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令和3年・2021|問55|一般知識

次の文章の空欄[ Ⅰ ]~[ Ⅴ ]には、それぞれあとのア~コのいずれかの語句が入る。その組合せとして妥当なものはどれか。(2022年改正対応)

「顔認識(facial recognition)システム」とは、撮影された画像の中から人間の顔を検出し、その顔の性別や年齢、[ Ⅰ ]などを識別するシステムのことをいう。
「顔認証(facial identification)システム」とは、検出した顔データを事前に登録しているデータと照合することにより[ Ⅱ ]を行うものをいう。
日本の場合、こうした[ Ⅲ ]の利用については、[ Ⅳ ]の規制を受ける場合もある。たとえば、監視カメラによって、本人の同意を得ることなく撮影された顔情報を犯罪歴と照合したり、照合する目的で撮影したりすると、[ Ⅳ ]における要配慮個人情報に該当する問題となりうる。
既に米国のいくつかの州では、[ Ⅴ ]保護の観点から生体特定要素に「顔の形状」が含まれるとして、顔データの収集について事前の同意を必要とし第三者への生体データの販売に制限を設けるようになっている。欧州でも、欧州委員会から公共空間で取得した顔認識を含む[ Ⅲ ]を利用した捜査を禁止する方針が明らかにされた。

ア.表情 イ.大きさ ウ.前歴確認 エ.本人確認 オ.生体情報 カ.特定個人情報 キ.個人情報保護法 ク.刑事訴訟法 ケ.匿名性 コ.プライバシー
  1. Ⅰ:ア Ⅱ:ウ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:ケ
  2. Ⅰ:ア Ⅱ:ウ Ⅲ:カ Ⅳ:ク Ⅴ:ケ
  3. Ⅰ:ア Ⅱ:エ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:コ
  4. Ⅰ:イ Ⅱ:エ Ⅲ:カ Ⅳ:ク Ⅴ:コ
  5. Ⅰ:イ Ⅱ:エ Ⅲ:オ Ⅳ:キ Ⅴ:コ

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【答え】:3

【解説】

「顔認識(facial recognition)システム」とは、撮影された画像の中から人間の顔を検出し、その顔の性別や年齢、[ Ⅰ ]などを識別するシステムのことをいう。

Ⅰ・・・ア.表情

「顔認識システム」とは、カメラのデジタル画像から、人間の顔を検出し、その顔の性別年齢表情などを識別するシステムのことをいいます。

 

「顔認証(facial identification)システム」とは、検出した顔データを事前に登録しているデータと照合することにより[ Ⅱ ]を行うものをいう。

Ⅱ・・・エ.本人確認

「顔認証システム」とは、「検出した顔データ」を「事前に登録しているデータ」と照合することにより本人確認を行うものをいう。

 

日本の場合、こうした[ Ⅲ ]の利用については、[ Ⅳ ]の規制を受ける場合もある。たとえば、監視カメラによって、本人の同意を得ることなく撮影された顔情報を犯罪歴と照合したり、照合する目的で撮影したりすると、[ Ⅳ ]における要配慮個人情報に該当する問題となりうる。

Ⅲ・・・オ.生体情報
Ⅳ・・・キ.個人情報保護法

性別年齢表情など」は、生体情報です。よって、Ⅲには「生体情報」が入ります。

また、生体情報は、個人情報でもあるため、「個人情報保護法」の規制を受ける場合もあります。

よって、Ⅳには「個人情報保護法」が入ります。

 

既に米国のいくつかの州では、[ Ⅴ ]保護の観点から生体特定要素に「顔の形状」が含まれるとして、顔データの収集について事前の同意を必要とし第三者への生体データの販売に制限を設けるようになっている。欧州でも、欧州委員会から公共空間で取得した顔認識を含む[ Ⅲ ]を利用した捜査を禁止する方針が明らかにされた。

Ⅴ・・・コ.プライバシー

アメリカのいくつかの州によっては、プライバシー保護の観点から、顔データの収集には、事前に本人の同意が必要等の制限をかけています。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問25|行政法

