行政法の過去問

平成29年・2017|問25|行政法

次の文章は、都市計画における建設大臣(当時)の裁量権の範囲に関する原審の判断を覆した最高裁判所判決の一節である。空欄[ Ⅰ ]~[ Ⅳ ]には、それぞれあとのア~エのいずれかの文が入る。原審の判断を覆すための論理の展開を示すものとして妥当なものの組合せはどれか。

都市施設は、その性質上、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めなければならないものであるから、都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべきものである。この場合において、民有地に代えて公有地を利用することができるときには、そのことも上記の合理性を判断する一つの考慮要素となり得ると解すべきである。
[  Ⅰ  ]。しかし、[  Ⅱ  ]。
そして、[  Ⅲ  ]のであり、[  Ⅳ  ]。
以上によれば、南門の位置を変更することにより林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか等について十分に審理することなく、本件都市計画決定について裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるということはできないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
(最二小判平成18年9月4日判例時報1948号26頁)

ア.原審は、南門の位置を変更し、本件民有地ではなく本件国有地を本件公園の用地として利用することにより、林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか、悪影響が生ずるとして、これを樹木の植え替えなどによって回避するのは困難であるかなど、樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定していないのであって、原審の確定した事実のみから、南門の位置を現状のとおりとする必要があることを肯定し、建設大臣がそのような前提の下に本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めたことについて合理性に欠けるものではないとすることはできないといわざるを得ない

イ.本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるときには、その建設大臣の判断は、他に特段の事情のない限り、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとなるのであって、本件都市計画決定は、裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるのである

ウ.樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができる場合には、更に、本件民有地及び本件国有地の利用等の現状及び将来の見通しなどを勘案して、本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるかどうかを判断しなければならない

エ.原審は、建設大臣が林業試験場には貴重な樹木が多いことからその保全のため南門の位置は現状のとおりとすることになるという前提の下に本件民有地を本件公園の区域と定めたことは合理性に欠けるものではないとして、本件都市計画決定について裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるということはできないとする

Ⅰ:ア Ⅱ:ウ Ⅲ:エ Ⅳ:イ
Ⅰ:イ Ⅱ:エ Ⅲ:ア Ⅳ:ウ
Ⅰ:イ Ⅱ:エ Ⅲ:ウ Ⅳ:ア
Ⅰ:ウ Ⅱ:イ Ⅲ:エ Ⅳ:ア
Ⅰ:エ Ⅱ:ア Ⅲ:ウ Ⅳ:イ

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【答え】:5

【解説】

都市施設は、その性質上、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めなければならないものであるから、都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべきものである。この場合において、民有地に代えて公有地を利用することができるときには、そのことも上記の合理性を判断する一つの考慮要素となり得ると解すべきである。
Ⅰ:エ 原審は、建設大臣が林業試験場には貴重な樹木が多いことからその保全のため南門の位置は現状のとおりとすることになるという前提の下に本件民有地を本件公園の区域と定めたことは合理性に欠けるものではないとして、本件都市計画決定について裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるということはできないとする]。しかし、[Ⅱ:ア 原審は、南門の位置を変更し、本件民有地ではなく本件国有地を本件公園の用地として利用することにより、林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか、悪影響が生ずるとして、これを樹木の植え替えなどによって回避するのは困難であるかなど、樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定していないのであって、原審の確定した事実のみから、南門の位置を現状のとおりとする必要があることを肯定し、建設大臣がそのような前提の下に本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めたことについて合理性に欠けるものではないとすることはできないといわざるを得ない]。
そして、[Ⅲ:ウ 樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができる場合には、更に、本件民有地及び本件国有地の利用等の現状及び将来の見通しなどを勘案して、本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるかどうかを判断しなければならない]のであり、[Ⅳ:イ 本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるときには、その建設大臣の判断は、他に特段の事情のない限り、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとなるのであって、本件都市計画決定は、裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるのである]。
以上によれば、南門の位置を変更することにより林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか等について十分に審理することなく、本件都市計画決定について裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるということはできないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

まず、「次の文章は、都市計画における建設大臣(当時)の裁量権の範囲に関する原審の判断を覆した最高裁判所判決の一節」「原審の判断を覆すための論理の展開を示すものとして妥当なもの」と記述してあるので、最高裁の判断は原審(地裁や高裁の判断)とは違うとうことが分かります。つまり、論理展開としては、「原審の判断」があって、その後、「最高裁の判断」という流れになります。

