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令和4年・2022|問36|商法

営業譲渡に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

  1. 甲が営業とともにその商号を乙に譲渡する場合には、乙が商号の登記をしなければその効力は生じない。
  2. 乙が甲の商号を引き続き使用する場合には、乙は、甲の営業によって生じた債務を弁済する貢任を負う。ただし、営業譲渡後、遅滞なく、乙が第三者である丙に対して、甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知をした場合には、乙は、丙に対して弁済責任を負わない。
  3. 乙が甲の商号を引き続き使用する場合に、甲の営業によって生じた債権について、債務者である丙が乙に対して行った弁済は、丙の過失の有無を問わず、丙が善意であるときに、その効力を有する。
  4. 乙が甲の商号を引き続き使用しない場合において、乙が甲の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、甲の弁済責任が消滅するため、甲の債権者である丙は、乙に対して弁済の請求をしなければならない。
  5. 甲および乙が、乙に承継されない債務の債権者(残存債権者)である丙を害することを知りながら、無償で営業を譲渡した場合には、丙は、乙に対して、甲から承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

甲が営業とともにその商号を乙に譲渡する場合には、乙が商号の登記をしなければその効力は生じない。

1・・・誤り

商人の商号は、「①営業とともにする場合」又は「②営業を廃止する場合」に限り、譲渡することができます(商法15条1項)。

そして、商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することはできません(商法15条2項)。

登記は、第三者に対する要件であり、
当事者間においては、合意があれば商号の譲渡は効力が生じます。

よって、本肢は「登記をしなければ効力は生じない」と言う部分が誤りです。

2.営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

乙が甲の商号を引き続き使用する場合には、乙は、甲の営業によって生じた債務を弁済する貢任を負う。ただし、営業譲渡後、遅滞なく、乙が第三者である丙に対して、甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知をした場合には、乙は、丙に対して弁済責任を負わない。

2・・・誤り

営業を譲り受けた商人(譲受人乙)が譲渡人甲の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人甲の営業によって生じた債務を弁済する責任を負います(商法17条1項:譲渡人の商号を使用した譲受人の責任)。

そして、上記のルールは、営業を譲渡した後、遅滞なく、①「譲受人乙が譲渡人甲の債務を弁済する責任を負わない」旨を登記した場合には、適用しません(商法17条2項前段)。

また、営業を譲渡した後、遅滞なく、②「譲受人乙及び譲渡人甲」から「第三者」に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、上記ルールは適用しません(商法17条2項後段)。

したがって、本肢は②に関する問題ですが
②の場合「譲受人乙」と「譲渡人甲」の両方が、「第三者丙」に対して「乙が甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知」をした場合、乙は「甲の債務を弁済する責任」を負わないということです。

本肢は、「乙のみ」が「第三者」丙に対してする「乙が甲の債務を弁済する責任を負わない旨の通知」をしているので、②のルールは適用されず、原則通り、乙は責任を負います。

基本事項なので、絶対解けるようにしておきましょう!

3.営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

乙が甲の商号を引き続き使用する場合に、甲の営業によって生じた債権について、債務者である丙が乙に対して行った弁済は、丙の過失の有無を問わず、丙が善意であるときに、その効力を有する。

3・・・誤り

営業を譲り受けた商人(譲受人乙)が譲渡人甲の商号を引き続き使用する場合において、譲渡人甲の営業によって生じた債権について、その譲受人乙にした弁済は、弁済者丙が「善意」でかつ「重大な過失がない」ときは、その効力を有します(商法17条4項)。

つまり、丙が「善意無重過失」の場合、弁済は有効となります。

本肢は「丙の過失の有無を問わず」となっているので誤り。

具体例】甲が通販事業(「夢通販」という商号)を営んでいた。この通販事業を乙に譲った。乙も「夢通販」という商号を使用し続けた。甲が営業譲渡以前に、丙(顧客)に販売して代金を受け取っていない分の代金債権があった。丙が、譲受人乙に「善意無重過失」で、弁済した(代金を支払った)場合、弁済は有効となります。

4.営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

乙が甲の商号を引き続き使用しない場合において、乙が甲の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、甲の弁済責任が消滅するため、甲の債権者である丙は、乙に対して弁済の請求をしなければならない。

4・・・誤り

譲受人乙が譲渡人甲の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人甲の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人甲の債権者は、その譲受人乙に対して弁済の請求をすることができます(商法18条1項:譲受人による債務の引受け)。

そして、譲受人乙が上記ルールにより譲渡人甲の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人甲の責任は、上記広告があった日後2年以内に「請求」又は「請求の予告」をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅します(商法18条2項)。

つまり、「広告をしたときは、甲の弁済責任が消滅する」というのは誤りです。

この広告があった時点では債権者丙は、甲、乙どちらに対しても請求が可能です。

請求できなくなるのは、広告があった日以降2年以内に、債権者丙が「請求」又は「請求の予告」をしない場合です。

5.営業を譲渡した商人を甲、営業を譲り受けた商人を乙とし、甲および乙は小商人ではないものとする。

甲および乙が、乙に承継されない債務の債権者(残存債権者)である丙を害することを知りながら、無償で営業を譲渡した場合には、丙は、乙に対して、甲から承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

5・・・正しい

譲渡人甲が譲受人乙に承継されない債務の債権者(残存債権者:丙)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者丙は、その譲受人乙に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができます(商法18条の2第1項本文)。

例えば、甲が、「不動産業」と「運送業」と行っており、「不動産業は黒字」だったが「運送業は赤字」だった、

甲が、赤字の運送業を残して、黒字の運送業を乙に譲渡した場合、甲は、赤字の運送業のみ残ります。

この場合、丙は、債権回収が難しくなります。

そのため、営業譲渡について丙を害すると知っていた場合には、原則、丙は、譲受人乙に対して「譲り受けた不動産業(黒字)」の価額を限度として債務の履行を請求することができます。

