元本確定前の根抵当権に「付従性」はないとは、「債権が消滅しても根抵当権は消滅しない」ということです。
【具体例】
もし、下図のように①債務者Aが50万円を弁済すると、債権者Bの有する50万円の債権が消滅します。
そのことによって根抵当権が消滅してしまったら、「200万円の貸金債権」と「100万円の貸金債権」が無担保になってしまいます(保証がなくなってしまう)。
そうなると債権者Bは困ってしまいます。
そのため、根抵当権は消滅しないのです。
また、Aが残りの100万円と200万円について返済しても根抵当権は消滅しません。
【理由】
その後、Aが再度Bからお金を借りたくなった時に、根抵当権が消滅していたら再度根抵当権を設定しなければならず、面倒だからです。
そもそも根抵当権とは、ある不動産を担保とした時、この不動産を担保に「上限額(極度額)」と「債権の種類」を決め、この範囲内で何度もお金を貸し借りできる権利です。
根抵当権の目的物である不動産を「コップ」で例えば、お金を借りればコップに水を入れ、お金を返済すれば、コップから水を捨てるという考え方です。(>>「元本確定」とは?)
つまり、すべてのお金を返済(弁済)すれば、コップの中の水が空になるだけで、根抵当権は消滅せず、またその後新たに、そのコップに水を入れる(建物を担保に債権者Bからお金を借りる)ことができます。これが根抵当権です。
この点は抵当権と異なる性質なので必ず頭に入れましょう!