墓地埋葬法*13条は、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。」と定めているところ、同条の「正当の理由」について、厚生省(当時)の担当者が、従来の通達を変更し、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由として埋葬を拒否することは「正当の理由」によるものとは認められないという通達(以下「本件通達」という。)を発した。本件通達は、当時の制度の下で、主務大臣がその権限に基づき所掌事務について、知事をも含めた関係行政機関に対し、その職務権限の行使を指揮したものであるが、この通達の取消しを求める訴えに関する最高裁判所判決(最三小判昭和43年12月24日民集22巻13号3147頁)の内容として、妥当なものはどれか。

  1. 通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。
  2. 通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。
  3. 行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。
  4. 本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。
  5. 取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。

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【答え】:3
【解説】

1.通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。

1・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『元来、通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり、このような通達は右機関および職員に対する行政組織内部における命令にすぎないから、これらのものがその通達に拘束されることはあつても、一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合においても別段異なるところはない。←選択肢2

と判示しています。

よって、本問は「通達は、原則として、法規の性質をもつものであり」が妥当ではないです。

2.通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。

2・・・妥当ではない

選択肢1の判例の内容の通り、本問は「国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には法規の性質を有することとなり」が妥当ではないです。

正しくは「国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものであっても法規の性質を有さず」です。

 

3.行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。

3・・・妥当

判例(最判昭43.12.24)によると

通達は、元来、法規の性質をもつものではないから、行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではない。』

と判示しています。

よって、本問は妥当です。

通達は、行政機関内の内部的なルールです。そのため、行政機関が通達(内部ルール)に反する処分をしても、その処分の効力に影響を与えません。

つまり、通達に従わない処分も有効であり、通達に従っていないことだけでその処分が無効になることはない、ということです。

 

4.本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。

4・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものではあるが、それはもつぱら知事以下の行政機関を拘束するにとどまるもので、これらの機関は右通達に反する行為をすることはできないにしても、国民は直接これに拘束されることはなく、従つて、右通達が直接に上告人の所論墓地経営権、管理権を侵害したり、新たに埋葬の受忍義務を課したりするものとはいいえない。』

と判示しています。

本問は「本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである」が妥当ではありません。

正しくは「本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものではない」です。

 

5.取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。

5・・・妥当ではない

判例(最判昭43.12.24)によると

『現行法上行政訴訟において取消しの訴えの対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達中所論の趣旨部分の取消を求める本件訴は許されないものとして却下すべきものである。 』

と判示しています。

よって、本問は「棄却」が妥当ではないです。

正しくは「却下」です。

本問の「通達」は、法規の性質はなく、直接国民を拘束するものではないので、行政処分ではないです(処分性がない)。そのため、取消訴訟の訴訟要件を満たさず、却下となります。

棄却と却下の違い


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問54|一般知識

ジェンダーやセクシュアリティに関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを英語で表記したときの頭文字による語で、性的少数者を意味する。
  2. 日本の女子大学の中には、出生時の性別が男性で自身を女性と認識する学生の入学を認める大学もある。
  3. 米国では、連邦最高裁判所が「同性婚は合衆国憲法の下の権利であり、州は同性婚を認めなければならない」との判断を下した。
  4. 日本では、同性婚の制度が立法化されておらず、同性カップルの関係を条例に基づいて証明する「パートナーシップ制度」を導入している自治体もない。
  5. 台湾では、アジアで初めて同性婚の制度が立法化された。

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【答え】:4
【解説】

1.「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを英語で表記したと
きの頭文字による語で、性的少数者を意味する。

1・・・妥当

「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを英語で表記したと
きの頭文字による語で、性的少数者を意味します。

「トランスジェンダー」とは、生まれつきの身体的性別に違和感を持ち、異なる性を生きていきたいと考えている人の総称です。

 

