2014年過去問

平成26年・2014|問46|民法・記述

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

Xは、甲土地をYに対して売却する契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Xは、本件契約時において、売却した甲土地はAが所有するものであってXに属しないことを知らなかった。その後、Xは、Aに対して甲土地の売却を申し入れたが、拒絶されたため、結局、その所有権を取得してYに移転することができなかった。このような場合において、善意の売主Xは、買主Yに対し、本件契約を解除する旨の意思表示をしたい。解除にあたって、本件契約時に甲土地の所有権がXに属しないことについて、Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか。「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」に続けて、民法の規定を踏まえて、それぞれ10字~20字程度で記述しなさい(「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」は、記述すべき字数に含まれない)。

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【答え】:-

【解説】

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問45|民法・記述

改正民法に対応済

Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。

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改正民法に対応済

【答え】:詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

【解説】

状況としては

  1. Aは複数の債権者から債務を負っていた(債務者A)
  2. 債権者の一人で懇意にしているBに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した
  3. その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。

上記の状況において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するための対応を考えます。

考えるべき点は

①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」として、「③どのような対応」をとるかです。

「①どのような権利」「②誰を相手にするか」について

まず、頭に入れておくべきルールは詐害行為取消請求です。

債権者Xは、債務者Aが債権者Xを害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者B)がその行為の時において債権者Xを害することを知らなかったときは、この限りでない(民法424条1項)。

本問の場合、受益者B以外に、転得者Cもいます。

そして、この点については

債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、転得者が「債務者がした行為が債権者を害すること」を知っていたとき(悪意のとき)に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができます(民法424条の5)。

本問をみると、「事情を知らないC」となっているので、Cは善意です。
したがって、善意の転得者Cに対して詐害取消請求を行うことはできません

よって、「①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」にするかについては

「①詐害行為取消権に基づき、②Bを相手に」となります。

では、「③どのような対応」を取るか?

「裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める」対応を取ります。

「裁判上の請求」とは、訴えを提起することです。詐害行為取消請求は、裁判上の請求でしか行うことができません。

そして、その訴えの中で、AB間の代物弁済契約の取り消しを求めます。しかし、Cは善意であるがゆえに、所有権をBに戻すことはできません。そのため、Bが代金から代物弁済によって消滅した債務(甲土地の代金部分)について、賠償するよう請求できます。

例えば、1000万円の債務で、甲土地の価額が1000万円であれば、1000万円の一部を賠償するよう求めることができます。
(一部がどれくらいかは債権額や他の債権者の数によって異なるので考えなくてもよい)

これらをまとめると

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(48字)

ですが、文字数が多いので。一部省略して、

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

となります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問44|行政法・記述

A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)

【解説】

問題文の状況

  • A市は、同市内に市民会館を設置している
  • 市民会館の運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられている
  • 利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている

質問内容

質問内容は、下記4点です。

  1. 住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?
  2. 市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?
  3. また、どのような形式で決定されるか?
  4. 市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

これらを一つ一つ考えていき、それを繋げればよいです。

住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?

普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとします(地方自治法244条1項)。
つまり、市民会館のような公共の施設を、地方自治法では「公の施設」と呼びます。

市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?

条例を設け又は改廃することは、普通地方公共団体の議会の議決によります(地方自治法96条1項1号)。
したがって、どの機関により決定するかというと「議会の議決」により決定します。

また、どのような形式で決定されるか?

普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、「条例」でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2の1項)。
つまり、どのような形式かというと「条例」という形式で決定されます。

