「①損害を与える意思(悪意と呼ぶ)による不法行為」「②人の生命・身体の侵害による不法行為」に基づく損害賠償請求権を受働債権(加害者AのBに対する債権は、逆に自働債権となる)としては相殺できません。
言い換えると、 「損害を与える意思による不法行為」「人の生命・身体の侵害による不法行為」の加害者からは相殺を主張することができないということです。
【具体例】
①AはBに100万円を貸して、「①Bに対する債権」を持ちます。その後、Aは、返済しないことを理由にBを暴行した(損害を与える意思がある)とします。この場合、Bは「②Aに対する不法行為に基づく損害賠償請求権(100万円と仮定)②」を持ちます。この場合、Aは「①Bに対する債権」をもって相殺できるか?
また、逆にBは「②不法行為に基づく損害賠償請求権」をもって相殺できるか?この不法行為に基づく損害賠償は現実の支払いをもって(きちんとお金で払うことで)、被害者Bを救済するべきもの(被害者保護)という考えから、加害者Aから相殺することはできません。しかし、被害者Bから相殺することはできます。
