行政法の過去問

令和元年・2019|問15|行政不服審査法

行政不服審査法が定める審査請求の手続等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 審査請求は、審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合には、処分庁を経由してすることもできるが、処分庁は提出された審査請求書を直ちに審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。
  2. 審査庁は、審査請求が不適法であって補正をすることができないことが明らかなときは、審理員による審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができる。
  3. 審査請求人は、審理手続が終了するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧を求めることができるが、その写しの交付を求めることもできる。
  4. 審理員は、審査請求人の申立てがあった場合には、口頭意見陳述の機会を与えなければならないが、参加人がこれを申し立てることはできない。
  5. 行政庁の処分に不服がある者は、当該処分が法律上適用除外とされていない限り、当該処分の根拠となる法律に審査請求をすることができる旨の定めがないものについても、審査請求をすることができる。

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【答え】:4
【解説】

1.審査請求は、審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合には、処分庁を経由してすることもできるが、処分庁は提出された審査請求書を直ちに審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。
1・・・正しい
審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができます(行政不服審査法21条1項)。そして、上記の場合、処分庁等は、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書を審査庁となるべき行政庁に送付しなければなりません(同条2項)。よって、本肢は正しいです。

2.審査庁は、審査請求が不適法であって補正をすることができないことが明らかなときは、審理員による審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができる。

2・・・正しい

審査請求が不適法であって補正を命じたにも関わらず、審査請求人が相当の期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、次節に規定する審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができます(行政不服審査法24条1項)。

そして、審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、審査庁は、審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができます(行政不服審査法24条2項)。

よって、本肢は正しいです。

3.審査請求人は、審理手続が終了するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧を求めることができるが、その写しの交付を求めることもできる。
3・・・正しい
審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができます(行政不服審査法38条1項)。
よって、本肢は正しいです。

4.審理員は、審査請求人の申立てがあった場合には、口頭意見陳述の機会を与えなければならないが、参加人がこれを申し立てることはできない。

4・・・誤り

審査請求人又は参加人申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません行政不服審査法31条)。

よって、「参加人」も、口頭意見陳述の申立てができるので誤りです。

5.行政庁の処分に不服がある者は、当該処分が法律上適用除外とされていない限り、当該処分の根拠となる法律に審査請求をすることができる旨の定めがないものについても、審査請求をすることができる。
5・・・正しい
一定の処分及びその不作為(適用除外となっている事項)については、審査請求ができません(行政不服審査法7条)。そして、この適用除外となっていない事項については、審査請求ができます(一般概括主義)。よって、本肢は正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問14|行政不服審査法

裁決および決定についての行政不服審査法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.審査請求人は、処分についての審査請求をした日(審査請求書につき不備の補正を命じられた場合は、当該不備を補正した日)から、行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、当該審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる。

イ.審査請求については、裁決は関係行政庁を拘束する旨の規定が置かれており、この規定は、再審査請求の裁決についても準用されているが、再調査の請求に対する決定については、準用されていない。

ウ.審査請求および再審査請求に対する裁決については、認容、棄却、却下の3つの類型があるが、再調査の請求については請求期間の定めがないので、これに対する決定は、認容と棄却の2つの類型のみである。

エ.審査請求においては、処分その他公権力の行使に当たる行為が違法または不当であるにもかかわらず、例外的にこれを認容せず、裁決主文で違法または不当を宣言し、棄却裁決をする制度(いわゆる事情裁決)があるが、再調査の請求に対する決定についても、類似の制度が規定されている。

オ.事実上の行為のうち、処分庁である審査庁に審査請求をすべきとされているものについて、審査請求に理由がある場合には、審査庁は、事情裁決の場合を除き、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:4
【解説】

ア.審査請求人は、処分についての審査請求をした日(審査請求書につき不備の補正を命じられた場合は、当該不備を補正した日)から、行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、当該審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる。
ア・・・誤り
行政不服審査法に「行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないとき」の規定はありませんそのため、「行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないとき、審査請求が棄却されたとみなす」という規定は、行政不服審査法にないので、誤りです。