市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができます(地方自治法244条の2の3項)。

したがって、市民会館等の運営に当たるBのような団体は「指定管理者」と呼ばれます。

そして、1~4をまとめると、

公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)
となります。

配点

  • 公の施設:6点
  • A市議会:4点
  • 条例:4点
  • 指定管理者:6点

平成26年・2014|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

地方公務員法の目的は、「地方公共団体の人事機関並びに・・・人事行政に関する[ ア ]を確立することにより、地方公共団体の行政の[ イ ]的かつ[ ウ ]的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もつて[ エ ]の実現に資すること」(同法1条)にあると定められている。まず、これを、国家公務員法の目的規定(同法1条1項)と比べてみると、[ ア ]、[ イ ]、[ ウ ]という文言は共通であるが、[ エ ]は含まれていない。[ ア ]という文言は、法律による規律は大枠にとどめ、地方公務員制度の場合には地方公共団体の、国家公務員制度の場合には独立行政委員会たる人事院の判断を尊重する趣旨である。次に、地方公務員法の目的規定を、国家行政組織法の目的規定(同法1条)と比べてみると、「[ ウ ]」という文言だけが共通に用いられている。この文言は、国民・住民の税負担に配慮した行政組織運営を心がけるべきことを言い表していると考えられる。なお、[ イ ]的行政運営と[ ウ ]的行政運営とはしばしば相対立するが、行政組織が国民主権・住民自治を基盤とすることに鑑みれば、[ イ ]的な運営が優先されるべきであろう。さらに、地方公務員法の目的規定を、地方自治法の目的規定(同法1条)と比べてみると、[ イ ]、[ ウ ]、[ エ ]という文言が共通に用いられている。すなわち同法は、「[ エ ]に基づいて、・・・[ イ ]的にして[ ウ ]的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障すること」をその目的として掲げているのである。[ エ ]は、これらの立脚点であるとともに、実現すべき目標であるということになる。

1.処分基準 2.基本的人権 3.一般 4.成績主義 5.根本基準 6.安定 7.系統 8.能率 9.健全な財政運営 10.総合 11.自主 12.職階制 13.一体 14.地方自治の本旨 15.地域 16.審査基準 17.科学的人事管理 18.民主 19.職域自治 20.権限配分原則

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【答え】:ア:5、イ:18、ウ:8、エ:14

【解説】

地方公務員法の目的は、「地方公共団体の人事機関並びに・・・人事行政に関する[ア:根本基準]を確立することにより、地方公共団体の行政の[イ:民主]的かつ[ウ:能率]的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もつて[エ:地方自治の本旨]の実現に資すること」(同法1条)にあると定められている。まず、これを、国家公務員法の目的規定(同法1条1項)と比べてみると、[ア:根本基準]、[イ:民主]、[ウ:能率]という文言は共通であるが、[エ:地方自治の本旨]は含まれていない。[ア:根本基準]という文言は、法律による規律は大枠にとどめ、地方公務員制度の場合には地方公共団体の、国家公務員制度の場合には独立行政委員会たる人事院の判断を尊重する趣旨である。次に、地方公務員法の目的規定を、国家行政組織法の目的規定(同法1条)と比べてみると、「[ウ:能率]」という文言だけが共通に用いられている。この文言は、国民・住民の税負担に配慮した行政組織運営を心がけるべきことを言い表していると考えられる。なお、[イ:民主]的行政運営と[ウ:能率]的行政運営とはしばしば相対立するが、行政組織が国民主権・住民自治を基盤とすることに鑑みれば、[イ:民主]的な運営が優先されるべきであろう。さらに、地方公務員法の目的規定を、地方自治法の目的規定(同法1条)と比べてみると、[イ:民主]、[ウ:能率]、[エ:地方自治の本旨]という文言が共通に用いられている。すなわち同法は、「[エ:地方自治の本旨]に基づいて、・・・[イ:民主]的にして[ウ:能率]的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障すること」をその目的として掲げているのである。[エ:地方自治の本旨]は、これらの立脚点であるとともに、実現すべき目標であるということになる。

まず、初めに、

法律の第1条にはその法律の目的が記述されており、
地方公務員法第1条(地方公務員法の目的)は、
この法律は、地方公共団体の人事機関並びに地方公務員の任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、休業、分限及び懲戒、服務、研修及び勤務成績の評定、福祉及び利益の保護並びに団体等人事行政に関する根本基準を確立することにより、地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。」と規定しています。

したがって、「アには根本基準」「イには民主」「ウには能率」「エには地方自治の本旨」が入ります。

【法律の条文の読み方】

「及び」は小さいグループに使い、「並び」は大きいグループに使います!

