種類株式発行会社ではない取締役会設置会社で、複数の監査役が選任されている監査役設置会社の監査役の選任および解任に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。
- 監査役を選任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の決議をもって行わなければならない。
- 代表取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役全員の同意を得なければならない。
- 監査役は、取締役に対して、監査役の選任を株主総会の目的とすること、または監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
- 監査役を解任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の決議をもって行わなければならない。
- 監査役は、株主総会に当該監査役の解任議案が提出された場合のほか、他の監査役の解任議案が提出された場合も、株主総会において、当該解任について意見を述べることができる。
【解説】
役員(監査役を含む)をする株主総会の決議は、
原則、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(普通決議)をもって行わなければなりません(会社法341条)。
よって、本肢は正しいです。
取締役・監査役の選任・解任のまとめ
【監査役の解任のみ特別決議が必要な理由】
監査役の業務は、取締役の職務執行の監査です(会社法381条1項)。監査される側である取締役にとって都合の悪い監査役を排除することを目的として、監査役を容易に排除できては、監査役の意味がありません。
そのため、監査役の職務執行の公正性を保障するために、株主総会の特別決議が必要としています。
取締役による「監査役選任」に関する議案提出 → 監査役の同意(監査役が二人以上の場合は、その過半数)が必要
取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければなりません(343条1項)。
よって、監査役全員の同意は不要です。
監査役が2人以上なのであれば、監査役の過半数の同意があれば、代表取締役は監査役の選任の議案を株主総会に提出できます。
監査役による「他の監査役選任」に関する議案提出請求 → 監査役が、取締役に対して請求する
監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができます(343条2項)。よって、本肢は正しいです。
●監査役の解任 → 特別決議
「監査役の解任についての株主総会の決議」は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数(特別決議)をもって行わなければならないとされている(309条2項7号)。よって、本肢は正しいです。
監査役は、株主総会において、監査役の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができます(345条1項4項)。よって、本肢は正しいです。他の監査役の選任について賛成・反対の意見を述べる場合のほか、自己が再任されないことについて意見を述べることも可能です。また、辞任した元監査役は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨およびその理由を述べることができます(345条4項・2項)。
【理由】 これらは、監査役の独立性を高め、監査役と取締役とのパワーバランスを監査役に有利にするためのルールと言えます。監査役の力が強くないと、会社をきちんと監査できないからです。
平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説
| 問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 外国人の人権 | 問33 | 民法:債権 |
| 問4 | 基本的人権 | 問34 | 民法:債権 |
| 問5 | 憲法9条 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 司法の限界 | 問36 | 商法 |
| 問7 | 財政 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政立法 | 問40 | 会社法 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
| 問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 一般知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 一般知識・政治 |
| 問19 | 国家賠償法 | 問49 | 一般知識・社会 |
| 問20 | 国家賠償法 | 問50 | 一般知識・経済 |
| 問21 | 地方自治法 | 問51 | 一般知識・社会 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 一般知識・社会 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 一般知識・社会 |
| 問24 | 行政法 | 問54 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問25 | 行政法 | 問55 | 一般知識・情報通信 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 一般知識・個人情報保護 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 一般知識・情報通信 |
| 問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |



