40字問題

平成24年・2012|問44|行政法・記述式

Xは、A県 B市内に土地を所有していたが、B市による市道の拡張工事のために、当該土地の買収の打診を受けた。Xは、土地を手放すこと自体には異議がなかったものの、B市から提示された買収価格に不満があったため、買収に応じなかった。ところが、B市の申請を受けたA県収用委員会は、当該土地について土地収用法48条に基づく収用裁決(権利取得裁決)をした。しかし、Xは、この裁決において決定された損失補償の額についても、低額にすぎるとして、不服である。より高額な補償を求めるためには、Xは、だれを被告として、どのような訴訟を提起すべきか。また、このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:B市を被告として、損失補償の増額請求の訴えを提起すべきで、形式的当事者訴訟と呼ぶ。(41字)【解説】

問題文の状況

  • Xは、A県 B市内に土地を所有していた
  • B市による市道の拡張工事のために、当該土地の買収の打診を受けた。
  • Xは、土地を手放すこと自体には異議がなかったものの、B市から提示された買収価格に不満があったため、買収に応じなかった。
  • ところが、B市の申請を受けたA県収用委員会は、当該土地について土地収用法48条に基づく収用裁決(権利取得裁決)をした。
  • しかし、Xは、この裁決において決定された損失補償の額についても、低額にすぎるとして、不服である。

質問内容

上記状況のもと、質問されているのは下記3点です。

より高額な補償を求めるためには、

  1. Xは、だれを被告すべきか?
  2. Xは、どのような訴訟を提起すべきか?
  3. このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか?

Xは、だれを被告すべきか?

収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるとき起業者を、それぞれ被告としなければなりません(土地収用法133条3項)。
つまり、Xは起業者を被告としなければならないのですが、
本問において、「起業者=B市」なので

XはB市を被告としなければなりません。

Xは、どのような訴訟を提起すべきか?

「より高額な補償を求めるため」の訴えなので、
損失補償の増額を求める訴えです。
したがって、「損失補償の増額請求の訴え」を提起すべきです。

このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか?

「当事者訴訟」とは、①当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの(=形式的当事者訴訟)及び②公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟(実質的当事者訴訟)をいいます(行政事件訴訟法4条)。

本肢は①なので、「形式的当事者訴訟」です。

損失補償の増額請求・減額請求については、形式的当事者訴訟と覚えていてもよいでしょう!

以上をまとめると下記の通りです。

B市を被告として、損失補償の増額請求の訴えを提起すべきで、形式的当事者訴訟と呼ぶ。(41字)


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問46|民法・記述

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

Xは、甲土地をYに対して売却する契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Xは、本件契約時において、売却した甲土地はAが所有するものであってXに属しないことを知らなかった。その後、Xは、Aに対して甲土地の売却を申し入れたが、拒絶されたため、結局、その所有権を取得してYに移転することができなかった。このような場合において、善意の売主Xは、買主Yに対し、本件契約を解除する旨の意思表示をしたい。解除にあたって、本件契約時に甲土地の所有権がXに属しないことについて、Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか。「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」に続けて、民法の規定を踏まえて、それぞれ10字~20字程度で記述しなさい(「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」は、記述すべき字数に含まれない)。

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【答え】:-

【解説】

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問45|民法・記述

改正民法に対応済

Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。

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改正民法に対応済

【答え】:詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

【解説】

状況としては

  1. Aは複数の債権者から債務を負っていた(債務者A)
  2. 債権者の一人で懇意にしているBに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した
  3. その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。

上記の状況において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するための対応を考えます。

考えるべき点は

①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」として、「③どのような対応」をとるかです。

「①どのような権利」「②誰を相手にするか」について

まず、頭に入れておくべきルールは詐害行為取消請求です。

債権者Xは、債務者Aが債権者Xを害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者B)がその行為の時において債権者Xを害することを知らなかったときは、この限りでない(民法424条1項)。

本問の場合、受益者B以外に、転得者Cもいます。

そして、この点については

債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、転得者が「債務者がした行為が債権者を害すること」を知っていたとき(悪意のとき)に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができます(民法424条の5)。

本問をみると、「事情を知らないC」となっているので、Cは善意です。
したがって、善意の転得者Cに対して詐害取消請求を行うことはできません

よって、「①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」にするかについては

「①詐害行為取消権に基づき、②Bを相手に」となります。

では、「③どのような対応」を取るか?

「裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める」対応を取ります。

「裁判上の請求」とは、訴えを提起することです。詐害行為取消請求は、裁判上の請求でしか行うことができません。

そして、その訴えの中で、AB間の代物弁済契約の取り消しを求めます。しかし、Cは善意であるがゆえに、所有権をBに戻すことはできません。そのため、Bが代金から代物弁済によって消滅した債務(甲土地の代金部分)について、賠償するよう請求できます。

例えば、1000万円の債務で、甲土地の価額が1000万円であれば、1000万円の一部を賠償するよう求めることができます。
(一部がどれくらいかは債権額や他の債権者の数によって異なるので考えなくてもよい)

これらをまとめると

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(48字)

ですが、文字数が多いので。一部省略して、

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

となります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問44|行政法・記述

A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)

【解説】

問題文の状況

  • A市は、同市内に市民会館を設置している
  • 市民会館の運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられている
  • 利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている

質問内容

質問内容は、下記4点です。

  1. 住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?
  2. 市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?
  3. また、どのような形式で決定されるか?
  4. 市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

これらを一つ一つ考えていき、それを繋げればよいです。

住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?

普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとします(地方自治法244条1項)。
つまり、市民会館のような公共の施設を、地方自治法では「公の施設」と呼びます。

市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?

条例を設け又は改廃することは、普通地方公共団体の議会の議決によります(地方自治法96条1項1号)。
したがって、どの機関により決定するかというと「議会の議決」により決定します。

また、どのような形式で決定されるか?

普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、「条例」でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2の1項)。
つまり、どのような形式かというと「条例」という形式で決定されます。

市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができます(地方自治法244条の2の3項)。

したがって、市民会館等の運営に当たるBのような団体は「指定管理者」と呼ばれます。

そして、1~4をまとめると、

公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)
となります。

配点

  • 公の施設:6点
  • A市議会:4点
  • 条例:4点
  • 指定管理者:6点

平成27年・2015|問46|民法・記述

AとBは婚姻し、3年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。Bは、AにCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなること、およびAはCの養育費としてBに対し毎月20万円を支払うことを求め、Aもこれを了承して協議離婚が成立した。ところが離婚後、Aは、Bが別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分の子であることに疑いを持った。
このような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続をとるべきか。民法の規定および判例に照らし、とるべき法的手段の内容を40字程度で記述しなさい。

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【答え】:AはC又はBを相手として、Cの出生を知った時から3年以内に、嫡出否認の訴えを提起すべき。(44字)

【解説】

問題文の状況

  1. A(男)とB(女)は婚姻し、3年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。
  2. B(女)は、A(男)にCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなることを求めた。
  3. (B女は)、「A(男)はCの養育費としてB(女)に対し毎月20万円を支払うこと」を(A男に対して)求めた。
  4. A(男)もこれを了承して協議離婚が成立した。
  5. ところが離婚後、A(男)は、B(女)が別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分(男A)の子であることに疑いを持った。

質問内容

上記事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、

  1. Aは、誰を相手として、
  2. いつまでに、
  3. どのような手続をとるべきか?

つまり、上記3点を40字にいれればよいです。

問題文の状況の1と5

  • A(男)とB(女)は婚姻し、3年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。
  • ところが離婚後、A(男)は、B(女)が別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分(男A)の子であることに疑いを持った。