ここで、原審に関する記述と分かるのは、「原審は、・・」となっている「アとエ」です。なので、始めの方に、アとエが来ることはわかります。この時点で、「ⅠとⅡ」に「アとエ」が入っている選択肢は「5」だけなので、答えは「5」と判断できます。

一応、次に、この判決の内容を見ていきます。

【1段落目の要約→主語述語をしっかりとり、細かい修飾語は、省略する

都市施設は、(・・・色々な要素)を勘案して(考えあわせて)、・・・配置することにより、・・・・、良好な都市環境を保持するように定めなければならない。

だから、都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべき。

この場合において、民有地ではなく公有地を利用することができるときには、そのことも上記の合理性を判断する一つの考慮要素となり得る。

ここまで読んで、アとエを確認します。

ア 原審は、南門の位置を変更し、本件民有地ではなく本件国有地を本件公園の用地として利用することにより、林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか、悪影響が生ずるとして、これを樹木の植え替えなどによって回避するのは困難であるかなど、樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定していないのであって、原審の確定した事実のみから、南門の位置を現状のとおりとする必要があることを肯定し、建設大臣がそのような前提の下に本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めたことについて合理性に欠けるものではないとすることはできないといわざるを得ない

原審は、・・・・樹木の保全のためには南門の位置は現状のとおりとするのが望ましいという建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定していない。

だから、原審の確定した事実のみから、南門の位置を現状のとおりとする必要があることを「肯定し」、また、・・・本件民有地を本件公園の区域と定めたことについて「合理性に欠けるものではないとすることはできないといわざるを得ない。

合理性にかけるものでない=合理性がある。つまり、「合理性がある」とすることができない=合理性がない

→ 原審では、南門の位置を変更したりしたことは、肯定できないないし、民有地を本件公園の区域と定めたことについて合理性がないと判断しています。

エ 原審は、建設大臣が林業試験場には貴重な樹木が多いことからその保全のため南門の位置は現状のとおりとすることになるという前提の下に本件民有地を本件公園の区域と定めたことは合理性に欠けるものではないとして、本件都市計画決定について裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるということはできないとする

原審は、・・・・本件民有地を本件公園の区域と定めたことは合理性に欠けるものではないとして、本件都市計画決定について裁量権の逸脱・濫用ではないと判断しています。

ここで、判決文を見ると、 [  Ⅰ  ]。しかし、[  Ⅱ  ]。となっているので、Ⅰの判断に対して、Ⅱで逆の判断をしているとわかります。しかし、どちらがⅠかまでは、この段階で判断するのは難しいです。

イ 本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるときには、その建設大臣の判断は、他に特段の事情のない限り、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとなるのであって、本件都市計画決定は、裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるのである

本件民有地を本件公園の区域と定めた「建設大臣の判断が合理性を欠く」と言えるのは、社会通念に照らし(普通に考えて)著しく妥当性を欠く場合であって、そのとき、本件都市計画決定は、裁量権の逸脱・濫用があったものとして違法となる。と結論づけています。結論なので、これが最後と判断できます。

別の考え方

■まず文章の流れを把握しましょう。

問題文の構成は以下のようになっています。

1.冒頭の原則的な判断
→ 都市施設は「合理性」をもって定められるべきという基準

2.[Ⅰ]。しかし、[Ⅱ]。
原審の判断の紹介とその批判

3.そして、[Ⅲ]のであり、[Ⅳ]。
→ 裁量判断における審査基準の整理と、それに基づく結論

4.最後に原審の判断には法令違反があると結論づける。

■各選択肢の内容の要点と文脈上の位置

【Ⅰ】:エ
内容:原審がどのように判断したか(原審の結論)
→ 原審が「建設大臣の判断は合理性がある」として裁量権の逸脱・濫用を否定したことを紹介

「原審は、建設大臣が林業試験場には貴重な樹木が多いことからその保全のため南門の位置は現状のとおりとすることになるという前提の下に…」

→ つまり、原審の結論をここで示しているので、「エ」は冒頭の[Ⅰ]にふさわしい。

【Ⅱ】:ア
内容:原審が具体的な事実を審理していないことを批判している
→ 原審は南門の変更による影響などの検討が不十分だという批判的な内容

「原審は…判断するに足りる具体的な事実を確定していないのであって…」

→ 「しかし」と続くことから、原審に対する否定(転換)を述べる「ア」がここに適切。

【Ⅲ】:ウ
内容:判断枠組みの整理・ステップの提示
→ 「仮に」樹木保全の判断が合理性を欠くとしても、次に考慮すべき要素(民有地/国有地の現状等)を検討しないといけないという理論の補強

