平成26年度(2014年度)過去問

平成26年・2014|問17|行政事件訴訟法

原告適格に関する最高裁判所の判決についての次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 公衆浴場法の適正配置規定は、許可を受けた業者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図まで有するものとはいえず、適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められない。

イ 森林法の保安林指定処分は、一般的公益の保護を目的とする処分であるから、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められない。

ウ 定期航空運送事業に対する規制に関する法体系は、飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするものにとどまるものであり、運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者であっても、免許取消訴訟を提起する原告適格は認められない。

エ 自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可の処分要件として定められている位置基準は、用途の異なる建物の混在を防ぎ都市環境の秩序有る整備を図るという一般的公益を保護するにすぎないから、当該場外施設の設置・運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者であっても、位置基準を根拠として当該設置許可の取消しを求める原告適格は認められない。

オ (旧)地方鉄道法に定める料金改定の認可処分に関する規定の趣旨は、もっぱら、公共の利益を確保することにあるのであって、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではないから、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者であっても、当該認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできず、認可処分の取消しを求める原告適格は認められない。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

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【答え】:1

【解説】

ア 公衆浴場法の適正配置規定は、許可を受けた業者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図まで有するものとはいえず、適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められない。
ア・・・誤り
●公衆浴場法の適正配置規定 → 既存業者は原告適格を有する

事案

公衆浴場法は、公衆浴場の経営につき許可制を採用し、第2条において、「設置の場所が配置の適正を欠く」と認められるときは許可を拒むことができる旨を定めている(公衆浴場法の適正配置規定)。

その立法趣旨は、以下の通りである

1.公衆浴場は、多数の国民の日常生活に必要欠くことのできない公共性を伴う厚生施設である。

2.そして、もしその設立を業者の自由に委せてしまうと、公衆浴場が濫立する可能性がある。

3.その濫立により、浴場経営に無用の競争を生じその経営を経済的に不合理となり、ひいて浴場の衛生設備の低下等好ましくない影響を来たすおそれがある。

4.このようなことは、上記公衆浴場の性質に鑑み(照らして考えると)、国民保健及び環境衛生の上から、出来る限り防止することが望ましいことである。

5.従って、 「設置の場所が配置の適正を欠く」と認められるときは許可を拒むことができる旨を定めている。

そして、既存の公衆浴場営業者Aは他業者Bへの営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められるか?

つまり、近くにBが営業許可を受けたことは「公衆浴場法の適正配置規定」と照らし合わせても違法だから、許可処分を取消してください!と既存業者Aは主張できるか?

判例

判例(最判昭37.1.19)によると、公衆浴場法の適正配置規定について、適正な許可制度の運用によって保護されるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益というにとどまらず公衆浴場法によって保護される法的利益と解するとして、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められています
よって、本問の「業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから原告適格は認められない」という記述は誤りです。

イ 森林法の保安林指定処分は、一般的公益の保護を目的とする処分であるから、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められない。
イ・・・誤り
保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者 → 解除処分に対する取消訴訟の原告適格を有する

事案

保安林とは、土砂の崩壊等の災害を防ぐために、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林を言います。

そして、森林法26条2項では、「公益上の理由があれば保安林の指定解除ができる」と規定しています。

農林水産大臣Yは、北海道夕張郡長沼町に所在する「保安林」の一部について、航空自衛隊の施設用地として使用するため、保安林指定の解除をした。

これに対して、基地建設に反対する同町の住民Xらは、森林法26条2項の定める指定解除事由である「公益上の理由」はなく、指定解除は違法として保安林指定解除処分の取消訴訟を提起した。

自己の利益を侵害された住民Xらは、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められるか?

判例
判例(最判昭57.9.9)によると、『森林法は、森林の存続によって不特定多数者の受ける生活利益のうち一定範囲のものを公益と並んで保護すべき個人の個別的利益としてとらえ、かかる利益の帰属者に対し保安林の指定につき「直接の利害関係を有する者」としてその利益主張をすることができる地位を法律上付与しているものと解するのが相当である。
よって、「直接の利害関係を有する者」は、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、右解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格を有するということができる』
と判示しています。
よって、本問は、「保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、原告適格は認められない。」という記述は誤りです。

ウ 定期航空運送事業に対する規制に関する法体系は、飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするものにとどまるものであり、運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者であっても、免許取消訴訟を提起する原告適格は認められない。
ウ・・・誤り
●航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者 → 定期航空運送事業免許の取消訴訟を提起する原告適格を有する

定期航空運送事業免許とは、空港での飛行機の離発着を認める処分のことです。
判例(最判平元.2.17)によると、「航空法は、単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によって著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含む。
よって、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、運送事業免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する
と判示しています。
したがって、「運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者であっても、免許取消訴訟を提起する原告適格は認められない」という記述は誤りです。