ただし、ただし、その譲受人が営業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、債務の履行請求ができません(商法18条の2第1項ただし書き)。

令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問6|憲法

内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。
  2. 内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。
  3. 参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。
  4. 内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
  5. 新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。

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【答え】:4
【解説】

1.内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。

1・・・妥当ではない

内閣が条約を締結するには、事前に時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とします(憲法73条3号ただし書き)。

やむを得ない事情があっても、事前または事後の国会の承認がなければ、条約は締結できません。

よって、妥当ではないです。

内閣の権能

  1. 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。(73条)
  2. 外交関係を処理すること。
  3. 条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 ※ 「時宜(じぎ)によっては」とは、「場合によっては」といったイメージ
  4. 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
  5. 予算を作成して国会に提出すること。
  6. この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  7. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
  8. 天皇の国事行為に対する助言と承認(3条、7条)
  9. 国会の召集を決定すること。(7条2号)
  10. 参議院の緊急集会を求めること。(54条2項)
  11. 衆議院の解散をすること(7条3号)
  12. 「最高裁判所の長たる裁判官を指名」すること、および「それ以外の裁判官を任命」すること(6条2項、79条1項、80条)
  13. 予備費を支出すること(87条)
  14. 決算を国会に提出すること(90条1項)
  15. 国会および国民に財政状況を報告すること(91条)
2.内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。

2・・・妥当ではない

内閣は、憲法及び法律の規定を実施するために、「政令」を制定することができます(憲法73条6号本文)。

政令は以下の手続きによって制定される。

  1. 各国務大臣より、制定の閣議を求める(内閣法4条3項)。
  2. 閣議において決定される(内閣法4条1項)。
  3. 主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署する(憲法74条)。
  4. 天皇が公布する(憲法第7条1号)
  5. 官報に掲載。

よって、政令の制定に国会は関わらないので、妥当ではないです。

3.参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。

3・・・妥当ではない

結論からいうと、本肢の内容は、臨時会の内容に近い内容です。よって、妥当ではないです。

【臨時会】

衆議院または参議院の総議員の1/4以上の要求があった場合、内閣は、臨時会を召集しなければなりません(憲法53条)。

この「臨時会」は、常会・特別会以外であって、臨時に召集される国会のことを指します。
たとえば、緊急を要する災害対策のための補正予算や法律案の審議を求めるときなどに、臨時会を召集し、臨時会の会期は、そのつど国会が決定し、2回まで延長することができます(国会法第12条)。

【緊急集会】

衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となります。
ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができます(憲法54条2項)。

分かりやすくいうと、
衆議院が解散されると、同時に、参議院は閉会され、国会の活動は停止します。

しかし、「衆議院解散」から総選挙を経て「特別国会の召集」までの間に、国に緊急の必要が生じる場合があります。

そのようなときに、国会が活動していないと困るので、内閣は「参議院の緊急集会」を求めることができます。

「緊急集会」は、「参議院のみ」で行われるため、緊急集会で決議された内容は、次の国会で「衆議院の同意」が必要です。
もし、衆議院の同意が得られない場合、緊急集会で決議された内容の効力は失われます。

4.内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。

4・・・妥当

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければなりません(憲法69条)。

上記総辞職のあと、あらたに内閣総理大臣が任命されるまでの間は、内閣(旧内閣)が引き続きその職務を行います(憲法71条)。

これは、国政が停滞しないようにするためです。

5.新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。

5・・・妥当ではない

年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合の規定は、存在しません。
そのため、本肢は妥当ではないです。

【予備費】

「予備費」とは、予見し難い予算の不足に充てるための経費で、予算成立後において歳出に計上された既定経費に不足を生じたり、又は新規に経費が必要となった場合、その不足に充てるため、内閣の責任において支出できるものを言います(憲法87条1項)。

【暫定予算】

「暫定予算」とは、会計年度が開始される前までに予算が成立しなかった場合に、予算が成立するまでの短期間に限って最小限度の必要な経費について編成される予算を言います。

会計年度が始まるまでに、議会が予算を議決しなければ、予算の空白が生じ、行政機能が停止することになるので、それを回避するために、暫定予算があります。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問35|民法

相続に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときを除き、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
  2. 相続人は、相続開始の時から、一身専属的な性質を有するものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するが、不法行為による慰謝料請求権は、被害者自身の精神的損害を填補するためのものであるから相続財産には含まれない。
  3. 相続財産中の預金債権は、分割債権であるから、相続開始時に共同相続人に対してその相続分に応じて当然に帰属し、遺産分割の対象とはならない。
  4. 相続開始後、遺産分割前に共同相続人の1人が、相続財産に属する財産を処分した場合、当該財産は遺産分割の対象となる相続財産ではなくなるため、残余の相続財産について遺産分割を行い、共同相続人間の不公平が生じたときには、別途訴訟等により回復する必要がある。
  5. 共同相続人は、相続の開始後3ヵ月を経過した場合、いつでもその協議で遺産の全部または一部の分割をすることができる。

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【答え】:1

【解説】

1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときを除き、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。

1・・・妥当

系譜(家系図)、祭具及び墳墓の所有権は、相続の一般的効力にかかわらず、慣習に従って「祖先の祭祀を主宰すべき者」が承継します。
ただし、被相続人の指定に従って「祖先の祭祀を主宰すべき者(祭祀主宰者)」があるときは、その者が承継します(民法897条1項)。

