2020年過去問

令和2年・2020|問26|行政法

自動車の運転免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。
  2. 道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。
  3. 運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。
  4. 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。
  5. 都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

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【答え】:1
【解説】
1.自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。

1・・・正しい

自動車等を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません(道路交通法84条1項)。

また、都道府県公安委員会は合議制の機関です。

2.道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。

2・・・誤り

免許停止期間が終了した際に、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っているのであれば、運転免許停止処分を争う利益はあるので、免許停止期間が終了したとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅しません。

【理由】

違反点数が残っていれば、次回違反した場合に、以前の違反点数+次回の違反点数となるため、過去の違反点数を取り消すことによる利益はあるからです。
【判例:最判昭55.11.25・・・違反点数が残っていない場合】

運転免許停止処分がなされて、免許停止期間の経過後、無事故無違反で一定期間経過すると、免許停止処分がなかったことになり、また、免許停止処分を受けたことがあることにより、何らかの不利益を受けるといった法令はありません。
そのため、上記一定期間を経過した後に、運転免許停止処分の取消しを求めたとしても、処分を受けた者に利益はないので、訴えの利益は認められません。

■また、免許停止処分の記載のある免許証を所持することにより、警察官に免許停止処分があった事実を覚知され、名誉、感情、信用等を損なう可能性が常時継続して存在するとしても、
これは事実上の効果にすぎないものであり、これをもって処分取消しの訴えによって回復すべき法律上の利益を有することの根拠とするのは相当でないとしています。

3.運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。

3・・・誤り

「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、運転免許の「有効期限」なので、附款のうち「期限」に該当します。

「条件」ではないので誤りです。

4.自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。

4・・・誤り

本肢は「特許」が誤りです。正しくは、「許可」です。

「許可」とは、禁止されている行為を、特定の場合に解除して、適法に特定の行為を行わせる行為です。

自動車の運転は、本来誰でも行うことができるのですが、それをいったん法律で禁止して、学科試験や実務試験に合格した人に限って、禁止を解除して、運転できるようにしています。

5.都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

5・・・誤り

本肢は「都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たる」が誤りです。

都道府県公安委員会は、都道府県知事の所轄の下に置かれる機関です(警察法38条1項)。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問25|情報公開法

情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。
  2. 行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。
  3. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
  4. 条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。
  5. 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

(注)* 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

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【答え】:1【解説】

1.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

1・・・妥当

判例(最判平11.11.19)によると、

「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はない」

と判示しています。

つまり、通知書に理由を記して非公開の決定をした後、裁判となった場合、当初の理由以外を主張することもOKということです。

分かりやすく言えば、「○○」という理由で公文書の非公開決定処分をした後で、その処分の取消訴訟で「××」という別の理由で非公開にしたと主張してもよいということです。

おって、本肢は妥当です。

この事案は、住民Xが、市の情報公開条例に基づき、監査委員Yに対して、「住民監査請求」に関する記録の公開を請求した事案です。

【参考知識:覚えなくても大丈夫です】

なぜ、当初の理由以外を主張することもOKなのか?

そもそも

非公開決定の通知に併せ てその理由を通知すべきものとしているのは、下記を目的としています。

・非公開の理 由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当とを担保してそのし意を抑制す ること

・非公開の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立て に便宜を与えることを目的としている

この目的 は、非公開の理由を具体的に記載して通知させること(実際には、非公開決定の通知 書にその理由を付記する形で行われる。)自体をもって
ひとまず実現されます。

そのため、一たび通知 書に理由を付記した以上、
実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消 訴訟において主張することを許さない
とする趣旨をも含むとは言えないので

当初の理由以外を主張することもOKということです。

2.行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。

2・・・妥当でない

判例(最判平26.7.14)によると

「開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては、その取消しを求める者(原告)が、当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う」

としています。

よって、本肢は「主張立証責任は、被告が負う」となっているので誤りです。

【なぜ原告が立証請求を負うのか?】

情報公開法において、行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう(2条2項本文)。

そして、行政文書の開示を請求する権利の内容は情報公開法によって具体的に定められたものであり、行政機関の長に対する開示請求は当該行政機関が保有する行政文書をその対象とするものとされている(3条)。

したがって、当該行政機関が当該行政文書を保有していることが開示請求権の成立要件とされている

よって、不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて、原告が立証責任を負う

3.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

3・・・妥当でない

判例(最判平14.2.28)によると、

「愛知県公文書公開条例に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合であっても、上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。」