2.日本の女子大学の中には、出生時の性別が男性で自身を女性と認識する学生の入学を認める大学もある。

2・・・妥当

日本の女子大学の中には、出生時の性別が男性で自身を女性と認識する学生の入学を認める大学もります。

例えば、お茶の水女子大学があります。

 

3.米国では、連邦最高裁判所が「同性婚は合衆国憲法の下の権利であり、州は同性婚を認めなけ
ればならない」との判断を下した。

3・・・妥当

2015年、米国では、連邦最高裁判所が「同性婚は合衆国憲法の下の権利であり、州は同性婚を認めなければならない」との判断を下しました。

同性婚は合法であり、同性婚を禁止の州法は違憲であることを連邦最高裁判所は示しました。

 

4.日本では、同性婚の制度が立法化されておらず、同性カップルの関係を条例に基づいて証明す
る「パートナーシップ制度」を導入している自治体もない。

4・・・妥当ではない

日本では、同性婚の制度が立法化されていませんが、同性カップルの関係を条例に基づいて証明す
る「パートナーシップ制度」を導入している自治体はあります。

例えば、渋谷区や世田谷区があります。

 

5.台湾では、アジアで初めて同性婚の制度が立法化された。

5・・・妥当

2017年に同性婚を認めない現行民法の規定は違憲だとした。これによって、 2019年5月24日に同性間の婚姻関係を保障する特別法が制定されました。同性婚の合法化は世界で27番目で、アジアで初です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問24|地方自治法

地方自治法が定める普通地方公共団体の長と議会の関係に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。

イ.普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。

ウ.普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。

エ.普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。

オ.地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:5

【解説】

ア.普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。

ア・・・誤り

議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、一定期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があった日においてその職を失います(地方自治法178条2項)。

よって、本問は「長は再度議会を解散することができる」が誤りで、正しくは「長は職を失う」です。

>>「地方公共団体の長に対する不信任議決」と「議会解散」

 

イ.普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。

イ・・・誤り

普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない(地方自治法176条4項)。

上記の再議は、必ず行わなければいけないものです(違法再議という)。

よって、本問は「再議に付すことができる」が誤りです。正しくは「再議に付さなければならない」です。

>>地方公共団体の長の再議請求権

 

ウ.普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。

ウ・・・正しい

議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができます(地方自治法101条2項)。

上記請求があったときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から20日以内に臨時会を招集しなければなりません(地方自治法101条4項)。

それにもかかわらず、上記請求のあった日から20日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、議長は、臨時会を招集することができます(地方自治法101条5項)。

よって、本問は正しいです。

>>地方公共団体の議会の種類と招集、会期

 

エ.普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。

エ・・・誤り

普通地方公共団体の議会が成立し、開会していても、議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、原則、その議決すべき事件を処分(専決処分)することができます(地方自治法179条1項本文)。

よって、本問は「(専決処分)を行うことはできない」となっているので誤りです。正しくは「(専決処分)を行うことはできる」です。

>>長の専決処分

オ.地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。

オ・・・正しい

地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はありませんが、「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」という特例に「地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる」旨の規定があります(地方公共団体の議会の解散に関する特例法2条1項)。

 


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問53|一般知識

先住民族に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 2019年制定のいわゆるアイヌ新法*で、アイヌが先住民族として明記された。
  2. 2020年開設の国立アイヌ民族博物館は、日本で初めてのアイヌ文化の展示や調査研究などに特化した国立博物館である。
  3. 2007年の国際連合総会で「先住民族の権利に関する宣言」が採択され、2014年には「先住民族世界会議」が開催された。
  4. カナダでは、過去における先住民族に対する同化政策の一環として寄宿学校に強制入学させたことについて、首相が2008年に公式に謝罪した。
  5. マオリはオーストラリアの先住民族であり、アボリジニはニュージーランドの先住民族である。

