民法の過去問

平成26年・2014|問33|民法・弁済

改正民法に対応済

取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者に対するものに対する弁済等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはいくつあるか。

ア 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

ウ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

エ 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

オ 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

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改正民法に対応済

【答え】:5

【解説】

ア 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

ア・・・妥当

●債権者の代理人と称して債権を行使する者= 「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に該当する

●上記の者に善意無過失で弁済した場合、その弁済は有効となる

受領権者以外の者であって、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。

具体例 AがBに時計を売った場合、売主Aは代金を受領できる権利を持つので、売主Aが受領権者です。

そして、A以外のCが、代金の受領証書を持って、買主Bのもとにきて、買主Bが、善意無過失で、Cに代金を支払った場合(弁済した場合)、Bの弁済は有効となります。Cは「代金の受領証書を持ってきている」ので「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」と考えられます。

本問 判例では、『債権者の代理人と称して債権を行使する者についても、民法478条の「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」にあたる』としています。つまり、銀行が、この代理人に善意無過失で払戻しをした場合、この払い戻し(弁済)は有効となります。

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

イ・・・妥当

●「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対して、定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しをした → 善意無過失の場合、有効な弁済となる

受領権者以外の者であって、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。

前提知識 「定期預金契約」とは、預け入れから一定期間お金を引き出せないことを約束した預金契約(通常、利息は普通預金の利息よりも高く設定されている)です。

そして、「定期預金の期限前払戻特約」とは、上記期限の前でもお金を引き出せる特約(ただし、通常、利息が普通預金の利息になる)を言います。

本問 判例では、「定期預金契約の締結に際し、当該預金の期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、右預金の期限前の払戻であっても、民法第478条の適用を受ける」としています。

つまり、「銀行の窓口で本人と称して、他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者」が「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に該当し、銀行がこの者に善意無過失で弁済(払戻し)をした場合、この払戻しは有効となります。

ウ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

ウ・・・妥当

●銀行Aが、「預金者でない者C」を「預金者B」と誤信して、預金者Bの定期預金を担保として、Cにお金を貸し付けたが、Cからの弁済がないため、当該「貸金債権」と「定期預金債権」を相殺した場合、善意無過失であれば、有効な相殺となる

受領権者以外の者であって、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。

具体例 「他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者C」が、銀行Aの窓口で、預金者Bと称して、銀行Aから「Bの定期預金」を担保に融資を受けた。その後、Cからの弁済がなされなかったため、銀行Aが「Aの当該貸金債権」と「Bの定期預金債権」とを相殺した。(銀行は、通帳と届出印を持ってきているので、Bに貸したと思い込んでいる)

【質問内容】 銀行Aが、Cが真の預金者でないことにつき善意・無過失であれば、当該相殺は、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」への弁済の規定(民法478条)の類推適用により有効な相殺となる、〇か×か?

判例 判例では、上記の場合、民法478条の類推適用があるとしています。つまり、銀行が善意無過失で、Cに対して貸し付けをしたのであれば、相殺は有効となります。

エ 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

エ・・・妥当

●受取証書を偽造して弁済を受けた者= 「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に該当する

●上記の者に善意無過失で弁済した場合、その弁済は有効となる

受領権者以外の者であって、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。

判例 判例では、『「偽造された偽物の受取証書を持参する者」は、 民法478条の「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」にあたる』としています。つまり、債務者が、「偽造した受取証書を持参した債権者の被用者」に善意無過失で弁済をした場合、この弁済は有効となります。

オ 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

オ・・・妥当

●債権の二重譲渡における、対抗要件で劣後する債権の譲受人=特段の事情があれば、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に該当する

●上記の者に善意無過失で弁済した場合、その弁済は有効となる

受領権者以外の者であって、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。

具体例 Aが有する債権(債務者をXとする)を、BとCの二者に譲渡した。そして、Bが第三者に対する対抗要件を備えた場合、Cが「対抗要件で劣後する債権の譲受人」となります。この場合、債務者Xは、対抗要件を備えたBに弁済すべきですが、善意無過失でCに弁済してしまった。

質問内容 上記善意無過失で行ったCへの弁済は、有効か?

判例 判例では、「債権の二重譲渡における、対抗要件で劣後する債権の譲受人Cに対してした弁済についても、対抗要件を備えたBに対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情がある場合、民法478条の規定の適用がある」としているので、債務者Xが善意無過失で行ったCへの弁済は、有効となります。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問32|民法・債務引受

改正民法に対応済

債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

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改正民法に対応済

【答え】:4

>>債務引受の解説はこちら

【解説】

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

ア・・・妥当ではない

●免責的債務引受の契約の仕方 : (1)債権者Aと引受人Cとの契約 or (2)債務者Bと引受人Cとの契約+債権者Aが「引受人Cとなる者に対して承諾

「免責的債務引受」は、(1)債権者Aと引受人となる者Cとの契約によってすることができます(民法472条2項)。また、免責的債務引受は、(2)債務者Bと引受人となる者Cが契約をし、債権者Aが引受人Cとなる者に対して承諾をすることによってもすることができます(3項)。よって、「債権者と引受人のみの契約でなすことはできず」は誤りです。(1)のとおりできます。

■「免責的債務引受」は、「債務者がBからCに交替する」、「債務の譲渡」「債務が移転する」というイメージです。例えば、債権者Aが債務者Bに100万円を貸したとします。その後、債務者Bが負う「100万円を支払う債務」を、引受人Cがそのまま引き継ぎ、債務者Bが債務を免れるのが「免責的債務引受」です。

 

