基礎法学の過去問

平成24年・2012|問1|基礎法学

「判例」に関する次の記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。

  1. 判例は、一般的見解によれば、英米法系の国では後の事件に対して法的な拘束力を有する法源とされてきたが、大陸法系の国では法源とはされてこなかった。
  2. 英米法系の国では、判決のうち、結論を導く上で必要な部分を「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び、後者には判例法としての拘束力を認めない。
  3. 判例という語は、広義では過去の裁判例を広く指す意味でも用いられ、この意味での判例に含まれる一般的説示が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがある。
  4. 下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる。
  5. 最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要がある。

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【答え】:2

【解説】

1.判例は、一般的見解によれば、英米法系の国では後の事件に対して法的な拘束力を有する法源とされてきたが、大陸法系の国では法源とはされてこなかった。
1・・・正しい
英米法系とは、「判例法主義」がとられ、裁判所で作り上げられた判例に先例的拘束力が認められ、判例が第一次的法源とされています。そして、アメリカやイギリス等が採用しています。一方、
大陸法系とは、「成文法主義」がとられ、議会や政府が作る高度に体系化された制定法が第一次的法源として、すべての法領域で尊重されます。ただ、大陸法を採用している国でも補完的に判例法を法源にしたりすることはあります。そして、ドイツ・フランス等が採用しています。
よって、本肢は正しいです。
2.英米法系の国では、判決のうち、結論を導く上で必要な部分を「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び、後者には判例法としての拘束力を認めない。
2・・・誤り
まず、判決のうち、判決理由について下記2つに分けます。

  1. 「判決の核心部分」を「レイシオ・デシデンダイ」と呼び
  2. 「他の部分」を「傍論(オビタ・ディクタム)」と呼びます。

1の核心部分(レイシオ・デシデンダイ)については、判例法としての法的拘束力を有するのに対し、
2のその他の部分(オビタ・ディクタム)は、判例法としての法的拘束力を有しません。
本肢は、『「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び』が誤りです。

3.判例という語は、広義では過去の裁判例を広く指す意味でも用いられ、この意味での判例に含まれる一般的説示が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがある。
3・・・正しい
判例とは、裁判において具体的事件における裁判所が示した法律的判断のことです。
判例の狭義では、最高裁判所判決の核心部分であり、広義には、下級審の判例も含めます。そして、判例は、「先例」としての重み付けがなされ、それ以後の判決に拘束力を持ち、影響を及ぼす。分かりやすく言えば、昔の判例を根拠にして、別の裁判の判決を出すこともあるということです。また、判例をきっかけに法改正されたりもします。

よって、本肢は正しいです。

4.下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる。
4・・・正しい
本肢は正しいです。刑事訴訟法によると、
高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、最高裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をすることができる(刑事訴訟法405条2号)。民事訴訟法によると
上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができます(民事訴訟法318条1項)。上記刑事訴訟法、民事訴訟法いずれも分かりやすく言えば、本肢の内容「下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる」になります。

5.最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要がある。
5・・・正しい
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによります。
但し、下記の場合においては、必ず大法廷で裁判しなければなりません(裁判所法10条)。

  1. 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
  2. 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
  3. 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき

本肢は、3号に当たるので、大法廷を開く必要があります。


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問2|基礎法学・裁判制度

司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月公表)に基づいて実施された近年の司法制度改革に関する次のア~オの記述のうち、明らかに誤っているものの組合せはどれか。