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【答え】:5
【解説】

1.2019年制定のいわゆるアイヌ新法*で、アイヌが先住民族として明記された。

1・・・妥当

2019年制定のいわゆるアイヌ新法では、第1条で、「アイヌが先住民族」として明記されました。

アイヌ新法は、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(以下「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況並びに近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、アイヌ施策の推進に関し、基本理念、国等の責務、政府による基本方針の策定、民族共生象徴空間構成施設の管理に関する措置、市町村(特別区を含む。以下同じ。)によるアイヌ施策推進地域計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けたアイヌ施策推進地域計画に基づく事業に対する特別の措置、アイヌ政策推進本部の設置等について定めることにより、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする(アイヌ新法1条)。

2.2020年開設の国立アイヌ民族博物館は、日本で初めてのアイヌ文化の展示や調査研究などに特
化した国立博物館である。

2・・・妥当

2020年開設の国立アイヌ民族博物館は、日本で初めてのアイヌ文化の展示や調査研究などに特
化した「国立博物館」です。

 

3.2007年の国際連合総会で「先住民族の権利に関する宣言」が採択され、2014年には「先住民族
世界会議」が開催された。

3・・・妥当

2007年の国際連合総会で「先住民族の権利に関する宣言」が採択され、2014年には「先住民族
世界会議」が開催されました。

 

4.カナダでは、過去における先住民族に対する同化政策の一環として寄宿学校に強制入学させたことについて、首相が2008年に公式に謝罪した。

4・・・妥当

カナダでは、過去における先住民族に対する同化政策の一環として寄宿学校に強制入学させたことについて、首相(スティーブン・ハーパー)が2008年に公式に謝罪しました。

 

5.マオリはオーストラリアの先住民族であり、アボリジニはニュージーランドの先住民族である。

5・・・妥当ではない

オーストラリアの先住民族がアボリジニで、ニュージーランドの先住民族がマオリです。

つまり、「マオリ」と「アボリジニ」が逆になっています。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問23|地方自治法

普通地方公共団体に適用される法令等に関する次の記述のうち、憲法および地方自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。
  2. 普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。
  3. 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。
  4. 条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。
  5. 普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。

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【答え】:5
【解説】

1.国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。

1・・・誤り

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない(憲法95条)。

本問は「議会の同意」が誤りです。正しくは「住民の投票においてその過半数の同意」です。

 

2.普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。

2・・・誤り

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮こ、100万円以下の罰金拘留科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法14条3項)。

よって、「条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする」は誤りです。上記条文の通り、個別の法律の委任なく、地方自治法に基づいて、条例に刑罰を設けることができます

 

3.普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例に
よる委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。

3・・・誤り

普通地方公共団体の長(知事や市長等)は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます(地方自治法15条2項)。

本問は「例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる」が誤りです。

普通地方公共団体の長は、規則で刑罰を規定することはできません。

普通地方公共団体の長は、規則で定めることができるのは「5万円以下の過料」です。

そして、「過料」は刑罰ではなく秩序罰です。

よって、誤りです。

 

4.条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議
会の議員のみであり、長による提出は認められていない。

4・・・誤り

普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出する事務を担任します(地方自治法149条1号)。

そして、普通地方公共団体の議会の議決を経るべき事件の一つに「条例を設け又は改廃すること」があります(地方自治法96条1項1号)。

よって、普通地方公共団体の長は、条例案を議会に提出することができます

 

5.普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該
普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。

5・・・正しい

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条1項:住民による直接請求)。

よって、普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されています(地方税の賦課徴収等に関する条例の制定・改廃請求はできない)


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問52|一般知識

エネルギー需給動向やエネルギー政策に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.2020年代初頭の日本では、一次エネルギーの7割以上を化石エネルギーに依存しており、再生可能エネルギーは3割にも満たない。

イ.2010年代後半以降、日本では、原油ならびに天然ガスいずれもの大半を、中東から輸入している。

ウ.日本政府は、2021年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを定めた。

エ.現在、世界最大のエネルギー消費国は米国であり、中国がそれに続いている。

オ.2020年前半には、新型コロナウイルス感染症拡大による先行き不安により、原油価格が高騰した。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア.2020年代初頭の日本では、一次エネルギーの7割以上を化石エネルギーに依存しており、再生可能エネルギーは3割にも満たない。

