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平成29年・2017|問40|会社法・株式会社

次の記述のうち、全ての株式会社に共通する内容として、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.株主の責任の上限は、その有する株式の引受価額である。
イ.株主は、その有する株式を譲渡することができる。
ウ.募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定する。
エ.株主総会は、その決議によって取締役を1人以上選任する。
オ.株式会社の最低資本金は、300万円である。

  1. ア・イ
  2. イ・ウ
  3. ウ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:4

【解説】

ア.株主の責任の上限は、その有する株式の引受価額である。
ア・・・正しい
●株主の責任 → 株式の引受価額が限度(出資した分を限度に責任を負う)株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とします(104条)。つまり、株主(会社の出資者)は、株主となる際に、会社に対して「出資する義務」を負うだけで、会社が会社債権者に対して負っている債務について、株主は弁済する義務を負いません。これを「有限責任」と言います。株式会社はすべての株主が有限責任です。よって、本問は正しいです。

■持分会社については、無限責任の者(社員)もいます。無限責任社員は、会社債権者に対して債務の全額を負います。

イ.株主は、その有する株式を譲渡することができる。
イ・・・正しい
●株式 → 譲渡自由の原則株主は、その有する株式を譲渡することができます(会社法127条)。株の売買をしている人をイメージしたら、答えを導けると思います。また、投下資本(出資したお金)の回収は、株式の譲渡(売却)により行えます。

※ 譲渡制限がついている場合は、譲渡の際に会社の承認が必要となる

ウ.募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定する。
ウ・・・誤り
●募集株式の発行に係る募集事項の決定 → 株主総会の特別決議(公開会社は取締役会決議)募集株式の発行(株主割当or第三者割当)にかかる募集事項の決定は、株主総会の決議(特別決議)によらなければなりません(会社法199条2項)。ただし、公開会社においては、上記決定を「取締役会の決議」で行います(201条1項)。つまり、
募集株式の発行にかかる募集事項の決定は、

  • 非公開会社の場合、株主総会の特別決議で行い、
  • 公開会社の場合、取締役会の決議で行う

ということです。よって、公開会社の場合(下表の真ん中の行)は、株主総会決議で行わないので誤りです。

  • 公開会社における募集株式の募集事項は、株主に対しては通知すること。第三者に対しては公告でよい。

【株主割当とは】 すべての株主にその持株割合に応じて株式を割り当てること

【第三者割当とは】 特定の者(既存株主でもよい)を引受人として募集株式を発行すること

【関連】 新株予約権付き社債の発行について無効を主張する場合、「新株予約権の発行」の無効の訴えをしなければならない。「社債発行」の無効の訴えではない!

エ.株主総会は、その決議によって取締役を1人以上選任する。
エ・・・正しい
●取締役 → 株主総会決議で決める

株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければなりません(326条1項)
そして「役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任します(329条1項)
したがって、「株主総会は、株主総会の決議によって取締役を1人以上選任する」は正しいです。

株式会社では「所有」と「経営」は分離されており、会社の「所有者」である「株主(株主総会)」が、経営者(取締役)を選ぶ形になっています。

オ.株式会社の最低資本金は、300万円である。
オ・・・誤り

●資本金について制限はない = 最低資本金は定められていない

株式会社の最低資本金が300万円であるという条文はありません。
2006年5月に新会社法が施行されて、最低資本金制度はなくなりました
そのため現在では、株式会社の資本金は、0円でも法律上は可能です。
したがって本肢は誤り。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

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