まず、冒頭「地方公共団体の人事機関並びに地方公務員の任用、職階制、・・・」を見ると、「並びに」があるので、ここで並列になっていることが分かります。そして、「地方公共団体の人事機関」と「地方公務員」はいずれも行政機関で同じ種類なので、この2つが並列となっています。

つまり、「地方公共団体の人事機関の~」と「地方公務員の~」という風に分けることができます。

次に読み進めると、及びで区切られています。これも同じグループで分けると

  1. 任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、休業、分限「及び」
  2. 懲戒、服務、研修「及び」
  3. 勤務成績の評定、福祉「及び」
  4. 利益の保護

このように4つが並列となっています。

つまり、

「地方公共団体の人事機関の1~4」と「地方公務員の1~4」と分けます。

最後にまた、「並びに」があるので、これは、前の大きなグループである「地方公共団体の人事機関の1~4」と「地方公務員の1~4」と並列なので「団体等人事行政に関する根本基準」を並列に並べます。

すると、

この法律は、

  1. 「地方公共団体の人事機関の1~4」
  2. 「地方公務員の1~4」
  3. 「団体等人事行政に関する根本基準」

を確立することにより、
「地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営」並びに「特定地方独立行政法人の事務及び事業」の確実な実施を保障し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。

となります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ ア ]の例による。」と規定しているが、同法には、行政事件訴訟の特性を考慮したさまざまな規定が置かれている。
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[ イ ]をすることができない。」と規定されており、それに対応して、執行停止のほか、仮の義務付け、仮の差止めという形で仮の救済制度が設けられている。それらの制度の要件はそれぞれ異なるが、内閣総理大臣の異議の制度が置かれている点で共通する。
また、処分取消訴訟については、「[ ウ ]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[ エ ]についても認められている。

1.関連請求の訴え 2.仮処分 3.訴訟の一般法理 4.当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体 5.訴えの取下げ 6.民事執行 7.適正手続 8.訴えの利益の消滅 9.処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関する争い 10.保全異議の申立て 11.行政上の不服申立て 12.強制執行 13.訴訟の提起 14.民事訴訟 15.執行異議の申立て 16.当該処分をした行政庁以外の行政庁 17.訴えの変更 18.保全命令 19訴訟の結果 20.公益代表者としての検察官

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【答え】:ア:14、イ:2、ウ:19、エ:16

【解説】

行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ア:民事訴訟]の例による。」と規定しているが、同法には、行政事件訴訟の特性を考慮したさまざまな規定が置かれている。
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[イ:仮処分]をすることができない。」と規定されており、それに対応して、執行停止のほか、仮の義務付け、仮の差止めという形で仮の救済制度が設けられている。それらの制度の要件はそれぞれ異なるが、内閣総理大臣の異議の制度が置かれている点で共通する。
また、処分取消訴訟については、「[ウ:訴訟の結果]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[エ:当該処分をした行政庁以外の行政庁]についても認められている。

ア.行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ ア ]の例による。」と規定している

ア・・・民事訴訟
行政事件訴訟法7条には「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」と規定されています。
つまり、行政事件訴訟について、行政事件訴訟法に定められてない内容については、民事訴訟法が適用されるということです。
イ.
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[ イ ]をすることができない。」と規定されており
イ・・・仮処分
行政事件訴訟法44条には「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない」と規定されています。
つまり、行政庁の処分には、民事保全法の仮処分はできないということです。
【理由】 仮処分とは、債権者からの申立てにより、民事保全法に基づいて裁判所が決定する暫定的処置です。
そして、行政庁の処分については、取消訴訟や無効等確認訴訟、義務付け訴訟、差止め訴訟を提起することができ、これらについての暫定的処置については、「取消訴訟や無効等確認訴訟」では「執行停止制度」があり、「義務付け訴訟、差止め訴訟」では「仮の義務付け、仮の差止め」があります。
行政庁の処分については、上記の通り、行政事件訴訟法で特別に定めをしているので、民事保全法に規定する仮処分をすることができないルールとしています。
ウ.
処分取消訴訟については、「[ ウ ]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。
ウ・・・訴訟の結果
行政事件訴訟法22条1項には、「裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる」と規定されています。
エ.
行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[ エ ]についても認められている。
エ・・・当該処分をした行政庁以外の行政庁
裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法23条1項)。
したがって、訴訟に参加できる者について、「処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁」も認められているということです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問41|憲法・砂川事件