よって、本肢は妥当です。

まず、お墓、祭壇等などは「祭祀(さいし)財産」と呼ばれます。

この祭祀財産は相続人の間で分割すると、「祖先の祭祀」をするときに不都合を生じますので、相続財産とは別に「特定の1人」に受け継がせることになっています。

これを「祭祀主宰者」と言います。

祭祀主宰者は、第1に、被相続人(故人)が、生前に指定していたのであれば、その人が、祭祀主宰者となります。

第2に、上記指定がない場合には、被相続人が亡くなった地域や属していた地方の慣習に従い祭祀主宰者が決められます。

この第1、第2の方法によっても祭祀主宰者が決まらない場合には、第3として、家庭裁判所の調停、もしくは審判によって決めます(民法897条1項2項)。

2.相続人は、相続開始の時から、一身専属的な性質を有するものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するが、不法行為による慰謝料請求権は、被害者自身の精神的損害を填補するためのものであるから相続財産には含まれない。

2・・・妥当ではない

【前半部分】

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ただし、被相続人の一身に専属したものは、承継しません(民法896条)。
よって、前半部分は妥当です。

【後半部分】

判例(最大判昭42.11.1)によると、「被害者がこの請求権を放棄したものと解しうる特別の事情のない限り、生前に請求の意思を表明しなくても、その相続人は、当然にこの慰謝料請求権を相続する」と判示しています。

したがって、不法行為による慰謝料請求権も、相続財産に含まれるので、後半部分が妥当ではありません。

3.相続財産中の預金債権は、分割債権であるから、相続開始時に共同相続人に対してその相続分に応じて当然に帰属し、遺産分割の対象とはならない。

3・・・妥当ではない

判例(最大決平28.12.19)では、「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」としています。

よって、本肢は「相続財産中の預金債権は、相続分に応じて当然に帰属し、遺産分割の対象とはならない」という記述が妥当ではありません。

※ 遺産分割は共同相続人間の実質的公平を図るためにあります。公平を図るために、被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましいことから、預貯金も遺産分割の対象になるとしています。

4.相続開始後、遺産分割前に共同相続人の1人が、相続財産に属する財産を処分した場合、当該財産は遺産分割の対象となる相続財産ではなくなるため、残余の相続財産について遺産分割を行い、共同相続人間の不公平が生じたときには、別途訴訟等により回復する必要がある。

4・・・妥当ではない

遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができます(民法906条の2第1項)。

よって、「相続開始後、遺産分割前に共同相続人の1人が、相続財産に属する財産を処分した場合、当該財産は遺産分割の対象となる相続財産ではなくなる」という部分は妥当ではありません。

そして、「処分された財産」は、遺産として存在するものとみなすことができるので、別途訴訟等により回復する必要はありません。

そのまま遺産分割を行うことができ、その遺産分割協議書に基づいて、遺産は分割されます。

【背景】 このルールは、モノを処分するというより「預貯金を不当に引き出して使い込む」ことを前提としたルールです。つまり、「処分」=「お金を使い込む」という意味です。

この場合、「不当に引き出した相続人」の相続分も相続財産となるので、「不当に引き出した相続人」の相続分は、使い込んだ分、少なくなるイメージです。

5.共同相続人は、相続の開始後3ヵ月を経過した場合、いつでもその協議で遺産の全部または一部の分割をすることができる。

5・・・妥当ではない

共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合又は分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができます(民法907条1項)。

したがって、本肢は「相続の開始後3ヵ月を経過した場合」という部分が妥当ではありません。

3ヵ月を経過しなくても遺産分割は可能です。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問5|憲法

適正手続に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有物を没収することは許されないが、貨物の密輸出で有罪となった被告人が、そうした手続的保障がないままに第三者の所有物が没収されたことを理由に、手続の違憲性を主張することはできない。
  2. 憲法は被疑者に対して弁護人に依頼する権利を保障するが、被疑者が弁護人と接見する機会の保障は捜査権の行使との間で合理的な調整に服さざるを得ないので、憲法は接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。
  3. 審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることはできない。
  4. 不利益供述の強要の禁止に関する憲法の保障は、純然たる刑事手続においてばかりだけでなく、それ以外にも、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶ。
  5. 不正な方法で課税を免れた行為について、これを犯罪として刑罰を科すだけでなく、追徴税(加算税)を併科することは、刑罰と追徴税の目的の違いを考慮したとしても、実質的な二重処罰にあたり許されない。

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【答え】:4
【解説】

1.告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有物を没収することは許されないが、貨物の密輸出で有罪となった被告人が、そうした手続的保障がないままに第三者の所有物が没収されたことを理由に、手続の違憲性を主張することはできない。

1・・・妥当ではない

第三者所有物没収事件において判例(最大判昭37.11.28)によると、「所有者に対して事前に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法31条に反する」としてします

ここでいう所有物を没収する前に「所有者に対して事前に告知、弁解、防禦の機会を与えること」が「手続的保障」です。

つまり、この手続的保障がないままに第三者の所有物が没収された場合、そのことを理由に、手続の違憲性を主張することはできるので、本肢は妥当ではないです。

2.憲法は被疑者に対して弁護人に依頼する権利を保障するが、被疑者が弁護人と接見する機会の保障は捜査権の行使との間で合理的な調整に服さざるを得ないので、憲法は接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。

2・・・妥当ではない

まず、本肢は、憲法34条の内容と関連するのですが、そもそも私たちが身柄の拘束を受ける場合、「なぜ抑留・拘禁されなければならなのか?」という理由が示されなければならないとされています。また、弁護人を依頼する権利が与えられます。
これを前提知識として、下記判例をご覧ください。

【最大判平11.3.24】

憲法34条前段は、「何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。」と定める。
この弁護人に依頼する権利は、身体の拘束を受けている被疑者が、拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり、人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。
したがって、右規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。

