個人情報保護法(※)において、個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供する際に、あらかじめ本人の同意を得る必要がある場合はどれか。(2022年改正対応)
- 弁護士会からの照会に応じて個人データを提供する場合
- 交通事故によって意識不明の者の個人情報を病院に伝える場合
- 児童虐待を受けたと思われる児童に関する情報を福祉事務所等に連絡する場合
- 顧客の住所、氏名を自社の取引先に提供する場合
- 医療の安全性向上のために医療事故について国に情報提供する場合
(注)※ 個人情報の保護に関する法律
【答え】:4
【解説】
1.弁護士会からの照会に応じて個人データを提供する場合
1・・・あらかじめ本人の同意を得る必要はない
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。
- 法令に基づく場合
- 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
- 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
- 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
- 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データの提供が学術研究の成果の公表又は教授のためやむを得ないとき(個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。(2022年の改正により追加)
- 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データを学術研究目的で提供する必要があるとき(当該個人データを提供する目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)(当該個人情報取扱事業者と当該第三者が共同して学術研究を行う場合に限る。)。(2022年の改正により追加)
- 当該第三者が学術研究機関等である場合であって、当該第三者が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。(2022年の改正により追加)
↓
5~7号について、学術研究研究目的であれば、原則、本人の事前同意なく、個人データを第三者に提供することができるが、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合」、学術研究目的であっても、あらかじめ本人の同意が必要
本肢「弁護士会からの照会に応じて個人データを提供する場合」については、1号の「法令に基づく場合(弁護士法の基づく)」に該当するので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
2.交通事故によって意識不明の者の個人情報を病院に伝える場合
2・・・あらかじめ本人の同意を得る必要はない
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。
例外として、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。
例外として、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。
よって、本肢の場合、上記例外に当たるので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
3.児童虐待を受けたと思われる児童に関する情報を福祉事務所等に連絡する場合
3・・・あらかじめ本人の同意を得る必要はない
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。例外として、「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。よって、本肢の場合、上記例外に当たるので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。例外として、「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。よって、本肢の場合、上記例外に当たるので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
4.顧客の住所、氏名を自社の取引先に提供する場合
4・・・あらかじめ本人の同意を得る必要がある
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。そして、本肢は、本人の事前同意不要の例外に当たらないので、原則通り、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意が必要です。
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。そして、本肢は、本人の事前同意不要の例外に当たらないので、原則通り、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意が必要です。
5.医療の安全性向上のために医療事故について国に情報提供する場合
5・・・あらかじめ本人の同意を得る必要はない
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。例外として、「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。よって、本肢の場合、上記例外に当たるので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません(個人情報保護法27条1項)。例外として、「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき」は、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。よって、本肢の場合、上記例外に当たるので、個人データを第三者に提供する際に、本人の事前同意は不要です。
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
| 問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
| 問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
| 問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
| 問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
| 問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 一般知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 一般知識・政治 |
| 問19 | 国家賠償法 | 問49 | 一般知識・経済 |
| 問20 | 国家賠償法 | 問50 | 一般知識・社会 |
| 問21 | 地方自治法 | 問51 | 一般知識・社会 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 一般知識・政治 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 一般知識・社会 |
| 問24 | 地方自治法 | 問54 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問25 | 行政法 | 問55 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 一般知識・情報通信 |
| 問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
