2020年過去問

令和2年・2020|問47|一般知識

普通選挙に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. アメリカでは、女性参政権に反対した南軍が南北戦争で敗れたため、19世紀末には男女普通選挙が実現した。
  2. ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていなかったが、ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現した。
  3. 日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。
  4. スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があり、現在まで女子普通選挙は行われていない。
  5. イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。

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【答え】:3

【解説】

1.アメリカでは、女性参政権に反対した南軍が南北戦争で敗れたため、19世紀末には男女普通選挙が実現した。
1・・・妥当ではない

アメリカ(当時のウィルソン大統領)は第一次世界大戦参戦(1914~1918年)のためには女性の協力が必要と考えたのですが、結果として、第一次世界大戦後の1920年に、女性の参政権を正式に認めたアメリカ合衆国憲法修正第19条が成立した。

よって、本肢は全体的に誤りです。

■南北戦争は、1861年から1865年にかけて、北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦です。

2.ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていなかったが、ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現した。

2・・・妥当ではない

ドイツでは、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていました。

よって、妥当ではありません。

■ドイツの帝政時代とは、1871年~1918年まで存続したドイツ帝国(プロイセン中心とした連邦制国家)です。

この時代では、二院制で、「上院に当たる連邦参議院」と「下院に当たる帝国議会」があり、帝国議会は成年男子による普通選挙で議員を選出するので、帝政時代には男子についても普通選挙が認められていました。

後半は妥当です。ワイマール共和国になって男女普通選挙が実現しました。

第一次世界大戦(1914~1918年)の敗北により、ドイツでは1918年11月12日、女性参政権を実現。 翌1919年1月19日、ワイマール共和国最初の国民議会選挙が実施され、ドイツで初めて女性が選挙に参加した。

3.日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。

3・・・妥当

日本では、1925年(大正14年)衆議院議員選挙法改正により、満25歳以上のすべての男子が選挙権を有することとなった。
1945年(昭和20年)衆議院議員選挙法改正により、女性の参政権を認め、満20歳以上のすべての国民が選挙権を有する「完全な普通選挙」が実現した。

第一次世界大戦(1914年~1918年)の後の1925年に日本で男子普通選挙(25歳以上の男が選挙権を持つ)が始まりました。

その後、第二次世界大戦(1939年~1945年9月)の後の1945年に、日本で男女普通選挙(20歳以上の「男女」が選挙権を持つ)が始まりました。

4.スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があり、現在まで女子普通選挙は行われていない。

4・・・妥当ではない

スイスでは、男子国民皆兵制と直接民主主義の伝統があることは妥当です。

そして、スイスは、他国よりも女性参政権が認められるのが遅かったです。

その理由は、当時のスイスでは「女性は政治以外のことをするために生まれてきた」という考えがあったからです。

その結果、スイスで、女性の参政権が連邦レベルで認められたのは、1971年で、他国よりも遅かったです。

5.イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。

5・・・妥当ではない

イギリスでは、「五次」にわたる選挙法改正が行われ、「20世紀初め」には男女普通選挙が実現していました。

第1次選挙法改正:1832年



第5次選挙法改正:1928年に、すべての21歳以上の男女に選挙権が与えられました。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問46|民法 40字問題

以下の[設例]および[判例の解説]を読んで記述せよ。

[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。

[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。

上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40字程度で記述しなさい。

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【答え】:

(背信的悪意者は、)登記の欠缺を主張することが信義則に反して許されないが、AC間の売買自体は有効であるから。(44文字)


【解説】

[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。

[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。

上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40字程度で記述しなさい。

【状況】

Aは、BとCの二者に譲渡した状況です。

A→B

A→C→D

Cは、Bを害する目的で買っているので、背信的悪意者です。

Dは、背信的悪意者からの譲受人です。

【質問内容】

Cは背信的悪意者に該当するが、背信的悪意者からの転得者Dについては、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗できる理由を質問しています。

「①背信的悪意者の意義」を踏まえつつ「DがBに対抗できる理由」を40字にまとめればよいです。

【①背信的悪意者の意義】について

判例(最判昭44.1.16)によると、

『実体上物権変動があった事実を知りながら当該不動産について利害関係を持つに至った者において、右物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであって、民法177条にいう「第三者」にあたらないものと解すべき』