としています。

【訴えの利益が消滅しない理由】

公開請求権者は、本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、
裁判において証拠書類で提出されたとしても、正式に閲覧・写しの交付を受けたわけではないから、訴えの利益は消滅しないということです。

4.条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。

4・・・妥当でない

判例(最判平18.4.20)によると

「条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件決定を行った場合、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける」

と判示しています。

よって、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるわけではないので、妥当ではないです。

5.条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

5・・・妥当でない

那覇市が、市の情報公開条例に基づいて、自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書付属資料を市民団体の請求に対して開示決定をしたので、「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案で

判例(最判平13.7.13)によると、

『公開されることで、本件建物の内部構造などが明らかになり、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されるため「法律上の争訟に当たる」』

としました。

よって、「法律上の争訟に該当しない」というのは妥当ではないです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問24|地方自治法

地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
  2. 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
  3. 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
  4. 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
  5. 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
1・・・誤り

判例(最判昭55.2.22)によると、「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
したがって、本肢は誤りです。

住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、「相続人が当該地方公共団体の住民である場合」であっても、訴訟を承継することができません。

2.住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。

2・・・誤り

普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合において、裁判所に対し、住民監査請求の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって一定の請求をすることができます(地方自治法242条の2)。

そして、住民監査請求は「普通地方公共団体の住民」でないと請求することができません。
また、「違法若しくは不当な公金の支出(財務会計行為)」については、住民監査請求が可能です。(地方自治法242条1項)

本肢は、「その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である」が誤りです。
対象となる財務会計行為が行われた時点で住民である必要はありません。

3.住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
3・・・誤り
住民監査請求は一人でも行うことができます。

よって、「条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により」は誤りです。

【対比ポイント】

事務監査請求については、「選挙権を有する者の50分の1以上の者の連署をもって」行う必要があります

4.普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
4・・・誤り

判例(最判平24.4.20)によると、

「市の非常勤職員への退職慰労金の支給が違法であるとして提起された住民訴訟の係属中に、その請求に係る市長及び担当職員に対する市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決がされた場合において、放棄に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があった場合、権利放棄の議会の議決は無効となる」

としています。

したがって、不当利得返還請求権が裁判で確定した後も、裁量権の範囲内であれば、不当利得返還請求権を放棄する議決ができる場合もあるので誤りです。

【判例理解】

市が非常勤職員に対して退職金を支給

住民が、が市に対して
「上記支給はおかしい!非常勤職員から退職金を返還してもらえ!」
と住民訴訟を提起

上記裁判中に
市が、「市が有する退職金の返還請求権を放棄します!」という議決をすることは
裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があった場合、権利放棄の議会の議決は無効となる

ということです!

5.住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。
5・・・正しい

住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができます(地方自治法242条の2第12項)。

よって、本肢は正しいです。

【相当と認められる額とは?】

判例(最判平21.4.23)によると、

「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
「住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい、その具体的な額は、当該訴訟における事案の難易、弁護士が要した労力の程度及び時間、認容された額、判決の結果普通地方公共団体が回収した額、住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべき」

としています。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問23|地方自治法

地方自治法の定める自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。
  2. 都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。
  3. 普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
  4. 自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。
  5. 都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

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【答え】:5【解説】

1.都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。

1・・・誤り

「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。

つまり、都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限らず、法定受託事務以外は自治事務となります。

2.都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。

2・・・誤り

普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができます(地方自治法14条1項)。

「法律で定められている」処分要件を、条例で変更するということは、「法律に違反しているので」変更はできません。

よって誤りです。

3.普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
3・・・誤り
普通地方公共団体は、その「事務」の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受けることはできません(地方自治法245条の2)。「事務」とは、自治事務だけでなく、法定受託事務も含むので、「自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある」という記述は誤りです。法定受託事務と自治事務の両方とも、「法律や政令の根拠」がなければ、国や都道府県の関与を受けることはありません。
4.自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。

4・・・誤り

自治紛争処理委員は、非常勤です(地方自治法251条3項)。

つまり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員を置く必要はないので誤り。

【関連ポイント】

  • 自治紛争処理委員は、3人。
  • 事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、「総務大臣又は都道府県知事」がそれぞれ任命する。
  • 任命する場合においては、「総務大臣又は都道府県知事」は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する「各大臣又は都道府県の委員会若しくは委員」に協議するものとする。
5.都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