ア・・・妥当

2020年代初頭の日本は、一次エネルギーの7割以上が「化石エネルギー(例:石炭・石油・天然ガス)」で、「再生可能エネルギー(例:太陽光・風力・地熱・水力・バイオマス)」は、3割にも満たない(7%ほど)です。

 

イ.2010年代後半以降、日本では、原油ならびに天然ガスいずれもの大半を、中東から輸入している。

イ・・・妥当ではない

2010年代後半以降、日本では、「原油」は、主にサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールなどの中東の国々から輸入しています。

一方、「天然ガス」は、主にオーストラリア、マレーシア、カタールから輸入しています。

 

ウ.日本政府は、2021年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを定めた。

ウ・・・妥当

日本政府は、2021年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロ(カーボンニュートラル)とすることを定めた。

 

エ.現在、世界最大のエネルギー消費国は米国であり、中国がそれに続いている。

エ・・・妥当ではない

現在、世界最大のエネルギー消費国は、1位:中国、2位:アメリカ、3位:インドです。

本問は「米国」と「中国」が逆です。

 

オ.2020年前半には、新型コロナウイルス感染症拡大による先行き不安により、原油価格が高騰した。

オ・・・妥当ではない

2020年前半、新型コロナウイルス感染症拡大による先行き不安により、原油価格は「下落」しました。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問22|地方自治法

地方自治法が定める公の施設に関する次のア~エの記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。

イ.普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。

ウ.普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。

エ.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:2

【解説】

ア.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。

ア・・・妥当

普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2第1項)。

よって、妥当です。

 

イ.普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。

イ・・・妥当ではない

普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してしなければなりません(地方自治法244条の4第1項)。

よって、本問は「総務大臣」が妥当ではありません。正しくは「普通地方公共団体の長」です。

 

ウ.普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。

ウ・・・妥当ではない

普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なもの(学校や下水道施設等)について、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません(地方自治法244条の2第2項)。

 

エ.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。

エ・・・妥当

普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはなりません(地方自治法244条3項)。

そして、判例(最判平18.7.14)(裁判要旨)によると

普通地方公共団体の住民ではないが,その区域内に事務所,事業所,家屋敷等を有し,当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について,当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは,地方自治法244条3項に違反する

と判示しています。

よって、本問は妥当です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問51|一般知識

国際収支に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上される。
  2. 発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。
  3. 海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
  4. 海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
  5. 日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算される。

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【答え】:3
【解説】

1.海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で
、マイナスとして計上される。

1・・・正しい

経済収支とは、「貿易・サービス収支」、「第一次所得収支」、「第二次所得収支」の合計を言います。

  • 貿易収支: 財貨(物)の輸出入の収支
  • サービス収支:サービス取引の収支(例えば、輸送や旅行等)
  • 第一次所得収支:対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支
  • 第二次所得収支:居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支(例えば、寄付、贈与の受払等)

本問は「サービス収支」の内容です。

たとえば、日本から外国に海外旅行に行って、現地のホテルの宿泊料を支払うと、日本のサービス収支(経常収支)は、宿泊料分のお金が、マイナスとなります。

 

2.発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国
の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。

2・・・正しい

発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合(第二次所得収支)、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上されます。

 

3.海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスと
して計算される。

3・・・誤り

海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合(第二次所得収支)、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計算されます。なぜなら、日本から海外にお金が流れているため、日本からするとマイナスだからです。

 

4.海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラ
スとして計算される。

4・・・正しい

海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合(第一次所得収支)、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算されます。海外から日本にお金が流れているからプラスです。

 

5.日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして
計算される。

5・・・正しい

「金融収支」とは、直接投資、証券投資、金融派生商品、その他投資及び外貨準備の合計を言います。

そして、金融収支は、お金の増減ではなく、株式など金融資産の増減でプラスかマイナスかを判断するので、日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算されます。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問21|国家賠償法

規制権限の不行使(不作為)を理由とする国家賠償請求に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露したことにつき、一定の時点以降、労働大臣(当時)が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。