→ したがって、「そして、…のであり」という文脈で使われる。

【Ⅳ】:イ
内容:最終的な違法判断の基準提示
→ 「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」と言えるならば「違法」となるという、結論に近い基準を述べている

→ 締めの判断として非常に適切。

■まとめ:論理展開の構造

都市施設の区域は合理性をもって定められるべき → 基準提示

[Ⅰ]原審の判断を紹介(エ)

[Ⅱ]原審に対する批判(ア)

[Ⅲ]判断枠組みの整理(ウ)

[Ⅳ]最終的な違法判断基準(イ)

原審の判断には法令違反があると結論

よって、正解は、Ⅰ:エ Ⅱ:ア Ⅲ:ウ Ⅳ:イ


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問24|地方自治法

地方自治法による住民監査請求と住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 地方公共団体が随意契約の制限に関する法令の規定に違反して契約を締結した場合、当該契約は当然に無効であり、住民は、その債務の履行の差止めを求める住民訴訟を提起することができる。
  2. 住民訴訟によって、住民は、地方公共団体の契約締結の相手方に対し、不当利得返還等の代位請求をすることができる。
  3. 住民監査請求をするに当たって、住民は、当該地方公共団体の有権者のうち一定数以上の者とともに、これをしなければならない。
  4. 地方公共団体の住民が違法な公金の支出の差止めを求める住民訴訟を適法に提起した場合において、公金の支出がなされることによる重大な損害を避けるため、同時に執行停止の申立ても行うことができる。
  5. 監査委員が適法な住民監査請求を不適法として却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.地方公共団体が随意契約の制限に関する法令の規定に違反して契約を締結した場合、当該契約は当然に無効であり、住民は、その債務の履行の差止めを求める住民訴訟を提起することができる。
1・・・妥当ではない
随意契約とは、競争によらずに、任意に特定の者を選んで契約を締結する方式です。
そして、随意契約は、政令で定める場合に該当するときに限り、することができます(地方自治法234条2項)。
つまり、政令の定めがない場合、随意契約はできません。それにもかかわらず、随意契約を締結した場合が本肢の内容です。
この点について、判例では、「契約の相手方が随意契約の方法によることが許されないことを知り又は知ることができた場合など、一定の場合に限って随意契約は無効」と判示しています(最判昭62.5.19)。
したがって、本肢「当然に無効であり」は誤りです。

2.住民訴訟によって、住民は、地方公共団体の契約締結の相手方に対し、不当利得返還等の代位請求をすることができる。
2・・・妥当ではない
住民訴訟では、請求できる類型が決まっており、下記4種類に限られています。

  1. 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
  2. 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
  3. 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
  4. 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求

本肢のような「代位請求(住民が地方公共団体に代わって請求すること)」は規定されていません。

【本問と下表4との違いの具体例】 

本問の「不当利得返還等の代位請求」とは、例えば、A市の職員Bが、不当に給与をもらった場合、職員Bの不当利得とみなされます。ここで、A市に変わって(代位して)、「A市民が原告」となって、「B(被告)」に対して、不当利得返還請求を行うのが、本問の内容です。
一方、下表の4は、「A市民が原告」となって、「A市長(執行機関)」に対して、「職員Bに支出した給与は違法だから、Bに対して不当利得返還請求をしろ!」と訴えることです。あくまでも、「被告」は「A市長(執行機関)」です。
この事例では「相手方=職員B」「普通地方公共団体の執行機関又は職員=A市長」です。
本問は、被告が「職員B」なので、これは4には当たらないです。

3.住民監査請求をするに当たって、住民は、当該地方公共団体の有権者のうち一定数以上の者とともに、これをしなければならない。
3・・・妥当ではない
住民監査請求ができるのは、当該地方公共団体の住民で、住民一人でも請求が可能です(地方自治法第242条1項)。
したがって、「一定数以上」という記述は誤りです。

4.地方公共団体の住民が違法な公金の支出の差止めを求める住民訴訟を適法に提起した場合において、公金の支出がなされることによる重大な損害を避けるため、同時に執行停止の申立ても行うことができる。
4・・・妥当ではない
住民訴訟においては、選択肢2で解説した4つの内容のみ主張することができ「執行停止の申立て」はできません。
また、住民訴訟は「民衆訴訟」ですが、「民衆訴訟」では、執行停止行政事件訴訟法25条)のルールは準用されていません
したがって、住民訴訟で「執行停止の申立て」はできません。