5・・・正しい

本肢は下記1号の内容です。

は1号の内容です。

「①次の各号に掲げる都道府県の執行機関」は、「②市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」は、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます(地方自治法245条の6)。

つまり、「①都道府県知事」は、「②市町村長その他の市町村の執行機関の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」は、当該市町村に対し、違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問22|地方自治法

住民について定める地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。

オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:1

【解説】

ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

ア・・・正しい

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。

つまり、神奈川県横浜市に在住する人は、「横浜市の住民」でもあり「神奈川県の住民」でもあります。

この条文は重要なのです。

なぜなら、下記請求の要件となっているからです。

■「住民監査請求」は、「住民」が要件の一つです。

■また、「事務監査請求(直接請求)」は、選挙権を有する「住民」(外国人は含まない)が要件の一つです。

つまり、住民以外の人は上記請求権はありません。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

イ・・・誤り

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。これは外国籍の人も含みます。

しかし、日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する(地方自治法11条)ため、選挙権については、外国籍の方はありません。

よって、本肢は誤りです。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

ウ・・・正しい

住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負います(地方自治法10条2項)。

分かりやすくいえば、住民は、「行政サービスを受ける権利」があり、逆に「税金を納めるという負担(義務)」を負います。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。
エ・・・誤り

本肢は「日本国民たる普通地方公共団体の住民」が誤りで、正しくは「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)」です。

条例制定・改廃請求ができるのは、「選挙権を有する住民」です。

「日本国民たる普通地方公共団体の住民」となると、満18歳未満の人も含みます。

一方、「選挙権を有する住民」は「満18歳以上の者」で「3か月以上その市町村の区域内に住所を有する者」です。

よって、本肢は誤りです。

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる(地方自治法74条1項)。
オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。
オ・・・誤り

市町村は、別に法律(住民基本台帳法)の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録(住民基本台帳)を常に整備しておかなければなりません(地方自治法13条の2)。

よって、本肢は「都道府県」が誤りで、正しくは「市町村」です。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問21|国家賠償法

国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
  2. 建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たらない。
  3. 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
  4. 裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない。
  5. 検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。

(注)* 公害健康被害の補償等に関する法律

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【答え】:5

【解説】

1.宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
1・・・妥当ではない

【事案:最判平元.11.24】

宅建業法の免許基準を満たしていない者に対して免許を与えたり、免許の更新をした。その後、当該宅建業者の不正行為により、取引相手が損害を被った。
当該業者に対して、監督処分を行わなかった知事等の権限不行使は、どのようなとき、国家賠償法1条1項の「違法な行為」に該当するか?

【判例】

『業務停止に関する知事等の権限が、その裁量により行使されるべきことは宅建業法の規定から明らかである。

また、免許の取消しについては、「業務の停止事由に該当し情状が特に重いとき」を免許の取消事由と定めているため、その要件の認定に裁量の余地がある。

よって、これらの処分の選択、その権限行使の時期等は、知事等の専門的判断に基づく合理的裁量に委ねられているというべきである。

したがって、当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が損害を被った場合であっても、具体的事情の下において、
知事等に監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り、右権限の不行使は、当該取引関係者に対する関係で国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受けるものではないといわなければならない。』

としています。

つまり、知事等に監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときは、国賠法上違法となりますが

不行使が著しく不合理でない場合、違法とはなりません。

■また、違法かどうかの判断基準は「不行使が、著しく不合理かどうか」であり、

「規制権限の不行使」と「被害」の因果関係で判断するものではないので注意しましょう!

2.建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たらない。

2・・・妥当ではない

建築物を建てる際には、建築基準法に基づき、「行政の建築主事」または「民間の指定確認検査機関」による審査や検査(建築確認)を受けなければなりません。

そして、判例(最判平17.6.24)によると、「建築確認を行う民間の指定確認検査機関による建築確認により、相手方に損害を与えてしまった場合、地方公共団体が国家賠償責任を負う」としています。
つまり、建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認も国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たるので、妥当ではないです。

国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる(国家賠償法1条1項)。

【国家賠償法1条1項における「公務員」とは?】

公務員とは、地方公務員、国家公務員はもちろん、「公権力の行使」に当たる行為を行う民間人も含まれます。
(具体例) 建築確認を行う民間の指定確認検査機関による建築確認により、相手方に損害を与えてしまった場合、地方公共団体が国家賠償責任を負うとする判例(最判平17.6.24)があります。

