「情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)」及び「個人情報の保護に関する法律」に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(改)(2022年改正対応)
ア.個人情報保護法の保有個人情報が記録されている「行政文書」は、情報公開法のそれと同じ概念である。
イ.各地方公共団体の機関は、情報公開法の直接適用を受ける一方で、個人情報保護については個別に条例を定めて対応している。(改)
ウ.情報公開法にも個人情報保護法にも、開示請求に対する存否応答拒否の制度が存在する。
エ.情報公開法及び個人情報保護法との関連で、開示決定等に関する不服申立てを調査審議する機関として、情報公開・個人情報保護審査会が設置されている。
オ.情報公開法にも個人情報保護法にも、偽りその他不正の手段により、開示決定に基づく情報開示を受けた者を過料に処する旨の定めが存在する。
- ア・オ
- ア・イ・エ
- ア・ウ・エ
- イ・ウ・エ
- エ・オ
【答え】:3(ア・ウ・エが正しい)
【解説】
ア.個人情報保護法の保有個人情報が記録されている「行政文書」は、情報公開法のそれと同じ概念である。
ア・・・正しい
個人情報保護法の保有個人情報が記録されている「行政文書」(個人情報保護法60条)と情報公開法2条2項に規定されている「行政文書」と同じ概念です。
個人情報保護法の保有個人情報が記録されている「行政文書」(個人情報保護法60条)と情報公開法2条2項に規定されている「行政文書」と同じ概念です。
イ.各地方公共団体は、情報公開法の直接適用を受ける一方で、個人情報保護については個別に条例を定めて対応している。
イ・・・誤り
地方公共団体の機関は、情報公開法に規定されている「行政機関」には該当しません(情報公開法2条1項)。そのため、各地方公共団体は、情報公開法の直接適用を受けず、条例制定で対応します。したがって、誤りです。
個人情報保護法についても、同じく、個人情報保護法の「行政機関」に該当しません(個人情報保護法2条8項)。ちなみに、地方公共団体の機関は、個人情報保護法の「行政機関」には含まれませんが、「行政機関等」に含まれ、個人情報保護法が適用されます。条例で定めなくても、個人情報保護法があるので問題はありません。ただ、個人情報保護法の範囲内で、独自のルールとして条例を定めることも認めれています。
地方公共団体の機関は、情報公開法に規定されている「行政機関」には該当しません(情報公開法2条1項)。そのため、各地方公共団体は、情報公開法の直接適用を受けず、条例制定で対応します。したがって、誤りです。
個人情報保護法についても、同じく、個人情報保護法の「行政機関」に該当しません(個人情報保護法2条8項)。ちなみに、地方公共団体の機関は、個人情報保護法の「行政機関」には含まれませんが、「行政機関等」に含まれ、個人情報保護法が適用されます。条例で定めなくても、個人情報保護法があるので問題はありません。ただ、個人情報保護法の範囲内で、独自のルールとして条例を定めることも認めれています。
行政機関と行政機関等の違い
行政機関とは(個人情報保護法2条8項)
- 内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関(内閣官房・国家公安委員会・公正取引委員会・総務省・法務省等)
- 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法第49条1項及び2項に規定する機関(総合科学技術・イノベーション会議事務局・沖縄及び北方問題等に関する特別委員会事務局・災害対策本部事務局等)
- 国家行政組織法3条第2項に規定する機関(警察庁・自衛隊)
- 内閣府設置法39条(危機管理監視室・人口問題対策室、少子化社会対策室等)及び第55条(科学技術・学術政策局等)並びに宮内庁法16条2項の機関(宮内庁の下部組織である式部官・儀式官・弓箭・馬術・車術の各課)並びに内閣府設置法40条及び56条(地方創生推進室、教育再生会議事務局等)の特別の機関で、政令で定めるもの
- 国家行政組織法8条の2の施設等機関及び同法8条の3の特別の機関で、政令で定めるもの(国家の安全保障上必要な施設、国家の秘密の保護に関する施設、国家の危機管理に関する施設等の施設等機関)
- 会計検査院
行政機関等とは(個人情報保護法2条11項)
- 上記行政機関
- 地方公共団体の機関(議会を除く)
- 独立行政法人等
- 地方独立行政法人
ウ.情報公開法にも個人情報保護法にも、開示請求に対する存否応答拒否の制度が存在する。
ウ・・・正しい
情報公開法にも個人情報保護法にも、開示請求に対する存否応答拒否の制度が存在します。具体的には情報公開法8条には「開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定しており、
個人情報保護法81条には「開示請求に対し、当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長等は、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定しております。
情報公開法にも個人情報保護法にも、開示請求に対する存否応答拒否の制度が存在します。具体的には情報公開法8条には「開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定しており、
個人情報保護法81条には「開示請求に対し、当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長等は、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定しております。
エ.情報公開法及び個人情報保護法との関連で、開示決定等に関する不服申立てを調査審議する機関として、情報公開・個人情報保護審査会が設置されている。
エ・・・正しい
「情報公開法」及び「個人情報保護法」との関連で、開示決定等に関する不服申立てを調査審議する機関として、「情報公開・個人情報保護審査会」が設置されています(情報公開・個人情報保護審査会設置法2条1号3号)。
「情報公開法」及び「個人情報保護法」との関連で、開示決定等に関する不服申立てを調査審議する機関として、「情報公開・個人情報保護審査会」が設置されています(情報公開・個人情報保護審査会設置法2条1号3号)。
オ.情報公開法にも個人情報保護法にも、偽りその他不正の手段により、開示決定に基づく情報開示を受けた者を過料に処する旨の定めが存在する。
オ・・・誤り
情報公開法には、罰則規定はありません。よって、本肢は誤りです。個人情報保護法には、偽りその他不正手段により、開示決定に基づく情報開示を受けた者は10万円以下の過料に処される旨の規定があります(個人情報保護法185条3号)。
情報公開法には、罰則規定はありません。よって、本肢は誤りです。個人情報保護法には、偽りその他不正手段により、開示決定に基づく情報開示を受けた者は10万円以下の過料に処される旨の規定があります(個人情報保護法185条3号)。
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
| 問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
| 問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
| 問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
| 問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
| 問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 一般知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 一般知識・政治 |
| 問19 | 国家賠償法 | 問49 | 一般知識・経済 |
| 問20 | 国家賠償法 | 問50 | 一般知識・経済 |
| 問21 | 地方自治法 | 問51 | 一般知識・社会 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 一般知識・社会 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 一般知識・社会 |
| 問24 | 行政法 | 問54 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問25 | 行政法 | 問55 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 一般知識・情報通信 |
| 問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
