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平成25年・2013|問35|民法・親族

改正民法に対応済

婚姻および離婚に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか(改)。

1 未成年者が婚姻をするには、父母のいずれかの同意があれば足り、父母ともにいない未成年者の場合には、家庭裁判所の許可をもってこれに代えることができる。

2 未成年者が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなされる。したがって当該未成年者は、法定代理人の同意がなくても単独で法律行為をすることができ、これは当該未成年者が離婚をした後であっても同様である。

3 養親子関係にあった者どうしが婚姻をしようとする場合、離縁により養子縁組を解消することによって、婚姻をすることができる。

4 離婚をした場合には、配偶者の親族との間にあった親族関係は当然に終了するが、夫婦の一方が死亡した場合には、生存配偶者と死亡した配偶者の親族との間にあった親族関係は、当然には終了しない。

5 協議離婚をしようとする夫婦に未成年の子がある場合においては、協議の上、家庭裁判所の許可を得て、第三者を親権者とすることを定めることができる。

 

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改正民法に対応済

【答え】:4

【解説】

1 未成年者が婚姻をするには、父母のいずれかの同意があれば足り、父母ともにいない未成年者の場合には、家庭裁判所の許可をもってこれに代えることができる。

1・・・誤り

●未成年者 → 婚姻できない

未成年者(18歳未満の者)は、父母のどちらか一方の同意があったとしても、婚姻をすることはできません。よって、問題文全体が誤りです。婚姻は、成年者(18歳以上の者)しかできません。

2 未成年者が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなされる。したがって当該未成年者は、法定代理人の同意がなくても単独で法律行為をすることができ、これは当該未成年者が離婚をした後であっても同様である。

2・・・誤り

●未成年者 → 婚姻できない

未成年者は、そもそも婚姻することができません。よって、本問の内容は誤りです。

3 養親子関係にあった者どうしが婚姻をしようとする場合、離縁により養子縁組を解消することによって、婚姻をすることができる。

3・・・誤り

●養親子等の間の婚姻は禁止 → 離縁による親族関係が終了した後も婚姻できない

養親と養子との間での婚姻は禁止されています。また、養親と養子との親族関係が「離縁」により終了しても、その後も婚姻は禁止です(民法736条) 。

4 離婚をした場合には、配偶者の親族との間にあった親族関係は当然に終了するが、夫婦の一方が死亡した場合には、生存配偶者と死亡した配偶者の親族との間にあった親族関係は、当然には終了しない。

4・・・正しい

●離婚 → 姻族関係は終了

●夫婦一方が死亡 → 生存配偶者が姻族関係を終了させる意思表示をしたときに、姻族関係は終了

「姻族関係」とは、婚姻することで、血のつながりがない配偶者の血族と親戚関係になるということです。そして、この姻族関係は、離婚をすると、終了します(民法728条1項) 。また、夫婦の一方が死亡した場合、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときに、姻族関係は終了します(2項)。つまり、夫婦の一方が死亡した場合には、生存配偶者と死亡した配偶者の親族との間にあった親族関係(姻族関係)は、当然には終了しません。姻族関係終了の意思表示があって、始めて姻族関係が終了します。

※ 親族とは、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」を指す(725条)。

姻族関係の終了

5 協議離婚をしようとする夫婦に未成年の子がある場合においては、協議の上、家庭裁判所の許可を得て、第三者を親権者とすることを定めることができる。

5・・・誤り

●親権者 → 夫婦の一方がなる / 第三者は親権者になれない

未成年者の子がいる場合、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項) 。そして、協議が調わないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、「夫婦の一方を親権者として定める」審判をすることができます(2項)。つまり、協議で決めようが、家庭裁判所が決めようが、父または母のどちらか一方が親権者となります。よって、第三者を親権者とすることを定めることはできません。

参考知識 「親権」の具体的な内容として「監護権」というものがあり、監護権は親権の一部なので、原則として親権者がこれを行使します。これは、親権者と監護権者は一致した方が、子どものためになるという考えが一般的だからです。しかし、親権者が子どもを監護できない事情がある場合や、親権者でない片方が監護権者として適当である場合には、親権者と監護権者を別々にすることも可能です。例えば、「親権者は収入のある父親だが、父親は海外出張で子どもの世話や教育がまったくできない場合」です。このような場合に、母親や祖父母が監護権者になることもあります。


平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

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