つまり、建築確認という公権力の行使を行う「指定確認検査機関」も「公務員」として扱っています。

3.公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
3・・・妥当ではない

判例(最判平3.4.26)によると、

「水俣病の認定申請を受けた処分庁には、不当に長期間にわたらないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務があり、右の作為義務に違反したというためには、客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分ができなかったことだけでは足りず、①その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、②その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要である。そして、①②を満たす場合、国家賠償法1条等に基づく損害賠償請求ができる。」

と判示しています。

【文章理解】

水俣病患者が認定申請をし、この申請を受けた処分庁は、不当に長期間にわたらないうちに応答処分をすべき作為義務がある。

この作為義務違反というためには、下記事情が必要。

客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分ができなかったことだけでは足りず、

①その期間に比べて更に長期間にわたり処分をしない状況が続き、かつ、②その間、処分庁として通常期待される努力を尽くさなかったことが必要である。

①②を満たす場合、国家賠償法1条等に基づく損害賠償請求ができる。

よって、水俣病と認定すべき旨の申請を知事に行ったものの、何らの応答処分を相当期間内に受けなかったという場合、①②を満たすとき、申請処理の遅延による精神的苦痛について国家賠償法に基づく慰謝料請求は認められる。

4.裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない。
4・・・妥当ではない

【事案】 裁判官の過誤(ミス)により、本来適用されるべき法律が適用されずに判決を言い渡され、確定し、損害を被ったXが、国に対して国家賠償請求した。

【判例:最判昭57.3.12】
「裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく、
右責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である」

と判示しています。

つまり、「裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使した(判決を下した)と認め得るような事情がみられた」場合、
国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けます。

5.検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。
5・・・妥当

判例(最判昭53.10.20)によると、

「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法である」

と判示しています。

つまり、検察官が公訴を提起したが裁判で無罪が確定したからといって、それだけで当該公訴提起は国家賠償法上違法の評価を受けるわけではないので、妥当です。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問20|国家賠償法

国家賠償法に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。

イ.税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。

ウ.国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

エ.国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:4

【解説】

ア.同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。

ア・・・誤り

【事案:最判昭 57.4.1】

国が保健所に頼み、保健所勤務の医師が、国家公務員の定期健康診断を行った。
しかし、その医師が行った検診や結果の報告に誤りがあって受診者は、病状(肺結核)が悪化し、長期療養を要するまでに至った。公務員(医師)による一連の職務上の行為の過程において、損害を与えた行為が具体的な加害行為を特定する
ことができない場合、国又は公共団体の損害賠償責任はどうなるか?

【判例】

「数人の公務員(医師)による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた(発生させた)場合において、 それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、
①右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなか
ったであろうと認められ、
かつ、
②それがどの行為であるにせよ、これ(一連の行為)による被害につき、専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民
法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、
国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもって右損害賠償責任を免れることはできない。」

と判示しています。

つまり、損害が具体的に「どの公務員の」「どのような違法行為」によるものであるかを特定できないときでも、国又は
公共団体は、損害賠償責任を負うことはあるので、誤りです。

イ.税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。

イ・・・正しい

【事案:最判平 5.3.11】

事業者Xが、事業所得について、A税務署長に対して、確定申告をした。
A税務署長は、Xの取引先や取引銀行を調査し、結果として、所得金額を増額する更正処分をした。(Xの所得税は、申告した場合よりも多くなる)
Xはこれを不服として、異議申し立ておよび審査請求を経た上で、本件更正処分の取消しを求める訴訟を提起したところ、当該更正処分を違法として、確定判決を得た。どのような場合に、その更正処分は国家賠償法 1 条 1 項上の違法になるか?