5.監査委員が適法な住民監査請求を不適法として却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することができる。
5・・・妥当
住民訴訟を行う場合、事前に住民監査請求を行っている必要があります住民監査請求前置主義)。
そして、判例では、「監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして直ちに住民訴訟を提起することができる」としています(最判平10.12.18)。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問23|地方自治法

地方自治法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 町村は、議会に代えて、選挙権を有する者の総会を設ける場合、住民投票を経なければならない。
  2. 普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した者について、正当な理由がある場合には、その者が議員となることを拒むことができる。
  3. 普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、専決処分にすることができる。
  4. 普通地方公共団体が処理する事務のうち、自治事務についても、法定受託事務と同様に、地方自治法により複数の種類が法定されている。
  5. 自治事務とは異なり、法定受託事務に関する普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与については、法律に基づかないでなすことも認められている。

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【答え】:3

【解説】

1.町村は、議会に代えて、選挙権を有する者の総会を設ける場合、住民投票を経なければならない。
1・・・誤り
普通地方公共団体に議会を置かなければなりません(地方自治法89条)。
ただし、町村は、条例で、上記規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができます(地方自治法94条)。
つまり、町村には、「議会」もしくは「総会」を置かなければならない、ということです。
本肢は「住民投票」が誤りです。
2.普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した者について、正当な理由がある場合には、その者が議員となることを拒むことができる。
2・・・誤り
普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した議員を拒むことができません地方自治法136条)。
除名されたとしても、再度、民意に問うて、当選したのだから、民主主義の観点から当選した議員を拒むことは許されません。
3.普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、専決処分にすることができる。
3・・・正しい
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体のにおいて、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。そして、長が専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければなりません(同条2項)
つまり、議会によって決める内容であったとしても、軽易な事案で、かつ議会が指定した事案であれば、長の独断で決めることができるということです。
ただし、独断で決めたのであれば、あとで議会に報告しないといけません。

4.普通地方公共団体が処理する事務のうち、自治事務についても、法定受託事務と同様に、地方自治法により複数の種類が法定されている。
4・・・誤り
法定受託事務」には、第1号法定受託事務第2号法定受託事務があります(地方自治法2条9項)。
そして、「自治事務」は、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。
したがって、自治事務は1種類でまとめられており、法定受託事務のように複数に分けていません。

5.自治事務とは異なり、法定受託事務に関する普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与については、法律に基づかないでなすことも認められている。
5・・・誤り
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらず、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受けることはありません(地方自治法245条の2)。
つまり、法定受託事務であっても自治事務であっても法律や政令の定めがなければ、地方公共団体は「国や都道府県」の関与を受けることはないということです。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問22|地方自治法

地方自治法が定める公の施設に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。
  2. 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならないが、正当な理由があれば利用を拒むことができる。
  3. 普通地方公共団体は、公の施設を管理する指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければならない。
  4. 公の施設は、住民の利用に供するために設けられるものであり、普通地方公共団体は、その区域外において、公の施設を設けることはできない。
  5. 普通地方公共団体が、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合には、指定管理者の指定の手続等の必要な事項を条例で定めなければならない。

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【答え】:4

【解説】

1.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。
1・・・正しい
普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2の1項)

 

2.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならないが、正当な理由があれば利用を拒むことができる。
2・・・正しい
普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(公の施設)を設けるものとします(地方自治法244条1項)。
普通地方公共団体(224条第3項に規定する指定管理者を含む。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではなりません地方自治法244条2項)。
「正当な理由がない限り、拒んではならない」ので、裏を返せば、「正当な理由があれば拒んでもよい」ということになります。

3.普通地方公共団体は、公の施設を管理する指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければならない。
3・・・正しい
普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません(地方自治法244条の2の6項)。
4.公の施設は、住民の利用に供するために設けられるものであり、普通地方公共団体は、その区域外において、公の施設を設けることはできない。
4・・・誤り
普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができます(地方自治法244条の3)。
したがって、「普通地方公共団体は、その区域外において、公の施設を設けることはできない」は誤りです。
5.普通地方公共団体が、公の施設の管理を指定管理者に行わせる場合には、指定管理者の指定の手続等の必要な事項を条例で定めなければならない。
5・・・正しい
普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、指定管理者に、当該公の施設の管理を行わせることができます(地方自治法244条の2の3項)。
そして、条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めます地方自治法244条の2の4項)。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問21|国家賠償法1条

