■転借人Cの賃貸人Aに対する義務

転貸借は、あくまで賃貸人Aと賃借人(転貸人)Bとの間の賃貸借契約を基礎として行われているので、転借人Cは、基礎となる賃貸借契約に基づく「賃借人(転貸人)Bの債務の範囲を限度」として、転貸借の債務を賃貸人Aに対して直接に義務を負います。

簡単にいうと、賃貸人Aは転借人Cに、「賃借料」と「転借料」の低い方を請求でき、逆に、転借人Cは、賃貸人Aに対して「賃借料」と「転借料」の低い方を支払えばよいということです。

【具体例】

 

(1)AB間の賃料が10万円の場合、賃借人Bの賃料債務は10万円です。そのため、BC間の転貸借契約で転借料が12万円だったとしても、転借人Cは賃貸人Aに対しては10万円の債務を限度に直接負担します。これはどういうことかというと、通常、CはBに対して12万円の転借料を支払っていればいいのですが、万一、BがAに対して賃料10万円を滞納した場合、AはCに対して直接10万円請求をすることができるということです。(CがAに10万円を支払えば、CはBに2万円を支払えばよい)

 

(2)もし、AB間の賃料が12万円で、BC間の転借料が10万円の場合は、Cは転貸借の負担を負えばよいので、AはCに対して10万円まで請求することができ、Cは10万円をAに支払えばよいです。もちろん、CがAに10万円を支払えば、CはBに対して10万円を支払う義務はありません。(CがAに10万円を支払えば、BはAに2万円を支払えばよい)