エ 自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可の処分要件として定められている位置基準は、用途の異なる建物の混在を防ぎ都市環境の秩序有る整備を図るという一般的公益を保護するにすぎないから、当該場外施設の設置・運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者であっても、位置基準を根拠として当該設置許可の取消しを求める原告適格は認められない。
エ・・・誤り
●場外車券発売施設の周辺において、「医療施設を開設する者」は、設置許可の取消訴訟の原告適格を有する

事案

自転車競技法施行規則により、「競輪の場外車券発売施設を設置する場合の設置場所(位置)は、文教上(文化・教育に関して)又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがない場所であること」と規定しています。

そして、経済産業大臣は自転車競技法に基づき、株式会社Aに対し、場外車券販売施設(競輪の賭けができる施設)の設置の許可をした。これに対して、本件施設から1000m以内において病院や診療所を開設する医師Xらが、本件許可は、場外車券発売施設の設置要件をみたさないと主張して、国Yを被告として、許可の取消訴訟を提起した。

「医療施設等を開設する者」は、原告適格を有するか?

判例
判例(最判平21.10.15)によると、「場外施設は、多数の来場者が参集することによってその周辺に享楽的な雰囲気等といった環境をもたらすものであるから、位置基準は、そのような環境の変化によって周辺の医療施設等の開設者が被る文教又は保健衛生にかかわる業務上の支障について、特に国民の生活に及ぼす影響が大きいものとして、その支障が著しいものである場合に当該場外施設の設置を禁止し当該医療施設等の開設者の行う業務を保護する趣旨をも含む規定であると解することができる。

このように、位置基準は、一般的公益を保護する趣旨に加えて、上記のような業務上の支障が具体的に生ずるおそれのある医療施設等の開設者において、健全で静穏な環境の下で円滑に業務を行うことのできる利益を、個々の開設者の個別的利益として保護する趣旨をも含む規定であるというべきである。
したがって、当該場外施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者は、位置基準を根拠として当該場外施設の設置許可の取消しを求める原告適格を有する
と判示しています。よって、本問の「医療施設等を開設する者であっても、原告適格は認められない」という記述は誤りです。

オ (旧)地方鉄道法に定める料金改定の認可処分に関する規定の趣旨は、もっぱら、公共の利益を確保することにあるのであって、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではないから、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者であっても、当該認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできず、認可処分の取消しを求める原告適格は認められない。
オ・・・正しい
●特急料金改定の認可処分の取消しを求める訴訟において、定期券を利用して通勤する利用者は、原告適格を有しない

判例(最判平元.4.13)によると「(旧)地方鉄道法に定める(特急)料金改定の認可処分に関する規定の趣旨は、もっぱら公共の利益を確保することにあるのであって、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではなく、他に同条が当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することを目的として認可権の行使に制約を課していると解すべき根拠はない
そのため、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者は、本件特別急行料金の改定(変更)の認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということができず、右認可処分の取消しを求める原告適格を有しない」と判示しています。
つまり、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者は、取消訴訟の原告適格ではない、ということです。
よって、本問は正しいです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問16|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法による不作為の違法確認の訴えに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不作為の違法確認の訴えは、行政庁が、法令に基づく申請に対して、相当の期間内に申請を認める処分又は審査請求を認容する裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
  2. 不作為の違法確認の訴えが提起できる場合においては、申請を認める処分を求める申請型義務付け訴訟を単独で提起することもでき、その際には、不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要はない。
  3. 不作為の違法確認の訴えの提起があった場合において、当該申請に対して何らかの処分がなされないことによって生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、仮の義務付けの規定の準用により、仮の義務付けを申し立てることができる。
  4. 不作為の違法確認の訴えは、公法上の当事者訴訟の一類型であるから、法令以外の行政内部の要綱等に基づく申請により、行政機関が申請者に対して何らかの利益を付与するか否かを決定することとしているものについても、その対象となりうる。
  5. 不作為の違法確認の訴えについては、取消訴訟について規定されているような出訴期間の定めは、無効等確認の訴えや処分の差止めの訴えと同様、規定されていない。

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【答え】:5

【解説】

1.不作為の違法確認の訴えは、行政庁が、法令に基づく申請に対して、相当の期間内に申請を認める処分又は審査請求を認容する裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
1・・・誤り
不作為の違法確認訴訟 → 申請に対して、相当の期間が経過しても何の処分・裁決もない場合に行える

「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条5項)。
そもそも「不作為」とは、申請をしたにも関わらず「何にも処分しないことを言います。
「処分又は審査請求を認容する裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないこと」ではありません。
上記の場合、拒否処分をした場合でも不作為の違法確認訴訟が提起できることになります。しかし、それはできません。なぜなら、処分は行っているから、「不作為」には当たらないからです。

2.不作為の違法確認の訴えが提起できる場合においては、申請を認める処分を求める申請型義務付け訴訟を単独で提起することもでき、その際には、不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要はない。
2・・・誤り
●申請型義務付訴訟 → 提起するときは、「不作為の違法確認訴訟」をその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない