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

イ・・・妥当

●併存的債務引受の契約の仕方 : (1)債権者Aと引受人Cとの契約 or (2)債務者Bと引受人Cとの契約+債権者Aが「引受人Cとなる者に対して承諾

「併存的債務引受」は、(1)債権者Aと引受人となる者Cとの契約によってすることができます(民法470条2項)。また、併存的債務引受は、(2)債務者Bと引受人となる者Cとの契約によってもすることができます(3項)。この場合において、併存的債務引受は、債権者Aが引受人となる者Cに対して承諾をした時に、その効力を生ずる。

(3項)。(1)の通り、債務者Bの意思に関係なく、債権者と引受人のみの契約でなすことができる」は正しいです。

■「併存的債務引受」とは、例えば、債権者Aが債務者Bに100万円を貸したとします。その後、引受人C(第三者)が、債務者Bが負う「100万円を支払う債務」をBと一緒に責任を負う(連帯債務となる)ことを言います。結果として、債権者A、連帯債務者B、連帯債務者Cという状況になり、債務者Bと引受人Cの連帯債務となります。
「併存的債務引受」はどのように契約すればよいかを解説します。下記2パターンあります。

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

ウ・・・妥当ではない

●併存的債務引受 → 連帯債務となる(分割債務ではない)

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担します(民法470条)。つまり、引受人と債務者は連帯債務を負います。よって、分割債務ではありません。

分割債務とは、例えば、100万円の債務を、50万円ずつ負担するといった内容です。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

エ・・・妥当

●買主の地位を譲渡する場合、売主の承諾が必要
●売主の地位を譲渡する場合、買主の承諾が必要

前提知識 「契約の当事者の一方」が「第三者」との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転します(539条の2)。これを「契約上の地位の移転」と言います。

具体例① AB間の売買契約で、売主Aが第三者Cに「売主の地位」を譲渡した場合、買主Bが承諾すると、売主Aの地位が第三者Cに移るので、BC間の売買契約(売主C・買主B)となります。

具体例② AB間の売買契約で、買主Bが第三者Cに「買主の地位」を譲渡した場合、売主Aが承諾すると、買主Bの地位が第三者Cに移るので、AC間の売買契約(売主A・買主C)となります。

契約の相手方の承諾が必要な理由 たくさんの者に、地位を移転した場合、誰が契約の当事者になるのかが分からなくなるため、契約相手の承諾を必要としています。

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

オ・・・妥当ではない

●賃貸借契約における賃貸人の地位の譲渡(=賃貸人の変更) → 賃借人に承諾は不要

●賃借人の地位の譲渡(=賃借人の変更) → 賃貸人承諾は必要

選択肢エの通り、「契約上の地位の移転」には、原則、契約の相手方の承諾が必要です。しかし、不動産の譲渡人が賃貸人であるとき(賃貸人の変更:オーナーチェンジ)は、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(民法605条の3)。つまり、賃貸不動産をオーナー(所有者・賃貸人)が売却して、オーナーが変わる場合、賃借人の承諾は不要です。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問31|民法・保証

改正民法に対応済

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。

  1. CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。
  2. CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。
  3. CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。
  4. CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。
  5. CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

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改正民法に対応済
【答え】:2

【解説】

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。

1.CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

1・・・誤り

A:主たる債務者、B:債権者、CおよびD:普通保証人。

そして、普通保証人Cが全額弁済した。

この場合、CはAおよびDに対して求償することができます。

【求償の範囲】

主たる債務者Aに対しては、「1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金」を求償できます。

一方、
他の普通保証人Dに対しては、「500万円のみ」求償できます。

よって、この点が誤りです。

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。

2.CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。

2・・・正しい

選択肢1と同様の考え方です。

A:主たる債務者、B:債権者、CおよびD:普通保証人。

そして、普通保証人Cが全額弁済した。

この場合、CはAおよびDに対して求償することができます。

【求償の範囲】

主たる債務者Aに対しては、「1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金」を求償できます。

一方、
他の普通保証人Dに対しては、「500万円のみ」求償できます。

よって、本肢は正しいです。

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。

3.CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

3・・・誤り

選択肢1と同様の考え方です。

A:主たる債務者、B:債権者、CおよびD:普通保証人。

そして、普通保証人Cが全額弁済した。

この場合、Cは「AおよびD」に対して求償することができます。

よって、「CはAに対してのみ求償することができ」は誤りです。

4.CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

4・・・誤り

選択肢1と同様の考え方です。

A:主たる債務者、B:債権者、CおよびD:普通保証人。

そして、普通保証人Cが全額弁済した。

この場合、Cは「AおよびD」に対して求償することができます。

よって、「CはAに対してのみ求償することができ」は誤りです。

また、「500万円」も誤りです。正しくは「1000万円」です。

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。

5.CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

5・・・誤り

選択肢1と同様の考え方です。

A:主たる債務者、B:債権者、CおよびD:普通保証人。

そして、普通保証人Cが全額弁済した。

この場合、Cは「AおよびD」に対して求償することができます。

よって、「CはDに対してのみ求償することができ」は誤りです。

また、「求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ」も誤りです。

Dに対しては、500万円のみ求償できます。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問30|民法・物上代位

改正民法に対応済

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  2. 対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。
  3. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  4. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  5. 抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:3

【解説】

1.対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

1・・・正しい

●「抵当権者」と「債権の譲受人」との対抗関係 → 「抵当権の登記の時期」と「債権の譲受人の対抗要件を備えた時期」との先後で勝ち負けが決まる

●抵当権の設定登記の方が早ければ、抵当権者は「弁済前」であれば、その後、差押えをして物上代位できる

具体 AがBからお金を借り、A所有の土地に抵当権者Bとして、①抵当権を設定し、登記も行った。その後、②Aが当該土地をCに賃貸した(Aは賃料債権を持つ)。③Aは、当該賃料債権をDに譲渡し、譲受人Dが対抗要件を備えた。

質問内容 第三債務者Cがその譲受人Dに対して弁済する前であれば、抵当権者Bは、自ら目的債権(賃料債権)を差し押さえて物上代位権を行使することができる、○か×か?