そして、「接見交通の機会」とは、刑事事件の被疑者・被告人として身柄拘束を受けている者が、弁護士等と面談する(接見)する機会、物品を受領する(交通)機会という意味です。

上記の通り、「弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障している」という部分から、「接見交通の機会も実質的に保障しています」。

よって、本肢は「接見交通の機会までも実質的に保障するものとは言えない。」という部分が妥当でないです。

3.審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であっても、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなければ、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることはできない。

3・・・妥当ではない

下記判例は、「公判が、特段の理由なく15年以上にわたって中断されていた」場合の判例です。

【判例(最大判昭47.12.20:高田事件)】憲法37条1項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許さず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定であると解する。

つまり、迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合であれば、法令上これに対処すべき具体的規定が存在しなくても、迅速な裁判を受ける権利を根拠に救済手段をとることができます。

よって、妥当ではないです。

4.不利益供述の強要の禁止に関する憲法の保障は、純然たる刑事手続においてばかりだけでなく、それ以外にも、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶ。

4・・・妥当

「不利益供述の強要の禁止」は、憲法38条1項「何人も、自己に不利益な供述を強制されない」という規定の内容です。
わかりやすくいうと、誰でも黙秘権があり、供述を強要することは禁止だということです。

上記規定は「刑事手続」について規定していますが、判例では、「それ以外(行政手続)」にも及ぶとしています。

それが、下記判例(最大判昭47.11.22:川崎民商事件)です。

憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続(行政手続)においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当とする。

5.不正な方法で課税を免れた行為について、これを犯罪として刑罰を科すだけでなく、追徴税(加算税)を併科することは、刑罰と追徴税の目的の違いを考慮したとしても、実質的な二重処罰にあたり許されない。

5・・・妥当ではない

結論からいうと「刑罰(罰金)」と「追徴税(加算税)」は、二重処罰に当たらないので許されているため、本肢は妥当ではないです。

【判例(最大判昭33.4.30)】
法人税法43条の追徴税は、単に過少申告・不申告による納税義務違反の事実があれば、同条所定の已むを得ない事由のない限り、その違反の法人に対し課せられるものであり、これによつて、過少申告・不申告による納税義務違反の発生を防止し、以つて納税の実を挙げんとする趣旨に出でた行政上の措置であると解すべきである。
法が追徴税を行政機関の行政手続により租税の形式により課すべきものとしたことは追徴税を課せらるべき納税義務違反者の行為を犯罪とし、これに対する刑罰として、これを課する趣旨でないこと明らかである。追徴税のかような性質にかんがみれば、憲法39条の規定は刑罰たる罰金と追徴税とを併科することを禁止す
る趣旨を含むものでないと解するのが相当である

わかりやすくいうと、
「脱税に対する刑罰は、反社会性・反道徳性に対する制裁」であるのに対して、「追徴税(加算税)は、納税義務違反を防止するための行政上の措置」です。
両者は性質が異なるから二重処罰の禁止に当たらない、ということです。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問34|民法

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 未成年者が他人に損害を加えた場合、道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力があるときは、当該未成年者は、損害賠償の責任を負う。
  2. 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、過失によって一時的にその状態を招いたとしても、損害賠償の責任を負わない。
  3. 野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。
  4. 路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。
  5. 路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.未成年者が他人に損害を加えた場合、道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力があるときは、当該未成年者は、損害賠償の責任を負う。

1・・・妥当ではない

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負いません(民法712条:責任能力)。

ここで「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」とは、道徳上不正の行為たることを弁識する知能の意にあらず加害行為の法律上の責任を弁識するに足るべき知能を指すものと解するを相当とする(大判大6.4.30)」としている。

イメージとしては、おおよそ12歳から13歳以上であれば責任能力ありと考えられています。

【判例理解】

「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」とは、「道徳上の是非善悪を判断できる能力」という意味ではなく、「加害行為の法律上の責任を判断できる能力」を指します。

つまり、民法712条の内容は、「道徳上の是非善悪を判断できるだけの能力の有無に関わらず」、加害者が「その行為の法律上の責任を理解できる程度の知能」を有していれば、法的責任を負うという内容です。

■「道徳上の是非善悪を判断できる能力」と言うのは、12歳よりも小さい子供も有します。

具体的に何歳というのはないですが、幼稚園児でも、やっていいこと、悪いことは分かるようになるのでそれくらいの子供も有すると考えられます。

2.精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、過失によって一時的にその状態を招いたとしても、損害賠償の責任を負わない。

2・・・妥当ではない

精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、原則、損害賠償責任を負いません(民法713条本文)。

ただし例外として、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、損害賠償責任を負います(民法713条ただし書き)。

よって、本肢は、「過失によって一時的にその状態を招いた場合、損害賠償の責任を負う」ので妥当ではありません。

例えば、お酒の飲みすぎによって、酩酊状態となり、他人に損害を加えた場合、損害賠償責任を負うことになります。

3.野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。

3・・・妥当ではない

本肢は、「正当防衛」ではなく、「緊急避難」です。

【正当防衛】

他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負いません(民法720条1項)。

これが「正当防衛」です。

例えば、Aは、通りすがり人Bに、ナイフで襲われそうになり、自分の身を守るために、持っていたバックでBの顔を殴った際に、Bが負傷した。この場合、Bに対してやむを得ずした反撃が「正当防衛」です。

この場合、Aは損害賠償責任を負いません。

【緊急避難】

緊急避難について、民法720条2項は「他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合」に損害賠償責任が否定されると規定しています。