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。

イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。

ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。

エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。

オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3

【解説】

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。
ア・・・正しい
悪徳商法による被害額が少ないと泣き寝入りとなるケースが多く、結果として業者が得をしている状況でした。また、これまで、個人が業者の行為を差し止めることはできませんでした。
そこで、契約トラブル等により被害額は少額だが被害者が多数にのぼるサービスを提供している業者に対して、一定の要件を満たす消費者団体(適格消費者団体)が被害者に代わって訴訟を起こすことができる制度(消費者団体訴訟制度)が2007年から施行されました。消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者のために事業者に対して訴訟などをすることができる制度で、「差止請求」と「被害回復」の2つを行うことができます。
イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。
イ・・・誤り
本肢の集団代表訴訟(集団訴訟)の制度は、アメリカで採用されているクラスアクション制度と呼ばれるものです。
集団代表訴訟とは、利害を共通にする多数の者が集団(クラス)となって、そのメンバーのうちの1人または数人が代表者となり、民事訴訟をする制度です。
日本では、上記に似たもの(消費者団体訴訟制度)がありますが、原告は、「内閣総理大臣が認定した消費者団体(NPOや公益法人)」がなるため、この点が誤りとなります。
ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。
ウ・・・誤り
公判前整理手続とは,適正迅速でわかりやすい公判審理(刑事裁判)を実現するために第一回公判期日前に裁判における事件の争点および証拠を整理する準備手続です。
裁判員制度に伴い、2005年の刑事訴訟法改訂で導入されました。
裁判員制度の対象となる事件は必ず公判前整理手続に付さなければなりません。
裁判員制度の対象となる事件は「刑事事件」のみなので、「民事事件」では、当該公判前整理手続の制度は導入されていません
よって、誤りです。
エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。
エ・・・正しい
本肢は、検察審査会制度の内容です。
検察審査会制度とは、国民の中から選ばれた11人の検察審査員が検察官の不起訴処分の当否を審査するもので、検察官の職務の上に一般国民の良識を反映させ、その適正な運営を図ろうとする目的から設けられたものです。
具体的には、検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起します。
オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。
オ・・・正しい
日本司法支援センター(法テラス)」は、政府が設立した法務省所管の法人で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としています。
業務としては、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行います。
よって、本肢は正しいです。


平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問1|基礎法学

次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として、妥当なものはどれか。

成文法規の解釈は、まず「文理解釈」に始まり、次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は、成文法の文章および用語について法規の意義を確定し、論理解釈は、成文法の一般規定をば具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては、第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は、法規を大前提とし、事件を小前提として、結論たる判決を導き出そうとするのである。しかし、いかに発達した成文法の体系といえども、絶対に完全無欠ではあり得ない。故に、特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には、更に第二段の論理の操作が必要となる。

  1. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
  2. 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
  3. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
  4. 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
  5. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。

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【答え】:3

【解説】

1.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
1・・・誤り
反対解釈とは、法規の定めた事項の反面から、定めていない事項について反対の結果を引き出すことです。
例えば、「自動車は進入禁止」という法規の反対解釈は、「自転車の進入は禁止されていない」と反対の結果を引き出す解釈のことです。本肢の「甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとする」のは、類似解釈(選択肢3参照)です。
2.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
2・・・誤り
勿論解釈(もちろん解釈)とは、類推解釈の一種で、ある法令の規定の立法目的、趣旨等からみて、他の場合には明文の規定はないけど、それと同じ趣旨の規定があると解釈することが当然である解釈のことを言います。
例えば、狭い道があり、「オートバイは進入禁止」というルールがあった場合、道が狭くて、オートバイが運転するには危ないから禁止している、というのが目的です。
この目的から考えれば、もちろん、四輪自動車も進入禁止であるのは当然のことです。
これが勿論解釈です。
3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
3・・・正しい
類推解釈とは、ある事柄について直接規定する条文がない場合に、似たような類似の規定を、そのある事柄にも適用することです。例えば、「自転車の通行禁止」という法規があって、オートバイについては法規がない場合に、オートバイの通行も上記ルールを適用させることが、類推解釈です。
4.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
4・・・誤り
拡大解釈(拡張解釈)とは、条文の意味を日常一般に用いられる意味よりも拡張することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」を自動車に限らず、オートバイ、自転車、一輪車も含むと解釈することが拡張解釈です。
5.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。
5・・・誤り
縮小解釈とは、条文の意味を厳格に制限し、普通の意味よりも狭く解釈することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」は自動車の中でも四輪自動車のみと解釈して、オートバイや自転車などは含まないという解釈が縮小解釈です。