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

右安全保障条約(※)は、その内容において、主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ ア ]に極めて重大な関係を有するものというべきであるが、また、その成立に当っては、時の[ イ ]は憲法の条章に基づき、米国と数次に亘る交渉の末、わが国の重大政策として適式に締結し、その後、それが憲法に適合するか否かの討議をも含めて衆参両院において慎重に審議せられた上、適法妥当なものとして国会の承認を経たものであることも公知の事実である。
ところで、本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ ア ]に極めて重大な関係をもつ[ ウ ]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[ イ ]およびこれを承認した国会の[ ウ ]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。

(※)日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約

(昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁)

1.存立の基礎 2.国権 3.建国の理念 4.幸福追求 5.自由裁量 6.憲法体制 7.衆議院 8.天皇 9.内閣総理大臣 10内閣 11.国会 12.権力分立 13.合目的 14.合法 15.高度の政治 16.要件裁量 17.民主 18.自由主義 19.大所高所 20.明白な違憲

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【答え】:ア:1、イ:10、ウ:15、エ:5

【解説】

右安全保障条約は、その内容において、主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ア:存立の基礎]に極めて重大な関係を有するものというべきであるが、また、その成立に当っては、時の[イ:内閣]は憲法の条章に基づき、米国と数次に亘る交渉の末、わが国の重大政策として適式に締結し、その後、それが憲法に適合するか否かの討議をも含めて衆参両院において慎重に審議せられた上、適法妥当なものとして国会の承認を経たものであることも公知の事実である。
ところで、本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ア:存立の基礎]に極めて重大な関係をもつ[ウ:高度の政治]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会の[ウ:高度の政治]的ないし[エ:自由裁量]的判断と表裏をなす点がすくなくない。

ア.

  • 右安全保障条約は、その内容において、主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ ア ]に極めて重大な関係を有するものというべきである
  • 本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ ア ]に極めて重大な関係をもつ[ ウ ]性を有するものというべきであって、
ア・・・存立の基礎
安全保障条約が、わが国にとってどのようなものかを考えると分かりやすいです。わが国[ ア ]に極めて重大な関係を有する
わが国の[ ア ]に極めて重大な関係をもつということから、「アには存立の基礎」が入ります。

イ.
その成立(右安全保障条約の成立)に当っては、時の[ イ ]は憲法の条章に基づき、米国と数次に亘る交渉の末、わが国の重大政策として適式に締結し・・・その条約を締結した[ イ ]およびこれを承認した国会・・・
イ・・・内閣
条約を締結する権限を持つのは内閣なので、「イには内閣」が入ります。
ウ.エ.
本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ ア:存立の基礎 ]に極めて重大な関係をもつ[ ウ ]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[ イ:内閣 ]およびこれを承認した国会の[ ウ ]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
ウ・・・高度の政治
エ・・・自由裁量
条約締結はどのような性質を持つのか?
また、
安全保障条約の内容が違憲なかどうかの法的判断は、国会のどのような判断と表裏をなすか?
を考えると、ウが分かります。
すると「ウには高度な政治」が入ります。また、条約締結の承認した国会にはどのような判断があるか?を考えると
「自由裁量」的な判断があるので
「エには自由裁量」が入ります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問40|会社法・定款

株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)の次に掲げる事項のうち、会社法の規定に照らし、その事項について定款の定めを必要としないものはどれか。

  1. 公開会社でない株式会社が、剰余金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行うこと
  2. 譲渡制限株式を発行する株式会社が、相続その他の一般承継により当該会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該会社に売り渡すことを請求すること
  3. 株券を発行していない株式会社が、その発行する全部の株式につき、株券を新たに発行すること
  4. 取締役の数が6人以上であって、そのうち1人以上が社外取締役である株式会社において、当該会社の代表取締役が当該会社を代表して多額の借財を行う場合に、当該行為についての取締役会の決議については、特別取締役による議決をもって行うこと
  5. 監査役会設置会社の取締役がその職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該取締役の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときに、当該会社の取締役がその決議によって、当該取締役の損害賠償責任額から最低責任限度額を控除した額の限度で当該損害賠償責任を免除すること