この場合の「他人の物から生じた危難」とは、例として他人宅の倒壊しそうな塀(=危険源が他人の物である)などが想定されます。

今回は「野生の熊」という第三の存在(自然災害や動物など、他人の物以外)が生じさせた危難から逃れるために他人の物を損壊しています。この場合、危難の発生源が「他人の物」ではないため、720条2項の緊急避難は成立しません。

結論:
この設問文の内容は妥当ではありません。
なぜなら、民法720条2項の要件を満たさず、正当防衛も適応されない状況だからです。

この場合、やむを得ず他人の物を損壊しても民法上の損害賠償責任は免除されません。

【正当防衛と緊急避難の違い】

正当防衛は、他人の不法な侵害に対する反撃や防御を対象とします。
一方、緊急避難は、自然災害や事故などの緊急の危険から自身や他者を守るための行為を対象とします。

4.路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。

4・・・妥当ではない

本肢は、選択肢3の解説の通り「正当防衛」となります。

なぜなら、他人の不法行為(路上でナイフを振り回して襲ってきた)に対し、「自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益(自己の身)」を防衛するため、やむを得ず加害行為をした(人の家の窓を割った)ので、「正当防衛」にあたります。

5.路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。

5・・・妥当

正当防衛や緊急避難による被害者(損害を受けた者)は、不法行為をした者に対して損害賠償の請求をすることはできます(民法720条1項ただし書き、2項)。

したがって、「窓を壊された被害者」は、「暴漢」に対して損害賠償請求ができます。

一方、「窓を割った者(暴漢に襲われた者)」に対しては、損害賠償請求ができません。
これは、選択肢3の「民法720条1項本文」の内容でもあります。

よって、妥当です。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問4|憲法

薬局を営むXは、インターネットを介した医薬品の通信販売を始めたが、法律は一定の種類の医薬品の販売については、薬剤師が対面で情報の提供および薬学的知見に基づく指導を行うことを求めている。そこでXは、この法律の規定が違憲であり、この種の医薬品についてもネットで販売する権利が自らにあることを主張して出訴した。この問題に関する最高裁判所の判決の趣旨として、妥当なものはどれか。

  1. 憲法22条1項が保障するのは職業選択の自由のみであるが、職業活動の内容や態様に関する自由もまた、この規定の精神に照らして十分尊重に値する。後者に対する制約は、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであることを要する。
  2. 規制の合憲性を判断する際に問題となる種々の考慮要素を比較考量するのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、規制措置の内容や必要性・合理性については、立法府の判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り、裁判所はこれを尊重する。
  3. 本件規制は、専らインターネットを介して販売を行う事業者にとっては職業選択の自由そのものに対する制限を意味するため、許可制の場合と同様にその必要性・合理性が厳格に審査されなければならない。
  4. 本件規制は、国民の生命および健康に対する危険の防止という消極目的ないし警察目的のための規制措置であり、この場合は積極目的の場合と異なり、基本的人権への制約がより小さい他の手段では立法目的を達成できないことを要する。
  5. 本件規制は、積極的な社会経済政策の一環として、社会経済の調和的発展を目的に設けられたものであり、この種の規制措置については、裁判所は立法府の政策的、技術的な裁量を尊重することを原則とする。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】本問題は、下記判例(最判令和3.3.18)の内容です。

憲法22条1項は、狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由も保障しているところ、職業の自由に対する規制措置は事情に応じて各種各様の形をとるため、その同項適合性を一律に論ずることはできず、その適合性は、具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。要指導医薬品について薬剤師の対面による販売又は授与を義務付ける本件各規定は、職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず、職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまるものであることはもとより、その制限の程度が大きいということもできない。本件各規定による規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度に照らすと、本件各規定による規制に必要性と合理性があるとした判断が、立法府の合理的裁量の範囲を超えるものであるということはできない。

したがって、本件各規定が憲法22条1項に違反するものということはできない。

1.憲法22条1項が保障するのは職業選択の自由のみであるが、職業活動の内容や態様に関する自由もまた、この規定の精神に照らして十分尊重に値する。後者に対する制約は、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであることを要する。

1・・・妥当ではない

判例では「憲法22条1項は、狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由も保障している」と言っています。

つまり、「憲法22条1項が保障するのは職業選択の自由のみであるが、職業活動の内容や態様に関する自由もまた、この規定の精神に照らして十分尊重に値する。」という本肢は妥当ではありません。

また、「後者に対する制約は、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであることを要する。」とも言っていません。

「職業の自由に対する規制措置(制約)は、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。」という風に比較考量して判断します。

2.規制の合憲性を判断する際に問題となる種々の考慮要素を比較考量するのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、規制措置の内容や必要性・合理性については、立法府の判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り、裁判所はこれを尊重する。

2・・・妥当

【判例(最大判昭50.4.30、最判令3.3.18)】

職業選択の自由に対する規制措置が憲法22条1項にいう公共の福祉のために要求されるものとして是認されるかどうかは、これを一律に論ずることができず、具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量したうえで慎重に決定されなければならない。
この場合、右のような検討と考量をするのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、裁判所としては、規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上、そのための規制措置の具体的内容及びその必要性と合理性については、立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまるかぎり、立法政策上の問題としてその判断を尊重すべきものである

本肢は上記部分の内容なので、妥当です。

3.本件規制は、専らインターネットを介して販売を行う事業者にとっては職業選択の自由そのものに対する制限を意味するため、許可制の場合と同様にその必要性・合理性が厳格に審査されなければならない。

3・・・妥当ではない

【判例(最判令3.3.18)】

要指導医薬品について薬剤師の対面による販売又は授与を義務付ける本件各規定は、職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず、職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまるものであることはもとより、その制限の程度が大きいということもできない。