判例 判例では、対抗要件を備えた抵当権者Bは、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人Dが対抗要件を備えた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるとしています。

理由 抵当権者は①の時点で、対抗要件を備えています。この時点で、抵当不動産から生じた賃料債権も含めて、抵当権者が優先弁済を受けるべきだから、その後、③で譲受人Dが対抗要件を備えたとしても、DはBに対抗できません。

ただし、CがDに弁済をしてしまった場合は、それにより賃料債権は消滅してしまうので、その後、抵当権者Bは差押えをして物上代位することはできません。

2.対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。

2・・・正しい

●「抵当権者」と「相殺しようとする第三債務者」との対抗関係 → 「抵当権設定登記」と 「反対債権を取得した時期」の先後で、勝ち負けは決まる

具体例 AがBからお金を借り、A所有の土地に抵当権者Bとして、①抵当権を設定し、登記も行った。その後、②Aが当該土地をCに賃貸した(Aは賃料債権を持つ)。③Bは「賃料債権」を差し押さえたが、第三債務者Cが債務者Aに対して反対債権を有していた。そして、本問は「抵当権設定登記の後に取得したもの」なので、Cは、①よりも後に反対債権を取得しています。

質問内容 第三債務者Cは、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者Bに対抗することはできない。○か×かです。

判例 判例では、抵当不動産の賃借人Cは、抵当権設定登記の後に賃貸人Aに対して取得した債権を使って、相殺して抵当権者Bに対抗することはできないとしています。

つまり、上記下線部の通り、Cが取得した反対債権は、抵当権設定登記後なので、Cは相殺することができず、抵当権者Bに対抗できません。よって○です。

理由 状況としては、「物上代位によって『AのCに対する賃料債権』を差押えたい抵当権者B」と「 『AのCに対する賃料債権』 を相殺によって消滅させたいC」が競合しています。この場合、「抵当権設定登記の時期」と 「反対債権を取得した時期」の先後で、優劣は決まりますこれは、抵当権者は①の時点で、対抗要件を備えているため、この時点で、抵当不動産から生じた賃料債権も含めて、抵当権者が優先弁済を受けるべきだからです。

3.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

3・・・誤り

●動産売買の先取特権 → 物上代位の目的債権が譲渡され、対抗要件を備えられた後は、物上代位権を行使できない。

具体例 動産を「時計」として考えます。①BがAに時計を売った(Bは代金債権を持つ)。②買主Aが代金を支払う前に、この時計をCに転売した(Aは転売代金債権を持つ)。③Aが上記転売代金債権をDに債権譲渡して、譲受人Dは、対抗要件を備えた。

質問内容 動産の元来の売主Bは、第三取得者Cがその譲受人Dに転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。○か×か?

つまり、Bは先取特権を持つから、②転売代金債権を差し押さえて物上代位できるか?と質問しています。

判例 判例では、「動産売買の先取特権者Bは、物上代位の目的債権(②の転売代金債権)が譲渡され、譲受人Dが対抗要件を備えた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない」としています。

理由 抵当権の場合は、登記をすることで、公示できます(皆に知せることができる)。一方、動産の先取特権の場合、登記のような公示方法が存在しません。そのため、譲受人Dなどの第三者の利益を保護する必要があるため、譲受人Dが対抗要件を備えた後は、先取特権者Bは対抗できないというルール(判例)になっています。

【譲受人Dが対抗要件を備えたとは】

債権譲渡の対抗要件なので、「譲渡人Aから債務者Cへの通知(確定日付のある証書による)」または「債務者Cの承諾(確定日付のある証書による)」を行うことでDは対抗要件を備えたことになります。

債権譲渡の基本(対抗要件)はこちら>>

4.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

4・・・正しい

●動産を売却し、買主が動産を使って、第三者のために請負工事を行った場合、売主は、特段の事情がない場合、買主(請負業者)の請負代金債権を差し押さえて、物上代位権を行使することはできない。

●「動産の転売代金」と「請負代金」を同視できる等特段の事情があれば請負代金債権を差し押さえて、物上代位権を行使することはできる

具体例 動産を「木材」として考えます。①BがAに木材を売った(Bは代金債権を持つ)。②買主Aが代金を支払う前に、この木材を使って、Cと請負契約を締結し建物を作った。(Aが請負人、Cが注文者)(Aは請負代金債権を持つ)。

質問内容 請負代金全体に占める価格の割合や請負人Aの仕事内容に照らして、②請負代金債権の全部または一部をもって、「木材の転売代金債権」と同視するに足りる特段の事情が認められるとき(「木材の転売代金」と「②の請負代金」が同等と認められる事情がある場合)は、動産の売主Bは、②請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。 ○か×か?