【判例】

「税務署長Yのする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項
にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、
税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受けるものと解するのが相当である。」

と判示しています。

つまり、「税務署長が職務上尽くすべき注意義務を尽くしていたとき」は、国家賠償法上、違法とならないので、正しいです。

と判示しています。

ウ.国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

ウ・・・誤り

判例(最判昭30.4.19)によると、

「公務員の職務行為により、第三者に損害を加えた場合、国または公共団体が賠償責任を負い、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではない。また、公務員個人もその責任を負うものではない。従って、県知事(行政機関)を相手方とする訴えは不適法であり、また県知事個人、農地部長個人を相手方とする請求は理由がないことに帰する。」と判示しています。

よって、「公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される」のではなく、「理由がないとして棄却されます」。

【詳細解説】

■国家賠償法において、被告とすべきは、国や地方公共団体等です。
つまり、上記でいうと、「県知事」ではなく「都道府県」が被告適格となるので、県知事(行政機関)を相手(被告)とする訴えは、訴訟要件を満たさず、不適法として却下されます。

■一方、県知事個人については、民事として争うことができます。そのため、被告適格は満たすのですが、国家賠償法1条の賠償責任は、個人は被害者に対して直接責任を負わないこととなっているので、訴訟審理は行いますが、請求理由がないとして、棄却判決を受けます。

エ.国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。
エ・・・正しい

【事案】
警視庁の巡査Aは、生活費に困窮しており、職務行為を装って金品を奪うことを考えた。
非番の(休憩の)時間帯に、制服制帽を着用し、拳銃を携帯した上、川崎駅のホームに入った。
Aは、たまたまBが多額の金銭を持っていることを知り、Bを呼び止めて、川崎駅の事務室で所持品検査を行った。
その際、Aはあらかじめ用意していた「300円の入った封筒」を、Bの所持品に紛れ込ませて、Bがスリをしたように見せかけて、Bの所持品を預かると称して、Bの現金を含む所持品を受け取った。
Bが、トイレに行っている際に、Bの所持品を持ってAが逃走しようとしたので、Bは「泥棒!」と叫んだため、AはBに発砲して、Bを死亡させた。
これに対し、Bの遺族Xは、東京都Yに対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償の請求を求めた。

【判例:最判昭31.11.30】
判例によると、

『国家賠償法第1条の「職務執行」とは、その公務員が、その行為の意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得ることができるものについては、職務執行にあたる。
すなわち、国家賠償法1条1項の「職務執行行為」があったというためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行行為に限定すべきではない。
したがって、国家賠償法1条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず、自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償責任を負わせて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるから、国又は公共団体は、損害賠償責任を負うべきである。』

と判示しています。

つまり、公務員が、自己の利を図る目的でした行為をした場合でも、外形からみて職務執行行為と言えるとき、国家賠償法1条1項の「職務行為」に該当するということです。
よって、本肢は正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問19|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。
  2. 行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。
  3. 義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。
  4. 処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。
  5. 義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。

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【答え】:3

【解説】

1.申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。
1・・・誤り

申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、「拒否処分の取消訴訟」や「無効確認訴訟」と併合提起しなければなりません(行政事件訴訟法37条の3第3項2号)。

よって、「無効確認訴訟と併合提起することはできる」ので誤りです。

【詳細解説】

義務付けの訴えは、①行政庁が一定の処分・裁決をすべきにもかかわらず、処分・裁決をしない場合(非申請型義務付け訴訟)や、②申請や審査請求がなされた場合に、「行政庁に一定の処分・裁決をしてください!」と求める訴訟(申請型義務付け訴訟:不作為型)の2つがあります。

本肢は②申請型の義務付け訴訟についての内容です。

2.行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。

2・・・誤り

本肢のような規定はありません。よって、裁判所は、行政庁の代わりに処分を行うことはできないので、誤りです。

3.義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。
3・・・正しい

義務付け判決については、拘束力の規定(33条)は準用されますが、第三者効の規定(32条)は準用されていません。

よって、正しいです。

【義務付け訴訟が第三者効の規定を準用しない理由】

義務付け訴訟は、単独では提起できず、「取消訴訟」又は「不作為の違法確認訴訟」と併合提起する必要があります。

  • 取消訴訟については、第三者効があるので、義務付け訴訟に第三者効を認める必要はありません。
  • 不作為の違法確認訴訟については、申請したにも関わらず、行政庁が諾否の応答をしていないことを前提とした訴訟なので、当事者間(申請者と行政庁)との話です。なので、第三者効は関係ありません。
  • 無効確認訴訟については、そもそも無効な行政行為なので、第三者は存在しないです。よって、第三者効は関係ありません。
4.処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。
4・・・誤り