本件規制とは、「要指導医薬品について薬剤師の対面による販売又は授与を義務付ける」を指します。
そして、判例では、「本件規制は、職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえない」といっているので、本肢の「件規制は、専らインターネットを介して販売を行う事業者にとっては職業選択の自由そのものに対する制限を意味する」というのは、妥当ではないです。

4.本件規制は、国民の生命および健康に対する危険の防止という消極目的ないし警察目的のための規制措置であり、この場合は積極目的の場合と異なり、基本的人権への制約がより小さい他の手段では立法目的を達成できないことを要する。

4・・・妥当ではない

本肢の内容は、薬事法距離制限事件(最大判昭50.4.30)の内容で、
「規制をするためには、基本的人権への制約がより小さい他の手段では立法目的を達成できないことが要件」と言っています。

一方、本問の判例では、
「規制(本件規制)の適合性は、具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。」
と言っています。

よって、妥当ではないです。

【薬事法距離制限事件(最大判昭50.4.30)の詳細解説】

職業選択の自由、営業の自由といっても、誰でも薬を販売できたり、また、その方法についても自由というわけではないように、「公共の福祉による規制」を受けます。そして、その規制(制限)には、規制目的に応じて、2つの規制があります。

消極目的規制
危険の除去・安全の保護といった消極目的を主眼とする規制
積極目的規制
社会政策的に弱者・少数者等を保護するなどの積極目的を主眼とする規制

「積極目的規制」と「消極目的規制」の審査基準を比べると、
「消極目的規制」の方が「厳しい審査基準」となります。

5.本件規制は、積極的な社会経済政策の一環として、社会経済の調和的発展を目的に設けられたものであり、この種の規制措置については、裁判所は立法府の政策的、技術的な裁量を尊重することを原則とする。

5・・・妥当ではない

本問の内容は、「小売市場距離制限事件(最大判昭47.11.22)の内容です。

よって、妥当ではありません。

「積極的な社会経済政策の一環として、社会経済の調和的発展を目的に設けられたもの」というのが「小売市場の許可規制」です。

「小売市場の許可規制」とは、「小売市場を設置するために、許可が必要」という規制です。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問33|民法

法定利率に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがなかったときは、利息の利率は借主が金銭を受け取った日の法定利率による。
  2. 利息付金銭消費貸借契約において、当初適用された法定利率が変動したときは、当該消費貸借の利息に適用される法定利率も一緒に変動する。
  3. 利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがあったが遅延損害の額の定めがなかった場合に、当該利息の約定利率が法定利率より低かったときは、遅延損害の額は法定利率によって定める。
  4. 不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定める。
  5. 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがなかったときは、利息の利率は借主が金銭を受け取った日の法定利率による。

1・・・妥当

利息について定めをして、利率について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点(金銭を受け取った日)における「法定利率」になります(民法404条1項)。

ただし、この法定利率は、3年ごとに見直しがされ(民法404条3項)、見直し時期は「令和5年4月1日、令和8年4月1日、令和11年4月1日・・・」となります。

令和5年1月1日時点では、法定利率は「3%」です(民法404条2項)。

2.利息付金銭消費貸借契約において、当初適用された法定利率が変動したときは、当該消費貸借の利息に適用される法定利率も一緒に変動する。

2・・・妥当ではない

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率によります(民法404条1項)。

したがって、利息付金銭消費貸借契約において、当初適用された法定利率が変動があったとしても、当該債権に適用される利率は変動しません。

例えば、法定利率が3%の時点でお金を貸して、その後、法定利率が5%になったとしても、当該貸金債権の利率は3%のままということです。

3.利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがあったが遅延損害の額の定めがなかった場合に、当該利息の約定利率が法定利率より低かったときは、遅延損害の額は法定利率によって定める。

3・・・妥当

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率となります。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率となります(民法419条1項)。

つまり、利息の約定利率が法定利率を超えないとき(低かったとき)は、損害賠償の額(遅延損害の額)は「法定利率」となります。

よって、妥当です。

4.不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定める。

4・・・妥当

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率となります(民法419条1項本文)。

そして、不法行為に基づく損害賠償請求権について、履行遅滞(債務不履行)となる時期(起算点)は、「不法行為があった時」です(最判昭37.9.4)。

つまり、不法行為があった瞬間から、加害者は損害賠償金を支払う義務を負い、その瞬間から遅延損害金が発生していることになります。
(実際は、損害額や治療費等をそのまま払えば済む場合が多いです。)

上記をまとめると、

不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定めることになるので、本肢は、妥当です。

5.将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

5・・・妥当

将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする(民法417条の2第1項)。

【「中間利息の控除」とは?】 

本来は将来受け取るべきお金(損害賠償金)を前払いしてもらう場合、前払いしてもらっていることにより、それに利息が付きます。
そのため、その利息分は、過剰に賠償してもらっていることになるので、その分は差し引くことを言います。

【具体例】 

交通事故で後遺症を負い、労働能力が喪失したことによって将来得られたはずの収入の全部を得られなくなることがあります。

この得られなくなった収入分を「逸失利益」といい、労働者の平均収入や平均就労年数等から金額を計算して、損害賠償請求することができます。

この時、計算した金額をそのまま受け取ると、もらい過ぎになります。

なぜなら、逸失利益は「将来の収入」であり、本来、将来受け取るべきお金です。

それを、前払いしてもらうことにより、そのお金は、毎月利息がついて増え続けます。

結果として、損害額以上に利益を生じることになります。

そこで、公平のため「中間利息控除」によって将来にわたって発生するはずの利息分を差し引いて、逸失利益の減額をします。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問3|憲法

表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。

公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

(最一小判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁)

  1. XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。
  2. Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。
  3. 作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。
  4. 新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。
  5. A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

(※)公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、右批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。