次の文章は、国家賠償法に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ Ⅰ ]~[ Ⅴ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた[ Ⅰ ]がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。
思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が[ Ⅱ ]ことを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に[ Ⅲ ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の[ Ⅳ ]合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に[ Ⅴ ]のあることを必要とするものといわなければならない。 (最二小判昭和53年7月17自民集32巻5号1000頁)

Ⅰ ア:重大な過失 イ:過失
Ⅱ ア:補充的に適用される イ:優先的に適用される
Ⅲ ア:含まれる イ:含まれない
Ⅳ ア:適用を排除すべき イ:適用を認めるべき
Ⅴ ア:重大な過失 イ:過失

  1. Ⅰ:ア Ⅱ:ア Ⅲ:ア Ⅳ:イ Ⅴ:イ
  2. Ⅰ:ア Ⅱ:イ Ⅲ:イ Ⅳ:ア Ⅴ:イ
  3. Ⅰ:イ Ⅱ:ア Ⅲ:ア Ⅳ:ア Ⅴ:ア
  4. Ⅰ:イ Ⅱ:イ Ⅲ:ア Ⅳ:イ Ⅴ:ア
  5. Ⅰ:イ Ⅱ:イ Ⅲ:イ Ⅳ:ア Ⅴ:ア

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠った[Ⅰ: 過失 ]がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法1条1項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。
国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法4条は、同法1条1項の規定が適用される場合においても、民法の規定が[Ⅱ: 補充的に適用される ]ことを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」に[Ⅲ: 含まれる ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の[Ⅳ: 適用を排除すべき ]合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、当該公務員に[Ⅴ: 重大な過失 ]のあることを必要とするものといわなければならない。

Ⅰ.【1段落目】原判決(前の判決:地裁や高裁の判決)は、この事案の火災は、再燃して発生したものであるが、消防署職員の消火活動について失火法(失火責任法)は適用されない。 初めの出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠った[ ]がある以上、上告人(国または地方公共団体)は、被上告人(私人)に対し国家賠償法1条1項により損害を賠償する義務があるとした。つまり、被上告人(私人)の損害賠償請求のうち一部を認めた。

※ 「上告人の職員である消防署職員」という記述から、「上告人=国または地方公共団体」と分かります。逆に「被上告人=私人(一般市民)」となります。

Ⅰ・・・過失
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責任がある(国家賠償法1条1項)。
国家賠償法1条1項の責任は「故意または過失」が要件となっているので
Ⅰには過失が入ります。
ちなみに、失火法では、「重過失」がある場合に、責任を負うとなっていますが、上記の通り、失火法は適用されないので、消防署職員は、重過失がなくても、過失があれば、国賠法1条1項の責任を負います。

Ⅱ.Ⅲ.【2段落目】

国家賠償法4条は、・・・民法の規定が[]ことを明らかにしているところ、

失火法は、民法709条について付加されたルールである。(特則=付加されたルール)

だから、失火法は、国家賠償法4条の「民法」に[]と解するのが相当である。

Ⅱ・・・補充的に適用される
Ⅲ・・・含まれる
国又は公共団体の損害賠償の責任については、国賠法1条~3条の規定による外、民法の規定によります(国家賠償法4条)。つまり、国等の損害賠償責任については、国賠法の規定が適用され、国賠法に規定がないものについては民法の規定が適用されるということです。つまり、民法は、「補充的に適用される」ことが分かります。(民法は優先的に適用されるわけではない)そして、失火法は、民法709条(不法行為による損害賠償) の特則と規定しているので
失火法も、国賠法4条の民法に含めるということが分かります。
言い方を変えれば、失火法についても、国賠法4条の対象だということです。
Ⅳ.Ⅴ.【3段落目】また、失火法の趣旨から考えても、「公務員の失火(=公権力の行使)による国又は公共団体の損害賠償責任」についてのみ、同法(失火法)の[ ]合理的理由は存在しない。

したがって、公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火法が適用され、当該公務員に[]のあることを必要とする。