仮の義務付けのみを単独で申立てることはできないです。よって、誤りです。

仮の義務付けを申し立てるためには、事前に「義務付け訴訟」の提起が必要です(行政事件訴訟法37条の5第1項)。

5.義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。
5・・・誤り

義務付け訴訟は、申請型、非申請型の2つがあり、申請型の義務付け訴訟については「重大な損害を生じるおそれ」については要件ではありません。

非申請型の場合のみ「重大な損害を生じるおそれ」が要件となっています。

よって、誤りです。

【申請型の義務付け訴訟】

例えば、Aが甲県の建築主事に対して、建築確認の申請をした。しかし、建築主事は拒否処分をした。その場合、Aは甲県に対して、建築確認を認めてください!と義務付けを求めることができます。

この場合、「拒否処分に対する取消訴訟」と併合して(一緒に)「義務付け訴訟」を提起します。

その理由は、拒否処分が取り消されるだけでは、Aは目的達成されないからです。
Aは、建築確認を認めてほしいから、義務付け訴訟をしているわけです。

これに、「重大な損害のおそれ」など関係ありません。

【非申請型の義務付け訴訟】

例えば、甲市内に違法建築物があるにも関わらず、甲市が何ら権限を行使せず放っておいている場合、隣地の住民は、甲市に対して、建物の除去命令を下してください!と義務付けの訴えを提起することができます。

この場合、申請を前提としていないので、何でもかんでも義務付け訴訟を提起されては、裁判所がパンクしています。

そのため、「重大な損害を生じるおそれ」が要件として、義務付けの必要性が高いものに限って、義務付け訴訟を提起できるようにしています。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
  2. 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  3. 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  4. 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  5. 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

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【答え】:2

【解説】

1.処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
1・・・誤り

取消訴訟は、「処分又は裁決があつたことを知った日から6ヶ月月を経過したとき」または「処分又は裁決の日から1年を経過したとき」は、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条1項2項)。

本肢は「処分または裁決の日から6ヵ月」が誤りで、正しくは「処分または裁決を知った日から6ヵ月」です。

2.処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

2・・・正しい

「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」又は「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、「選択肢1の14条1項2項」の規定にかかわらず、これに対する「裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」又は「当該裁決の日から1年を経過」したときは、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条3項)。

よって、正しいです。

3.不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
3・・・誤り

本肢のような規定はないので、誤りです。

不作為の違法確認訴訟については、出訴期間はありません。
なぜなら、行政庁の不作為が継続しているということは、その間、ずっと行政庁の違法な状態が続いているということです。
そのため、その間はずっと、訴訟提起できます。

4.義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
4・・・誤り

義務付け訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

【義務付け訴訟に出訴期間の規定がない理由】

義務付けの訴えは、①行政庁が一定の処分・裁決をすべきにもかかわらず、処分・裁決をしない場合(非申請型)や、②申請や審査請求がなされた場合(申請型)に、「行政庁に一定の処分・裁決をしてください!」と求める訴訟です。

①(非申請型)については、申請はしていないものの、処分や裁決を求める場合です。
例えば、隣地の建物が違法建築物であり、今にも倒壊しそうな場合に、所有者に対して是正命令処分をしてください!と求める場合です。
この場合、1年とか6ヶ月といった具体的な期間として、出訴期間を定めることができません。
上記の状況であれば、ずっと義務付けの訴えを提起できるのが当然です。

②(申請型)については、申請や審査請求をして、拒否処分を受けたり、不作為の場合です。
不作為の場合を考えると、不作為が続く限り、義務付け訴訟ができるので、これも1年とか6ヶ月といった具体的な期間として、出訴期間を定めることができません。

拒否処分の場合は、「取消訴訟」又は「無効確認の訴え」と併せて提起することが要件となるため、取消訴訟と併合提起する場合、取消訴訟の出訴期間が適用され、無効確認訴訟については、そもそも出訴期間はありません。
よって、出訴期間の定めをする必要はありません。

【取消訴訟の出訴期間】

「処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」または、「処分又は裁決の日から1年を経過した」ときは、提起することができないという
5.差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
5・・・誤り

差止め訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

【差止め訴訟に出訴期間の規定がない理由】

差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができます(行政事件訴訟法37条の4第1項)。
つまり、この条文から、「一定の処分又は裁決」がされていない間でないと訴えを提起できないことが分かります。

そのため、出訴期間の規定を別途さだめることはしていません。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・政治
問23 地方自治法 問53 一般知識・経済
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問17|行政事件訴訟法

狭義の訴えの利益に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

イ.土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ウ.建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