判例 判例では、「②請負代金債権の全部又は一部」を、「当該動産の転売代金債権」と同視するに足りる特段の事情がある場合には、当該部分の請負代金債権に対して物上代位権を行使することができるとしています。つまり○です。

理由 もし、Aが木材を転売していた場合、「Aの転売代金債権」は、「木材」に代わるものとして、動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使の対象となります。これに対し、Aがこれを用いて請負工事を行ったことによって取得する請負代金債権は、仕事の完成のために用いられた別の材料や労力等も含んだ金額となります。つまり、「転売代金」と「請負代金」とを比べたら通常、請負代金の方が、「別の材料や労力等」の分、高くなります。そのため、当然には「転売代金債権」と「②請負代金債権」とを同視はできません。

ただし、 「転売代金債権」と「②請負代金債権の一部」と同視できる特段の事情があれば、 「②請負代金債権の一部」を「転売代金債権」と考えて先取特権を行使できるということです。

5.抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

5・・・正しい

抵当権設定者Bが取得する「賃料」に対しては抵当権の効力を及ぼすことができるが
賃借人Cが取得する「転貸賃料」についてまでは抵当権の効力を及ぼすことはできない

具体例 ①AがBにお金を貸し、Bが建物を建築し、当該建物に抵当権を設定した。その後、建物所有者B(抵当権設定者でもある)が、建物をCに賃貸し、③さらに、CがDに建物を転貸した(又貸しをした)。

ここで、建物所有者(賃貸人B)は「賃料債権(Cから賃料をもらう権利)」を持ち、賃借人Cは「転貸料債権(Dから転貸料をもらう権利)」を持ちます。

質問内容 ①抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができる、○か×か?

②同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない、○か×か?

判例

結論からいうと、賃料に対する物上代位について、抵当権設定者Bが取得する賃料に対しては抵当権の効力を及ぼすことができます。一方、賃借人Cが取得する転貸賃料についてまでは抵当権の効力を及ぼすことはできません判例

Bがお金を返さないからBがCからもらえるべき賃料(賃料債権)を、Aが物上代位することはできるのは予想がつきます。
一方、CがDからもらえる転貸料についてAが物上代位できるとなると、Bの責任に全く関係ないCには酷になります。
したがって、Aは、CのDに対する転貸料債権に当然に物上代位することはできません。

よって、①②ともに正しいので、本問は○です。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問29|民法・共有

改正民法に対応済

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. ア・オ
  4. イ・ウ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


改正民法に対応済
【答え】:4(イウが妥当ではない)

【解説】

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

ア・・・妥当

●管理費 → 持分に応じて、各共有者が負担

●共有者の一人が1年以内に管理費を支払わない場合 → 他の共有者は、償金を払って、その者の持分を取得できる

共有物の管理費用は、各共有者が、その持分に応じ負担します。そして、共有者が1年以内に管理費用の支払い義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(民法253条)。

つまり、Cが負担すべき管理費用(管理費用の1/3)をCが支払わず、「AおよびB」が、Cの負担部分を支払った場合、Cが1年以内に負担に応じないとき(「AおよびB」に支払わないとき)には、「AおよびB」は、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができます。

※ 相当の償金とは、物件価格の1/3と考えることができます。もちろん、AおよびBが負担した部分は差し引くことができるでしょう。

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

イ Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により取り消された。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。

イ・・・妥当ではない

●各共有者 → 保存行為は単独でできる → 単独で、妨害排除請求できる

保存行為は、各共有者が単独ですることができます(民法252条)。

つまり、各共有者は、妨害排除請求権(=保存行為)を有します。

そして、判例では「不動産の共有者の1人は、共有不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し、単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる」としています。

本問では、CD間の譲渡契約が錯誤により取消しされているのでDは「実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者」に当たります、そのため、「AおよびB」は、自己の持分権に基づいて、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできます。

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

ウ 甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

ウ・・・妥当ではない

●地役権 → 持分の一部だけ消滅させることはできない

本肢は「Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができる」が妥当ではないです。Aの持分のみについてのみ地役権を消滅させることはできません。

地役権のイメージ 地役権は取得しやすく、消滅しにくいというイメージを持ちましょう!

地役権は消滅しにくい

土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができません(民法282条)。つまり、共有者の一人の持分だけ、地役権を消滅させて、他の共有者の持分だけ地役権を存続させるということはできません。地役権は共有者の持分で分けることができず、土地全体に付着します(地役権の不可分性という)。

よって、自己の持分については、単独で地役権を消滅させることができないので、誤りです。

地役権は取得しやすい

土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、地役権を取得します(284条)。つまり、共有者の一人だけが地役権を時効取得するだけで、他の共有者も自動的に地役権を取得します。つまり、地役権は取得しやすいということです。これも関連ポイントとして覚えておきましょう!

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

エ Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。

エ・・・妥当

●共有者の一人が死亡:死亡した共有者の持分は「相続人→(特別縁故者)→他の共有者」の順に受け継がれる

判例では、「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法255条により他の共有者に帰属する」としています。つまり、相続人がおらず、特別縁故者がいた場合、特別縁故者が帰属する場合があります。よって、死亡したCの持分は、特別縁故者に当たるEに財産分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しません。

※ 民法958条の3 一定期間内に相続する権利を主張する者がいないとき、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者という)の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

つまり、共有者Cが死亡したときは、Cの財産の帰属先については、

「①相続人→②特別縁故者→③他の共有者(A・B)」

という優先順位となります。
(①がいないとき、②に帰属し、①②がいないとき③に帰属する)

よって、本肢は妥当です。

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

オ Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。

オ・・・妥当

下記法定地上権の成立要件①~④をすべて満たす場合、競売後、建物のために法定地上権が成立する

「法定地上権」とは、一定の要件を満たすと、「法律」により、自動的に「地上権」が設定されますよ!という制度です。

法定地上権の成立要件

本問でいうと、甲土地をGが競落しています(土地の所有者がGとなる)が、もし、地上権が設定されないとABCは、土地を使用する権利がないため、Gが建物収去請求および明渡請求をした場合、ABCは、建物を取り壊して、土地の明け渡しをしないといけなくなります。