「法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされない」場合、「不作為の違法確認訴訟」を提起できます。そして、上記において(申請に対する)義務付けの訴え」を提起するときは、「不作為の違法確認訴訟」をその義務付けの訴えに併合して提起しなければなりません(行政事件訴訟法37条の3の3項1号)
したがって、「不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要はない」は誤りです。

3.不作為の違法確認の訴えの提起があった場合において、当該申請に対して何らかの処分がなされないことによって生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、仮の義務付けの規定の準用により、仮の義務付けを申し立てることができる。
3・・・誤り
仮の義務付け → 義務付けの訴えを事前に提起していることが要件

義務付けの訴えの提起があった場合において、①その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、②本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(仮の義務付け)ができます(行政事件訴訟法37条の5の1項)。つまり、「義務付けの訴え」を提起した後でないと、「仮の義務付け」はできません
本問は、「不作為の違法確認訴訟」しか提起していていないので「仮の義務付け」を行うことはできません。

4.不作為の違法確認の訴えは、公法上の当事者訴訟の一類型であるから、法令以外の行政内部の要綱等に基づく申請により、行政機関が申請者に対して何らかの利益を付与するか否かを決定することとしているものについても、その対象となりうる。
4・・・誤り
不作為の違法確認訴訟 → 抗告訴訟の一つ

「当事者訴訟」とは、
①「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決」に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)及び
②公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)をいいます(行政事件訴訟法4条)。
不作為の違法確認訴訟」は、当事者訴訟の一類型ではなく、抗告訴訟の一類型です。
よって本問は誤りです。

5.不作為の違法確認の訴えについては、取消訴訟について規定されているような出訴期間の定めは、無効等確認の訴えや処分の差止めの訴えと同様、規定されていない。
5・・・正しい
不作為の違法確認訴訟の出訴期間 → 不作為状態が継続する間はずっと

不作為の違法確認訴訟は、不作為状態が継続する間はずっと、訴えを提起することができます。
したがって、取消訴訟の出訴期間に関する規定(行政事件訴訟法第14条:下表参照)は、不作為の違法確認の訴えについて準用されません(行政事件訴訟法第38条)。また、無効確認の訴えや処分の差止めの訴えについても、準用されていません。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問15|行政不服審査法

行政不服審査法に基づく審査請求の教示義務に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.処分庁は、審査請求ができる処分をするときは、処分の相手方に対し、審査請求ができる旨、審査請求すべき行政庁、審査請求期間、審査請求書に記載すべき事項を教示しなければならない。

イ.処分庁が誤って審査請求すべき行政庁でない行政庁を教示し、当該行政庁に審査請求書が提出された場合、当該行政庁は処分庁または本来の審査請求すべき行政庁に審査請求書を送付しなければならない。

ウ.処分庁は、処分の相手方以外の利害関係者から当該処分が審査請求のできる処分であるか否かについて教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。

エ.処分庁が審査請求書に記載すべき事項を誤って教示し、それに沿った審査請求書が提出されたときは、審査請求を受けた行政庁は、審査請求をした者に期限を定めて補正を求めなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:3

【解説】

ア.処分庁は、審査請求ができる処分をするときは、処分の相手方に対し、審査請求ができる旨、審査請求すべき行政庁、審査請求期間、審査請求書に記載すべき事項を教示しなければならない。
ア・・・誤り
行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、「①当該処分につき不服申立てをすることができる旨」並びに「②不服申立てをすべき行政庁」及び「③不服申立てをすることができる期間」を書面で教示しなければなりません(行政不服審査法82条1項)。
本肢のように「審査請求書に記載すべき事項」は教示しなくてもよいので誤りです。

イ.処分庁が誤って審査請求すべき行政庁でない行政庁を教示し、当該行政庁に審査請求書が提出された場合、当該行政庁は処分庁または本来の審査請求すべき行政庁に審査請求書を送付しなければならない。
イ・・・正しい
審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければなりません(行政不服審査法22条)。
よって、本肢は正しいです。

ウ.処分庁は、処分の相手方以外の利害関係者から当該処分が審査請求のできる処分であるか否かについて教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
ウ・・・正しい
行政庁は、利害関係人から、「①当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか」並びに「②当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁」及び「③不服申立てをすることができる期間」につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければなりません行政不服審査法82条2項)。
よって、本肢は正しいです。
エ.処分庁が審査請求書に記載すべき事項を誤って教示し、それに沿った審査請求書が提出されたときは、審査請求を受けた行政庁は、審査請求をした者に期限を定めて補正を求めなければならない。
エ・・・誤り
行政不服審査法に本肢のような規定はありません。
よって、誤りです。
「補正を求めるor拒否しなければならない」ものは、下記行政手続法7条です。
申請に対する審査、応答
行政手続法7条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問14|行政不服審査法・行政事件訴訟法