としています。

つまり、「背信的悪意者の意義」とは、「背信的悪意者とはどういった人か?」ということです。

「背信的悪意者」とは、「登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないもの」です。

判例(最判平8.10.29)によると、

『Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならない。また、背信的悪意者が正当な利益を有する第三者にあたらないとして民法177条の「第三者」から排除されるゆえんは、第一譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第一譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第一譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである』

としています。

A→B

A→C→D

上記の「AC間の売買自体の無効を来すものではなく」とは、AC間の売買契約自体、無効でない=有効ということです。

【40字にまとめると】

(背信的悪意者は、)登記の欠缺を主張することが信義則に反して許されないが、AC間の売買自体は有効であるから。(44文字)


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問45|民法 40字問題

Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

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【答え】:

Aは、BがCの詐欺を知り、又は知ることができたときに限り、契約を取り消すことができる。(43字)


【解説】

Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

Aは、Cに騙されているので、「詐欺」のルールが適用されることが分かります。

そして、売買契約はAB間で行われているので、Aは、第三者Cから詐欺を受けています。

【第三者詐欺】

相手方Bがその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。

このルールを40字程度でまとめればよいです。

Aは、BがCの詐欺を知り、又は知ることができたときに限り、契約を取り消すことができる。(43字)


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問44|行政法 40字問題

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。

Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。

この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:
Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)
Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認訴訟を提起すべきである。(43字)

【解説】

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。

Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。

この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。

「組合」は事業の施行者で、「A県知事」が行政庁です。

【前提となる事項】

A県知事(行政庁)が、組合に対して、「土地区画整理事業を行ってもいいですよ!」と認可(処分)をして、組合が土地区画整理事業の施行者として設立されます。(事業施行者としての組合については、知事の認可が成立要件となっている)

Xは、施行地区内の「土地所有者」であり、組合員です。

【誰を被告とするか?】

施行者(実際に、事業を行っている主体[張本人])は「組合」であり
換地処分を行っているのも、「組合(施行者)」です。

そして、本問では、Xは、換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えています。

ここで、行政事件訴訟法11条2項では、
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。」
としております。

そして、組合は、換地処分のような「法的効果をもつ行為」を自ら行っているため、「行政庁に準じた地位を有する」とされています

したがって、訴える相手(被告)は、換地処分を行った「組合」となります。

※土地区画整理事業の認可処分について取消しを求める場合、被告はA県となります。

【どのような行為を対象とするか】

Xは、換地処分の配分が違法であることを求めているので、対象となる行為は、「換地処分」です。

【どのような訴訟をすべきか】

通常、換地処分について取消訴訟を提起すればよいのですが、「取消訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した」と書いてあるので、取消訴訟は提起できません。

できることとなると「無効等確認の訴え(無効確認訴訟)」です。これであれば、出訴期間はありません。

【40字にまとめると】

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認訴訟を提起すべきである。(43字)


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問43|行政法

次の文章は、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等が違法であるとして、当該懲罰を受けた議員が提起した国家賠償請求訴訟に関する最高裁判所の判決の一節である(一部修正してある)。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ ]に当たり、適法というべきである。

もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。

普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。

したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が[ エ ]の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。

(最一小判平成31年2月14日民集73巻2号123頁)

1.公法上の地位 2.一般市民法秩序 3.直接民主制 4.既得権 5.地方自治の本旨 6.知る権利 7.制度改革訴訟 8.行政立法 9.立法裁量 10.議会の内部規律 11.私法上の権利利益 12.統治行為 13.公法上の当事者訴訟 14.道州制 15.権力分立原理 16.当不当 17.自己情報コントロール権 18.法律上の争訟 19.抗告訴訟 20.司法権

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【答え】: ア:11:私法上の権利利益、イ:18:法律上の争訟、ウ:5:地方自治の本旨、エ:10:議会の内部規律【解説】

本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア:私法上の権利利益 ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ:法律上の争訟 ]に当たり、適法というべきである。もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。

普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ:地方自治の本旨 ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ:議会の内部規律 ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が[ ア:私法上の権利利益 ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。

したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の[ ア:私法上の権利利益 ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が[ エ:議会の内部規律 ]の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。

【ア】 本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり

ア・・・11:私法上の権利利益

「ア」の侵害=名誉を毀損され、精神的損害を被った

ということなので、アには「私法上の権利利益」が入ります。

■「自己情報コントロール権」とは?