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.公開会社でない株式会社が、剰余金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行うこと
1・・・定款の定めが必要
●非公開会社 → 剰余金の配当を受ける権利について株主ごとに異なる取り扱いをする場合 → 定款の定めが必要株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません(109条1項)。
非公開会社は、①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利、③株主総会における議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いをする場合、その旨を「定款」で定めることができます(同条2項)。
よって、本肢の事項を定める場合、定款による定めが必要です。

2.譲渡制限株式を発行する株式会社が、相続その他の一般承継により当該会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該会社に売り渡すことを請求すること
2・・・定款の定めが必要
●相続・一般承継より譲渡制限株式を取得した場合、売渡請求できる旨 → 定款の定めが必要株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができます(174条)。
よって、本肢の事項を定める場合、定款による定めが必要です。

【理解】 

譲渡制限株式は、「譲渡」をする場合、会社の承認が必要となる株式を言います。
そして、相続や合併により株式を取得した者は、「譲渡」によって、株式を取得しているわけではないので、会社の承認なく、譲渡制限株式を取得します。

そのため、「会社にとって株式を持ってほしくない者」が、株式を持つことになる場合もあります。
そのような場合に備えて、「相続などで譲渡制限株式を取得した場合、会社は、その者に対して、譲渡制限株式の売渡請求ができる」ということを、定款に定めることができます。

こうすることで、「会社にとって株式を持ってほしくない者」が、株式を持った場合、会社は、その者に対して「株式を売ってください!」と請求できることができるようになります!

3.株券を発行していない株式会社が、その発行する全部の株式につき、株券を新たに発行すること
3・・・定款の定めが必要
●定款で定めた場合のみ株券を発行する

株式会社は株券を発行しないことが原則です。そして、株式会社は、定款で定めた場合のみ、株券を発行します(214条)。

よって、本肢の事項を定める場合、定款による定めが必要です。

4.取締役の数が6人以上であって、そのうち1人以上が社外取締役である株式会社において、当該会社の代表取締役が当該会社を代表して多額の借財を行う場合に、当該行為についての取締役会の決議については、特別取締役による議決をもって行うこと
4・・・定款の定めは不要
●指名委員会設置会社以外の取締役設置会社 → 特別取締役による取締役会により「重要な財産の処分及び譲受け」および「多額の借財」を決議できる

取締役会決議は、原則、取締役の過半数の出席とその過半数の議決を要します(369条1項)。しかし、特に迅速な意思決定が必要と考えられる「重要な財産の処分及び譲受け」および「多額の借財」についての決議は、一定の要件を満たしたときは、あらかじめ選定した3人以上の取締役(特別取締役という)だけで行う取締役会で決議することが可能です(373条1項)。この内容については、「定款による定めは不要」で、「取締役会」で決めます。

特別取締役による取締役会決議の要件

【指名委員会設置会社では特別取締役による議決の定めをすることができない理由】
指名委員会設置会社については、会社の執行機関として「執行役」が取締役会で選任され、業務執行を決定する権限を、取締役会が大幅に執行役に委任することができます。つまり、この執行役が上記特別取締役と同じ役割を果たします。そのため、指名委員会設置会社では特別取締役による議決の定めをすることができないです。
5.監査役会設置会社の取締役がその職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該取締役の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときに、当該会社の取締役がその決議によって、当該取締役の損害賠償責任額から最低責任限度額を控除した額の限度で当該損害賠償責任を免除すること
5・・・定款の定めが必要
●取締役が2人以上いる監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は、任務懈怠責任について、取締役による一部免除が可能 → 定款で定める必要がある また、登記事項でもある

①監査役設置会社(取締役が2人以上ある場合に限る。)、②監査等委員会設置会社又は③指名委員会等設置会社は、「役員等の株式会社に対する損害賠償責任」について、
当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、
責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、「責任の一部免除の規定」により免除することができる額を限度として
取締役(当該責任を負う取締役を除く。)の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除することができる旨定款で定めることができます(426条1項)。
よって、本肢の内容は、定款で定める必要があります。