イ.審査請求については、裁決は関係行政庁を拘束する旨の規定が置かれており、この規定は、再審査請求の裁決についても準用されているが、再調査の請求に対する決定については、準用されていない。

イ・・・正しい

裁決は、関係行政庁を拘束します(行政不服審査法52条1項)。

この規定は、再審査請求の裁決について準用されているが(行政不服審査法66条)、再調査請求に対する決定については準用されていません行政不服審査法61条)。

よって、本肢は正しいです。

【再調査請求に対する決定が、拘束力がない理由】

審査請求・再審査請求の場合、審理員による審理手続を経て争訟の判断を示します。一方、再調査請求は、処分庁自身が、そういった審理手続を採らずに、より簡略な手続で判断するから、拘束力を認めていません。

ウ.審査請求および再審査請求に対する裁決については、認容、棄却、却下の3つの類型があるが、再調査の請求については請求期間の定めがないので、これに対する決定は、認容と棄却の2つの類型のみである。
ウ・・・誤り
審査請求・再審査請求・再調査請求すべてにおいて、裁決は、認容、棄却、却下の3つの類型があります(行政不服審査法46条65条59条)。よって、本肢は「再調査の請求については認容と棄却の2つの類型のみ」が誤りです。また、再調査請求の請求期間は、①処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月、もしくは②処分があった日の翌日から起算して1年と定められている(行政不服審査法54条)ので、「再調査については請求期間の定めがない」も誤りです。

エ.審査請求においては、処分その他公権力の行使に当たる行為が違法または不当であるにもかかわらず、例外的にこれを認容せず、裁決主文で違法または不当を宣言し、棄却裁決をする制度(いわゆる事情裁決)があるが、再調査の請求に対する決定についても、類似の制度が規定されている。

エ・・・誤り

再調査請求に、事情裁決に類似する制度はないので、誤りです。

再調査請求に準用されないもの

審査請求の規定について、準用されるものは多くあるので、「準用されないもの」を覚える方が効率的です!
  1. 審理員による審理
  2. 拘束力
  3. 行政不服審査会への諮問
  4. 事情採決
オ.事実上の行為のうち、処分庁である審査庁に審査請求をすべきとされているものについて、審査請求に理由がある場合には、審査庁は、事情裁決の場合を除き、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する。
オ・・・正しい
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(事情裁決の場合は除く)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、審査庁は当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更します(行政不服審査法47条)。よって、本肢は正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問13|行政手続法

行政手続法に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.行政指導指針は、行政機関がこれを定めたときは、行政上特別の支障がない限り、公表しなければならない。

イ.申請に対する処分が標準処理期間内に行われない場合には、そのことを理由として直ちに、不作為の違法確認の訴えにおいて、その請求が認容される。

ウ.行政庁が、処分基準を定めたときは、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

エ.申請により求められた許認可等を拒否する場合において、申請者に対する理由の提示が必要とされるのは、申請を全部拒否するときに限られ、一部拒否のときはその限りでない。

オ.法律に基づく命令、審査基準、処分基準および行政指導指針を定める場合、公益上、緊急に定める必要がある場合など行政手続法が定める例外を除いて、意見公募手続をとらなければならない。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:2
【解説】

ア.行政指導指針は、行政機関がこれを定めたときは、行政上特別の支障がない限り、公表しなければならない。
ア・・・正しい
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければなりません(行政手続法36条)。よって、本肢は正しいです!

イ.申請に対する処分が標準処理期間内に行われない場合には、そのことを理由として直ちに、不作為の違法確認の訴えにおいて、その請求が認容される。

イ・・・誤り

「申請に対する処分が標準処理期間内に行われない場合」については、行政手続法にありません。

そのため、本肢は誤りです。

ウ.行政庁が、処分基準を定めたときは、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
ウ・・・誤り
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません(行政手続法12条1項)。処分基準は、「定めること」も「定めた場合に公にすること」もどちらも努力義務です。よって、本肢は「公にしておかなければならない(義務)」となっているので誤りです。