現代社会において、国家や企業などはたくさんの個人情報を持っています。そして、本人の知らないところでやりとりされた個人情報が、本人に不利益な使い方をされるおそれがあります。そのため、どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利を「自己情報コントロール権」や「情報の自己決定権」と言います。

これが入りそうにも思えるのですが

「公表→名誉棄損→精神的損害」という論理だてなので

国家賠償請求の直接的な理由は「名誉棄損」となり、「私法上の権利利益」がだととなります。

正直これは、難しいので、解けなくても仕方がありません。

■ただし、「国家賠償請求」は民事訴訟なので「公法上の地位」は入りません。

【イ】 法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ ]に当たり、適法というべきである

イ・・・18:法律上の争訟

「法律上の争訟」とは、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②法律を適用することにより終局的に解決することができるものを言います。

「法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえない」という記述から、上記を思い浮かべて、「法律上の争訟」を入れることになります。

【分かりやすく言えば】

権利や義務に関する争いで、法律を使って解決できる争いが「法律上の争訟」です!

例えば、あなたが私にお金を貸したけど、私がお金を返さない。そのような場合、貸金債権について、民法を適用して解決できるので、貸したお金を返してください!という「貸金返還請求訴訟」は法律上の争訟に当たります。

【ウ】 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ ]に基づき自律的な法規範を有する

ウ・・・5:地方自治の本旨

憲法92条において「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と規定しています。

よって、ウには「地方自治の本旨」が入ります。

地方自治の本旨とは、「住民自治」と「団体自治」との両方の意味を含みます。

■住民自治とは、その地域における統治は中央政府機関によることなく、その地域の住民自身によっ
て行われることです。

■団体自治とは、国という1つのまとまりのある領土内において、一定の地域を基礎とする団体が、その地域内の公共事務をみずからの意思にもとづいて処理することです。

【エ】 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ:地方自治の本旨 ]に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。

エ・・・10:議会の内部規律

「議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当」と書いてあるので、「議会内部の問題」については、議会で処理するのが適当ということです。

また、その前に「自律的な法規範」という記述があるので、エには「議会の内部規律」が入ります。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政指導とは、相手方の任意ないし合意を前提として行政目的を達成しようとする行政活動の一形式である。

行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し、行政指導に関する幾つかの条文を規定している。例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ ]手続の対象となることを定める規定がある。

行政指導は、一般的には、法的効果をもたないものとして処分性は認められず抗告訴訟の対象とすることはできないと解されているが、行政指導と位置付けられている行政活動に、処分性を認める最高裁判決も出現しており、医療法にもとづく[ イ ]について処分性を認めた最高裁判決(最二判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁)が注目されている。

1.通知 2.通達 3.聴聞 4.所掌事務 5.告示 6.意見公募 7.担当事務 8.基準 9.勧告 10.命令 11.弁明 12.審理 13.担任事務 14.告知 15.自治事務 16.指針 17.要綱 18.規則 19.所管事務 20.指示

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:4:所掌事務、イ:9:勧告、ウ:16:指針、エ:6:意見公募

【解説】

行政指導とは、相手方の任意ないし合意を前提として行政目的を達成しようとする行政活動の一形式である。

行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア:所掌事務 ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ:勧告 ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し、行政指導に関する幾つかの条文を規定している。例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ:指針 ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ:意見公募 ]手続の対象となることを定める規定がある。

行政指導は、一般的には、法的効果をもたないものとして処分性は認められず抗告訴訟の対象とすることはできないと解されているが、行政指導と位置付けられている行政活動に、処分性を認める最高裁判決も出現しており、医療法にもとづく[ イ:勧告 ]について処分性を認めた最高裁判決(最二判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁)が注目されている。

【ア、イ】 行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は[ ア ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、[ イ ]、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し

ア・・・4:所掌事務
イ・・・9:勧告

行政指導の定義を覚えていれば解けます。

行政指導とは、行政機関がその任務又は「所掌事務」の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、「勧告」、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号)。

これは覚えていくべき条文です。

キーワードは、
「所掌事務、特定の者、一定の作為又は不作為、勧告、助言、処分に該当しないもの」
なので、これらはすべて覚えておきましょう!