ということから、とりあえず、婚姻期間中に懐胎していることは分かります。
このことから、妻が婚姻中に懐胎した子Cは、夫Aの子と推定します(民法772条)。
そして、上記の場合において、夫Aは、子Cが嫡出であることを否認することができます(民法774条)。
上記否認権は、子C又は親権を行う母Bに対する嫡出否認の訴えによって行います(民法775条)。
つまり、Cが自分Aの子でないことを確認するためには「嫡出否認の訴え」という手続きをとるべきで、「相手は、BまたはC」とすべきであることが分かります。
また、上記嫡出否認の訴えは、夫Aが子Cの出生を知った時から3年以内に提起しなければなりません(民法777条)。

これらを質問内容に当てはめて、40字にまとめると

AはC又はBを相手として、Cの出生を知った時から3年以内に、嫡出否認の訴えを提起すべき。(44字)

となります。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問45|民法・記述

権原の性質上、占有者に所有の意思のない他主占有が、自主占有に変わる場合として2つの場合がある。民法の規定によると、ひとつは、他主占有者が自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示した場合である。もうひとつはどのような場合か、40字程度で記述しなさい。

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【答え】:他主占有者が、新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合。(35字)

【解説】

「権原の性質上、占有者に所有の意思のない他主占有が、自主占有に変わる場合として2つの場合がある。」
ということから、
「他主占有」から「自主占有」に変わる場合について問題と分かります。

そして、
「他主占有」から「自主占有」に変わる場合の一つが

「他主占有者が自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示した場合」

そして、もう一つが何かが質問されています。

民法185条では、
権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
としています。

言い換えると、

  1. 占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示した場合
  2. 占有者が、新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合

この2つの場合については、占有の性質が変わる(「他主占有」から「自主占有」に変わる)、ということです。

問題文の一つは、1の内容なので
40字の記述には2の内容を記載すればよいです。

したがって、

他主占有者が、新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合。(35字)

が答えの一例となります。

【具体例】

①「他主占有者が自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示した場合」とは、

賃借人(他主占有者)が、賃貸人(占有させた者)に対して「これからは、この土地は私が所有していると思って占有します!」と主張し占有するということです。

これによって、賃借人は、他主占有から自主占有にかわります。

ただ、賃借人が自主占有に代わって、時効取得を狙ったとしても、賃貸人は賃借人に裁判などをして時効更新できますので、通常、賃借人は、所有権の時効取得はできません。

②「他主占有者が、新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めた場合」とは、

Aが賃借人として土地を占有していたが、Aが死亡して、相続人Bが賃借権を相続した。この場合、相続人Bは、もともと何の権原もなかったが、相続により賃借権(新たな権原)を持った。そして、このB(他主占有者)が「これからは、この土地は私が所有していると思って占有します!」と主張し占有する場合、Bは、他主占有から自主占有にかわります。

 


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問44|行政法・記述

Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。このうち、裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:被告はY県であり、一般に、裁決の違法の主張が許され、この原則を原処分主義という。(40字)

【解説】

問題文の状況理解

問題文の状況は下記の通りです。

  • Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。
  • しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。
  • これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。
  • このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。

質問内容の理解

質問内容は、下記3つです。

  1. 裁決取消訴訟の被告はどこか?
  2. こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許されるか?
  3. こうした原則を何と呼ぶか?

裁決取消訴訟の被告はどこか?

処分・裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、「当該処分・裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条)。
【注意点】 「知事」は、公共団体ではなく、「行政機関」なので、被告にはなりません!

本問では、審査請求に対して、「Y県開発審査会」が拒否処分の裁決をしています。
したがって、被告となるのは、「Y県」です。

よって、「裁決取消訴訟の被告はY県」となります。

こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許されるか?

処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができません(行政事件訴訟法10条)。

したがって、本肢の場合、裁決取消しの訴え(裁決取消訴訟)を提起しているので、処分の違法は主張できず、裁決の違法のみ主張が許されます。

こうした原則を何と呼ぶか?