エ.都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

ア.森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ア・・・誤り

【前提知識】

保安林とは、「土砂の崩壊などの災害から守ったり」、「降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能をもったり」する林を言います。

この保安林は、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定されます。

【判例】

判例(最判昭57.9.9:長沼ナイキ基地訴訟)によると、

「保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、右解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格を有する者ということができるけれども・・・本件におけるいわゆる代替施設の設置によって右の洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは本件保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは、もはやAと表示のある上告人らにおいて右指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われるに至ったものといわざるをえない」

と判示しています。

つまり、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、利益を侵害された者は原告適格を有します。

しかし、代替施設(例えば、ダム)の設置で、洪水や渇水(水不足)の危険が解消され、保安林を存続させる必要がなくなった場合、保安林の指定解除の利益はなくなる(洪水などの不利益はなくなる)ので、訴えの利益は失われます。

よって、誤りです。

イ.土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

イ・・・正しい

【事案】

A町は、町営の土地改良事業を計画し、事業計画を定め、B県知事に対して、本件土地改良事業の施行の認可申請をした。
その後、本件事業地内の土地所有者であるXは、本件認可の取消しを求めて出訴した。
そして、裁判の係属中に本件事業計画にかかる工事はすべて完了した。
① 土地改良事業の工事が完了して、原状回復が不可能となった場合、当該事業の施行認可の取消しを求める訴えの利
益は消滅するか?

(参考知識)

複数の土地について、土地改良事業を行なう計画が認可されると、その土地の所有者は、一時的にその土地から出ていかないといけません。そして、改良事業が終わった後に、新しい土地(換地という)を割当てられます(もらえます)。イメージは「土地区画整理事業」です。

【判例】

判例(最判平4.1.24)によると、

「本件訴訟において、本件認可処分が取り消された場合に、本件事業施行地域を本件事業施行以前の原状に回復することが、本件訴訟係属中に本件事業計画に係る工事及び換地処分がすべて完了したため、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、右のような事情は、行政事件訴訟法31条の適用に関して考慮されるべき事柄であって、本件認可処分の取消しを求める上告人の法律上の利益を消滅させるものではないと解するのが相当である」

と判示しています。

つまり、土地改良事業の工事が完了して、原状回復が不可能となった場合でも、事業の施行認可処分の取消しを求める訴えの利益(事情判決により違法であることを認めてもらえる利益)は消滅しません。

訴えの利益はあるため、訴訟審理は行われます。しかし、結果として、事情判決により、請求棄却となる可能性はある
と言っています。

ウ.建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ウ・・・誤り

判例(最判昭59.10.26)によると、

「建築確認は、それを受けなければ建築工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。」

と判示しています。

つまり、建築確認を受けた建築物の建築工事が完了した場合、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われます。

よって、誤りです。

【分かりやすくいうと】

建築確認があった後、建物の建築工事が完了した場合、その後、建築確認を取り消したとしても、既に建物は完成しているため、取消ししても意味がありません。そのため、工事完了によって建築確認の取消しを求める「訴えの利益」は失われます。

建築確認は、建築工事を開始してよいと伝えるだけ。この建築確認を取り消しても、建物を除去するまでの効力はない。

エ.都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。
エ・・・正しい

市街化調整区域とは、原則として、建物を建てることができない区域です。

そして、開発許可とは、許可を受けた区域について、土地の工事を行い、結果として、その土地上に建物を建築します。
したがって、市街化調整区域内で、開発許可を受けた場合、例外的に、土地の工事をして建物を建築できるようになるということです。

ここまでの内容を、別の言い方をすれば

市街化調整区域においては、開発許可がされ、その効力を前提とする検査済証が交
付されて工事完了公告がされることにより、予定建築物等の建築等が可能となると
いう法的効果が生ずるものということができる、ということです。

したがって、「市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発行為ひいては当該開発行為に係る予定建築物等の建築等が制限されるべきであるとして開発許可の取消しを求める者(開発行為に反対する者)」は、

当該開発行為に関する工事が完了し、当該工事の検査済証が交付された後においても、

当該開発許可の取消しによって、その効力を前提とする上記予定建築物等の建築等が可能となるという法的効果を排除することができます(法的効果を失くすことができる)。

以上によれば、「市街化調整区域内」にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し、当該工事の検査済証が交付された後においても、当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われません。(最判平27.12.14)

よって、正しいです。


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略