エ.申請により求められた許認可等を拒否する場合において、申請者に対する理由の提示が必要とされるのは、申請を全部拒否するときに限られ、一部拒否のときはその限りでない。
エ・・・誤り
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません(行政手続法8条1項)。一部拒否の場合に例外とはなっていないので、「全部拒否」も「一部拒否」もどちらも、理由の提示をしなければなりません。よって、誤りです。

オ.法律に基づく命令、審査基準、処分基準および行政指導指針を定める場合、公益上、緊急に定める必要がある場合など行政手続法が定める例外を除いて、意見公募手続をとらなければならない。
オ・・・正しい
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間(意見提出期間)を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項:意見公募手続)。ここでいう「命令等」とは、「法律に基づく命令または規則」「審査基準」「処分基準」「行政指導指針」を指します。そして、公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、意見公募手続を実施することが困難であるときは例外的に意見公募手続は不要となっています(行政手続法39条4項1号)。

よって、本肢は正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問12|行政手続法

聴聞についての行政手続法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰するが、当該聴聞の当事者*や参加人など、当該不利益処分の対象者に一定の関連を有する者のほか、行政庁の職員のうち、当該不利益処分に係る事案の処理に直接関与した者は、主宰者となることができない。

イ.行政庁は、予定している不利益処分につき、聴聞の主宰者から当該聴聞に係る報告書の提出を受けてから、当該不利益処分を行うか否か決定するまでに通常要すべき標準的な期間を定め、これを当該聴聞の当事者*に通知するよう努めなければならない。

ウ.主宰者は、当事者*の全部または一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、陳述書または証拠書類等を提出しない場合、これらの者に対し改めて意見を述べ、および証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。

エ.行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該処分の根拠法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、当該申請者以外の者に対し、不利益処分を行う場合に準じた聴聞を行わなければならない。

オ.聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、当事者*から行政庁に対し、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求められた場合、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、その閲覧を拒むことができる。

(注)*当事者 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、所定の事項を書面により通知しなければならない。この通知を受けた者を「当事者」という。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:5
【解説】

ア.聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰するが、当該聴聞の当事者*や参加人など、当該不利益処分の対象者に一定の関連を有する者のほか、行政庁の職員のうち、当該不利益処分に係る事案の処理に直接関与した者は、主宰者となることができない。(注)*当事者 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、所定の事項を書面により通知しなければならない。この通知を受けた者を「当事者」という。

ア・・・誤り
次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができません(行政手続法19条2項)。

  1. 当該聴聞の当事者又は参加人
  2. 前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
  3. 当事者又は参加人の代理人」又は「当事者又は参加人の補佐人」
  4. 前3号(1~3号)に規定する者であった者
  5. 第1号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
  6. 参加人以外の関係人(行政庁の裁量で関係人と判断したもの)

よって、「不利益処分に係る事案の処理に直接関与した者」は聴聞の主宰者になることはできるので、本肢は誤りです。

イ.行政庁は、予定している不利益処分につき、聴聞の主宰者から当該聴聞に係る報告書の提出を受けてから、当該不利益処分を行うか否か決定するまでに通常要すべき標準的な期間を定め、これを当該聴聞の当事者*に通知するよう努めなければならない。

イ・・・誤り

不利益処分については、標準処理期間の定めがありません

そのため、本肢は誤りです。

ウ.主宰者は、当事者*の全部または一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、陳述書または証拠書類等を提出しない場合、これらの者に対し改めて意見を述べ、および証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。
ウ・・・正しい
主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができます(行政手続法23条1項)、よって、本肢は正しいです。

参加人は、聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物を提出することができます(行政手続法20条2項)。

また、審査請求の審理においても、参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができます(行政不服審査法32条1項)

エ.行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該処分の根拠法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、当該申請者以外の者に対し、不利益処分を行う場合に準じた聴聞を行わなければならない。
エ・・・誤り
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。