平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問2|基礎法学

法令における通常の用語法等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
  2. 「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
  3. 法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
  4. 法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
  5. 「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。

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【答え】:5

【解説】

1.「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
1・・・妥当
及び」と「並びに」はどちらも「and」の意味です。 言い換えれば、「AとB、A+B」ということです。 そして、「及び」は小さいグループに使い、「並びに」は大きいグループに使います。
つまり、「AとB」というグループがあって、これに別のグループの「C」を加える場合は、(A及びB)並びにCとなります。

【及びの例】 「リンゴ、柿及び桃」

リンゴも柿も桃もすべて「果物」です。同じグループをまとめるために用います。

【並びにの例】 「リンゴ、柿及び桃並びにきゅうり」

「リンゴ、柿及び桃」はすべて「果物」で、きゅうりは「野菜」です。
「果物」と「野菜」は異なるグループで「並びに」は大きな異なるグループをまとめるために用います。

2.「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
2・・・妥当
若しくはもしくは)」と「又は」は、「or」という意味で、「どちらか一方」という意味です。
そして、「若しくは」は一番小さいグループに使い、「又は」は一番大きいグループに使います。(1グループしかない場合、「又は」を使う)
「(A若しくはB)又はC」と使います。

【又はの例】  
「リンゴ、柿又は桃」
リンゴも柿も桃もすべて「果物」です。同じグループ中のどれか一つという意味です。

【もしくはの例】 
「リンゴ、柿若しくは桃又はきゅうり」 「リンゴ、柿若しくは桃」はすべて「果物」で一番小さいグループ、きゅうりは「野菜」で別グループです。「果物」と「野菜」は異なるグループで「又は」は小さな異なるグループ同士を並べて、その中でどれか一つという意味です。

つまり、 「リンゴ、柿、桃、きゅうり」の中のどれか一つという意味です。

3.法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
3・・・妥当
その他」とは、その語の前後の語句は独立していて、後に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。 「A、Bその他C」であり、AとBとCとを対等なものとして並べます。
一方、「その他の」とは、その語の直前に置かれた語句が、後に続く語句の例示(具体例)となっている場合に用いられます。
4.法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
4・・・妥当
適用」とは、Aという事項について規定される法令をそのままAに当てはまめるということです。
一方、「準用する」は、ある事項Aに関する規定を、他の類似事項Bについて、必要な修正を加えてあてはめるという意味です。

【具体例】  
売買契約を締結したにも関わらず、買主が期限に代金を支払えなかった場合、民法第412条1項「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」という規定を使って(適用して)、売主は買主に責任追及できます。
「準用する」は、ある事項Aに関する規定を、他の類似事項Bについて、必要な修正を加えてあてはめるという意味です。

【具体例】 
「聴聞に関する手続の準用」について、行政手続法第31条「第15条第3項及び第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。」と規定しています。

(聴聞の通知の方式)行政手続法15条3項
「行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、聴聞に関する通知を、一定事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。」

上記規定が、弁明の機会の付与についても使われるということです。その際、「聴聞」に関する内容が「弁明の機会の付与」に関する内容に修正を加えて使います。

5.「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。
5・・・妥当ではない
直ちに」が時間的に即時性が最も強く、最も時間が短いです。
速やかに」が、その次に、即時性が強いです。
遅滞なく」が、最も時間的即時性が弱いです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問1|基礎法学