行政不服審査法に基づく審査請求の裁決と取消訴訟との関係について、妥当な記述はどれか。

  1. 審査請求の裁決に不服がある審査請求人は、これに対して取消訴訟を提起して争うことができるが、それ以外の者は、裁決に不服があっても取消訴訟を提起することはできない。
  2. 違法な処分に対する審査請求について、審査庁が誤って棄却する裁決をした場合、審査請求人は、裁決取消訴訟により、元の処分が違法であったことを理由として、棄却裁決の取消しを求めることができる。
  3. 審査請求の裁決には理由を付さなければならないが、付された理由が不十分であったとしても、裁決に対する取消訴訟において、理由の記載の不備のみのために裁決が取消されることはない。
  4. 適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合には、審査請求の前置が取消訴訟の訴訟要件とされていても、審査請求人は、審査請求に対する実体的な裁決を経ることなく、元の処分に対する取消訴訟を提起できる。
  5. 処分に対して審査請求がなされた場合においても、当該処分の取消訴訟の出訴期間については、当該処分を知った日の翌日が起算日とされ、この期間が経過すれば、審査請求の手続の途中でも、当該処分に不可争力が生じる。

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【答え】:4

【解説】

1.審査請求の裁決に不服がある審査請求人は、これに対して取消訴訟を提起して争うことができるが、それ以外の者は、裁決に不服があっても取消訴訟を提起することはできない。
1・・・誤り
取消訴訟については、処分又は裁決の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」であれば訴えを提起できます(行政事件訴訟法9条)。
本肢のように、「審査請求人以外の者は、裁決に不服があっても取消訴訟を提起することはできない」というのは誤りです。

2.違法な処分に対する審査請求について、審査庁が誤って棄却する裁決をした場合、審査請求人は、裁決取消訴訟により、元の処分が違法であったことを理由として、棄却裁決の取消しを求めることができる。
2・・・誤り
元の処分が違法なことを理由に、裁決の取消しを求めることはできません(行政事件訴訟法10条2項)。
これを「原処分主義」と言います。
よって、本肢は誤りです。

3.審査請求の裁決には理由を付さなければならないが、付された理由が不十分であったとしても、裁決に対する取消訴訟において、理由の記載の不備のみのために裁決が取消されることはない。
3・・・誤り
裁決は、「理由」を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければなりません(行政不服審査法50条)。
そして、付された理由が不十分な場合、裁決で取り消された判例もあります
判例の内容は下記の通りです。「審査決定の通知書に「貴社の審査請求の趣旨、経営の状況、その他を勘案して審査しますと、芝税務署長の行った青色申告届出承認の取消処分は誤りがないと認められますので、審査の請求には理由がありません」と記載しただけでは、理由附記としては不備であって、審査決定は違法として取り消すべきである。」

4.適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合には、審査請求の前置が取消訴訟の訴訟要件とされていても、審査請求人は、審査請求に対する実体的な裁決を経ることなく、元の処分に対する取消訴訟を提起できる。
4・・・正しい
判例によると
「国税庁長官又は国税局長が誤ってこれを不適法として却下した場合には、本来行政庁は処分について再審理の機会が与えられていたのであるから、却下の決定であっても審査の決定にあたると解すべき」
と判示しています。
つまり、適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合、この却下が、審査の決定とみなされるわけです。
よって、審査請求前置主義であっても、却下をもって、裁決を経ることなく取消訴訟ができます

5.処分に対して審査請求がなされた場合においても、当該処分の取消訴訟の出訴期間については、当該処分を知った日の翌日が起算日とされ、この期間が経過すれば、審査請求の手続の途中でも、当該処分に不可争力が生じる。
5・・・誤り
「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」又は「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」において、
審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、原則、これに対する裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができません(行政事件訴訟法14条)。
つまり、審査請求の手続の途中に、処分を知った日の翌日から6か月経過したからといって、取消訴訟ができない、となるのではなく、審査請求の裁決があって、その裁決があったことを知った日から6か月間は取消訴訟ができます
よって、本肢は誤りです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問13|行政手続法

行政手続法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。
  2. 地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されないが、地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される。
  3. 申請に対する処分であっても、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分については、行政庁が審査をする余地がないため、届出の手続に関する規定が適用される。
  4. 行政庁が不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者でなくても、当該処分について法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される。
  5. 行政手続法の規定が適用除外される事項は、同法に定められているので、個別の法律により適用除外とされるものはなく、個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法の規定が優先して適用される。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。

1・・・正しい

●地方公共団体の機関がする行政指導 → 下表の1、2に該当しないので行政手続法の適用はない

地方公共団体の下記については、行政手続法の第2章(申請に対する処分)から第6章(意見公募手続等)までの規定は、適用しません行政手続法3条3項)。

  1. 地方公共団体の機関がする処分(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
  2. 行政指導
  3. 地方公共団体の機関に対する届出(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
  4. 地方公共団体の機関が命令等を定める行為