本肢は「聴聞」となっているので誤りです。正しくは「公聴会」です。

聴聞と公聴会の違い

【公聴会:申請に対する許認可を与える場合に、他の者の意見を聞く場】
許認可をすることにより、他の者が迷惑となる場合があります。例えば、ごみ処理場の設置許可がされた場合です。この場合、周辺住民の意見を聴く機会を「公聴会」といいます。
【聴聞:不利益処分をしようとする場合に、処分を受ける者の意見を聞く場】
聴聞は、重大な「不利益処分」をしようとする場合に、不利益処分を受ける者が言い訳をいう場を与えることを言います。 例えば、飲食店の営業許可を受けて、飲食店を営業していたが、食中毒を何度も繰り替えされ、許可取消処分をされる前に、飲食店の言い分を聞くために、聴聞の手続きを行います。
オ.聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、当事者*から行政庁に対し、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求められた場合、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、その閲覧を拒むことができる。
オ・・・正しい
当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができません(行政手続法18条1項)。よって、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、その閲覧を拒むことができるので正しいです。

【第三者の利益を害するおそれがある文書等の具体例】

個人のプライバシーに関する事項・企業秘密が記載されている文書


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問11|行政手続法

行政指導についての行政手続法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものが当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、何人も、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。
  2. 行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいい、その相手方が特定か不特定かは問わない。
  3. 地方公共団体の機関がする行政指導のうち、その根拠が条例または規則に置かれているものについては、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はないが、その根拠が国の法律に置かれているものについては、その適用がある。
  4. 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
  5. 行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。

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【答え】:4
【解説】

1.法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものが当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、何人も、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。
1・・・誤り
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の「相手方」は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2本分)。上記「行政指導の中止等の求め」は、行政指導を受けた「相手方のみ」できるのであって、「何人も(誰でも)」できるわけではありません。よって、本肢は誤りです。

2.行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいい、その相手方が特定か不特定かは問わない。

2・・・誤り

「行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため「特定の者」に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6項)。

行政指導の相手方は「特定の者」です。

本肢の「相手方が特定か不特定かは問わない」は誤りです。

【関連ポイント】

行政指導は、行政機関が、「任務または所掌事務」の範囲内で、「特定の者」に、指導・勧告・助言をする行為をいう

3.地方公共団体の機関がする行政指導のうち、その根拠が条例または規則に置かれているものについては、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はないが、その根拠が国の法律に置かれているものについては、その適用がある。
3・・・誤り
地方公共団体の機関する処分(その根拠となる規定が条例または規則におかれているものに限る)及び行政指導、地方公共団体の機関がする届出並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、2章から6章までの規定は適用しない(行政手続法3条3項)、つまり、地方公共団体の機関がする行政指導は、「根拠が国の法律に置かれていたとしても」行政手続法の規定の適用除外です。そのため、本肢は誤りです。
【覚え方】
地方公共団体について行政手続法の適用があるもの(下記2つ)を覚えて、下記以外は適用除外と覚えると効率的です。
  1. 地方公共団体の「処分」で、かつ、「根拠規定が法律にある」もの
  2. 地方公共団体に対する「届出」で、かつ、「根拠規定が法律にある」もの
4.行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
4・・・正しい
行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければなりません(行政手続法35条3項)。よって、本肢は正しいです!

行政指導の書面交付

 
5.行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。
5・・・誤り
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間(意見提出期間)を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条)。ここでいう「命令等」とは、「法律に基づく命令」「法律に基づく規則」「処分基準」「審査基準」「行政指導指針」です(行政手続法2条8号)。

ここでいう「命令等」とは、「法律に基づく命令」「法律に基づく規則」「処分基準」「審査基準」「行政指導指針」です(行政手続法2条8号)。つまり、行政指導指針は、行政指導の根拠は関係なく「命令等」に該当します。

そのため、行政指導指針を定める場合、根拠については関係なく、意見公募手続に関する定めの適用されます。

したがって、本肢は誤りです。

【問題文の理解】

行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならない

これは、行政指導の根拠が「法律」、「条例」または「規則」に基づくものに限られていて、

「法律」、「条例」または「規則」の根拠なく行われる行政指導については、意見公募手続に関する定めの適用はない。〇か×か?