【ウ】 例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し

ウ・・・16:指針

上記内容は、「行政指導指針」に関する内容です。

行政指導指針とは、同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいいます(行政手続法2条8号ニ)。

キーワードは
「同一の行政目的、複数の者、行政指導、共通」です。

【エ】 例えば、行政手続法は、行政指導[ ウ:指針 ]につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、[ エ ]手続の対象となることを定める規定がある。
エ・・・6:意見公募

「行政指導指針」と「●●手続」がキーワードです。

命令等制定機関は、命令等(法律に基づく命令、審査基準、処分基準、行政指導指針)を定めようとする場合には、意見公募手続きをとらなければなりません(行政手続法39条1項)。

したがって、行政指導指針は意見公募手続の対象です。

意見公募手続とは、具体的には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間(意見提出期間)を定めて広く一般の意見を求めることです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問40|会社法

公開会社であり、かつ大会社に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 譲渡制限株式を発行することができない。
  2. 発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えることはできない。
  3. 株主総会の招集通知は書面で行わなければならない。
  4. 会計監査人を選任しなければならない。
  5. 取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1【解説】

公開会社であり、かつ大会社について

1.譲渡制限株式を発行することができない。

1・・・誤り

「公開会社」とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社を言います(会社法2条5号)。

つまり、1株でも「譲渡制限のない株式」を発行している会社は「公開会社」です。

言い換えると、公開会社は、譲渡制限株式を発行できます。

したがって、「公開会社であり、かつ大会社は、譲渡制限株式を発行できない」というのは誤りです。

※大会社とは、「資本金が5億円以上」又は「貸借対照表の負債額が200億円以上」の株式会社のことをいいます。負債が大きい=それだけ借り入れができる大きい会社ということ。

ただ、これは覚えなくてもいいかなと思います。

大きな会社というイメージでよいでしょう!

公開会社であり、かつ大会社について

2.発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えることはできない。

2・・・正しい

公開会社に限り、設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません(会社法37条3項)。

よって、本肢は正しいです。

【理由】

このルールは、既存株主の利益を保護するためのルールです。

非公開会社の場合、株を売買することはあまりありませんが、公開会社は、頻繁に売買され株主もよく変更します。

そして、公開会社の場合、取締役会決議で株式を発行することが可能です。

そして、もし、上記制限がないならば、発行可能株式総数を極端に増やし、たくさん株式を発行することで、既存株主の議決権を減らすことができます。

そうすると、取締役にとって既存株主が煩わしい場合、たくさん株式を発行してそれを防ぐことができてしまいます。これは、既存株主にとって不利益なことなので、それができないように、発行できる株式に一定の制限を設けているのです。

■例えば、1000株発行するのであれば、発行可能株式総数は最大で4000株です。

つまり既存株主は、今後、株式を増やしたとしても最大4000株までしか発行できないので、既存株主だけでも合計して25%の議決権は保障されます。

公開会社であり、かつ大会社について

3.株主総会の招集通知は書面で行わなければならない。

3・・・正しい

株式会社が取締役会設置会社である場合、株主総会の招集通知は、書面でしなければなりません(会社法299条2項2号)。

よって、本肢は正しいです!

■取締役会「非」設置会社の多くは、株主が取締役(社長等)の場合が多いため、株主総会の招集通知は、あえて書面で行う必要はありません。

一方、取締役会設置会社では、大きな会社の場合も多く、取締役でない株主の場合も多いです。

そのため、株主総会を行う場合は、書面できちんと通知するよう求めています。

公開会社であり、かつ大会社について

4.会計監査人を選任しなければならない。

4・・・正しい

会計監査人が必要な会社とは、①大会社、②監査等委員会設置会社、③指名委員会等設置会社です(会社法328条1項、327条5項)。

よって、公開会社であり、かつ大会社は、大会社なので、会計監査人を選任しなければなりません。

■まず、会計参与が、取締役と共同して計算書類を作成します。
そして、この計算書類等の監査するのが「会計監査人」です。
つまり、会計監査人は「外部監査人」といったイメージです!