つまり、「地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず」という記述は正しいです。
国の機関がする行政指導のみに適用される、という記述も正しいです。

「国の機関がする行政指導」とは、例えば、消費者庁が、景品表示法違反を行った者に対して行う行政指導です。
2.地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されないが、地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される。

2・・・誤り

●地方公共団体の機関がする「処分」で、かつ、根拠規定が「法律にある」もの → 行政手続法の適用あり
●地方公共団体の機関がする「処分」で、かつ、根拠規定が「条例又は規則」に置かれている場合は行政手続法の適用はない

選択肢1の解説の通り、地方公共団体の機関がする処分は、根拠規定が「条例又は規則」に置かれている場合のみ、行政手続法は適用されません
したがって、本肢の「地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される」は誤りです。
ちなみに、前半部分の「地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されない」は正しいです。

3.申請に対する処分であっても、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分については、行政庁が審査をする余地がないため、届出の手続に関する規定が適用される。

3・・・誤り

●申請に対する処分について、届出の手続きは適用されない

「申請」と「届出」はそもそも定義が異なるし、ルールも異なります。
本肢のように、申請に対する処分について、届出の手続きの規定が適用されることはありません。

4.行政庁が不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者でなくても、当該処分について法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される。

4・・・誤り

●不利益処分をしようとする場合 → 不利益処分の「名あて人となるべき者」に対して意見陳述の手続きをとる

行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、原則、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続(聴聞や弁明の機会の付与)を執らなければなりません(行政手続法13条1項)。
本肢の「法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される」という記述は誤りです。

5.行政手続法の規定が適用除外される事項は、同法に定められているので、個別の法律により適用除外とされるものはなく、個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法の規定が優先して適用される。

5・・・誤り

●行政手続法は一般法 → 処分、行政指導及び届出に関する手続等に別の法律の定めがあれば、この別の法律が優先する

処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによります(行政手続法1条2項)。
したがって、別の法律に同法と異なる定めがある場合、別の法律が優先して適用されます。
よって、「個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法(行政手続法)の規定が優先して適用される」という記述は誤りです。
つまり、「行政手続法が一般法」で、「個別の法律が特別法」となります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問12|行政手続法

許可の申請手続において、行政庁Yは審査基準を公にしないまま手続を進めて、結果として申請者Xに許可を与えなかった。この事例に関する次の記述のうち、行政手続法の条文に照らし、正しいものはどれか。

  1. Yは公聴会を開催してXの意見を聞く法的義務を負うことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
  2. 行政庁が審査基準を公にすることは努力義務に過ぎないことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
  3. Xは情報公開法(注)に基づき情報公開請求をして審査基準を閲覧できることから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
  4. 審査基準は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りることから、Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
  5. 審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。

(注)行政機関の保有する情報の公開に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.Yは公聴会を開催してXの意見を聞く法的義務を負うことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
1・・・誤り
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが 当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、 必要に応じ公聴会の開催その他の適当な方法により 当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません行政手続法10条)。
つまり、公聴会を開催してXの意見を聞くことは任意であり、法的義務はありません。
よって、誤りです。審査基準については、行政庁は、必ず定めなければならず行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません行政手続法5条1項3項)。
つまり、Yが審査基準を公にしなかったことは、行政上特別支障がなかったのであれば違法となります。

2.行政庁が審査基準を公にすることは努力義務に過ぎないことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
2・・・誤り
選択肢1の審査基準に解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です。
努力義務ではないので、誤りです。
3.Xは情報公開法(注)に基づき情報公開請求をして審査基準を閲覧できることから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
3・・・誤り
選択肢1の解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です(例外は選択肢5)。
したがって、本肢の「Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない」というのは、誤りです。
4.審査基準は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りることから、Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
4・・・誤り
これも、選択肢1の解説の通り、「Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかった」というのは違法です。
5.審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
5・・・正しい
選択肢1の解説の通り、審査基準について、行政上特別支障があるのであれば、公にしなかったとしても違法にはなりません


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問11|行政手続法

不利益処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政手続法は、不利益処分について、処分庁が処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない旨を規定している。
  2. 行政手続法は、不利益処分について、処分と同時に理由を提示すべきこととしているが、不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨を規定している。
  3. 行政手続法は、処分庁が金銭の納付を命じ、または金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするときは、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続もとる必要がない旨を規定している。
  4. 行政手続法は、処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる旨を規定している。
  5. 行政手続法は、原則として聴聞の主宰者は処分庁の上級行政庁が指名する処分庁以外の職員に担当させるものとし、処分庁の職員が主宰者となること、および処分庁自身が主宰者を指名することはできない旨を規定している。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.行政手続法は、不利益処分について、処分庁が処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない旨を規定している。

1・・・誤り

不利益処分 → 「処分基準を定めること」「処分基準を公にすること」は任意

行政手続法では、不利益処分について、「行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない」としています(行政手続法12条)。
つまり、処分基準を公にすることは任意であり、義務ではありません。
よって、「処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない」という記述は誤りです。

