抵当権の放棄

「抵当権の放棄」は、順位放棄と計算方法は同じです。違いは、譲渡受ける人が「後順位抵当権者」か「無担保権者」かの違いです。

次に、抵当権の放棄です。抵当権の放棄は「放棄した者」と「放棄された者(無担保権者)」が同一順位となり、債権額の割合で按分する(割合に応じて分ける)ものです。例えば、ある土地にA、Bが以下のように抵当権を設定したとし、「Cは抵当権を有しない債権者」とします。そして、AがCのために抵当権を放棄をし、その土地が競売にかかり、2100万円の配当があった場合、どのように配当が割り振られるか?を考えます。

①まず、「抵当権の放棄をした者A」と「抵当権の放棄を受けた者C」が持つ優先弁済権の合計を出します。

(ここまでは抵当権の譲渡と同じ)。つまり、AとCの抵当権放棄前の優先弁済額の合計を出します。すると1500万円+0=1500万円となります。

②その合計額を債権額の割合で按分します。

AとCの債権額の割合は1500万円:300万円=5:1です。つまり、Aが1500万円うち5/6だけもらい、Cは1500万円のうち1/6だけもらう形になります。したがって、抵当権放棄後のAの優先弁済額は1500万円×5/6=1250万円

放棄後のCの優先弁済額は1500万円×1/6=250万円となります。