行政指導指針は、行政指導の根拠は関係ないので、×です。

■そもそも行政指導は、拘束力がないため、法律の根拠がなかったとしても行うことができます。

例えば、法律に「行政指導ができる」旨の規定がなくても、行政指導を行うことはできます。もちろん、行政指導を受けた者は、従う義務はありません。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問10|行政法

次の文章は、公有水面埋立てに関する最高裁判所判決の一節である。次の下線を引いた(ア)~(オ)の用語のうち、誤っているものの組合せはどれか。

(1)海は、特定人による独占的排他的支配の許されないものであり、現行法上、海水に覆われたままの状態でその一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用されていないから、海水に覆われたままの状態においては、私法上(ア)所有権の客体となる土地に当たらない(略)。また、海面を埋め立てるために土砂が投入されて埋立地が造成されても、原則として、埋立権者が竣功認可を受けて当該埋立地の(ア)所有権を取得するまでは、その土砂は、海面下の地盤に付合するものではなく、公有水面埋立法・・・に定める原状回復義務の対象となり得るものである(略)。これらのことからすれば、海面の埋立工事が完成して陸地が形成されても、同項に定める原状回復義務の対象となり得る限りは、海面下の地盤の上に独立した動産たる土砂が置かれているにすぎないから、この時点ではいまだ当該埋立地は私法上(ア)所有権の客体となる土地に当たらないというべきである。

(2)公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。

(最二小判平成17年12月16日民集59巻10号2931頁)

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】

ア.
(1)海は、特定人による独占的排他的支配の許されないものであり、現行法上、海水に覆われたままの状態でその一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用されていないから、海水に覆われたままの状態においては、私法上(ア)所有権の客体となる土地に当たらない(略)。また、海面を埋め立てるために土砂が投入されて埋立地が造成されても、原則として、埋立権者が竣功認可を受けて当該埋立地の(ア)所有権を取得するまでは、その土砂は、海面下の地盤に付合するものではなく、公有水面埋立法・・・に定める原状回復義務の対象となり得るものである(略)。これらのことからすれば、海面の埋立工事が完成して陸地が形成されても、同項に定める原状回復義務の対象となり得る限りは、海面下の地盤の上に独立した動産たる土砂が置かれているにすぎないから、この時点ではいまだ当該埋立地は私法上(ア)所有権の客体となる土地に当たらないというべきである。
ア・・・正しい
判例によると「海は、古来より自然の状態のままで一般公衆の共同使用に供されてきたところのいわゆる公共用物であって、国の直接の公法的支配管理に服し、特定人による排他的支配の許されないものであるから、そのままの状態においては、所有権の客体たる土地に当たらないというべきである」としています(最判昭61.12.16)。よって、「アには所有権」が入ります。
イ.
(2)公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。

イ・・・正しい

公共用財産とは、国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定したものです(国有財産法3条2項2号)。

よって、埋め立て地について国が直接公共用として決めていれば、公共用財産となります。

よって、イには公共用(財産)が入ります。

ウ.
(2)公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。
ウ・・・正しい
問題文の「他人の平穏かつ公然の(ウ)が継続」という記述から「取得時効」に関する内容と判断できます。そのため、「ウには占有」が入ります。
エ.
(2)公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。
エ・・・誤り
「長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。」という記述から「エには黙示的」が入ります。明示的に公用が廃止された場合だけでなく、黙示的に公用が廃止された場合についても取得時効を認めるということです。
「黙示的に公用が廃止された場合」とは、公用廃止の意思表示がなくても、客観的にみて公用が廃止されたといえるような場合です!
オ.
(2)公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。
オ・・・誤り
選択肢ウの解説のとおり、上記内容は「取得時効」に関する内容です。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問9|行政法

内閣法および国家行政組織法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 各省大臣は、国務大臣のうちから内閣総理大臣が命ずるが、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできない。
  2. 各省大臣は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督するが、その機関の所掌事務について、命令または示達をするため、所管の諸機関および職員に対し、告示を発することができる。
  3. 各省大臣は、主任の行政事務について、法律または政令の制定、改正または廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。
  4. 各省大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として規則その他の特別の命令を発することができる。
  5. 各省大臣は、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理するものとされ、内閣総理大臣が行政各部を指揮監督することはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】