2.行政手続法は、不利益処分について、処分と同時に理由を提示すべきこととしているが、不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨を規定している。

2・・・誤り

●不利益処分をする場合 → 原則:同時に理由を示さなければならない
●「不服申立ての審理の時点で処分理由を変更できる旨」の規定はない

行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければなりません。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、同時でなくてもよく、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければなりません。(行政手続法14条1項2項)。
したがって、前半部分の「行政手続法は、不利益処分について、処分と同時に理由を提示すべきこととしている」については、原則として正しいと言えます。一方、後半部分の「不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨を規定している」は誤りです。
このようなルールはありません。

3.行政手続法は、処分庁が金銭の納付を命じ、または金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするときは、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続もとる必要がない旨を規定している。

3・・・正しい

●不利益処分前について

  • 原則:意見陳述のための手続(聴聞や弁明の機会の付与)を執らなければならない
  • 例外:納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき」は上記意見陳述のための手続きは不要

行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、原則、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続(聴聞や弁明の機会の付与)を執らなければなりません行政手続法13条1項)。

ただし、例外として、「納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき」は上記意見陳述のための手続きは不要です(行政手続法13条2項4号)。

考え方】 「金銭の納付」とは、例えば、「税金の支払い」等です。
これらは一定の計算に基づいて自動的に算出されるので
意見陳述の機会を与える必要性が薄いので、聴聞・弁明の機会不要の手続きを不要としています。

4.行政手続法は、処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる旨を規定している。

4・・・誤り

●「意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる」旨の規定はない

行政手続法には、「処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる」旨を規定していません。
よって、本肢は誤りです。処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、審査請求や訴訟により争う形になります。

イメージ

行政手続法は、処分前の手続きの話です。
一方、行政不服審査法は、処分後の手続きの話です。

(不利益)処分をしたのであれば、行政手続法ではなく、行政不服審査法で処理するのが適切ということで、本肢の内容を規定していないと考えるとイメージしやすいです。

5.行政手続法は、原則として聴聞の主宰者は処分庁の上級行政庁が指名する処分庁以外の職員に担当させるものとし、処分庁の職員が主宰者となること、および処分庁自身が主宰者を指名することはできない旨を規定している。

5・・・誤り

●聴聞の主宰者 → 行政庁が指名する職員

聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰します(行政手続法19条1項)。
そして、次のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができません(同条2項)。

  1. 当該聴聞の当事者又は参加人
  2. 「聴聞の当事者又は参加人」の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
  3. 「聴聞の当事者又は参加人」の代理人又は次条第三項に規定する補佐人
  4. 前三号に規定する者であったことのある者
  5. 「聴聞の当事者又は参加人」の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
  6. 参加人以外の関係人

よって、本肢のような規定はありません。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問10|行政法・行政調査

行政調査に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。争いがある場合には最高裁判所の判例の立場による。

ア 行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。

イ 警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。

ウ 法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。

エ 税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:2

【解説】

ア 行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。
ア・・・正しい
行政手続法には「行政調査」に関する規定はありません
また、「情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導」については、行政手続法は適用されません(行政手続法3条1項14号)。

イ 警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。
イ・・・誤り
判例によると、
「職務質問に附随して行う所持品検査は、所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則である。また、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合がある。」
と判示しています。よって、職務質問に付随して行う所持品検査は、強制で行うことは違法なので、
「相手方への強制にわたるものであっても適法」は誤りです。

ウ 法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。
ウ・・・正しい
法律の定めがあれば、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科す「間接強制調査」は可能です。
具体的には、国税通則法第128条2号があります。

国税通則法128条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2 職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

したがって、本肢は正しい。

エ 税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。
エ・・・誤り
国税通則法に「税務調査(質問検査権)に関しては、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている」という規定はありません。
よって、本肢は誤りです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問9|行政法

行政立法に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。法令および省庁名は当時のものである。

ア 文部省令が、登録の対象となる文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定めたことは、銃砲刀剣類所持等取締法の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。

イ 教科書検定につき、文部大臣が、学校教育法88条 * の規定に基づいて、文部省令、文部省告示により、審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことは、法律の委任を欠くとまではいえない。

ウ 児童扶養手当法施行令が、父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとは認められないので、児童扶養手当法の委任の範囲を逸脱した違法な規定と解することはできない。

エ 地方自治法施行令が、公職の候補者の資格に関する公職選挙法の定めを議員の解職請求代表者の資格について準用し、公務員について解職請求代表者となることを禁止していることは、地方自治法の委任に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものとはいえない。

オ 国家公務員法が人事院規則に委任しているのは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為の行為類型を規制の対象として具体的に定めることであるから、国家公務員法が懲戒処分の対象と刑罰の対象とで殊更に区別することなく規制の対象となる政治的行為の定めを人事院規則に委任しているからといって、憲法上禁止される白紙委任に当たらない。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