取締役の任務懈怠責任について、善意かつ無重過失の取締役は、取締役の過半数の同意により、責任を一部免除する決議をすることができるということです。これは、定款に定める必要があります。また、登記事項でもあります。

【登記が必要な理由】 登記をして外部の人も分かるようにしないと、債権者に不測の不利益が生じることがあるから。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問39|会社法・株主総会

株主総会の決議に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 取締役会設置会社の株主総会は、法令に規定される事項または定款に定められた事項に限って決議を行うことができる。
  2. 取締役会設置会社以外の会社の株主総会においては、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外についても、決議を行うことができる。
  3. 取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったとみなされる。
  4. 株主総会の決議取消しの訴えにおいて、株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであっても、当該瑕疵が決議に影響を及ぼさなかったものと認められる場合には、裁判所は、請求を棄却することができる。
  5. 会社を被告とする株主総会の決議取消しの訴え、決議の無効確認の訴え、および決議の不存在確認の訴えにおいて、請求認容の判決が確定した場合には、その判決は、第三者に対しても効力を有する。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.取締役会設置会社の株主総会は、法令に規定される事項または定款に定められた事項に限って決議を行うことができる。
1・・・妥当
株主総会は、「会社法に規定する事項」及び「株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項」について決議をすることができます(会社法295条1項)。
ただし、取締役会設置会社においては、株主総会は、「会社法に規定する事項」及び「定款で定めた事項」に限り、決議をすることができます(同条2項)。
本肢は、取締役会設置会社なので、「会社法に規定する事項」及び「定款で定めた事項」に限り、株式総会で決議できます
よって、本肢は妥当です。

2.取締役会設置会社以外の会社の株主総会においては、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外についても、決議を行うことができる。
2・・・妥当
取締役会設置会社」においては、株主総会は、「株主に通知した事項」以外の事項については、決議をすることができません会社法309条5項)。
取締役会設置会社以外の会社」においては、上記規定はないので、株主に通知していない事項についても決議が可能です。
よって、本肢は妥当です。
3.取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったとみなされる。
3・・・妥当
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使できる株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなします会社法319条1項)。
よって、本肢は妥当です。
4.株主総会の決議取消しの訴えにおいて、株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであっても、当該瑕疵が決議に影響を及ぼさなかったものと認められる場合には、裁判所は、請求を棄却することができる。
4・・・妥当ではない
株主総会の決議取消しの訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、「その違反する事実が重大でなく」、かつ、「決議に影響を及ぼさない」ものであると認めるときは、同項の規定による「請求を棄却」することができます(会社法831条2項)。
本肢は、「株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであっても、・・請求棄却できる」となっているので妥当ではありません。
瑕疵が重大の場合は、請求棄却はできないからです。
請求棄却ができるのは「①瑕疵が重大でなく」かつ「②決議に影響を及ぼさない」場合、つまり①②を同時に満たす場合のみです。
5.会社を被告とする株主総会の決議取消しの訴え、決議の無効確認の訴え、および決議の不存在確認の訴えにおいて、請求認容の判決が確定した場合には、その判決は、第三者に対しても効力を有する。
5・・・妥当
会社の組織に関する訴えに係る請求(株主総会の決議取消しの訴え、決議の無効確認の訴え、および決議の不存在確認の訴え)を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有します会社法838条)。
よって、本肢は妥当です。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問38|会社法・株式併合・株式分割

取締役会設置会社であり、種類株式発行会社でない株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が行う株式の併合・分割等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、定款に別段の定めはないものとする。

  1. 株式を併合するには、その都度、併合の割合および株式の併合がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  2. 株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発行済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  3. 株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
  4. 株式の分割によって定款所定の発行可能株式総数を超過することになる場合は、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。
  5. 株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.株式を併合するには、その都度、併合の割合および株式の併合がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
1・・・正しい
●株式併合 → 特別決議株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の特別決議によって、下記事項を定めなければなりません(180条2項)。

【具体例】 10株を1株にしたり、2株を1株にすることが株式併合です。なぜ、特別決議が必要かというと、もし、10株を1株にした場合、9株保有している株主は株主としての地位を失ってしまい、9株をお金に変えるしかなくなります。つまり、既存株主にとって不利益が生じるからです。