Ⅳ・・・適用を排除すべき
Ⅴ・・・重大な過失
「したがって・・・公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については国家賠償法4条により失火法が適用され」という記述から、
公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についても、国賠法4の対象ということが分かります。
したがって、
公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ、国賠法の適用を排除すべきではないことが分かります。また、失火法では、重過失がない限り不法行為責任は負わないこととなっています。
よって、国賠法1条1項の国等が賠償責任を負うためには、公務員に重過失があることが必要であることが分かります。

判決文のまとめ

最後に、判決文の全体の流れをまとめると、

【1段落目】 原判決では、失火法は適用されず、国賠法1条のルールに基づいて、消防署職員に「過失」がある場合、国賠法1条の損害賠償責任を負うとした。

【2段落目】 しかし、失火法は、民法709条について付加されたルールである。(特則=付加されたルール)

だから、失火法は、国家賠償法4条、『国又は公共団体の損害賠償の責任については、国賠法1条~3条の規定以外について、民法の規定による』の「民法」に含まれると考えるべき。

【3段落目】 また、公務員の失火について、国賠法が適用されない理由はないため、国賠法4条も適用される。

したがって、国賠法4条に基づいて、失火法も適用され、公務員の失火について損害賠償責任を負うためには、公務員に重過失が必要である。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問19|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法の定める仮の差止めに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 仮の差止めの申立てについては、執行停止における内閣総理大臣の異議の規定は準用されていない。
  2. 仮の差止めの申立てがなされた場合、行政庁は、仮の差止めの可否に関する決定がなされるまで、対象とされた処分をすることができない。
  3. 仮の差止めは、処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、申立てにより、または職権で裁判所がこれを命ずる。
  4. 仮の差止めは、緊急の必要があるときは、本案訴訟である差止めの訴えの提起に先立って、申し立てることができる。
  5. 仮の差止めについては、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、これを命ずる決定をすることができない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.仮の差止めの申立てについては、執行停止における内閣総理大臣の異議の規定は準用されていない。
1・・・誤り
「内閣総理大臣の異議」に関する規定(行政事件訴訟法27条)は、「仮の義務付け」にも「仮の差止め」にも準用されています(行政事件訴訟法37条の5)。
したがって、誤りです。

つまり、内閣総理大臣が
「仮の差止めをするな!」
と異議を述べることができます!

そして、内閣総理大臣が異議を述べた場合、
裁判所は、その異議に従う義務があります。

つまり、
仮の差止めの決定前であれば、仮の差止めの決定をすることができず
仮の差止めの決定後であれば、仮の差止めの決定を取り消さなければなりません。

2.仮の差止めの申立てがなされた場合、行政庁は、仮の差止めの可否に関する決定がなされるまで、対象とされた処分をすることができない。
2・・・誤り
本肢のような規定はありません。
したがって、仮の差止めの申立てがあった場合であっても、処分を行うことも可能です。
執行不停止の原則から考えてもイメージできます。
3.仮の差止めは、処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、申立てにより、または職権で裁判所がこれを命ずる。
3・・・誤り
下記要件をすべて満たす場合に、「申立て」によって、裁判所は、決定により、仮の差止めを行うことができます(行政事件訴訟法37条の5の2項)。

  1. 差止め訴訟が提起されていること
  2. 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
  3. 本案について理由があるとみえること

ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがある場合は、裁判所は、仮の差止めを命ずる決定はできません(同条3項)。

つまり、申立てがない場合、職権では仮の差止めは行えません

4.仮の差止めは、緊急の必要があるときは、本案訴訟である差止めの訴えの提起に先立って、申し立てることができる。
4・・・誤り
仮の差止めは、差止めの訴えを提起した後でないと申立てできません(行政事件訴訟法37条の5の2項)。
5.仮の差止めについては、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、これを命ずる決定をすることができない。

5・・・正しい
選択肢3の解説の通り、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、仮の差止めを命ずる決定はできません(行政事件訴訟法37条の5の3項)。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法3条3項による「裁決の取消しの訴え」に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 「裁決の取消しの訴え」の対象とされている裁決は、「義務付けの訴え」や「差止めの訴え」の対象ともされている。
  2. 「裁決の取消しの訴え」について、原告適格が認められるのは、裁決の相手方である審査請求人に限られ、それ以外の者には、原告適格は認められない。
  3. 「裁決の取消しの訴え」は、審査請求の対象とされた原処分に対する「処分の取消しの訴え」の提起が許されない場合に限り、提起が認められる。
  4. 「裁決の取消しの訴え」については、審査請求に対する裁決のみが対象とされており、再調査の請求に対する決定は、「処分の取消しの訴え」の対象とされている。
  5. 「裁決の取消しの訴え」については、「処分の取消しの訴え」における執行停止の規定は準用されていないから、裁決について、執行停止を求めることはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.「裁決の取消しの訴え」の対象とされている裁決は、「義務付けの訴え」や「差止めの訴え」の対象ともされている。
1・・・正しい
「義務付けの訴え」とは、
①行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、または、②審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないときに、
行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条6項)。また、
「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条7項)。したがって、裁決も「義務付け訴訟」や「差止め訴訟」の対象です。