このような会計監査人(外部監査)が必要な会社とは、
①大会社、②監査等委員会設置会社、③指名委員会等設置会社といった大きな会社です。

公開会社であり、かつ大会社について

5.取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。

5・・・正しい

公開会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができません(会社法331条2項)。

よって、公開会社であり、かつ大会社の株主会社は、公開会社なので、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができません。

【理由】

そもそも、株式会社は、オーナー(株主)と経営者は分離されています。

例えば、トヨタ自動車の株式を「あなた」が購入したとします。「あなた」は「オーナー(株主)」ですが、経営者(取締役)ではなりません。

このように、株式会社は、オーナー(株主)と経営者は分離されており株主の数も非常に多いです。

つまり、公開会社については、多くの株主に不利益がでないように、会社運営をする能力がある人について間口を広くする必要があります。

そのため、公開会社については「取締役が株主でなければならない旨」を定款で定めることができません。

一方、非公開会社については、オーナー(株主)と経営者が同じ場合が多いです。

一般的な家族経営の会社です。

この場合、自分で出資して自分が株主となり、自分が会社の社長(取締役)となります。

このように非公開会社の株主は、親族や知り合いといった限られた人なので、「取締役が株主でなければならない旨」を定款で定めていたしても、不利益を受ける範囲も限定されるので、このような定めも可能です。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問39|会社法

株主総会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。
  2. 株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。
  3. 株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。
  4. 株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。
  5. 株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】

1.株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。

1・・・正しい

株式会社は、一定の日(「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができます(会社法124条1項)。

分かりやすくいうと、株式会社は基準日を決めて、「基準日に株主名簿に載っている株主が、株主総会で議決権を行使(投票)できる」と定めることができます。

2.株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。

2・・・正しい

基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができます(会社法124条4項本文)。

ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができません(会社法124条4項ただし書)。

つまり、基準日に株主になっている人の権利を侵害しなければ、基準日より後に株主になった人に、株主総会での議決権を行使できるよう、定めることができます。

3.株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。

3・・・正しい

株主は、代理人によってその議決権を行使することができます。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければなりません(会社法310条1項)。

そして、上記の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければなりません(会社法310条2項)。

つまり、株主は、代理人に議決権の行使を任せることができますが、代理権の授与は株主総会ごとに行う必要があり、数回分の株主総会についてまとめて代理権授与というのはダメだということです!

4.株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。

4・・・誤り

本肢のような規定はないので、誤りです。

株主総会が延期・続行された場合に、新たな基準日を定めるという条文は会社法にありません。

延期・続行された場合に、株主総会の招集規定は適用されません(会社法317条)。
延期・続行された株主総会(株主総会の議事に入ったものの、審議を終わらないまま後日に継続した株主総会)は、もとの株主総会と一体として扱い、「継続会」と呼ばれます。

5.株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

5・・・正しい

取締役は、株主総会を招集する場合に、「株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするとき」は、その旨を定めなければなりません(会社法298条1項3号)。

つまり、書面によって議決権を行使できるのは、「株主総会に出席しない株主」です。

もし、出席して議決権を行使すると、「書面による議決権行使」と「株主総会による議決権行使」の2回権利行使していることになります。この場合、「書面による議決権行使」の効力は失われ、「株主総会による議決権行使」が優先します。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問38|会社法

株式会社が自己の発行する株式を取得する場合に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。
  2. 株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定めることができる。
  3. 株式会社が他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができる。
  4. 取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
  5. 株式会社が、株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】

1.株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。

1・・・正しい

下記3つについては、株式会社は全部の株式の内容に特別な定めを置くことができ(会社法107条)、また一部の株式の内容に対しても特別な定めを置くことができます(会社法108条)。

「全部の株式」にも定めることができ、また、「一部の株式」にのみ定めることができるのは下記3つです。

  1. 譲渡制限株式 : 株式を譲渡により取得する場合に、会社の承認が必要な株式
  2. 取得請求権付株式 : 会社に対して株式を取得するよう、株主から請求する事のできる株式
  3. 取得条項権付株式 : 一定の条件が発生すると、会社が株主から株式を取得できる株式
2.株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定めることができる。

2・・・正しい

選択肢1の解説の通り、「当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定める」ことは「取得条項付株式」です。

これは、株式会社の発行する全部または一部の株式の内容として定めることができるので正しいです。

3.株式会社が他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができる。

3・・・正しい

株式会社は、他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得するとき、当該株式会社の株式を取得することができます(会社法155条10号)。

よって、正しいです。

例えば、 B社がA社の株式を持っていたとします。そして、A社が、B社の事業を全部譲り受ける場合、A社は、「B社が持っているA社の株(A社からみれば自己株式)」を取得できる、ということです。法律の条文では難しく見えるのですが、内容は簡単です!