2.株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発行済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
2・・・誤り
株式分割 → 株主総会の普通決議 or 取締役会決議株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、下記事項を定めなければなりません(183条2項)。

本問は取締役会設置会社なので取締役会の決議で定めることができます。したがって、誤りです。

【理由】 株式分割の場合、株主としての地位を失うこともなく、また、議決権の割合も変化しません。つまり、既存株主は不利益を受けません。そのため、特別決議までは不要です。

■株式分割の際に定める内容(覚えなくてもよい)

  1. 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
  2. 株式の分割がその効力を生ずる日
  3. 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

「株式の分割により増加する株式の総数」の「株式の分割前の発行済株式の総数」に対する割合とは?(参考程度)

下記内容は覚えなくても大丈夫です!参考程度です!

例えば、100株を発行している会社が、1株を100株に分割する場合、株式分割後の発行済み株式総数は10,000株になります。

増加する株式数は9,900株ですので、「株式の分割により増加する株式の総数」は9,900です。

「株式の分割前の発行済株式の総数」は100株なので、100です。

よって、割合は9,900/100の99になります。

3.株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
3・・・誤り
●株式無償割当て → 株主総会の普通決議 or 取締役会決議「株式無償割当て」とは、既存株主に対して、保有株式数に応じて、無償で新株の割当をすることを言います(185条)。例えば、1株あたり、0.5株を無償で交付するといった場合です。この場合、既存の株式1株を1.5株にする株式分割と実質的に同じです(違いは下表参照)。

株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、下記事項を定めなければなりません(186条1項)。
そして、下記事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(無償割当については、既存株主に不利益は生じないので、特別決議は不要です)。ただし、定款に別段の定めがある場合は、定款に従います(同条3項)。

本問は取締役会設置会社なので取締役会の決議で定めることができます。したがって、誤りです。

株式無償割当のポイント

  1. 異なる種類株式の割当もOK
  2. 自己株式には割当できない=自己株式は増えない
  3. 割り当てる株式は自己株式でもOK=自己株式を他の者に割り当てる
株式分割と無償割当の違い
4.株式の分割によって定款所定の発行可能株式総数を超過することになる場合は、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。
4・・・誤り
●株式分割による発行済株式総数増加の定款変更 → 例外的に、取締役会決議・取締役の決定で行える(株主総会決議は不要)

発行済株式総数は、発行可能株式総数を超えることはできません。そして、発行済株式総数を変更する場合、定款変更が必要なので、原則、株主総会の特別決議が必要です。しかし、株式分割の場合は、例外的に、「株主総会の決議による発行可能株式総数の変更」をしなくても、取締役会決議(非取締役会設置会社は、取締役の決定)で行えます。

そのため、本問の「株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ」という記述が誤りです。

理由 例えば、当初の発行可能株式総数300株で、発行済株式総数が50株だったとします。
そして、発行済株式について、1株を10株に株式分割をするとなると、発行済株式総数は500株に増えます。
しかし、この場合、取締役会決議・取締役の決定で当初の発行可能株式総数300株を10倍にすることは許されます

これは、既存株主の株式の保有割合は、変わらないため、既存株主に不利益が生じないからです。

5.株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならない。

5・・・誤り
●株式併合 → 株券発行会社の場合、株券発行は義務

株券発行会社が「株式の併合」をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し株券を提出しなければならない旨を当該日の1か月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません(219条1項2号)。
そして、株式の併合をしたときは、株券発行会社は、併合した株式に係る株券を発行しなければなりません(215条)
これは株式併合のルールであり、株式分割については、公告・通知のルールはありません
よって、本肢は「株式分割」の部分が誤りです。

なぜ、株式分割と株式併合で、株券の提出のルールが異なるのか?