第二次世界大戦後の日本の法制度に関する次のア~オの出来事を年代順に並べたものとして正しいものはどれか。

ア 行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。

イ それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。

ウ 環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。

エ 民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。

オ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。

  1. ア→エ→イ→オ→ウ
  2. ア→イ→エ→ウ→オ
  3. ア→イ→ウ→エ→オ
  4. イ→ア→ウ→エ→オ
  5. イ→エ→オ→ア→ウ

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【答え】:4

【解説】

ア 行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。
ア・・・行政事件訴訟法:1962年(昭和37年)
行政事件訴訟ができるまでの流れについては
1890年に大日本帝国憲法第61条に基づき「行政裁判法」が制定され、
その後、戦後になり
1948年(昭和23年)に「行政事件訴訟特例法」が制定。ただ、全文でわずか12条のみの簡単なものであり、運用・解釈上多くの問題が発生した。
その後、特例法が改正され、
1962年(昭和37年)に現行の「行政事件訴訟法」が制定されました。
イ それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。
イ・・・家庭裁判所の設置:1949年(昭和24年)
1949年(昭和24年)1月1日、従来の家事審判所と少年審判所が統合されることによって、家庭裁判所が設置されました。
ウ 環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。
ウ・・・環境基本法:1993年(平成5年)
もともと、公害対策について「公害対策基本法(1967年)」で、
自然環境対策について「自然環境保全法(1972年)」で対応していました。しかし、複雑化・地球規模化する環境問題に対応できないことから
1993年(平成5年)環境基本法が制定されました。

そして、環境基本法の施行により、「公害対策基本法」は廃止され、「自然環境保全法」も環境基本法の趣旨に沿って改正されました。

エ 民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。
エ・・・成年後見制度:1999年(平成11年)
1999年の民法改正で従来の禁治産・準禁治産制度に代わって、成年後見制度が制定され、翌2000年4月1日に施行されました。
オ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。
オ・・・裁判員制度:2004年制定、2009年施行
裁判員制度は、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。この裁判員制度は、2004年(平成16年)に成立し、2009年(平成21年)施行されました。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問2|基礎法学・裁判制度

裁判には、「判決」、「決定」および「命令」の形式上の区別がある。これらの裁判の形式上の区別に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

  1. 「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
  2. 「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  3. 「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  4. 「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
  5. 「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。

>解答と解説はこちら


【答え】: 4

【解説】

判決・決定・命令の違い

判決・決定・命令の違い

1.「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
1・・・妥当
判決」とは、「訴訟事件の終局的判断」「その他の重要な事項」について、裁判所がする裁判です。
そして、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる)に基づいて、判決は行われます。
よって、本肢は妥当です。
2.「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
2・・・妥当
決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項及び付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判です。
そして、口頭弁論を経る必要はありません
3.「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
3・・・妥当
命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判です。
決定」が「裁判所」がする裁判であり
命令」は「裁判官」がする裁判である点で異なります。そして、命令も「決定」と同じく、口頭弁論を経る必要はありません
4.「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
4・・・明らかに妥当ではない
「判決」に、「家庭裁判所がする審判」は含まれません。
また、「審判」は「決定」に含まれるため、口頭弁論も不要です。
この点も妥当ではありません。
5.「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。
5・・・妥当
「判決」の告知(判決をどのように伝えるかについて)は、公開法廷における言渡し、または宣告
の方法により行われます。
一方、「決定と命令」の告知方法は、相当と認められる方法で行えば何でもよいです。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問1|基礎法学

第二次世界大戦後に日本で生じた法変動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
  2. 労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。
  3. 公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法* が制定された。
  4. 地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
  5. 英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。

(注)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】: 1

【解説】

1.敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
1・・・誤り
借地法、借家法が制定されたのは、戦前1921年(大正10年)
第二次世界大戦後(敗戦後)とは、1945年以降です。よって、借地借家法(借地法と借家法)は「戦前」に制定されているので誤りです。
2.労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。

2・・・正しい
労働組合法が制定されたのは、戦後の1945年(昭和20年)です。

そして、労働組合法の目的は

  • 労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより
  • 労働者の地位を向上させること、
  • 労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること
  • その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること
  • 使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成すること(労働組合法1条)

です。
これらをまとめると、労働者の権利を拡張するものと言えます。
よって正しいです。

3.公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法が制定された。
3・・・正しい
独占禁止法が制定されたのは、戦後の1947年(昭和22年)です。そして、独占禁止法の目的は

  • 私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、
  • 事業支配力の過度の集中を防止して、
  • 結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、
  • 公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、
  • 以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること(独占禁止法1条)

