後見を受けている人(被後見人)の生活に支障が出ることもあります。法人が未成年後見人であれば、それを防ぐことが可能です。

2・・・誤り

●後見人と被後見人との利益相反 → 原則 : 特別代理人の選任が必要

●例外 : 後見監督人がいる場合は特別代理人の選任は不要

「親権者・後見人」と「その子・被後見人」との利益が相反する行為については、「親権者・後見人」は、その子のために「特別代理人」を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条1項)。ただし、後見監督人がある場合は、 「特別代理人」を選任は不要です(860条)。

理由 後見監督人とは、弁護士のような専門家です。そして、後見監督人が選任されている場合には、後見監督人が被後見人を代理できることになるため、 「特別代理人」を選任は不要としています。

3.未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始し、成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始する。

3・・・正しい

●未成年後見の開始時期 → ①未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は②親権を行う者が管理権を有しないとき

●成年後見の開始時期 → 後見開始の審判があったとき

「①未成年者に対して親権を行う者がないとき」、又は「②親権を行う者が管理権を有しないとき」に未成年後見は開始し、

「後見開始の審判があったとき」に成年後見は開始します(838条)。

※  「②親権を行う者が管理権を有しないとき」とは、例えば、家庭裁判所が管理権喪失の審判をした場合を指します。

4.夫婦、直系血族および兄弟姉妹は、お互いに扶養する義務があるが、姻族間においては、家庭裁判所は、特別の事情がある場合でも、扶養の義務を負わせることはできない。

4・・・誤り

●「夫婦間」、「直系血族および兄弟姉妹間」において、互いに扶養する義務がある(民法752条、877条1項)

●「三親等内の親族間」において、特別の事情があれば、家庭裁判所は扶養義務を負わせることができる(877条2項)

※ 「姻族間」とは、配偶者の血族を指します。

※ 親族とは、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」を指します(725条)。

5.扶養する義務のある者が数人ある場合において、扶養すべき者の順序については、配偶者を先にし、配偶者がないときの親等の異なる血族間では、親等の近い者を先にする。

5・・・誤り

●扶養の順位 → 当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないとき → 家庭裁判所が決める 

1.扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定めます。
具体例 介護が必要な親(扶養権利者)とその子(扶養義務者)が二人いたします。どちらが親を扶養するか話合いで決まらない場合、家庭裁判所がまず「誰が(子のどちらが)」親を扶養するべきかを決めます。

2.扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定めます。 (民法878条)。
具体例 介護が必要な親(扶養権利者)が二人いて、子(扶養義務者)が一人いたとします。どちらの親をまず扶養するか話合いで決まらない場合、家庭裁判所がまず「誰を(どちらの親を)」扶養するべきかを決めます。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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