上記文章は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

1.XはA駅の構内で、駅員の許諾を受けず、また退去要求を無視して、乗降客や通行人に対してB市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された。

1・・・妥当ではない

本肢は、「Xは、B市の施策を批判する演説を行ったところ、不退去などを理由に起訴された」と書いてあります。「B市の施策を批判」しているのであって、「公務員の地位における行動について批判」しているわけではありません。

よって、本肢は「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないので妥当ではないです。

2.Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道したところ、X1・X2の名誉を毀損したとして訴訟になった。

2・・・妥当ではない

本肢は、「Yは雑誌上で、宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判的に報道した」と書いてあります。
つまり、「宗教法人X1の会長X2に関する事実を批判」しているのであって、「公務員の地位における行動について批判」しているわけではありません。

よって、本肢は「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないので妥当ではないです。

3.作家Yは自らが執筆した小説にXをモデルとした人物を登場させ、この際にXが不特定多数への公開を望まない私生活上の事実を描いたため、Xが出版差止めを求めて出訴した。

3・・・妥当ではない

問題文(※)は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

もっと分かりやすく言えば、
「公務員の行動について批判・論評を行う行為が、不法行為に当たらない場合」に関する記述です。

本肢は「作家Yの行為について、プライバシー侵害(不法行為)に当たるかどうか」の話です。
「公務員の行動について批判・論評を行う行為」ではないので、「上記(※)の判断基準が想定している事例」と言えないです。

よって、妥当ではないです。

4.新聞記者Xは取材の過程で公務員Aに接近して親密になり、外交交渉に関する国の機密情報を聞き出したところ、機密漏洩をそそのかしたとして起訴された。

4・・・妥当ではない

新聞記者Xが、公務員Aをそそのかしたことで起訴された内容(国家公務員法111条における秘密漏示そそのかし罪)です。

つまり、「上記(※)の判断基準が想定している事例」とは内容が異なります。

問題文(※)は、「公務員の地位における行動について批判・論評を行う行為が、名誉侵害の不法行為に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合」と言っています。

もっと分かりやすく言えば、
「公務員の行動について批判・論評を行う行為が、不法行為に当たらない場合」に関する記述です。

本肢は、「新聞記者Xのそそのかし行為が、国家公務員法111条における秘密漏示そそのかし罪に当たる」として起訴されているので、内容が異なります。

5.A市の公立小学校で成績の評価方法をめぐる対立が生じ、市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布したところ、XがYに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した。

5・・・妥当

「市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布した」というのは、「公務員の行動について批判・論評を行う行為」です。

これについて、「教員Xが市民Yに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴している」ので、
本問の(※)の事例として適切です。

本肢の「市民Yが教員Xを厳しく批判するビラを配布した」行為について、教員Xが市民Yに対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した結果として、裁判所が「名誉侵害の不法行為」に当たらないのは、目的が専ら公益を図るものであるなどを証明するなど一定要件を満たした場合と判断を下しています。

そのため、本肢の事案に対する判断基準として、(※)は適切なので、本肢は、表現の自由に関する判断基準が想定している事例として妥当です。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問32|民法

Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。この場合についての次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 甲建物についてのAのBに対する賃貸人たる地位は、Bの承諾を要しないで、AとCとの合意により、Cに移転させることができる。
  2. 甲建物の譲渡によるCへの賃貸人たる地位の移転は、甲建物についてAからCへの所有権移転登記をしなければ、Bに対抗することができない。
  3. AとCが甲建物の賃貸人たる地位をAに留保する旨の合意および甲建物をCがAに賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位はCに移転しない。
  4. 賃貸人たる地位がCに移転した場合、Bは、Cの承諾を得なければ、甲建物の賃借権を譲り渡すことはできないが、甲建物を転貸するときは、Cの承諾を要しない。
  5. 賃貸人たる地位がCに移転した場合、敷金の返還に係る債務はCに承継され、Cが、Bに対し、その債務を負う。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。

甲建物についてのAのBに対する賃貸人たる地位は、Bの承諾を要しないで、AとCとの合意により、Cに移転させることができる。

1・・・正しい

賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転します(民法605条の2第1項)。

建物の賃貸借の場合「引渡し」又は「賃借権の登記」により対抗要件を備えます(民法605条、借地借家法31条)。

そして、本肢の場合、Bは甲建物の引渡しを受けているため、賃貸借の対抗要件(対抗力)を備えています。

したがって、甲建物についてのAのBに対する賃貸人たる地位は、Bの承諾を要しないで、Cに移転します。

2.Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。

甲建物の譲渡によるCへの賃貸人たる地位の移転は、甲建物についてAからCへの所有権移転登記をしなければ、Bに対抗することができない。

2・・・正しい

賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができません(民法605条の2第3項)。

よって、本肢は正しいです。

つまり、新賃貸人Cは、移転登記をすることで、賃借人に対して、賃料を請求することができるようになります。

3.Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。

AとCが甲建物の賃貸人たる地位をAに留保する旨の合意および甲建物をCがAに賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位はCに移転しない。

3・・・正しい

不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しません(民法605条の2第2項前段)。

つまり、AC間で「賃貸人は引き続きAのままにしましょう!」と合意した場合、賃貸人は、「建物の新所有者C」ではなく、そのままAとなります。

4.Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。

賃貸人たる地位がCに移転した場合、Bは、Cの承諾を得なければ、甲建物の賃借権を譲り渡すことはできないが、甲建物を転貸するときは、Cの承諾を要しない。

4・・・誤り

賃借人Bは、賃貸人Cの承諾を得なければ、「その賃借権を譲り渡し」、又は「賃借物を転貸すること」ができません(民法612条1項)。

よって、本肢は「甲建物を転貸するときは、Cの承諾を要しない。」と言う部分が誤りです。

正しくは「甲建物を転貸するときは、Cの承諾を要する」です。

※ 賃借人が賃貸人の承諾を得ず第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます(民法612条2項)。