です。
よって、「公正で自由な経済的競争を促進する目的」である点は正しいです。

4.地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
4・・・正しい
地方自治法が制定されたのは、戦後の1947年(昭和22年)です。そして、地方自治法の目的は、

  • 地方自治の本旨に基いて、
  • 「地方公共団体の区分」並びに「地方公共団体の組織及び運営」に関する事項の大綱を定め、
  • 併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、
  • 地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、
  • 地方公共団体の健全な発達を保障すること(地方自治法1条)

です。

よって、「地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された」という記述は正しいです。

5.英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。
5・・・正しい
刑事訴訟法が制定されたのは、戦後の1948年(昭和23年)です。
日本国憲法の人権規定を受けて、英米法的な原理を大幅に採用しています。
よって、本肢は正しいです。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問2|基礎法学・条文

法律の形式に関する次のア~オの記述のうち、現在の立法実務の慣行に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 法律は、「条」を基本的単位として構成され、漢数字により番号を付けて条名とするが、「条」には見出しを付けないこととされている。

イ 「条」の規定の中の文章は、行を改めることがあり、そのひとつひとつを「項」という。

ウ ひとつの「条」およびひとつの「項」の中で用語等を列挙する場合には、漢数字により番号を付けて「号」と呼ぶが、「号」の中で用語等を列挙する場合には、片仮名のイロハ順で示される。

エ 法律の一部改正により特定の「条」の規定をなくす場合において、その「条」の番号を維持し、その後の「条」の番号の繰り上げを避けるときは、改正によってなくす規定の「条」の番号を示した上で「削除」と定めることとされている。

オ 法律の一部改正により新たに「条」の規定を設ける場合には、その新しい「条」の規定の内容が直前の「条」の規定の内容に従属しているときに限り、その新しい「条」には直前の「条」の番号の枝番号が付けられる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア 法律は、「」を基本的単位として構成され、漢数字により番号を付けて条名とするが、「条」には見出しを付けないこととされている。
ア・・・妥当でない
「条」には、それぞれ、見出しがついています。よって、妥当ではありません。
また、漢数字により番号をつけて条名としています。例えば、行政手続法第1条を見ると、1条の「1」は漢数字の「一」が使われています。
そして、(目的等)と見出しがついています。

(目的等)
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

イ 「条」の規定の中の文章は、行を改めることがあり、そのひとつひとつを「項」という。
イ・・・妥当
第〇条の中の文章を改行することで、第〇条の中を、1項2項と分けることができます。
選択肢アも、1項と2項があります。ただし、1項について「1」を付けません。
ウ ひとつの「条」およびひとつの「項」の中で用語等を列挙する場合には、漢数字により番号を付けて「号」と呼ぶが、「号」の中で用語等を列挙する場合には、片仮名のイロハ順で示される。
ウ・・・妥当
「条」や「項」の中で列挙するときは、漢数字の「」になります。
例えば「行政手続法第2条(定義)」です。今回下に示したものは「四号」までしか記載しませんでしたが、五号以降もあります。さらに、「」の中で用語等を列挙する場合には、片仮名のイロハ順で示されます。
下記「四号」の中には「イ、ロ、ハ、ニ」の4つが列挙されています。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。
 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。
 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

エ 法律の一部改正により特定の「条」の規定をなくす場合において、その「条」の番号を維持し、その後の「条」の番号の繰り上げを避けるときは、改正によってなくす規定の「条」の番号を示した上で「削除」と定めることとされている。
エ・・・妥当
既存の条を廃止する方式には、
①「第〇条を削る。」とする方式と、
②「第〇条を次のように改める。」とした上で「第〇条 削除」とする方式(単に削除するだけの場合もある)との二つの方式があります。
前者①の方式を採った場合、削り取られた条は、欠番となるわけではなく、ちょうどスポーツで前の順位の人が失格すれば後ろの人の順位が繰り上げられるのと同様に、後ろに続く条について、その繰上げが行われることになります。一方、後者②の方式を採った場合、第〇条はあくまでも「削除」としてその抜け殻が残るわけですから、後ろに続く条の繰上げは、必要ないことになります。本肢は②の内容を示しているので妥当です。
オ 法律の一部改正により新たに「条」の規定を設ける場合には、その新しい「条」の規定の内容が直前の「条」の規定の内容に従属しているときに限り、その新しい「条」には直前の「条」の番号の枝番号が付けられる。
オ・・・妥当ではない
本肢は「従属しているときに限り」が妥当ではありません。例えば、「行政手続法三十六条」と「三十六条の二」です。
「36条の2」が新しく追加された条文です。
「〇条の二」という条名で新しい条の追加がなされています。
この二つは、一定の関連性はありますが「従属している」わけではありません。