例えば10株券を持っていた場合、2株→1株への株式併合が行われると、現在持っている株券は5株券になるので、「実際の株数」と「株券に記載されている株数」が異なるので、困ります。
なので、一度提出してもらって、新しく株券を発行します。

例えば10株券を持っていた場合、1株→2株への株式分割が行われても、現在持っている株券は10株券なので、新たに10株を無償で発行すればよいです。会社が、追加で株主に株式を郵送すればよいので、株主に提出してもらう必要はないです。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問37|会社法・株式会社の設立

株式会社の設立における出資等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 株主となる者が設立時発行株式と引換えに払込み、または給付した財産の額は、その全額を資本金に計上することは要せず、その額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上することができる。

イ 錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。(改)

ウ 設立時発行株式を引き受けた発起人が出資の履行をしない場合には、当該発起人は当然に設立時発行株式の株主となる権利を失う。

エ 発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負う。

オ 設立時発行株式の総額は、設立しようとする会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:4

【解説】

ア 株主となる者が設立時発行株式と引換えに払込み、または給付した財産の額は、その全額を資本金に計上することは要せず、その額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上することができる。
ア・・・妥当
●設立時に払込み、または給付した財産 → その額の2分の1準備金として計上できる株式会社の資本金の額は、原則、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額です(445条1項)。
ただし、上記払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額については、資本金として計上せずに、資本準備金にできます(同条2項3項)。よって、本肢は妥当です。

イ 発起人は、会社の成立後は、錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。(改)
イ・・・妥当
●株式会社 → 錯誤・詐欺・強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しはできない発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができません(51条2項)。よって本肢は妥当です。募集設立においては、株式引受人が創立総会において議決権を行使した後は上記取消しを主張することができなくなります。

【関連ポイント】

設立取消の訴えは、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の場合に、持分会社の社員や債権者が提起できます(832条)。

【参考】
「持分会社」の内部関係は民法上の組合に類似しているため、民法のルールが適用され、設立取消も可能としています。

ウ 設立時発行株式を引き受けた発起人が出資の履行をしない場合には、当該発起人は当然に設立時発行株式の株主となる権利を失う。
ウ・・・妥当ではない
●発起人が出資していない → 期日を定めて通知 → 期日までに出資の履行をしないときは株主となる権利が喪失発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければなりません(36条1項)。
上記通知を受けた発起人は、上記定められた期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失います(同条3項)。つまり、出資をしない場合、いきなり、株主の権利を失うわけではないので、本肢は妥当ではありません。【対比】 「発起人」と「募集設立における株式引受人」とでは出資を履行しない場合の扱い方が異なるので下表で確認しましょう!

エ 発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負う。

エ・・・妥当ではない

●不足額を払い込む義務があるのは → 現物出資・財産引受の場合(金銭については不足額についての払込義務はない)
●定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合 → 設立無効となる

株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければなりません(会社法27条)。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

そして、現物出資・財産引受の目的財産の価額が「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」に満たない場合(定款に定めた価額に著しく不足する場合)、発起人及び設立時取締役は、会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負います。(会社法52条1項)

したがって、本問は「払い込む金銭の額(金銭)」も含まれて記述されているので、誤りとなります。

ちなみに、出資された財産の価額が「会社の設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」に満たない場合、「設立無効の原因」となります。

 

オ 設立時発行株式の総額は、設立しようとする会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできない。
オ・・・妥当
●設立時発行株式の総額 → 公開会社:発行可能株式総数の4分の1以上
非公開会社:上記制限はない
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合(非公開会社の場合)は、4分の1を下回っても大丈夫です(37条3項)。
よって、本肢は妥当です。【4倍規制が存在する理由】 このルールは、既存株主の利益を保護するためのルールです。非公開会社の場合は、株を売買することはあまりありませんが、公開会社は、頻繁に売買され株主もよく変更します。そして、公開会社の場合、取締役会決議で株式を発行することが可能です。そして、もし、上記制限がないならば、発行可能株式総数を極端に増やし、たくさん株式を発行することで、既存株主の議決権を減らすことができます。そうすると、取締役にとって既存株主が煩わしい場合、たくさん株式を発行してそれを防ぐことができてしまいます。これは、既存株主にとって不利益なので、それができないように、発行できる株式に一定の制限を設けているのです。例えば、1000株発行するのであれば、発行可能株式総数は最大で4000株です。つまり既存株主は、今後、株式を増やしたとしても最大4000株までしか発行できないので、既存株主だけでも合計して25%の議決権は保障されます。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略