1.各省大臣は、国務大臣のうちから内閣総理大臣が命ずるが、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできない。
1・・・誤り
各省大臣は、国務大臣のうちから、内閣総理大臣が命じます。ただし、内閣総理大臣が自ら当たることを妨げません(国家行政組織法5条3項)。つまり、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることはできるので誤りです。

各省大臣と国務大臣の違い

●●省のトップとなる大臣が「各省大臣」です。

一方、「国務大臣」は、内閣を組織するすべての大臣を指します。 つまり、各省大臣+無任所大臣(省を持たない大臣)を意味します。

2.各省大臣は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督するが、その機関の所掌事務について、命令または示達をするため、所管の諸機関および職員に対し、告示を発することができる。

2・・・誤り

各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができます(国家行政組織法14条)。

本肢は「告示」となっているので誤りです。
正しくは、「訓令又は通達」です。

3.各省大臣は、主任の行政事務について、法律または政令の制定、改正または廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。
3・・・正しい
各省大臣は、主任の行政事務について、法律又は政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければなりません(国家行政組織法11条)。よって、本肢は正しいです。

4.各省大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として規則その他の特別の命令を発することができる。
4・・・誤り
各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。一方、各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができます(同法13条)。

よって、本肢は「各省大臣」に関する問題なので、「規則その他の特別の命令」を発することができないので誤りです。

5.各省大臣は、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理するものとされ、内閣総理大臣が行政各部を指揮監督することはできない。
5・・・誤り
各省の長は、それぞれ各省大臣とし、主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理します(国家行政組織法5条)。よって、この点は正しいです。

内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督します(内閣法6条)。

この点が誤りです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問8|行政法

行政上の義務の履行確保手段に関する次の記述のうち、法令および判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。
  2. 直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。
  3. 行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。
  4. 行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。
  5. 道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。

>解答と解説はこちら

【答え】:4
【解説】

1.即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。

1・・・誤り

●即時強制 → 義務履行確保手段ではない ・ 即時強制は、前提として「義務」はない

即時強制とは、義務を命じる余裕のない緊急の必要がある場合に、行政機関が、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に実力行使することを言います。つまり、本肢の「行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合」というのは誤りです。

【理解】

即時強制は、前提として「義務」はありません。つまり、行政庁から何らかの命令等があり、それをする義務があるというわけではない場合に使われます。例えば、路上で寝ている人がいた場合に、「起きて路上から離れてください!」と義務を命じていては、それまでに車にひかれてしまうかもしれません。そのため、義務を命じることなく、路上から強制的に移動させられます。

2.直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。

2・・・誤り

●直接強制の手続き → 行政代執行法には規定されていない ・ 別の法律で規定される

直接強制とは、行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が、義務者の身体又は財産に実力を加えて、義務の履行があったとみなす行為を言います。

そして、直接強制の手続は行政代執行法に規定されていません。

したがって、「代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている」は誤りです。

行政代執行法に手続きが規定されているものは、「①代執行」のみです。「代執行以外」の「②執行罰・③直接強制・④行政上の強制徴収」については、別の法律で規定されます。

【具体例】
  • 「執行罰」→砂防法36条(砂防法等の命令による義務を怠ると、国土交通大臣もしくは知事は、一定期限を示す等して、500円以内の過料に処することを予告して、履行を命ずることができる)
  • 「直接強制」→成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法3条1項6項(国土交通大臣は、工作物が一定の命令に違反して、一定の用に供されていると認めるときは、当該工作物について封鎖その他その用に供させないために必要な措置(建物の実力封鎖)を講ずることができる)
  • 「行政上の強制徴収」→道路法39条1項2項(道路管理者は、道路の占用につき占用料を徴収することができる。占用料の額及び徴収方法は、道路管理者である地方公共団体の条例等で定める。)
3.行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。

3・・・誤り

●「法律に委任による条例」に基づいて行政庁に命ぜられた行為 → 行政代執行法の対象

下記1、2は行政代執行の対象です。

  1. 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられた行為
  2. 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)に基づき行政庁により命ぜられた行為