(複数の者を対象とする行政指導)
第三十六条 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。
(行政指導の中止等の求め)
第三十六条の二 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。


平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法改正により削除
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問1|基礎法学・裁判制度

次の文章は、裁判員制度に関する最高裁判所判決の一節(一部を省略)である。
空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。そのため、多くの近代[ ア ]国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適切に行われるよう種々の原則が確立されてきた。基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、・・・適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。刑事裁判を行うに当たっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の[ イ ]が要求される。憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、[ ウ ]の原則の下に、「第6章 司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定していると考えられる。
他方、歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、[ ア ]の発展に伴い、[ エ ]が直接司法に参加することにより裁判の[ エ ]的基盤を強化し、その正統性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の[ ア ]国家の多くにおいて陪審制か参審制が採用されていた。
(最大判平成23年11月16日刑集65巻8号1285頁)

  1. ア:民主主義 イ:法的専門性 ウ:三権分立 エ:国民
  2. ア:立憲主義 イ:政治性 ウ:法的安定性 エ:法曹
  3. ア:自由主義 イ:法的専門性 ウ:三権分立 エ:国民
  4. ア:民主主義 イ:政治性 ウ:法的安定性 エ:法曹
  5. ア:立憲主義 イ:法的専門性 ウ:三権分立 エ:国民

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【答え】:1

【解説】

裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。そのため、多くの近代[ ア:民主主義 ]国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適切に行われるよう種々の原則が確立されてきた。基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、・・・適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。刑事裁判を行うに当たっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の[ イ:法的専門性 ]が要求される。憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、[ ウ:三権分立 ]の原則の下に、「第6章 司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定していると考えられる。
他方、歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、[ ア:民主主義 ]の発展に伴い、[ エ:国民  ]が直接司法に参加することにより裁判の[ エ:国民  ]的基盤を強化し、その正統性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の[ ア:民主主義 ]国家の多くにおいて陪審制か参審制が採用されていた。
(最大判平成23年11月16日刑集65巻8号1285頁)

ア.
裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。そのため、多くの近代[ ア ]国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適切に行われるよう種々の原則が確立されてきた。基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、・・・適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。
ア・・・民主主義
選択肢の3つの言葉を入れると
「近代民主主義国家」「近代立憲主義国家」「近代自由主義国家」となります。

  • 民主主義」とは「国のことは、国民が自分たちの力で決めよう!」という考え方です。
  • 立憲主義」とは「憲法によって国家権力(政治家や公務員)を制限しよう!」という考え方です。
  • 自由主義」とは「個人の自由は尊重しよう!」という考え方です。

上記問題文では、どれを入れるかは、判断しづらいです。
ただ、エの選択肢の内容から、「民主主義」と判断できます。

イ.
刑事裁判を行うに当たっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の[ イ: ]が要求される。
イ・・・法的専門性
選択肢は「法的専門性」と「政治性」
刑事裁判を行うのは、裁判所(裁判官)であって、内閣(政治家)ではありません。
その点から考えると、司法試験に合格する必要がある裁判官は、政治性が要求されるのではなく、法的専門性が要求されることが分かります。
ウ.
憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、[ ウ ]の原則の下に、「第6章 司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定していると考えられる。
ウ・・・三権分立
選択肢は、「法的安定性」と「三権分立」の2つです。「法的安定性の原則」とは、法の運用や解釈をころころ変えると社会的安定が失われるため、それは避けましょう、という考え方。
法の恣意的な運用や主観的な解釈などは避けなければならないということです。「三権分立の原則」とは、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する考え方です。

