【②実質的当事者訴訟】
「実質的当事者訴訟」とは、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟を言います。
【例】 国家公務員Cが懲戒免職処分を受けた。Cは、この処分が無効であることを前提に、「公務員の地位確認訴訟」や「給料支払請求訴訟」を行うことができます。この訴えは、被告が国であるというだけで、内容としては、「民事訴訟」と同じです。
単に、「私人と私人の争い」ではなく「国と公務員」という公法上の法律関係なっているため、「実質的当事者訴訟」で争います。
【③争点訴訟】
「争点訴訟」とは、私法上の法律関係に関する訴訟ですが、その前提となる処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われているものを言います。
【例】 Aの農地が買収された場合における「農地買収処分の無効を理由とする所有権確認訴訟」です。最終的には、Aは「この農地の所有権は私のものです!」と確認を求める訴訟(所有権という私法上の法律関係に関する訴訟)なのですが、争点となっているのは、農地買収処分です。この農地買収処分が無効だから、この農地の所有権はAにあるでしょ!という争いです。
【①無効確認訴訟】
「(補充的)無効確認訴訟」は、処分や裁決の無効確認を求めるに法律上の利益を有していて、かつ、現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない場合に提起できます。
では、「現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない場合」とはどんな場合か?
【例】 Bが宅建業の免許の申請をして、不許可処分を受けた。この場合、処分を受ける前も後も、宅建業を行うことができていない状態です。そのため現在の法律関係(免許がされていないこと)の確認を求めても、今も昔も宅建業を行うことができない状態に変わりはないため何の意味もありません。Bの目的は「免許申請の不許可処分の無効を主張して、再度審査をしてもらうこと」です。つまり、「現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができない」ということです。
そのため、Bはすでになされた不許可処分について、無効等確認の訴えを提起することができます。
これが、補充的無効等確認訴訟です。
逆に、「現在の法律関係の確認を求める訴えでは目的達成ができる」場合は、「②実質的当事者訴訟と③争点訴訟」で争います。
【②実質的当事者訴訟の例】
公務員Cが懲戒免職処分を受けた。この場合、処分を受ける前は、公務員としての地位を有しており、処分を受けた後の現在は公務員としての地位を有していません。この場合、現在の法律関係の確認を求める訴えとは、「懲戒免職処分は無効だ!現在も公務員としての地位を有しているはずでしょ!」という訴えです。この訴えをすることで、Bの目的(公務員としての地位を回復すること)は達成できます。この場合、過去の処分の無効を主張することはできず、現在の法律関係の確認を求める訴え(具体的には実質的当事者訴訟)で、公務員であることの地位の確認を求めることができます。
【③争点訴訟の例】
Aの農地が買収された場合における「農地買収処分の無効を理由とする所有権確認訴訟」は、Aは「この農地の所有権は私のものです!」と現在の所有権の確認を求める訴訟(所有権という私法上の法律関係に関する訴訟)です。この場合、過去の(農地買収の)処分の無効を主張することはできず、現在の法律関係の確認を求める訴え(私法上の話なので「争点訴訟」)で、所有権の確認を求めます。


