差押債権と相殺

①AはBにお金を貸して、「Bに対する債権」を持ち、逆に、②BはAにお金を貸して、「Aに対する債権」を持つとします。その後、③AはCからお金を借り、AがCにお金を返さないことから、④Cが「Bに対する債権」を差押えたとします。
この場合、Bは「相殺を主張して、[①AのBに対する債権(自分Bの債務)]を消滅させたい」と思い、一方、Cは「[①Bに対する債権]を相殺されたくない」と思い、BとCが競合します。この場合、どちらが勝つか(対抗できるか)を考えます。
原則、この場合、「Bが反対債権(Bの有するAに対する債権)を取得した時期」と「Cが差し押さえた時期」の早い方が勝ちます。今回は、Bは、Cの差押え(④)前に反対債権を取得(②)しているため、Bが勝ちます。つまり、Bは、「Cが差押えた債権」と相殺することができます。もしCの差押え後に、Bが反対債権を取得したのであれば、Bは相殺することができません
(例外があるのですが、ここでは省略します。)
ただし、この差押えが抵当権に基づくものであった場合は、話が変わります。
その場合、「抵当権設定時期」と「Bが反対債権を取得した時期」の早い方が勝ちます。抵当権設定前に反対債権を取得していれば、反対債権者は相殺でき、後であれば相殺できません。