そうなると、ABCは困るので、一定要件を満たす場合、法定地上権が設定されるということです。

■その一定要件が、上記①~④です。

本問では、ABCが建物の両方に抵当権を設定しており(要件③)、抵当権設定時に土地も建物も存在しています(更地ではない)(要件①)。また、ABCは土地・建物の所有者です(要件②) 。

その後、土地が競売にかけられて、Gが競落しています。つまり、抵当権の実行(競売)により、「土地の所有者はG」「建物の所有者はABC」となり、 土地と建物の所有者が異なりました(要件④)。

①~④のすべての要件をみたすので、建物のために法定地上権が成立します。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問28|民法・意思表示

改正民法に対応済

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。(民法改正により複数回答可)

  1. AはBの強迫によって本件売買契約を締結したが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
  2. AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。
  3. AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。
  4. AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
  5. Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。

>解答と解説はこちら


改正民法に対応済【答え】:1と4

【解説】

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

1.AはBの強迫によって本件売買契約を締結したが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

1・・・妥当

●取消権 → ①追認することができるときから5年、または、②行為の時から20年経過で、消滅する

「追認をすることができる時」= 取消しの原因となっていた状況が消滅した時を指す

畏怖が続いている状態 → 追認をすることができる時は到来していない

取消権は、①「追認をすることができる時」から5年間行使しないときは、時効によって消滅します。また、②行為の時から20年を経過したときも、同様に取消権は消滅します。 そして、「追認をすることができる時」とは、 取消しの原因となっていた状況が消滅した時を指します。そのため、畏怖の状態(強迫されてる状態)が続いている場合、 「追認をすることができる時」には至っていないので、時間はスタートしません。よって、畏怖の状態が続き、取消しの意思表示をしないまま10年が経過しても、取消権は消滅しないので、誤りです。

ちなみに、契約を締結してから20年を経過すると、②を理由に取消権は消滅します。

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

2.AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。

2・・・妥当ではない

●「詐欺」と「取消し前の第三者」との関係 → 第三者が善意無過失であれば保護される

状況理解 本問は時系列が重要です。「AがBの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた」ということは、「②転売がなされた後に、③取消しをした」という流れです。

つまり、第三者Cは取消し前に現れているので、「取消し前の第三者」です。詐欺の場合、取消し前の第三者は善意無過失であれば保護され、善意無過失でなければ、保護されません(民法96条2項)。

本問は、第三者Cが善意無過失なので、それだけで保護され、登記の有無は関係ありません。

よって、「また、対抗要件(登記)を備えていなければならない。」が誤りです。CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき善意無過失であれば足ります。

関連ポイント 詐欺取消しに、第三者が現れた場合、どのように処理するか?

結論は、詐欺取消しに第三者が現れた場合、二重譲渡の対抗関係と同じ考え方をして、登記を備えた者が保護されます

右図の①~③が時間の流れですが、「②契約の取消し」の後に

「③BはCに売却」しているので、Cは取消し後の第三者です。

この場合、「②契約の取り消し」により、所有権がBからAに戻り(復帰し)、

一方、③売却により所有権がBからCに移転します。

つまり、土地の所有権をめぐって、AとCが争うわけです。

この場合、Bを基点とする二重譲渡の対抗関係と考えることができるので、登記の先後により優劣が決まります(先に登記を備えたほうが勝つ)。二重譲渡の関係では、善意・悪意は関係ありません。また、過失の有無も関係ありません

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

3.AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。

3・・・妥当ではない

●第三者の強迫による意思表示は、相手方の善意・悪意に関係なく、強迫を受けた者は取り消すことができる

Aは第三者Dからの強迫により、売買契約を締結しています。
詐欺の場合は、相手方が善意無過失の場合、相手方が保護されました。それは、だまされた本人に落ち度があるからです。

一方、強迫の場合、強迫を受けた者Aは、どうすることもできず、落ち度がないため、相手方の善意・悪意関係なく、強迫を受けたAを保護するとしています。よって、Aは、AB間の契約を取り消すことができます。 

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

4.AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。

4・・・妥当

第三者Eから詐欺を受けた場合、相手方Bが善意無過失のとき、詐欺を受けた者Aは取り消すことができない

相手方Bが善意無過失でないとき(悪意または有過失のとき)、詐欺を受けた者Aは取消しできる

第三者Eから詐欺を受けた場合、相手方Bが「詐欺の事実について」

善意無過失の場合(過失なく知らない場合)、相手方Bが保護され、AはAB間の契約を取消すことができません

一方、Eの詐欺について、相手方Bが知っている場合(悪意)や、知らなくても過失があった場合(有過失)は、Bを保護するより、だまされたAを保護する方が妥当(Aの方がかわいそう)なので、Aを保護します(AはAB間の契約の取消しを主張できる)。ここで、本問を見ると「Bが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったとき」となっているので、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができます。

Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約が締結された。

5.Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。

5・・・妥当ではない

●制限行為能力者が詐術を用いて契約した → 取り消すことができる行為であっても、取り消すことができなくなる

●制限行為能力者であるを告げなかっただけ → 詐術に当たらない

詐術の基礎知識 未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人すべてにおいて言えることで、制限行為能力者が、詐術を用いて(相手をだまして)契約した場合は、制限行為能力者は保護されず、あとで、取り消すことはできません。(例外的に取消しできない)

制限行為能力者であっても、「自分は行為能力者だ!」「保護者の同意を得たよ」等と、相手方をだました場合、その意思表示は取り消すことができないということです!