(注)学校教育法88条
この法律に規定するもののほか、この法律施行のため必要な事項で、地方公共団体の機関が処理しなければならないものについては政令で、その他のものについては監督庁が、これを定める。

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【答え】:2

【解説】

ア 文部省令が、登録の対象となる文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定めたことは、銃砲刀剣類所持等取締法の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。
ア・・・正しい
判例によると、
「文部省令が定めた規則(登録の対象となる文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨)が、文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、前記のとおり美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定め、この基準に合致するもののみを我が国において前記の価値を有するものとして登録の対象にすべきものとしたことは、銃砲刀剣類所持等取締法14条1項の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。」
と判示しています。
よって、本肢は妥当です。

イ 教科書検定につき、文部大臣が、学校教育法88条の規定に基づいて、文部省令、文部省告示により、審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことは、法律の委任を欠くとまではいえない。
イ・・・正しい
判例によると
「教科書は、内容が正確かつ中立・公正であり、当該学校の目的、教育の目標、教科の内容に適合し、内容の程度が児童、生徒の心身の発達段階に応じたもので、児童、生徒の使用の便宜にかなうものでなければならない。そして、旧検定規則、旧検定基準は、右の関係法律から明らかな教科書の要件を審査の内容及び基準として具体化したものにすぎず、文部大臣が、学校教育法88条の規定に基づいて、右審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことが、法律の委任を欠くとまではいえない。」
と判示しています。よって、本肢は正しいです。

ウ 児童扶養手当法施行令が、父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとは認められないので、児童扶養手当法の委任の範囲を逸脱した違法な規定と解することはできない。
ウ・・・誤り
判例によると
「児童扶養手当法施行令が父から認知された婚姻外懐胎児童を本件括弧書により児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは法の委任の趣旨に反し、本件括弧書は法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。」
と判示しています。
よって、本肢は誤りです。

エ 地方自治法施行令が、公職の候補者の資格に関する公職選挙法の定めを議員の解職請求代表者の資格について準用し、公務員について解職請求代表者となることを禁止していることは、地方自治法の委任に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものとはいえない。
エ・・・誤り

【事案】 

①地方自治法85条1項
政令で特別の定めをするものを除く外、公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、・・・解職の投票にこれを準用する。(=解職の投票は、原則、選挙規定を使うが、例外として、政令[地方自治法施行令]で定めがある場合、その政令のルールを使う)

②地方自治法施行令
地方自治法施行令では、公職選挙法89条の「公務員等として在職中、公職の候補者となることができない(公務員は議員に立候補することはできない) 」というルールを、議員の解職請求の代表者の資格にも準用し(使って)、「公務員等として在職中の者は、議員の解職請求の代表者になることができない」と定めています。

②の施行令は、地方自治法85条の委任の範囲を逸脱しているか?

【判決】 

判例(最判平21.11.18)によると「地方自治法施行令は、①地方自治法85条1項に基づき②公職選挙法89条1項本文(公務員の立候補制限)を議員の解職請求代表者の資格について準用し(使って)、公務員について解職請求代表者となることを禁止している。これは、③地自法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものであって、その資格制限が請求手続にまで及ぼされる限りで無効と解するのが相当である」としている。
つまり、地方自治法85条の委任の範囲を逸脱しているということです。

【なぜ地方自治法85条の委任の範囲を逸脱しているといえるか?】

①から、上記85条では、政令(地方自治法施行令)に委任している(定めていいよと認めている)のは、解職の「投票」についてだけです。

ここで、解職流れは、解職の「請求」をした後に、解職の「投票」を行うという2ステップで行います。
「請求」と「投票」の部分に分けて考える

今回、②の地方自治法施行令では、解職請求者についての規定なので、解職の「請求」に関する内容を規定します。

この解職の「請求」までは、①地方自治法では、委任していません。 だから、②の地方自治法施行令は、地方自治法85条の委任の範囲を逸脱していると言えます。

よって、本問「地方自治法施行令が、地方自治法の委任に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものとはいえない」という記述は誤りです。

オ 国家公務員法が人事院規則に委任しているのは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為の行為類型を規制の対象として具体的に定めることであるから、国家公務員法が懲戒処分の対象と刑罰の対象とで殊更に区別することなく規制の対象となる政治的行為の定めを人事院規則に委任しているからといって、憲法上禁止される白紙委任に当たらない。
オ・・・正しい
判例によると
「国家公務員法102条1項の文言、趣旨、目的や規制される政治活動の自由の重要性に加え、同項の規定が刑罰法規の構成要件となることを考慮すると、
同項にいう「政治的行為」とは、
公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指し、
国家公務員法102条1項はそのような行為の類型の具体的な定めを人事院規則に委任したものと解するのが相当である」
と判示しています。
したがって、白紙委任ではないと言っているので、本肢は正しいです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問8|行政法