上記原則を「原処分主義」と言います。

上記をまとめると、

「被告はY県であり、一般に、裁決の違法の主張が許され、この原則を原処分主義という。(40字)」となります。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問46|民法・記述

民法の規定によれば、離婚の財産上の法的効果として、離婚した夫婦の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。判例は、離婚に伴う財産分与の目的ないし機能には3つの要素が含まれ得ると解している。この財産分与の3つの要素の内容について、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:

  1. 婚姻中の共同財産の清算及び離婚後の一方の生計維持ならびに精神的損害の賠償を含む。(40字)
  2. 婚姻中の夫婦財産の清算、離婚後の生活に困窮する配偶者の扶養、離婚に伴う慰謝料を含む。(41字)

【解説】

問題文について

民法768条では「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と規定されています。

そして、判例は、「離婚に伴う財産分与の目的ないし機能」には3つの要素が含まれ得る、と解しています。

質問内容

この財産分与の目的・機能の3つの要素が何か?

という質問内容です。

なので、3つの目的・機能を記述すればよいです。

そして、判例では、下記3つを判示しています。

  1. 婚姻中の夫婦共有財産の清算
  2. 離婚後の生活の扶養
  3. 離婚による慰謝料

例えば、会社員と専業主婦の夫婦の離婚を考えると

  1. 夫婦が結婚してから離婚するまでの間に築き上げてきた財産を分配します。
  2. 離婚後、元妻が生活費を得ることができるようになるまで、生活費が必要なので、そのお金も必要です。
  3. さらに、離婚に伴う精神的苦痛も考慮する必要があるので、その慰謝料も支払われます。

これらの3つを文章の中に入れるわけです。

すると、下記文章となります。

  1. 婚姻中の共同財産の清算及び離婚後の一方の生計維持ならびに精神的損害の賠償を含む。(40字)
  2. 婚姻中の夫婦財産の清算、離婚後の生活に困窮する配偶者の扶養、離婚に伴う慰謝料を含む。(41字)


平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法改正により削除
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問45|民法・記述

民法改正により削除(解かなくても大丈夫です)

Aは、Bとの間でB所有の甲土地(以下「甲」という。)につき売買契約(以下「契約」という。)を締結し、その後、契約に基づいて、Bに対し売買代金を完済して、Bから甲の引き渡しを受け、その旨の登記がなされた。ただ、甲については、契約の締結に先だって、BがCから借り受けた金銭債務を担保するために、Cのために抵当権が設定され、その旨の登記がなされていた。この場合において、Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、どのようになったときに、どのような主張をすることができるかについて、民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、本問においては、Aは、Cに対する第三者としての弁済、Cの請求に応じた代価弁済、または、Cに対する抵当権消滅請求は行わないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:

  • 抵当権が実行されて、甲の所有権を失ったときに、契約の解除および損害賠償を主張できる。(42文字)
  • Aは、抵当権が実行されたときに、契約の解除と受けた損害の賠償請求を主張できる。(39字)

【解説】

問題文の状況

まず、問題文の状況を時系列にすると下記流れになります。

  1. 甲については、BがCから借り受けた金銭債務を担保するために、Cのために抵当権が設定され、その旨の登記がなされていた。
  2. Aは、Bとの間でB所有の甲土地(甲)につき売買契約を締結した=売主B、買主A
  3. その後、契約に基づいて、買主Aは売主Bに対し売買代金を完済して、売主Bから甲の引き渡しを受け、その旨の登記がなされた。

質問内容

上記状況において、質問内容は下記2点です。

Aは、Bに対し、Cの抵当権に関し、①どのようになったときに、②どのような主張をすることができるか?