2.「裁決の取消しの訴え」について、原告適格が認められるのは、裁決の相手方である審査請求人に限られ、それ以外の者には、原告適格は認められない。
2・・・誤り
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(取消訴訟)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができます(行政事件訴訟法9条)。したがって、審査請求人以外のものでも、法律上の利益を有する者であれば、裁決取消しの訴えを提起できます

3.「裁決の取消しの訴え」は、審査請求の対象とされた原処分に対する「処分の取消しの訴え」の提起が許されない場合に限り、提起が認められる。
3・・・誤り
①処分→②審査請求→②裁決を進んだ場合、
「処分の取消しの訴え」の提起が許される場合でも
「裁決取り消しの訴え」を提起することは可能です。
したがって、誤りです。本肢は何とひっかけているかというと「原処分主義」のルールです。
裁決取消しの訴えで、「処分の違法を理由」として取消しを求めることができません(行政事件訴訟法10条2項)。
これを原処分主義と言います。

4.「裁決の取消しの訴え」については、審査請求に対する裁決のみが対象とされており、再調査の請求に対する決定は、「処分の取消しの訴え」の対象とされている。
4・・・誤り
裁決の取消しの訴えとは、「審査請求」その他の「不服申立て(再調査請求など)に対する行政庁の裁決、決定」「その他の行為の取消し」を求める訴訟です(行政事件訴訟法第3条3項)
したがって、「審査請求に対する裁決」だけでなく、「再調査請求に対する決定」も「裁決取り消しの訴え」の対象です。
5.「裁決の取消しの訴え」については、「処分の取消しの訴え」における執行停止の規定は準用されていないから、裁決について、執行停止を求めることはできない。
5・・・誤り
「裁決の取消しの訴え」は、「処分取り消しの訴え」の執行停止に関するルールが準用されます。
したがって、
裁決の取消しの訴えの提起があった場合において、
「処分、処分の執行又は手続の続行」により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」ときは、
裁判所は、申立てにより、決定をもって、執行停止をすることができます(行政事件訴訟法25条2項)。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問16|行政不服審査法

行政不服審査法の定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てによりまたは職権で、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができる。
  2. 審査庁は、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をしなければならない。
  3. 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができ、意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。
  4. 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときには、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
  5. 処分庁の上級行政庁または処分庁が審査庁である場合には、処分の執行の停止によって目的を達することができる場合であっても、処分の効力の停止をすることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てによりまたは職権で、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができる。
1・・・誤り
処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができます。
ただし、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止以外の措置をとることはできません(行政不服審査法25条3項)。
分かりやすくいうと
処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、処分庁を指揮監督する権限はないので、「職権」で「執行停止」や「その他の措置」を行うことはできません
あくまでも、「申立てがあった場合」に限って、「執行停止」や「手続きの続行停止」などができるだけです。※「処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁」とは、例えば、開発審査会で、第三者機関といったイメージです。
2.審査庁は、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をしなければならない。
2・・・誤り
審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければなりません(行政不服審査法25条4項)。
「処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要がある」場合でも、審査庁は申立てがなければ執行停止はできません。
審査請求人からの申立てがあった場合に限って、執行停止をしなければなりません
3.審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができ、意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。
3・・・誤り
執行停止の申立てがあったとき、又は、審理員から執行停止をすべき旨の意見書の提出を受けたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければなりません(行政不服審査法25条7項)。
執行停止をするかどうかを決めるのは、審査庁で、必ずしも執行停止をしなければならない、わけではありません。
よって、誤りです。
4.執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときには、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
4・・・正しい
執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができます行政不服審査法26条)。

