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令和5年・2023|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の準用規定に関する次の会話の下線部(ア)~(ウ)について、その正誤を判定した組合せとして、正しいものはどれか。

学生A:今日は行訴法の準用に関する規定について学ぼう。

学生B:準用については主として行訴法38条に定められているけど、他の条文でも定められているよね。まずは出訴期間について定める行訴法14条から。

学生A:行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。訴訟の性質を考えれば当然のことだよ。

学生B:よし、それでは、執行停止について定める行訴法25条はどうだろう。

学生A:行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。

学生B:なるほど、当事者訴訟にも仮の救済が用意されているんだね。最後に、第三者効について定める行訴法32条はどうだろう。

学生A:「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。義務付け判決や差止め判決の実効性を確保するために必要だからね。

  1. ア:正しい イ:誤り ウ:正しい
  2. ア:正しい イ:誤り ウ:誤り
  3. ア:誤り イ:正しい ウ:誤り
  4. ア:誤り イ:誤り ウ:正しい
  5. ア:誤り イ:誤り ウ:誤り

>解答と解説はこちら


【答え】:2(ア:正しい イ:誤り ウ:誤り)

【解説】

ア.(出訴期間について定める)行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。訴訟の性質を考えれば当然のことだよ。

ア・・・正しい

質問されている内容は「出訴期間(行訴法14条)については、無効等確認訴訟その他の抗告訴訟にも準用されない」〇か×か?です。結論は、出訴期間(行訴法14条)については、無効等確認訴訟その他の抗告訴訟にも準用されていないので正しい〇です。 無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟、義務付け訴訟、差止め訴訟すべてにおいて、取消訴訟の出訴期間の規定を準用していないです。

【詳細解説】

差止め訴訟は、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合の話なので、
ここから、「処分や裁決」に差止め訴訟は提起する必要があります。

つまり、処分が執行されてしまったら、差止め訴訟はできなきなくなります。

これが一つの期間制限ではありますが、
取消訴訟のように「〇か月以内」という制限はありません。

そういった意味で出訴制限は規定されていないということです。

義務付け訴訟は、行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらず、一定の処分がされないとき等処分が行われるに行われる訴訟です。
そのため、処分前に義務付け訴訟は提起する必要があります。

これが一つの期間制限ではありますが、
取消訴訟のように「〇か月以内」という期限はありません。

そういった意味で出訴制限は準用されていません。

無効確認訴訟については、そもそも取消訴訟の出訴期間を経過した場合でも、処分の無効を主張して抗告訴訟を提起する者に対して救済の道を与えるものです。

そのため無効等確認訴訟については、出訴期間は準用されません。

イ.(執行停止について定める)行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。

イ・・・誤り

執行停止について定める行訴法25条は、義務付け訴訟や差止訴訟だけでなく、当事者訴訟でも準用されていません(行政事件訴訟法41条1項)。よって、誤りです。

【理解】 義務付け訴訟や差し止め訴訟は、「処分や裁決」がされる「前」に、訴訟提起します。

一方、執行停止は、すでに、「処分や裁決」がされた「後」に「執行はしないで!」と求めるものです。

よって、義務付け訴訟や差し止め訴訟については、執行停止のルールは準用されていません。

当事者訴訟は、そもそも抗告訴訟でないので、行政庁の公権力の行使に関する訴訟ではありません。そのため、執行停止を準用していません。

ウ.「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。義務付け判決や差止め判決の実効性を確保するために必要だからね。

ウ・・・誤り

本肢は、「第三者効は、義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている」〇か×か?という質問内容です。結論は、第三者効は、義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されていません(行政事件訴訟法32条、38条)。よって、誤りです。

【理由】 第三者に影響しないからです。

義務付けの場合、行政庁Aに対して、ある処分をするよう義務付けをするのですが
処分をしない別の行政庁Bは関係ありません。
そのため、義務判決に第三者効はありません。

また、差し止めについても、処分をしようとしている行政庁Aがいて
このAが処分をしないようにすればよいので、
処分をしようとしていない別の行政庁Bは関係ありません。

そのため、差止判決に第三者効はありません。


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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