ただし、条件として下記3つがあります。

  1. 買主Aは、Cに対する第三者としての弁済はしない
  2. 買主Aは、Cの請求に応じた代価弁済はしない
  3. 買主Aは、Cに対する抵当権消滅請求は行わない

上記状況で、「買主Aが何らかの主張ができる」となると
抵当権が実行されて(競売にかけられて)、Aが所有権を失うことしかありません。

そのため、その点に焦点を当てて考えていきます。

①どのようになったときに

上記の通り、「抵当権が実行されたとき」です。
ちなみに、民法の条文では「競売」という文言は使っていないので上記内容がキーワードとなります。

②どのような主張をすることができるか?

民法567条1項では、「売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができ、また、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる」としています。

したがって、「契約解除」と「損害賠償請求」の2つのキーワードは入れた方がよいでしょう!

これをまとめると、下記のようになります。

  1. 抵当権が実行されて、甲の所有権を失ったときに、契約の解除および損害賠償を主張できる。(42文字)
  2. Aは、抵当権が実行されたときに、契約の解除と受けた損害の賠償請求を主張できる。(39字)

※改正民法により、答えは変わってきます。
修正はまだしておりませんので、ご留意ください。


平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法改正により削除
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成28年・2016|問44|行政法・記述

A市は、A市路上喫煙禁止条例を制定し、同市の指定した路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙した者について、2万円以下の過料を科す旨を定めている。Xは、路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙し、同市が採用した路上喫煙指導員により発見された。この場合、Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められており、また、同法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか。さらに、行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:A市長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(37字)
この手続は地方自治法に定められており、この過料はA市長により科され、秩序罰という。(41字)
「A市長」については「(普通)地方公共団体の長」でもよいです。

【解説】

問題文の状況

まず、問題文の状況を確認すると下記3つに分けることができます。

  1. A市は、A市路上喫煙禁止条例を制定した
  2. 条例の内容は、同市の指定した路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙した者について、2万円以下の過料を科す旨である
  3. Xは、路上喫煙禁止区域内の路上で喫煙し、同市が採用した路上喫煙指導員により発見された

質問内容

上記状況において、質問内容は下記3点です。

  1. Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められているか?
  2. 同法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか?
  3. 行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか?

Xに対する過料を科すための手続は、いかなる法律に定められているか?

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。
このルールにしたがって、A市は、2万円以下の過料を科する旨を定めている。
したがって、この過料を科すための手続きは「地方自治法」です。
なので、一つ目のキーワードとして「地方自治法」は解答に入れる必要があります。

地方自治法によれば、この過料は、いかなる機関により科されるか?

普通地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合においては、過料の処分を受ける者に対し、あらかじめその旨を告知するとともに、弁明の機会を与えなければなりません(地方自治法255条の3)。
したがって、条例違反や規則違反により、過料を科することができる機関は「普通地方自治体の長」である「A市長」です。
したがって、「(普通)地方公共団体の長」または「A市長」が2つ目のキーワードなので
どちらか一方は入れる必要があります。

【注意点】

「過料」については、「長が定める規則(5万円以下)」と「地方公共団体が定める条例(5万円以下)」で定めることができますが、実際に過料を科す権限を有するのは、「長」です。

行政法学において、このような過料による制裁を何と呼んでいるか?

条例違反や規則違反による過料は「行政罰の一つである『秩序罰』」です。

よって、「秩序罰」が3つ目のキーワードです。

上記3つのキーワードをすべて入れて、文章にまとめると下記解答例になります。

  1. A市長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(37字)
  2. この手続は地方自治法に定められており、この過料はA市長により科され、秩序罰という。(41字)
  3. 地方公共団体の長により、地方自治法の定める手続きによって科され、これを秩序罰と呼ぶ。(42字)
  4. 地方自治法に定められており、この過料は普通地方公共団体の長により科され、秩序罰という。(43字)


平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 国民審査 問33 民法:債権
問4 プライバシー権 問34 民法:債権
問5 国会 問35 民法:親族
問6 信教の自由 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 行政裁量 問39 会社法
問10 行政事件訴訟法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法改正により削除
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・政治
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・経済
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・情報通信
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政事件訴訟法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・公文書管理法
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略