次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

  • A「私も30年近く前から自動車の運転免許を持っているのですが、今日はこれを素材にしてちょっと行政法のことについて聞きましょう。これが私の持っている免許証ですが、これにはいろいろな記載がなされています。これらの記載が行政法学上、どのように位置づけられるか答えてください。まず、最初に免許証について『平成29年08月15日まで有効』と書かれていますが、これはどうかな。」
  • B「その記載は、行政処分に付せられる附款の一種で、行政法学上、[ ア ]と呼ばれるものです。」
  • A「そうですね。次ですが、『免許の条件等』のところに『眼鏡等』と書かれています。これはどうでしょう。」
  • B「これは、運転にあたっては視力を矯正する眼鏡等を使用しなければならないということですから、それも附款の一種の[ イ ]と呼ばれるものです。」
  • A「それでは、運転免許は一つの行政行為とされるものですが、これは行政行為の分類ではどのように位置づけられていますか。」
  • B「運転免許は、法令により一度禁止された行為について、申請に基づいて個別に禁止を解除する行為と考えられますから、その意味でいえば、[ ウ ]に当たりますね。」
  • A「よろしい。最後ですが、道路交通法103条1項では、『自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき』、公安委員会は、『免許を取り消』すことができると規定しています。この『取消し』というのは、行政法の学問上どのような行為と考えられていますか。」
  • B「免許やその更新自体が適法になされたのだとすれば、その後の違反行為が理由になっていますから、それは行政法学上、[ エ ]と呼ばれるものの一例だと思います。」
  • A「はい、結構です。」
  1. ア:条件 イ:負担 ウ:免除 エ:取消し
  2. ア:期限 イ:条件 ウ:特許 エ:撤回
  3. ア:条件 イ:負担 ウ:特許 エ:取消し
  4. ア:期限 イ:負担 ウ:許可 エ:撤回
  5. ア:期限 イ:条件 ウ:許可 エ:取消し

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【答え】:4

【解説】

ア.

  • A「私も30年近く前から自動車の運転免許を持っているのですが、今日はこれを素材にしてちょっと行政法のことについて聞きましょう。これが私の持っている免許証ですが、これにはいろいろな記載がなされています。これらの記載が行政法学上、どのように位置づけられるか答えてください。まず、最初に免許証について『平成29年08月15日まで有効』と書かれていますが、これはどうかな。」
  • B「その記載は、行政処分に付せられる附款の一種で、行政法学上、[ ア ]と呼ばれるものです。」
ア・・・期限
本肢の『平成29年08月15日まで有効』は「付款の一種である期限」の内容です。
期限とは、行政行為の効果の発生・消滅を将来、到来することが確実な事実にかからせる意思表示です。
必ず『平成29年08月15日』は到来します。
到来することによって、確実に免許の効果が消滅します。

イ.

  • A「そうですね。次ですが、『免許の条件等』のところに『眼鏡等』と書かれています。これはどうでしょう。」
  • B「これは、運転にあたっては視力を矯正する眼鏡等を使用しなければならないということですから、それも附款の一種の[ イ ]と呼ばれるものです。」
イ・・・負担
免許の条件等に記載されている『眼鏡等』は「付款の一種の負担」に当たります。負担は、その負担に従わなくても、主たる行政行為の効果に影響しません
つまり、眼鏡着用という負担を無視して、眼鏡を付けずに運転しても、運転免許の効力に何の影響も与えない=それが理由で免許取消しとはならない、ということです。

ウ.

  • A「それでは、運転免許は一つの行政行為とされるものですが、これは行政行為の分類ではどのように位置づけられていますか。」
  • B「運転免許は、法令により一度禁止された行為について、申請に基づいて個別に禁止を解除する行為と考えられますから、その意味でいえば、[ ウ ]に当たりますね。」
ウ・・・許可
許可とは、禁止されている行為を、特定の場合に解除して、適法に特定の行為を行わせる行為です。
自動車の運転は、禁止されていますが、免許を持った人は、その禁止が解除され、運転できるということです。
よって、「ウには許可」が入ります。

エ.

  • A「よろしい。最後ですが、道路交通法103条1項では、『自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき』、公安委員会は、『免許を取り消』すことができると規定しています。この『取消し』というのは、行政法の学問上どのような行為と考えられていますか。」
  • B「免許やその更新自体が適法になされたのだとすれば、その後の違反行為が理由になっていますから、それは行政法学上、[ エ ]と呼ばれるものの一例だと思います。」
エ・・・撤回
行政行為の撤回は、成立当時は瑕疵はなくその後の瑕疵によって、将来に向かって効力を失わせることです。
本肢のように、初めに免許を与えたときは、その免許を与える行為(行政行為)について瑕疵(本問では法律違反)はありませんでした。
しかし、「その後、道路交通法違反により免許を取消す」ということは、その後の瑕疵によって将来運転できなくなる、ということなので、「エには撤回」が入ります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略