問題文を見ると、
『「第6章 司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている』
と書いてあります。
この身分保障は、司法が他の国家権力から独立して、機能すべきことを示しています。
したがって、「ウには、三権分立」が入ります。

エ.
歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、[ ア ]の発展に伴い、[ エ ]が直接司法に参加することにより裁判の[ エ  ]的基盤を強化し、その正統性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の[ ア ]国家の多くにおいて陪審制か参審制が採用されていた。
エ・・・国民
欧米諸国(ドイツ・フランス)では、「参審制」という裁判制度を採り入れ、「事実認定・法解釈・量刑」すべてを、一般市民から選出された参審員と裁判官が一緒に行います
国民が司法に参加する制度を取っているので、「エには、国民」が入ります。ここから、「アが、民主主義」が妥当ではないかと判断できます。


平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法改正により削除
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問2|基礎法学

次のア~オの記述と、それらの記述が示す法思想等との組合せとして、最も適切なものはどれか。

ア.法を現実に通用している制定法および慣習法等の実定法とする考え方
イ.人身の自由および思想の自由等の人格的自由とともに経済的自由を最大限に尊重し、経済活動に対する法規制を最小限にとどめるべきであるとする考え方
ウ.事物の本性や人間の尊厳に基づいて普遍的に妥当する法があるとする考え方
エ.法制度の内容は、その基礎にある生産諸要素および経済的構造によって決定されるとし、私有財産制度も普遍的なものではなく、資本主義経済によって生み出されたとする考え方
オ.法制度を経済学の手法を用いて分析し、特に効率性の観点から立法および法解釈のあり方を検討する考え方

  1. ア:パンデクテン法学 イ:リベラリズム ウ:自然法 エ:社会主義法学 オ:利益法学
  2. ア:概念法学 イ:リバタリアニズ ウ:パターナリズム エ:コミュニタリアニズム オ:法と経済学
  3. ア:法実証主義 イ:リベラリズム ウ:善きサマリア人の法 エ:マルクス主義法学 オ:利益法学
  4. ア:概念法学 イ:レッセ・フェール ウ:善きサマリア人の法 エ:コミュニタリアニズム オ:ネオリベラリズム
  5. ア:法実証主義 イ:リバタリアニズム ウ:自然法 エ:マルクス主義法学 オ:法と経済学