法律の条文では難しく見えるのですが、内容は簡単です!

4.取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。

4・・・正しい

取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得すること(=自社株買い)を取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができます(会社法165条2項)。

市場取引であれば、誰もが取引をしている市場で取引をするわけなので、既存株主に不利益を与えません。

そのため、取締役会の決議によって定めることができます。(=株主総会決議は不要)

5.株式会社が、株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができる。

5・・・誤り

株式会社が、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合、分配可能額を超えて、自己株式を取得するということはできません(会社法461条1項2号)。

よって、本肢は誤りです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問37|会社法

株式会社の設立等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。

イ.株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。

ウ.現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。

エ.株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

オ.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:1

【解説】

ア.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。

ア・・・正しい

各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。

これは、発起設立も募集設立も同じです。

よって、本肢は正しいです!

イ.株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。

イ・・・誤り

「株式会社の設立の取消しの訴え」という制度はありません。よって、本肢は誤りです。
ちなみに、持分会社では「持分会社の設立の取消しの訴え」があります(会社法832条)。

株式会社については「設立無効の訴え」という制度はあります(会社法828条)。
本肢の場合、「定款認証がない」ので、「設立無効の訴え」を提起することは可能です。

ウ.現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。

ウ・・・正しい

現物出資財産等について、「定款に記載され、又は記録された価額」が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合、現物出資財産等については検査役による調査は不要です(会社法33条10項3号)。

よって、正しいです。

【現物出資財産等で検査役の調査が不要な場合】

  1. 現物出資・財産引受の定款記載価額の総額が500万円を超えない場合
  2. 市場価格のある有価証券で、定款記載の価額がその市場価格を超えない場合
  3. 弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けている場合。(不動産については不動産鑑定士)

【検査役とは?】

「検査役」とは、相対的記載事項がある場合に、発起人は、公証人の認証の後遅滞なく、相対的記載事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをし、裁判所によって選任された者です(33条1項2項)。

【2の具体例】2の市場価格とは、株価を指します。例えば、ソフトバンクの株価が1株5,000円とします。この場合、100株で50万円です。ソフトバンクの株100株を出資金額50万円以下として出資するのであれば、検査役の検査は不要ということです。

エ.株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

エ・・・誤り

株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、発起人は、株式会社の設立に関して支出した費用を負担します(会社法56条)。

本肢は「設立時役員等」となっているので誤りです。

「設立時役員等」は含みません!

【設立時役員等が負担しない理由】

そもそも「設立時役員等」とは、設立時取締役等を指しますが

設立時取締役は、出資の履行が完了しているか等の設立事項の調査をするだけで、通常の会社の取締役とは異なり、業務の執行機関(実際の業務に携わる機関)ではないです。

言い換えると、経営陣ではないでの、株式会社の設立に関して支出した費用を負担しません。

【会社不成立の具体例】 創立総会で設立廃止の決議がなされた場合等です。

この場合、発起人が全責任を負うため、発起人は、設立に関して支出した費用を負担しないといけません(56条)。

【会社法56条の具体例】 発起人A・Bがおり、募集設立を行い、引受人から出資を受けた場合、A・Bは、無過失でも、引受人に対する出資されたお金について、連帯して返還義務を負います。

オ.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

オ・・・誤り

設立時発行株式を引き受ける者の募集をした場合には、発起人は、出資金の払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができます(会社法64条1項)。

これは「募集設立の場合」のみの規定であり「発起設立」については対象外です。

よって、本肢は誤りです。

【募集設立のみ保管証明制度がある理由】

募集設立の場合、発起人以外の出資者は、直接設立事務に関与しません。

そのため、出資したお金が発起人等に不当に使われてしまう可能性もあります。

それを防ぐために払込金保管証明制度があります。

■なぜ、「発起人が」払込金保管証明書の交付請求ができるかというと、設立をする際に、払込金保管証明書が添付書類として必要になるため、設立手続きを行う発起人が交付請求できるようにしています。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略