5.処分庁の上級行政庁または処分庁が審査庁である場合には、処分の執行の停止によって目的を達することができる場合であっても、処分の効力の停止をすることができる。
5・・・誤り
処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができません(行政不服審査法25条6項)。
言い換えると、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、その措置を行いなさい!ということです。上記を理解するための具体例A所有の建物が違法建築物を建築し、B市長が、建物の除去命令をした場合、処分の効力・処分の執行・手続きの続行とは下記内容です。1、2、3の順に手続きが踏まれます。1.処分の効力=除去命令自体
↓2.処分の執行=代執行により建物を強制的に除去する工事に着手すること
↓3.手続きの続行=上記代執行の手続きのこと2や3は、「1の処分の効力」があることを前提に行います。そのため、「1の処分の効力」を停止させると、自動的に2、3も停止します。一方、「2の処分の執行」を停止させる場合、2のみを停止させて、「1の処分の効力」は停止しません。

そのため、「2の処分の執行」の停止で目的達成ができる場合は、あえて、「1の処分の効力」を停止させる必要はないので、そのような場合は、「1の処分の効力」の停止はできない、「2の処分の執行」の停止を行いなさい!ということです。

2と3はセットで考えた方が分かりやすいかもしれません。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問14|行政不服審査法

行政不服審査法の定める審査請求の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
  2. 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
  3. 地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
  4. 行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
  5. 個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
1・・・正しい
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に定めがある場合を除くほか、この法律に定めるところによります(行政不服審査法1条2項)。
これを言い換えると、行政庁の処分等に対する不服審査について、
個別の法律で定めがあれば、その法律の手続きに従い
個別の法律で定めがなければ、この行政不服審査法で定める手続きに従う
ということです。
2.地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
2・・・誤り
行政手続法では、
地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、行政手続法の一部を適用しないというルールがあります(行政手続法3条3項)。しかし、行政不服審査法にはそのようなルールはありません。
したがって、地方公共団体の機関がする処分についても、不服審査法の適用はあります。
3.地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
3・・・誤り
国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において、当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法は適用しません(行政不服審査法7条2項)。
よって、地方公共団体が固有の資格で受ける処分(地方公共団体自身が受ける処分)については、地方公共団体は審査請求はできません
したがって、「行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ」という記述が誤りです。

4.行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
4・・・誤り
行政手続法では
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2第1項)。一方、
行政不服審査法には、このようなルールはありません。
つまり、「審査請求によって」行政指導の中止を求めることはできません。
そもそも、行政指導「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しません
5.個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。
5・・・誤り
個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象です。

行政庁の処分につき、処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、
法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができます(行政不服審査法5条)。

つまり、再調査請求の対象とされている処分がなされた場合、
審査請求もしくは、再調査請求を選んで、行う形となります。


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問13|行政手続法

行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、調書は、聴聞の審理の経過を記載した書面であり、報告書は、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した書面である。

  1. 聴聞の主宰者は、調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
  2. 聴聞の主宰者は、聴聞の終結後、速やかに報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければならない。
  3. 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の主宰者によって作成された調書および報告書の閲覧を求めることができる。
  4. 聴聞の終結後、聴聞の主宰者から調書および報告書が提出されたときは、行政庁は、聴聞の再開を命ずることはできない。
  5. 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された聴聞の主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.聴聞の主宰者は、調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
1・・・正しい
聴聞の主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければなりません(行政手続法24条1項)。
よって正しいです。

行政手続法24条の詳細解説はこちら>>

2.聴聞の主宰者は、聴聞の終結後、速やかに報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければならない。
2・・・正しい
聴聞の主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、聴聞調書とともに行政庁に提出しなければなりません(行政手続法24条3項)。
よって正しいです。
3.聴聞の当事者または参加人は、聴聞の主宰者によって作成された調書および報告書の閲覧を求めることができる。
3・・・正しい
聴聞の当事者又は参加人は、聴聞調書及び報告書の閲覧を求めることができます(行政手続法24条4項)。
よって正しいです。
この辺りはしっかり覚えておきましょう!
4.聴聞の終結後、聴聞の主宰者から調書および報告書が提出されたときは、行政庁は、聴聞の再開を命ずることはできない。
4・・・誤り
行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、聴聞の主宰者に対し、提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができます(行政手続法25条)。
したがって本肢は誤りです。

行政手続法25条の詳細解説はこちら>>

5.行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された聴聞の主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。
5・・・正しい
行政庁は、不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければなりません(行政手続法26条)。
よって正しいです。

行政手続法26条の詳細解説はこちら>>


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 一般知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略