>解答と解説はこちら


【答え】: 5

【解説】

ア.法を現実に通用している制定法および慣習法等の実定法とする考え方
ア・・・法実証主義
法実証主義とは、実定法だけを法と認め、実定法の上位に自然法の存在は認めないという考え方です。
つまり、法実証主義は、実定法の上位に自然法の存在を認める自然法論と対立した考え方です。
「実定法」とは、
立法府の制定行為,および慣習,判例などの経験的事実に基づいて成立し,その存立を経験的,歴史的に実証される法を言い、「制定法」および「慣習法」等が実定法です。実証法とも言います。
「自然法」とは、
人間の自然の本性あるいは理性に基づいて、あらゆる時代を通じて普遍的に守られるべき不変の法として、実定法を超越しているものと考えられる法です。
分かりやすい具体例でいうと、「公序良俗」です。「公序良俗」とは何か、という具体的な定義はなく、概念的な内容です。しかし、判例でもよくあるように、「公序良俗(社会秩序)」を基準に判断して、裁判官の裁量により、判決を下すこともあります。
「概念法学」とは
法規の解釈をする際、法典に欠陥はなく、論理的に完結しているという前提に立って、条文の解釈や運用を論理的に行うことを第一とする考え方です。
そしてこの概念法学は、現実を無視した形式論的な考察態度、いわゆる「机上の空論」を批判していう場合で用いられます。
現実の裁判における基準として機能しない、または機能させることをそもそも考えていないような法的理論に対して向けられることが多いです。
イ.人身の自由および思想の自由等の人格的自由とともに経済的自由を最大限に尊重し、経済活動に対する法規制を最小限にとどめるべきであるとする考え方
イ・・・リバタニアリズム
「リバタニアリズム」とは、
「個人の自由権」と「経済的な自由」を絶対的に重視し、それに制約を加える国家の役割(法規制)を最小限度にとどめようとする考え方です。
言い方を変えると、他者の自由を侵害しない限りにおける、各人の「個人の自由権」と「経済的な自由」を尊重しようとする思想的立場です。
「リベラリズム」とは
人間は理性を持ち、従来の権威から自由であり「自己決定権を持つ」との立場から、
政治的には「政府からの自由」である自由権や個人主義、「政府への自由」である国民主権などの民主主義、
経済的には私的所有権と自由市場による資本主義などの思想や体制の基礎となるものです。
「レッセ・フェール(自由放任主義)」とは
国家による国民経済への統制と干渉を排除して、個人や企業の自由競争にまかせて経済を営むべきであるとする主義で、アダム=スミスの「国富論」でも主張しています。
ウ.事物の本性や人間の尊厳に基づいて普遍的に妥当する法があるとする考え方
ウ・・・自然法
「自然法」とは、
人間の自然の本性あるいは理性に基づいて、あらゆる時代を通じて普遍的に守られるべき不変の法として、実定法を超越しているものと考えられる法です。
分かりやすい具体例でいうと、「公序良俗」です。「公序良俗」とは何か、という具体的な定義はなく、概念的な内容です。しかし、判例でもよくあるように、「公序良俗(社会秩序)」を基準に判断して、裁判官の裁量により、判決を下すこともあります。
「パターナリズム」とは
強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためを思って、弱い立場にある者の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいいます。
親が子供のためによかれと思ってすることから来ています。
「善きサマリア人の法」とは、
災難に遭った人や急病人等の「窮地の人」を救うために「無償で善意の行動」をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ「失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。
誤った対応をして訴えられたり、処罰を受けたりする恐れをなくして、その場に居合わせた人による傷病者の救護を促進しよう、との意図があります。
※「善きサマリア人」は聖書に出てくる内容です。
エ.法制度の内容は、その基礎にある生産諸要素および経済的構造によって決定されるとし、私有財産制度も普遍的なものではなく、資本主義経済によって生み出されたとする考え方
エ・・・マルクス主義法学
「マルクス主義法学」とは、簡単に言えば、
経済状況(生産諸要素および経済的構造)である「下部構造」と、
思想や政治、法律などの「上部構造」に分けて
上部構造は下部構造によって決まってくる
つまり、法制度の内容は、その基礎にある生産諸要素および経済的構造によって決定される
という考え方です。
「社会主義法」とは、社会主義体制の国で採られる法制度の総称である。
大陸法圏に属するソビエト連邦法及びこれを参考とした他の社会主義国の法です。
「コミュニタリアニズム」とは
共同体(コミュニティ)の価値を重んじる政治思想で、歴史的に形成されてきた共同体の伝統の中でこそ個人は人間として完成され、生きていけるという考え方です。
「リベラリズムやリバタリアニズム」が個人を優先するのに対し、
「コミュニタリアニズム」は共同体が優先する考え方です。
オ.法制度を経済学の手法を用いて分析し、特に効率性の観点から立法および法解釈のあり方を検討する考え方
オ・・・法と経済学
「法と経済学」とは、
経済学の観点および手法を利用して、法的理論を分析・再解釈する学問を言います。
「利益法学」とは
法の解釈を利益整序の観点から行う法学で
法は、「社会における諸利益に対してどれをいかに保護するかの価値判断を行うもの」という考え方をします。
「ネオリベラリズム(新自由主義)」とは、
政府の規制を緩和・撤廃して民間の自由な活力に任せ成長を促そうとする考え方を言います。
政府の積極的な民間介入に反対し、資本主義下の自由競争秩序を重んじる立場および考え方です。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略