行政事件訴訟法9条2項は、平成16年改正において、取消訴訟の原告適格に関して新設された次のような規定である。次の文章の空欄[ア]~[エ] に入る語句の組合せとして正しいものはどれか。
「裁判所は、処分又は裁決の[ ア ]について前項(※)に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の[ イ ] 並びに当該処分において考慮されるべき[ ウ ]を考慮するものとする。この場合において、当該法令の[ イ ]を考慮するに当たつては、当該法令と[ エ ]を共通にする関係法令があるときはその[ イ ]をも参酌するものとし、当該[ ウ ]を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる[ ウ ]並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。」
- ア:相手方 イ:趣旨及び目的 ウ:公共の福祉 エ:目的
- ア:相手方以外の者 イ:目的とする公益 ウ:利益の内容及び性質 エ:趣旨
- ア:相手方 イ:目的とする公益 ウ:相手方の利益 エ:目的
- ア:相手方以外の者 イ:趣旨及び目的 ウ:利益の内容及び性質 エ:目的
- ア:相手方以外の者 イ:目的とする公益 ウ:公共の福祉 エ:趣旨
(注)※ 行政事件訴訟法9条1項
「裁判所は、処分又は裁決の[ア:相手方以外の者]について前項(※)に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の[イ:趣旨及び目的] 並びに当該処分において考慮されるべき[ウ:利益の内容及び性質]を考慮するものとする。この場合において、当該法令の[イ:趣旨及び目的]を考慮するに当たつては、当該法令と[エ:目的]を共通にする関係法令があるときはその[イ:趣旨及び目的]をも参酌するものとし、当該[ウ:利益の内容及び性質]を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる[ウ:利益の内容及び性質]並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。」
この問題は難しいので、飛ばしてもらっても大丈夫です。
主語と述語をとると「裁判所は、・・・を考慮するものとする。」と書いてあります。つまり、裁判所が何かを考慮するわけです。そして、・・・の中に、「〇〇をするに当たっては、××のみによることなく、△△」を考慮すると書いてあります。
〇〇を見ると、「・・・について・・・法律上の利益の有無を判断するに当たって」と書いてあります。
「ア」は「誰」についての法律上の利益の有無を判断するのかを考えます。
結論からいうと、「アには、相手方以外の者」が入るのですが、これは知っていないと入れることができない内容です。
ただ、アが何を問われているのかまでは分かるようにしましょう。
次に、イとウを考えます。
「法律上の利益の有無を判断するに当たっては、/ 処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、 / (イ)並びに(ウ)考慮する」と書いてあります。
法律上の利益の有無を判断するのだから、選択肢から考えて「イには趣旨及び目的」が入り、「ウには利益の内容及び性質」が入ることが分かります。
よって、この2つから答えは「4」と導けます。
最後に「エ」を見ています。
選択肢4が正解となると「エには目的」が入るのですが、それが正しいかを確認します。
「この場合において、当該法令の[イ:趣旨及び目的]を考慮するに当たったは、当該法令と[エ:目的]を共通にする関係法令があるときはその[イ:趣旨及び目的]をも参酌するものとし、・・・」となっています。
どういうことかというと、
処分又は裁決の根拠となる「法令の趣旨」と「法令の目的」を考慮するに当たって、「法令」と「目的」に共通する関係法令があるときは、その「関係法令の趣旨」と「関係法令の目的」も取り入れて考えるということです。
※ 参酌するとは、取り入れて考えるということ。
本肢は、行政事件訴訟法9条の「取消訴訟の原告適格」についての条文です。
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