ただし、背信的行為と認められない場合は、解除できません(最判昭31.5.8)。

5.Aは、Bとの間でA所有の甲建物の賃貸借契約を締結し、甲建物を引き渡したが、その後、Aは、同建物をCに譲渡した。Aは、同賃貸借契約締結時にBから敷金を提供され、それを受け取っていた。

賃貸人たる地位がCに移転した場合、敷金の返還に係る債務はCに承継され、Cが、Bに対し、その債務を負う。

5・・・正しい

賃貸人たる地位が譲受人C又はその承継人に移転したときは、費用の償還に係る債務及び敷金の返還に係る債務は、譲受人C又はその承継人が承継します(民法605条の2第4項)。

よって、敷金の返還に係る債務は新賃貸人C(譲受人)に承継され、Cが、Bに対し、その債務を負います。

したがって、本肢は正しいです。

※ 旧賃貸人Aに差し入れられた敷金は、未払賃料債務があれば、当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人Cに承継されます(最判昭44.7.17)。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和4年・2022|問2|基礎法学

法律用語に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.「法律要件」とは、法律効果を生じさせる原因となる客観的な事実のことであり、意思表示などの主観的な要素は、これには含まれない。

イ.「法律効果」とは、法律上の権利義務関係の変動(発生、変更または消滅)のことをいう。

ウ.「構成要件」とは、犯罪行為を特徴付ける定型的な外形的事実のことであり、故意などの主観的な要素は、これには含まれない。

エ.「立法事実」とは、法律を制定する場合において、当該立法の合理性を根拠付ける社会的、経済的、政治的または科学的事実のことをいう。

オ.「要件事実」とは、法律要件に該当する具体的な事実のことをいう。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:1(ア・ウが妥当ではない)

【解説】

ア.「法律要件」とは、法律効果を生じさせる原因となる客観的な事実のことであり、意思表示などの主観的な要素は、これには含まれない。

ア・・・妥当ではない

「法律要件」とは、法律効果を生じさせる原因となる客観的な事実のことです。
したがって、この点は妥当です。

そして、本肢は「意思表示などの主観的な要素は、これには含まれない。」という点が妥当ではありません。

例えば、売買契約における「売ります」「買います」という意思表示は、売買契約の法律効果を生じさせる原因となります(民法522条1項)。

よって、妥当ではないです。

【具体例】 
例えば、民法90条には「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は,無効とする。」とあります。

「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為(公序良俗に反する法律行為)」をすれば(=法律要件を満たせば)、
法律効果としては「無効」となる、ということです。

具体的には、配偶者がいる者が、「愛人になってくれたら100万円をあげる」という契約です。
これは、「公序良俗に反する法律行為」です。
つまり、民法90条の法律要件を満たすことになります。
よって、無効となります。

イ.「法律効果」とは、法律上の権利義務関係の変動(発生、変更または消滅)のことをいう。

イ・・・妥当

「法律効果」とは、法律上の権利義務関係の変動(発生、変更または消滅)のことを言います。

よって、妥当です。

例えば、売買契約における「売ります」「買います」という意思表示は、売買契約の法律効果を生じさせる原因となり(民法522条1項)、
結果として、所有権が、売主から買主に移転します。
つまり、法律上の権利が変動しています。

ウ.「構成要件」とは、犯罪行為を特徴付ける定型的な外形的事実のことであり、故意などの主観的な要素は、これには含まれない。

ウ・・・妥当ではない

構成要件とは、犯罪が成立するための原則的な要件です。

例えば、刑法235条の窃盗罪は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。
この「他人の財物を窃取した」が構成要件になります。

そして、本肢は「故意などの主観的な要素は、これには含まれない」が妥当ではないです。

「罪を犯す意思がない行為は、罰しない(刑法38条1項本文)」と規定しており、「故意」といった主観的要素も、構成要件に含まれることが分かります。

例えば、刑法246条の詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定していますが、これは、故意が無ければ成立しない犯罪です。

エ.「立法事実」とは、法律を制定する場合において、当該立法の合理性を根拠付ける社会的、経済的、政治的または科学的事実のことをいう。

エ・・・妥当

立法事実とは、法律(条例等も含む)の目的と手段を基礎付ける社会的な事実(データ、市民の意識などを含みます)をいいます。

例えば、「住宅セーフティネット法」という法律が制定された背景としては下記があり、これが「立法事実」です。

高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方が今後も増加する見込み
住宅セーフティネットの根幹である公営住宅については大幅な増加が見込めない
一方で、民間の空き家・空き室は増加している

これらに基づいて

「高齢者、障害者、子育て世帯等の入居を拒まない賃貸住宅」については、国が経済的支援をして、高齢者、障害者、子育て世帯等の入居後押しする法律が「住宅セーフティネット法」です。

オ.「要件事実」とは、法律要件に該当する具体的な事実のことをいう。

オ・・・妥当

「要件事実」とは、一定の法律効果が発生するために必要な具体的事実をいいます。

例えば、「弁済した」という事実によって、債務が消滅するという法律効果が生じます。
この場合、「弁済した行為」が要件事実です。

そして、法律効果を発生させるためには、一定の要件を満たす必要があります。
その要件が「法律要件」です。

上記でいえば、弁済によって、債務が消滅するという法律効果が発生するので,
「弁済」が法律要件です。

つまり、法律要件に該当する具体的な事実は「弁済をすること=例えば、借りたお金を返すこと」です。

よって、本肢は妥当です。


令和4年(2022年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略