本問の内容 本問では、「未成年者である旨を相手方Bに告げずに本件売買契約を締結した」場合です。このように「制限行為能力者である旨を告げなかったこと」が詐術に当たるかが問題となります。

この点について、判例では、黙秘をしていただけでは詐術には当たらず、①黙秘をし、かつ、②他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときに詐術に当たるとしています。つまり、①黙秘+②他の言動がなければ、詐術には当たらないということです。よって、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできます。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問27|民法・権利能力なき社団・組合

改正民法に対応済

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
  2. X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。
  3. X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
  4. X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。
  5. X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:3

【解説】

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

1.X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。

1・・・正しい

●権利能力なき社団の代表者は、当該社団の資産である不動産について、自己の名義で所有権を登記できる

権利能力がなければ当然権利義務の帰属主体にはなれません(法人のように人格を持たない)。どういうことかというと、不動産を購入して登記をしようとしても権利能力がないと、登記ができません。そのため、権利能力なき社団の場合、「代表者の個人名義」や「構成員全員の共有名義」で登記をしたりします。よって、本問は正しいです。

※1 「共有」の持分については、持分を自由に処分(譲渡)することができ、目的物の分割請求もできることから「具体的」と記しています。
※2 「合有」の持分については、各人が持分を持つのですが、共有とは異なり、持分を自由に処分(譲渡)することができず、清算前に、目的物の分割請求もできないことから「持分を潜在的には有する」と言います。

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

2.X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。

2・・・正しい

●組合の債務 → 共有(合有) → 「損失分担の割合」て責任を負う

組合の債権・債務は、組合員全員に合有的に帰属します。

原則として、組合員は損失分担の割合(=出資額に応じた割合)で債務を負います(民法674条1項)。
これは、組合内部の話です。

一方で、債権者としては、原則、等しい割合で(均等に)権利行使できます。
ただし、組合当事者間で損失分担割合が定められていて、債権者が損失分担割合を知らなかったときは、等しい割合で請求することも認められます(民法675条)。
これは、外部的な話です。

つまり、債権者(組合外部)は、原則:①損失分担割合 or ②等しい割合を請求でき、例外的に割合を知っていたときは①損失分担割合分に限って請求できます。

一方で、組合員同士(内部)については、出資額に応じて(=損失分担割合)負担します。

本肢は、内部的な話なので、各自が損失分担の割合に応じて責任を負います。よって、正しいです。

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。

3・・・誤り

●権利能力なき社団 → 財産の範囲のみ責任を負う(構成員個人は直接責任を負わない)

判例は、「権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが相当である」としている。

具体例 A・B・Cが構成員の権利能力なき社団があり、当該社団に1000万円の現金があった。その後、社団は1500万円の債務があった場合、500万円が債務として残りますが、A・B・C個人はこの債務を負いません。

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

4.X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。

【選択肢2と3の違い】

選択肢2は「組合」で、選択肢3は「権利能力なき社団」です。

組合は、組合員個人が責任を負います。

権利能力なき社団は、構成員個人は責任は負わず、責任を負うのは「社団自身」です。

4・・・正しい

組合の財産 → 合有 → 組合員は持分権を持つが、持分を処分することはできない

組合の財産は、共有の中の「合有」に当たります。合有なので、各組合員は持分を持つのですが、共有とは異なり、持分を自由に処分(譲渡)することができず、清算前に目的物の分割請求もできません(民法676条)。よって、正しいです。

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

5.X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

5・・・正しい

権利なき社団の財産 → 総有 → 構成員は「持分権」「分割請求権」を持たない

判例では、権利能力なき社団の財産は、「総有」に属するため、構成員は、当然には、当該財産に関し、持分権又は分割請求権有しないとしています。つまり、脱退した組合員は、組合に対して財産について分割請求をすることはできません。


平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 損失補償 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・社会
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問35|民法・婚姻・離婚等

改正民法に対応済

婚約、婚姻および離婚に関する以下の相談に対する回答のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア <相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。
<回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。

イ <相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。
<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。

ウ <相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私が負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。
<回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。

エ <相談> 私と配偶者であるDとの婚姻関係は既に破綻しており、離婚にむけて協議を進めています。D名義のマンションを私に贈与することをDと私とは書面により合意したのですが、離婚届を提出する前日になって、Dは、この贈与契約を取り消すと言ってきました。Dの取り消しは認められるのでしょうか。
<回答> 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、Dはマンションの贈与契約を取り消すことができません。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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改正民法に対応済

【答え】:2

【解説】

ア <相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。<回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。

ア・・・妥当

●結納は贈与の一種 / 婚約を解消した場合、結納金は不当利得として返還しなければならない

判例によると、結納(ゆいのう)は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼(じょうぎ:つきあいという意味)を厚くする目的で授受される一種の贈与であるとし、また、別の判例で、婚姻(婚約)が解消された場合、結納金は不当利得として返還が必要としています。

イ <相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。

イ・・・妥当ではない

①婚姻届が、本人の意思に基づいて作成され、かつ、②夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その後、届出書の受理前に本人が意識不明となったとしても、その後の届出書の受理によって、婚姻は有効に成立したものと解する

判例では、「本件婚姻届がBの意思に基づいて作成され、同人がその作成当時婚姻意思を有していて、Bと相談者との間に事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その届書が当該係官に受理されるまでの間に同人が完全に昏睡状態に陥り、意識を失ったとしても、届書受理前に死亡した場合と異なり、届出書受理以前に翻意する(決意を変えること)など婚姻の意思を失う特段の事情のないかぎり、右届書の受理によって、本件婚姻は、有効に成立したものと解すべきである。」としています。

つまり、婚姻届が、Bの意思に基づいて作成され、かつ、②Bと相談者との間で、事実上の夫婦共同生活関係が存続していたとすれば、その後、届出書の受理前にBがこん睡状態になったとしても、その後の届出をして受理されれば、婚姻は有効に成立します。

ウ <相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私が負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。<回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。