「法律の委任による条例に基づき行政庁により命ぜられた行為」は2にあたるので、行政代執行の対象となり、行政代執行法は適用されます。

本肢の「条例は含まれない」は誤りです。「法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)」の通り、条例も含まれます。

【注意】

上記1、2の行為について、義務者がこれを履行しない場合、別途、独自の法律に「行政上の強制執行(①代執行、②執行罰、③直接強制、④行政上の強制徴収)」を行うことができる旨の規定がある場合に、「行政上の強制執行」を行うことができます。
※ 条例で、「行政上の強制執行」を行う旨を定めることはできない。

●【具体例】

建築基準法9条1項には「特定行政庁は、建築基準法令違反の建築物の所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却等の必要な措置をとることを命ずることができる。」と規定しています。
この命令を受けた義務者(所有者)が、命令に従わない場合、どうなるか?
これは、建築基準法9条12項に「特定行政庁は、第1項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、行政代執行法の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。(=特定行政庁が代執行を行うことができる)」と規定しています。このように、別途、建築基準法という法律に「代執行を行うことができる」旨の規定があるため、代執行を行うことができます。
※ もし、建築基準法9条12項の規定がない場合、条例で、「代執行を行うことができる」と規定することはできません。(←上記【注意】の※の内容)

「行政代執行法2条」はこちら>>

4.行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。

4・・・正しい

●秩序罰→刑法上の罰ではない
●国の法律違反に対する秩序罰→「非訟事件手続法」の定めにより地方裁判所によって科される

行政上の秩序罰とは、形式的で軽微な行政上の義務違反に対して課される過料のことです。例えば、届出義務や登録義務、通知義務に違反した場合です。そして、国の法令違反に対する秩序罰(過料)は、非訟事件手続法に基づいて、裁判所(地方裁判所)が科します。よって、本肢は正しいです。

【秩序罰の対比】

国の法令に違反をした場合→非訟事件手続法によって地方裁判所が科します。
地方公共団体の条例や規則に違反した場合→地方自治法の定めに基づいて、地方公共団体の長が行政処分として科します。

5.道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。

5・・・誤り

●道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合 → 反則金を納付せずに、その後の刑事手続きで無罪を主張しなければならない

道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、反則金を納付せずに、その後の刑事手続きで無罪を主張する方法を選ばなければなりません。

つまり、道路交通法違反に対する反則金の納付通知について不服がある場合、「納付通知の取消訴訟を提起する」方法は選択できません。よって誤りです。

判例によると
「道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴(刑事手続)が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。
もしそうでなく、右のような抗告訴訟が許されるものとすると、本来刑事手続における審判対象として予定されている事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続との関係について複雑困難な問題を生ずるのであつて、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない。」としています(最判昭57.7.15)。よって、納付通知の取消訴訟を提起することはできないので誤りです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問43|行政法

行政裁量に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ ア ]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

1:訴訟要件 2:目的 3:信義則 4:相当の期間の経過 5:効果 6:補充性要件 7:理由の提示 8:判断過程 9:過失 10:行政便宜主義 11:時の裁量 12:手続規定 13:紛争の成熟性 14:違法性阻却事由 15:保護義務 16:要件 17:行政規則 18:比例原則 19:手段 20:行政の内部問題

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:16、イ:5、ウ:18、エ:8
【解説】

法律による行政の原理の下においても、法律が行政活動の内容を完全に規律しつくすことはできない。従って、法律が行政機関に自由な判断の余地を認めている場合があるが、これを裁量という。
例えば、国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ア:要件]に当たると判断される場合、処分の[イ:効果]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。しかしながら、その場合にあっても、当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ウ:比例原則]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。
また、土地収用法20条3号は、土地収用を行うことのできる事業の認定にあたっては、当該事業が「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するもの」でなければならないとしている。この場合、[ア:要件]についての裁量が問題となるが、判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[エ:判断過程]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

