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平成26年・2014|問2|基礎法学

法令における通常の用語法等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
  2. 「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
  3. 法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
  4. 法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
  5. 「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。

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【答え】:5

【解説】

1.「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
1・・・妥当
及び」と「並びに」はどちらも「and」の意味です。 言い換えれば、「AとB、A+B」ということです。 そして、「及び」は小さいグループに使い、「並びに」は大きいグループに使います。
つまり、「AとB」というグループがあって、これに別のグループの「C」を加える場合は、(A及びB)並びにCとなります。

【及びの例】 「リンゴ、柿及び桃」

リンゴも柿も桃もすべて「果物」です。同じグループをまとめるために用います。

【並びにの例】 「リンゴ、柿及び桃並びにきゅうり」

「リンゴ、柿及び桃」はすべて「果物」で、きゅうりは「野菜」です。
「果物」と「野菜」は異なるグループで「並びに」は大きな異なるグループをまとめるために用います。

2.「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
2・・・妥当
若しくはもしくは)」と「又は」は、「or」という意味で、「どちらか一方」という意味です。
そして、「若しくは」は一番小さいグループに使い、「又は」は一番大きいグループに使います。(1グループしかない場合、「又は」を使う)
「(A若しくはB)又はC」と使います。

【又はの例】  
「リンゴ、柿又は桃」
リンゴも柿も桃もすべて「果物」です。同じグループ中のどれか一つという意味です。

【もしくはの例】 
「リンゴ、柿若しくは桃又はきゅうり」 「リンゴ、柿若しくは桃」はすべて「果物」で一番小さいグループ、きゅうりは「野菜」で別グループです。「果物」と「野菜」は異なるグループで「又は」は小さな異なるグループ同士を並べて、その中でどれか一つという意味です。

つまり、 「リンゴ、柿、桃、きゅうり」の中のどれか一つという意味です。

3.法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
3・・・妥当
その他」とは、その語の前後の語句は独立していて、後に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。 「A、Bその他C」であり、AとBとCとを対等なものとして並べます。
一方、「その他の」とは、その語の直前に置かれた語句が、後に続く語句の例示(具体例)となっている場合に用いられます。
4.法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
4・・・妥当
適用」とは、Aという事項について規定される法令をそのままAに当てはまめるということです。
一方、「準用する」は、ある事項Aに関する規定を、他の類似事項Bについて、必要な修正を加えてあてはめるという意味です。

【具体例】  
売買契約を締結したにも関わらず、買主が期限に代金を支払えなかった場合、民法第412条1項「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」という規定を使って(適用して)、売主は買主に責任追及できます。
「準用する」は、ある事項Aに関する規定を、他の類似事項Bについて、必要な修正を加えてあてはめるという意味です。

【具体例】 
「聴聞に関する手続の準用」について、行政手続法第31条「第15条第3項及び第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。」と規定しています。

(聴聞の通知の方式)行政手続法15条3項
「行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、聴聞に関する通知を、一定事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。」

上記規定が、弁明の機会の付与についても使われるということです。その際、「聴聞」に関する内容が「弁明の機会の付与」に関する内容に修正を加えて使います。

5.「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。
5・・・妥当ではない
直ちに」が時間的に即時性が最も強く、最も時間が短いです。
速やかに」が、その次に、即時性が強いです。
遅滞なく」が、最も時間的即時性が弱いです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

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