ウ・・・妥当ではない

●離婚請求の申し立てにより、裁判所は、監護費用の支払いまで命ずることができるので、別途監護費用の支払いを求める訴えはしなくてもよい

判例では、「離婚の訴えにおいて、別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立てがあった場合には、裁判所は、離婚請求を認容するに際し、右申立てに係る子の監護費用の支払を命ずることができる」としています。つまり、離婚の訴えがあった場合、裁判所は、その裁判の判決で、監護費用の支払いまで命ずることができます。よって、離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要がないので誤りです。

エ <相談> 私と配偶者であるDとの婚姻関係は既に破綻しており、離婚にむけて協議を進めています。D名義のマンションを私に贈与することをDと私とは書面により合意したのですが、離婚届を提出する前日になって、Dは、この贈与契約を取り消すと言ってきました。Dの取り消しは認められるのでしょうか。<回答> 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、Dはマンションの贈与契約を取り消すことができません。

エ・・・妥当

●夫婦関係が破綻に瀕しているような場合、当該男女は、第三者に当たる→婚姻期間中であっても夫婦間の契約は取消しできない

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができます(民法754条本文)。ただし、第三者の権利を害することはできません(754条ただし書き)。

そして、婚姻が実質的に破綻しているような場合になされた契約はどうなるかについて、判例は、「夫婦関係が破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取り消しえない(取消しできない)と解すべきである」としています。

理由 夫婦関係が破綻に瀕しているような場合、当該男女は、第三者に当たるため、上記754条ただし書きが適用され、贈与を受けた者の権利を害することはできず、贈与契約も取消しできないとしています。

関連ポイント

「書面によらない贈与」は、各当事者が解除をすることができます(550条)。一方、「書面による贈与」は、もはや解除することができません。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問34|民法・損害賠償額の予定

改正民法に対応済

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額(以下、「本件損害賠償額」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。
  2. 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。
  3. 本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。
  4. 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患(りかん)していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。
  5. 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

>解答と解説はこちら

改正民法に対応済

【答え】:5

【解説】

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

1.本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。

1・・・妥当ではない

過失相殺の規定の適用 → 事理弁識能力は必要 / 責任能力は不要

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項)。

判例によると「被害者たる未成年者の過失を斟酌(しんしゃく)する場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく(=のように)、行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である」としています。

つまり、事理弁識能力があれば、責任能力まではなかったとしても、過失相殺の規定を適用されるということです。したがって、本問は「過失相殺のためには責任能力が必要」となっているので誤りです。

※ 「斟酌する」とは、相手の事情や心情をくみとること、推察すること

※ 「責任能力(行為の責任を弁識する能力)」とは、その行為をすればよくない結果が生じることが予想でき、その結果、自分がどのような責任を問われるのかを理解できる能力

※ 「事理弁識能力」とは、物事に対しての良し悪しを判断する知能

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

2.本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。

2・・・妥当ではない

●過失相殺の規定の適用 → 事理弁識能力は必要 / 責任能力は不要

選択肢1の解説のとおり、事理弁識能力があれば、責任能力まではなかったとしても、過失相殺の規定を適用されます。

したがって、本問は「過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく」となっているので誤りです。Aの事理弁識能力は必要です。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

3.本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。

3・・・妥当ではない

●過失相殺における「過失」 → 被害者自身だけなく、被害者側(父母)の過失も含む

判例によると、『過失相殺の規定における「被害者の過失」とは、単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解すべきではあるが、本件のように被害者本人が幼児である場合において、当該被害者側の過失とは、例えば被害者に対する監督者である父母ないしはその被用者である家事使用人などのように、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するのを相当とする』としています。

つまり、母親Bの過失も「過失」に含めて、過失相殺の規定の適用します。よって、「母親Bの過失を斟酌できない」という本問は誤りです。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

4.本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患(りかん)していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。

4・・・妥当ではない

●被害者の疾患(病気)についても、過失相殺を適用する

過失相殺とは、そもそも「損害を公平に分担」するためのルールです。そして、被害者が罹患していた疾患(わずらっていた病気)を斟酌することができるかどうかについて、判例では、「被害者の疾患(病気)の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるにあたり、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、被害者の当該疾患を斟酌することができるものと解するのが相当である」としています。

つまり、被害者の病気が一因となって死亡した場合、病気も「過失」といえるときは、その分、加害者の損害賠償額を減らすこともできるということです。よって、本問は誤りです。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

5.本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

5・・・妥当

●交通事故によって支払う必要がなくなった養育費 → 逸失利益から差し引くことはできない

「損益相殺」とは、交通事故によって損害を受けた被害者が、その事故によって損害以上の利益を受けた場合に、賠償額からその利益分を控除することをいいます。つまり、「慰謝料等-被害者が受けた利益=加害者支払うべき金額」です。

「逸失利益(いっしつりえき)」とは、不法行為(交通事故)がなかったら当然に得られるはずだった収入をいいます。つまり、この逸失利益分は加害者からもらえる分なので、上記に追加して考えると、 「慰謝料等-被害者が受けた利益+逸失利益=加害者支払うべき金額」となります。

例えば、被害者である子Aの死亡によって、親が支出を免れた養育費を逸失利益から控除する(差し引く)ことができるかについて、判例では、「交通事故により死亡した幼児の損害賠償債権を相続した者が一方で幼児の養育費の支出を必要としなくなった場合においても、当該養育費と幼児の将来得べかりし収入との間には、前者を後者から損益相殺の法理又はその類推適用により控除すべき損失と利得との同質性がなく、したがって、幼児の財産上の損害賠償額の算定にあたり、その将来得べかりし収入額から養育費を控除すべきものではないと解するのが相当である」としています。

