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平成30年・2018|問36|商法:商行為

商人または商行為に関する次のア~オの記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅する。

イ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

ウ.数人の者がその一人または全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。

エ.保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは、その債務は当該債務者および保証人が連帯して負担する。

オ.自己の営業の範囲内で、無報酬で寄託を受けた商人は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア.商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅する。

ア・・・誤り
●商行為の委任による代理権 → 本人死亡、消滅しない

本人が死亡したとしても、商行為の委任による代理権は消滅しません(商法506条)。

例えば、商行為を行う個人A(本人)がいて、支配人Bを用いて商行為を代理させていたとき、Aが死亡しても、支配人Bの代理権は消滅せず、そのまま営業を続けられます。

イ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

イ・・・正しい

●営業の範囲内の商人の行為 → 商人は相当な報酬を請求することができる

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができます(商法512条)。

【注意点】 「報酬の契約」をしていなくても、相当の報酬を請求できます。

ウ.数人の者がその一人または全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。
ウ・・・正しい
●数人の者が「一人又は全員」のために商行為を行う → 連帯債務となる

数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担します(商法511条1項)。例えば、A社とB社が共同して、建設の仕事を受けたとします。その仕事を、下請業者C社に任せて、C社が建設工事を行う場合、工事代金は、A社とB社どちらに対して請求してもよいです(A社とB社の連帯債務となる)。

エ.保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは、その債務は当該債務者および保証人が連帯して負担する。
エ・・・正しい
●債務が「主たる債務者の商行為」によって生じたもの → 保証人は連帯保証人となる

保証人がある場合において、「①債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき」又は「②保証が商行為であるとき」は、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担します(商法511条2項)。

①については、主たる債務者Aが商行為を行って、債務を負担し、一般人であるBが保証人となった場合、Bの保証は、自動的に連帯保証になるということです。例えば、子Aが飲食店を営んでおり、業務用冷蔵庫を購入する契約をして、親Bが、それを保証した場合、親Bは、連帯保証人となるということです。

②については、会社員がマイホーム購入のために住宅ローンを組むこと(借り入れをすること)は、商行為ではありませんが、保証人が保証会社の場合、その保証は連帯保証になります(保証会社は連帯保証人となる)。

オ.自己の営業の範囲内で、無報酬で寄託を受けた商人は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

オ・・・誤り
●商人がその営業の範囲内において寄託を受けたとき → 報酬の有無にかかわらず、善管注意義務を負う

商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けなくとも善良な管理者の注意をしなければなりません(商法595条)。寄託とは、モノを預かることを言いますが、商法の対象となってくるのは、他人のためにモノを倉庫に保管することを業(仕事)する者の取引です。例えば、倉庫業者の倉庫寄託契約です。倉庫業者は、もし、お金をもらってなくても商売の範囲内で物を預かったなら、モノの保管のプロとして善管注意義務を負うということです。

■「自己の財産に対するのと同一の注意義務」と「善良な管理者の注意義務(他人の物を扱う場合の注意義務)」とでは、後者の方が、より細かい注意義務が求められます。
前者は、「自分の財産と同じくらいの注意義務」でよいので、後者ほどの注意義務は求められません。


平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・その他
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 行政法の判例 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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