ア.イ.国家公務員法82条1項3号は、職員に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、「懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる」と規定しているが、例えば、公務員が争議行為を行い、同号にいう「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」という[ ア ]に当たると判断される場合、処分の[ イ ]について裁量が認められるとするならば、当該公務員について免職処分を選択するか、あるいは停職その他の処分を選択するかについては、懲戒権者の判断に委ねられることになる。

ア・・・要件
イ・・・効果
上記内容としては「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」

「懲戒処分をうける」

ということです。

そして、

「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」:要件

「懲戒処分をうける」:効果

と言います。

どういった場合(要件)に、どうなるか?(効果)、ということです。

よって、「アには要件」が入ります。

そして、「懲戒処分については、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる(裁量による)」と書いてあります。

つまり、「処分の効果(懲戒処分)について裁量が認められるとするならば、免職、停職、減給又は戒告があるのですが、どれにするかは懲戒権者の判断に委ねられる」ということです。

よって、「イには効果」が入ります。

ウ.当該非行が極めて軽微なものにとどまるにもかかわらず、免職処分を選択した場合は、[ ウ ]に違反し、裁量権の濫用・踰越となる。

ウ・・・比例原則
「非行が軽微(罪が軽い)」にも関わらず、「一番重い罰である免職」の処分を下すことは、比例原則違反(罪との罰のバランスが悪いから違反)となります。よって、「ウには、比例原則」が入ります。

エ.判例は、その場合の裁量判断について、「本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し」、これらのことにより判断が左右された場合には、裁量権の濫用・踰越にあたるとして、違法となるとしている。これは処分における[ エ ]について、司法審査を及ぼしたものといえる。

エ・・・判断過程
上記「本来・・・評価し」の部分については、裁量の判断過程を、裁判所が着目して、裁量権の濫用・踰越(ゆえつ:超えること)と判断したわけです。よって、「エには判断過程」が入ります。


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成21年・2009|問42|行政法

行政上の義務違反に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。
[ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。[ イ ]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。[ ウ ]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。

1:秩序罰 2:行政代執行法 3:科料 4:公表 5:懲役 6:行政罰 7:代執行 8:強制執行 9:罰金 10:刑事訴訟法 11:間接強制 12:過料 13:課徴金 14:非訟事件手続法 15:行政刑罰 16:直接強制 17:禁錮 18:懲戒罰 19:行政事件訴訟法 20:地方自治法

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:6、イ:1、ウ:12、エ:20
【解説】

行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ア:行政罰]という。
ア:行政罰]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[イ:秩序罰]とがある。[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ウ:過料]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ウ:過料]を科す旨の規定を設けることができる。[ウ:過料]を科す手続については、法律に基づくものと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ウ:過料]は、[エ:地方自治法]に定める手続により科される。

ア.イ.行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科せられる罰を[ ア ]という。
[ ア ]には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対し科す行政上の[ イ ]とがある。

ア・・・行政罰
イ・・・秩序罰まず、行政上の義務違反に対し、制裁として科せられるは「行政罰」です。

そして、行政罰には、「行政刑罰」と「行政上の秩序罰」の2つあります。

  • 行政刑罰(刑法における罰)
  • 行政上の秩序罰(ちょっとした義務違反)

したがって、「アには行政罰」「イには秩序罰」が入ります。

ウ.[イ:秩序罰]としては、届出義務違反などに科される[ ウ ]がある。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に[ ウ ]を科す旨の規定を設けることができる。

ウ・・・過料
秩序罰とは、行政上の義務違反のうち、軽微な違反行為について過料を科す制裁です。一方、科料は、刑罰の一種であり、秩序罰として科すことはできません。

さらに、普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、「2年以下の懲役若しくは禁錮」、「100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑」又は「5万円以下の過料」を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。

エ.条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す[ ウ ]は、[ エ ]に定める手続により科される。

エ・・・地方自治法
条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す過料は、地方自治法に定める手続により科されます。一方、法令に基づく過料は、非訟事件手続法によって地方裁判所が科します。

対比して頭に入れておきましょう!


平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法 問33 民法・債権
問4 職業選択の自由 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 学問の自由 問36 商法
問7 国会 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・社会
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略