行政不服審査法の過去問

令和2年・2020|問16|行政不服審査法

不作為についての審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

イ.不作為についての審査請求について理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

ウ.不作為についての審査請求について理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法または不当である旨を宣言する。

エ.不作為についての審査請求について理由がある場合、不作為庁の上級行政庁ではない審査庁は、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を勧告しなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:3

【解説】

ア.不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

ア・・・誤り

(不作為についての審査請求の裁決)
不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下します(行政不服審査法49条1項)。

本肢は「棄却」となっているので誤りです。

正しくは、「却下」です。

※ 不作為の場合、直ちに違法となるのではなく、相当期間が経過してはじめて違法となります。

却下は、審査をせずに、あなたの審査請求は認めません!
と断ることです。

(考え方)
①申請をした

②行政の不作為があった

③審査請求をした

④②の不作為については、相当の期間が経過していなかった

⑤だから、却下

例えば、①の申請後、翌日までに処分が下されなかった(=不作為)
だから、③審査請求をした。

この場合、1日しか経過していないので、処分が下されていなくても仕方ないです。
=相当期間を経過していない

だから、却下処分となります。

イ.不作為についての審査請求について理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

イ・・・正しい

不作為についての審査請求に理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却します(行政不服審査法49条2項)。

請求に「理由がない場合」は「棄却」なので、正しいです。

選択肢アと対比させて覚えておきましょう!

ウ.不作為についての審査請求について理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法または不当である旨を宣言する。

ウ・・・正しい

不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します(行政不服審査法49条3項前段)。

よって、本肢は正しいです。

■上記の場合、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとります。
一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 → 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。

二 不作為庁である審査庁 → 当該処分をすること。

つまり、

一 「不作為庁の上級行政庁である審査庁」は、不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命じ、不作為庁が処分します。

二 「不作為庁である審査庁」は、自ら処分をします。

エ.不作為についての審査請求について理由がある場合、不作為庁の上級行政庁ではない審査庁は、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を勧告しなければならない。

エ・・・誤り

不作為についての審査請求について理由がある場合、

一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 → 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる。

二 不作為庁である審査庁 → 当該処分をする。(行政不服審査法49条3項後段)

「不作為庁の上級行政庁ではない審査庁」については規定されていないです。
よって、誤りです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問15|行政不服審査法

再審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。
  2. 審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
  3. 再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。
  4. 再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。
  5. 再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。

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【答え】:2
【解説】

1.法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。
1・・・誤り

行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。

つまり、「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合」は、再審査請求はできません。

よって、誤りです。

2.審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。

2・・・正しい
再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却します(行政不服審査法64条3項)。

よって、本肢は正しいです。

【具体例】

①宅建業者に対して営業停止処分をした
審査請求をした

②理由を付さずに裁決・・・違法

この場合①の処分が違法・不当でないなら、再審査庁は、請求棄却します!

3.再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。
3・・・誤り

行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。
そして、再審査請求は、「原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。)」又は「当該処分」を対象として、1項の法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。

よって、「請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる」が誤りです。
再審査庁は、「法律で定められた行政庁」です。

4.再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。
4・・・誤り
審査請求の裁決が既になされている場合、再審査請求は当該「裁決」を対象として行う必要はなく「原処分」を対象と行うこともできます。

これは選択肢3の「行政不服審査法6条2項」の解説の通り、

再審査請求は、「原裁決」又は「当該処分」を対象として、法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。

5.再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。
5・・・誤り

再審査請求は、「原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したとき」または、「原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したとき」は、することができません。ただし、正当な理由があるときは、上記期間を経過した後も行えます(行政不服審査法62条)。

よって、再審査請求の再審査請求期間は、原「裁決」があった日を基準として算定するので、誤りです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問14|行政不服審査法

行政不服審査法に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査請求人の地位を承継することができるが、その場合は、審査庁の許可を得ることが必要である。

イ.処分についての審査請求に関する審査請求期間については、処分があったことを知った日から起算するものと、処分があった日から起算するものの2つが定められているが、いずれについても、その初日が算入される。

ウ.法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされないときは、当該行政庁の不作為について、当該処分をすることを求める審査請求をすることができる。

エ.一定の利害関係人は、審理員の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができるが、参加人は、審査請求人と同様に、口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えられ、証拠書類または証拠物を提出することができる。

オ.多数人が共同して行った審査請求においては、法定数以内の総代を共同審査請求人により互選することが認められているが、その場合においても、共同審査請求人各自が、総代を通じることなく単独で当該審査請求に関する一切の行為を行うことができる。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. ウ・エ

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【答え】:1

【解説】

ア.審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査請求人の地位を承継することができるが、その場合は、審査庁の許可を得ることが必要である。

ア・・・正しい
審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができます(行政不服審査法15条6項)。

【対比】

1.「審査請求人が死亡したとき」→「相続人」は、当然に審査請求人の地位を承継する(15条1項)。

2.「審査請求人について合併又は分割があったとき」→「合併後存続する法人又は分割により当該権利を承継した法人」は、当然に審査請求人の地位を承継する(15条2項)。

イ.処分についての審査請求に関する審査請求期間については、処分があったことを知った日から起算するものと、処分があった日から起算するものの2つが定められているが、いずれについても、その初日が算入される。

イ・・・誤り

審査請求は、「①処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月」、または、「②処分があった日の翌日から起算して1年」を経過したときは、することができません(行政不服審査法18条1項2項)。
これは、いずれも、「翌日」から起算するので、初日不算入です(初日は算入しません)。

よって、この点が誤りです。

【具体例】

2月10日に、処分があったのであれば、2月11日から数えて1年なので、翌年の2月10日までです。

【対比ポイント】

行政事件訴訟法14条(出訴期間)では、
取消訴訟は、「処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」または、「処分又は裁決の日から1年を経過したとき」は提起することができない。
となっています。

行訴法では「翌日」という文言はないですが、初日不算入なので、「知った日の翌日から起算し」また「処分又は裁決の日の翌日から起算し」ということになります。

ウ.法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされないときは、当該行政庁の不作為について、当該処分をすることを求める審査請求をすることができる。

ウ・・・誤り
「不作為」とは、「法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないこと」です(行政不服審査法3条)。

本問は、そもそも申請をしていないので、不作為にはあたりません。

【是正を求めるもの】

「民衆訴訟」は是正を求めるものです。

(民衆訴訟)
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。(行政事件訴訟法5条)
エ.一定の利害関係人は、審理員の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができるが、参加人は、審査請求人と同様に、口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えられ、証拠書類または証拠物を提出することができる。
エ・・・正しい

  • 利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができます(行政不服審査法13条)。※ 審理員の許可がない場合、審理に参加できない / 「審査庁」の許可ではない!
  • 「審査請求人」又は「参加人」の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません(行政不服審査法31条1項本文)。
  • 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができます(行政不服審査法32条1項)

よって、本肢は正しいです。

オ.多数人が共同して行った審査請求においては、法定数以内の総代を共同審査請求人により互選することが認められているが、その場合においても、共同審査請求人各自が、総代を通じることなく単独で当該審査請求に関する一切の行為を行うことができる。
オ・・・誤り
多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができます(行政不服審査法11条1項)。
そして、総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ、審査請求に関する行為をすることができます(行政不服審査法11条4項)。

よって、「共同審査請求人各自が、総代を通じることなく単独で当該審査請求に関する一切の行為を行うことができる」は誤りです。「できない」が正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略