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令和元年・2019|問38|会社法

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、会社法が定めているのは、次の記述のうちどれか。

  1. 株主総会において議決権を行使するとき
  2. 会計帳簿の閲覧請求をするとき
  3. 新株発行無効の訴えを提起するとき
  4. 株主総会の決議の取消しの訴えを提起するとき
  5. 取締役の責任を追及する訴えを提起するとき

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【答え】:5
【解説】

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、下記内容は会社法で定めているか。1.株主総会において議決権を行使するとき

1・・・定めていない

株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有します(会社法105条)。

  1. 剰余金の配当を受ける権利
  2. 残余財産の分配を受ける権利
  3. 株主総会における議決権

上記の権利は、保有期間は関係ありません。

本肢のように保有期間の内容は会社法で定められていません。

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、下記内容は会社法で定めているか。2.会計帳簿の閲覧請求をするとき

2・・・定めていない

総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主又は発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、会計帳簿の閲覧請求をすることができます(433条1項1号)。

よって、会計帳簿の閲覧請求について保有期間の定めはありません。

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、下記内容は会社法で定めているか。3.新株発行無効の訴えを提起するとき

3・・・定めていない

株式会社の成立後における株式の発行(新株発行)の無効は、株式の発行の効力が生じた日から6ヶ月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から1年以内)に、訴えをもってのみ主張することができます(会社法828条1項2号)。

そして、新株発行無効の訴えは、当該株式会社の株主等又は新株予約権者に限り、提起することができます(同条2項2号)。

よって、新株発行無効の訴えの提起について、保有期間の定めはありません。

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、下記内容は会社法で定めているか。4.株主総会の決議の取消しの訴えを提起するとき

4・・・定めていない

株主総会決議の取消しの訴えについて、株主等は、株主総会等の決議の日から3か月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができます(会社法831条1項)。

そして、この株主総会の決議の取消しの訴えの提起については、保有期間の定めはありません。

【株主総会決議の取消しの訴えができる場合】

  1. 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
  2. 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
  3. 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。

公開会社の株主であって、かつ、権利行使の6ヵ月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主のみが権利を行使できる場合について、下記内容は会社法で定めているか。5.取締役の責任を追及する訴えを提起するとき

5・・・定めている

公開会社の場合6ヶ月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等の責任を追及する訴え等の提起を請求することができます(会社法847条1項:株主代表訴訟)。

つまり、取締役の責任を追及する訴えを提起するには、6か月前から引き続き株式を有する必要があります。

よって、本肢は会社法で定められています。

【株主代表訴訟とは?】

株主が、会社を代表して取締役・監査役等の役員等に対して法的責任を追及するために、訴えを提起できる権利を株主代表訴訟提起権と言います。

【株主代表訴訟の流れ】

  1. 6か月前から引き続き株式を有する株主は、会社に対して書面等をもって、取締役の責任を追及する訴訟を提起するよう請求する
  2. 株主が請求をしたにもかかわらず、会社が60日以内に訴訟を提起しない
  3. 株主は会社の代わりに、自らが原告となって訴訟(株主による責任追及等の訴え:株主代表訴訟)を提起することができる
    非公開会社の場合は6か月前から持っていなくてもよく、株主であれば株主代表訴訟を提起できます。

2. において、会社が訴えを提起した場合は、株主代表訴訟は行えません。
株主からの請求に基づいて会社が訴えを提起する場合、原則、代表取締役(指名委員会等設置会社では代表執行役)が会社を代表します(349条1項4項、420条3項)。
ただし、監査役設置会社について取締役の責任を追及する訴えを行う場合、監査役が会社を代表します(386条2項1号)。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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