イ.鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことにつき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。

ウ.宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法である。

エ.いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはならない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:1(アイが妥当)

【解説】

ア.石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露したことにつき、一定の時点以降、労働大臣(当時)が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。

ア・・・妥当

石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露した事案について、判例(最判平26.10.9)によると

労働大臣は、石綿肺の医学的知見が確立した昭和33年3月31日頃以降、石綿工場に局所排気装置を設置することの義務付けが可能となった段階で、できる限り速やかに、旧労基法に基づく省令制定権限を適切に行使し、罰則をもって上記の義務付けを行って局所排気装置の普及を図るべきであったということができる。

そして、昭和33年には、局所排気装置の設置等に関する実用的な知識及び技術が相当程度普及して石綿工場において有効に機能する局所排気装置を設置することが可能となり、石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けるために必要な実用性のある技術的知見が存在するに至っていたものと解するのが相当である。

また、昭和33年当時、石綿工場において粉じん濃度を測定することができる技術及び有用な粉じん濃度の評価指標が存在しており、局所排気装置の性能要件を設定することも可能であったというべきである。

そうすると、昭和33年通達が発出された同年5月26日には、労働大臣は省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けることが可能であったということができる。

本件における以上の事情を総合すると、労働大臣は、昭和33年5月26日には、旧労基法に基づく省令制定権限を行使して、罰則をもって石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けるべきであったのであり、旧特化則が制定された昭和46年4月28日まで、労働大臣が旧労基法に基づく上記省令制定権限を行使しなかったことは、旧労基法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるというべきである。』

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

イ.鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことにつき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。

イ・・・妥当

通商産業大臣が、石炭鉱山でのじん肺(病名)の発生を防止して、鉱山の安全を保つための権限(省令の改正)を行使しなかった事案について、判例(最判平16.4.27)(裁判要旨)によると

炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において,炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて,じん肺を炭じん等の鉱物性粉じんの吸入によって生じたものを広く含むものとして定義し,これを施策の対象とするじん肺法が成立したこと,そのころまでには,さく岩機の湿式型化によりじん肺の発生の原因となる粉じんの発生を著しく抑制することができるとの工学的知見が明らかとなっており,金属鉱山と同様に,すべての石炭鉱山におけるさく岩機の湿式型化を図ることに特段の障害はなかったのに,同法成立の時までに,鉱山保安法に基づく省令の改正を行わず,さく岩機の湿式型化等を一般的な保安規制とはしなかったことなど判示の事実関係の下では,じん肺法が成立した後,通商産業大臣が鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

ウ.宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法である。

ウ・・・妥当ではない

判例(最判平元.11.24)(裁判要旨)によると

宅地建物取引業者に対する知事の免許の付与ないし更新が宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない場合であっても、知事の右行為は、右業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではない。

と判示しています。

よって、本問は「違法である」が妥当ではなく、正しくは「違法ではない」です。

 

エ.いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはならない。

エ・・・妥当ではない

判例(最判平16.10.15)(裁判要旨)によると

国が,昭和34年11月末の時点で,多数の水俣病患者が発生し,死亡者も相当数に上っていると認識していたこと,水俣病の原因物質がある種の有機水銀化合物であり,その排出源が特定の工場のアセトアルデヒド製造施設であることを高度のがい然性をもって認識し得る状況にあったこと,同工場の排水に含まれる微量の水銀の定量分析をすることが可能であったことなど判示の事情の下においては,同年12月末までに,水俣病による深刻な健康被害の拡大防止のために,公共用水域の水質の保全に関する法律及び工場排水等の規制に関する法律に基づいて,指定水域の指定,水質基準及び特定施設の定めをし,上記製造施設からの工場排水についての処理方法の改善,同施設の使用の一時停止その他必要な措置を執ることを命ずるなどの規制権限を行使しなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

と判示しています。

よって、本問は「違法とはならない」が妥当ではなく、正しくは「違法となる」です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略