つまり、「Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない」ので正しいです。

具体例 Aの死亡後の養育費が、将来1000万円かかるとします。この場合、母Bは、将来かかるはずだった1000万円がかからなくなるという一種の利益はあるけど、判例では、これは利益とは認めない(=利益には含めない)と言っています。つまり、養育費については、逸失利益ではないので、損益相殺しないということです。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問33|民法・贈与

改正民法に対応済

Aは、自己所有の甲建物をBに贈与する旨を約した(以下、「本件贈与」という)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与契約は諾成契約であるから契約は成立するが、書面によらない贈与につき贈与者はいつでも撤回することができるため、甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を撤回することができる。
  2. 本件贈与が書面によるものであるというためには、Aの贈与意思の確保を図るため、AB間において贈与契約書が作成され、作成日付、目的物、移転登記手続の期日および当事者の署名押印がされていなければならない。
  3. 本件贈与につき書面が作成され、その書面でAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、遺言が撤回自由であることに準じて、Aはいつでも本件贈与を撤回することができる。
  4. 本件贈与につき書面が作成され、その書面でBがAの老後の扶養を行うことが約された場合、BがAの扶養をしないときであっても、甲の引渡しおよび所有権移転登記手続が終了していれば、Aは本件贈与を解除することができない。
  5. 本件贈与につき書面が作成され、その書面で、BがAの老後の扶養を行えばAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、Bが上記の負担を全部またはこれに類する程度まで履行したときであっても、特段の事情がない限り、Aは本件贈与を撤回することができる。

>解答と解説はこちら


改正民法に対応済
【答え】:3

【解説】

1.本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与契約は諾成契約であるから契約は成立するが、書面によらない贈与につき贈与者はいつでも撤回することができるため、甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を撤回することができる。

1・・・妥当ではない

●書面によらない贈与 → 各当事者は解除をすることができる
●ただし、履行の終わった部分については、解除できない

書面によらない贈与は、各当事者は解除をすることができます。ただし、履行の終わった部分については、解除できません(民法550条)。判例では、「所有権移転登記手続が終了した場合、引き渡しの有無にかかわらず、履行が終わったものと解すべきとし、Aは贈与を解除することができません。

2.本件贈与が書面によるものであるというためには、Aの贈与意思の確保を図るため、AB間において贈与契約書が作成され、作成日付、目的物、移転登記手続の期日および当事者の署名押印がされていなければならない。

2・・・妥当ではない

●書面による贈与 →  書面に贈与がされたことが確実に分かる程度の記載があれば足りる
●必ずしも、 「作成日付」「目的物」「移転登記手続の期日」「当事者の署名・押印」のすべてが必要なわけではない

判例では、「贈与が書面によってされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によっていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる(分かる)程度の記載があれば足りる」としています。つまり、「作成日付」「目的物」「移転登記手続の期日」「当事者の署名・押印」の一部がなかったとしても、「Bに甲建物を贈与した」と紙に書かれていたら、書面による贈与となります。

3.本件贈与につき書面が作成され、その書面でAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、遺言が撤回自由であることに準じて、Aはいつでも本件贈与を撤回することができる。

3・・・妥当

●死因贈与 : 遺贈のルールが適用される
●遺言はいつでも撤回できるため、死因贈与も「書面になっていても」いつでも解除できる

「死因贈与」とは、贈与する者の死亡によって効力が生じる生前の贈与契約のことをいいます。例えば、「私が死んだらこの土地をあげます」といった内容です。

「遺贈」とは、遺言による贈与することです。例えば、遺言で「甲建物はAに遺贈する」と記載した場合です。

そして、遺言は、いつでも撤回できます(民法1022条)。さらに判例では、死因贈与については、遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきであるとしているので、死因贈与も、いつでも解除できます。

4.本件贈与につき書面が作成され、その書面でBがAの老後の扶養を行うことが約された場合、BがAの扶養をしないときであっても、甲の引渡しおよび所有権移転登記手続が終了していれば、Aは本件贈与を解除することができない。

4・・・妥当ではない

●負担付贈与で受贈者が負担である義務の履行を怠る場合、贈与者は贈与契約の解除ができる

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。例えば、時価3000万円の土地を贈与するかわりに、借入金500万円を負担させる場合です。そして、判例では、負担付贈与において受贈者(もらう側)が、その負担である義務の履行を怠る場合、贈与者は、贈与契約の解除ができるとしています。

【考え方】 契約内容として、負担することを約束して、贈与しているのだから、負担の義務を履行しないということは、契約解除のルールが適用されるのは当然です(民法541条)。

5.本件贈与につき書面が作成され、その書面で、BがAの老後の扶養を行えばAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、Bが上記の負担を全部またはこれに類する程度まで履行したときであっても、特段の事情がない限り、Aは本件贈与を撤回することができる。

5・・・妥当でない

●負担付死因贈与 → 受贈者が負担である義務の全部またはそれに類する程度の履行をした場合、契約解除できない

負担付死因贈与とは、「負担付贈与」と「死因贈与」が合わさっている贈与です。例えば、私が死亡した時に時価3000万円の土地を贈与するかわりに、借入金500万円を負担させる場合です。

そして、受贈者が、負担である義務の全部またはそれに類する程度の履行をした場合、「死因贈与」のルールである「死因贈与もいつでも解除できる」というルールは適用されるのかが問題になってきます。

これについて、判例では、受贈者が、負担である義務の全部またはそれに類する程度の履行をした場合、 「死因贈与もいつでも解除できる」というルールは適用されないとしています。

【理由】 贈与者の意思を尊重する代わりに、すでに大部分の義務を履行した受贈者の利益を犠牲にするのは相当でないから。


平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・社会
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略