2011年過去問

平成23年・2011|問47|一般知識・政治

各国の政治体制に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.イギリスでは、議院内閣制がとられ、首相は下院の第一党の指導者が就任することとされているが、議会が上院または下院において不信任の議決を行った場合には、内閣は自ら辞職するか、議決を行った議院を解散しなければならない。

イ.アメリカでは、大統領制がとられ、大統領と議会は権力分立の原則が貫かれているため、議会は大統領の不信任を議決することができないし、大統領は議会の解散権、法案の提出権、議会が可決した法案の拒否権のいずれも有していない。

ウ.フランスでは、基本的に議院内閣制がとられており、大統領のほかに内閣を代表する首相がおかれ、大統領は外交上の儀礼的な権能を有するだけで、広く行政権は内閣に属し、かつ議会の解散権も内閣が有している。

エ.ロシアでは、1990年代前半に成立した新憲法において三権分立制がとられているが、大統領に首相の任命権が付与されており、連邦議会は連邦会議と国家会議の二院制となっている。

オ.中国では、最高権力をもつ一院制の全国人民代表大会(全人代)の下に、常設機関である常務委員会が設けられ、法令の制定、条約の批准など広範な権限をもつとともに、国務院が設けられ行政を担当している。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ・エ
  3. イ・エ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:5 

【解説】

ア.イギリスでは、議院内閣制がとられ、首相は下院の第一党の指導者が就任することとされているが、議会が上院または下院において不信任の議決を行った場合には、内閣は自ら辞職するか、議決を行った議院を解散しなければならない。
ア・・・妥当ではない
イギリスでは、議院内閣制が採用されています。首相は下院の第一党(多数党)の指導者(党首)が就任することとされています。
ここまでは正しいです。また、「下院には内閣不信任決議権」が認められていて、逆に「内閣には下院の解散権」が認めれています。一方、上院には内閣不信任決議権はありません。よって、「議会が上院・・・において不信任の議決を行った場合には、内閣は自ら辞職するか、議決を行った議院を解散しなければならない」が妥当ではないです。
イ.アメリカでは、大統領制がとられ、大統領と議会は権力分立の原則が貫かれているため、議会は大統領の不信任を議決することができないし、大統領は議会の解散権、法案の提出権、議会が可決した法案の拒否権のいずれも有していない。
イ・・・妥当ではない
アメリカの大統領制については、大統領と議会は厳格な権力分立が実現されています。そのため、「議会は大統領の不信任決議権を有しない」し、「大統領は議会の解散権、法案の提出権はありません」。
ただ、大統領は、議会に対して教書(意見書)を送付することは認められおり、また、議会が可決した法案に対する拒否権を有しています。よって、「大統領は・・・議会が可決した法案の拒否権のいずれも有していない」が妥当ではありません。
ウ.フランスでは、基本的に議院内閣制がとられており、大統領のほかに内閣を代表する首相がおかれ、大統領は外交上の儀礼的な権能を有するだけで、広く行政権は内閣に属し、かつ議会の解散権も内閣が有している。
ウ・・・妥当ではない
フランスは、大統領制と議院内閣制の両方を持ち合わせる政治体制となっています。
ただ、大統領の持つ権限は非常に強大で、「下院解散権、首相の任命権」も持ちます
本肢は、「議会の解散権も内閣が有している」が妥当ではありません。
正しくは、議会の解散権は大統領が有しています。
エ.ロシアでは、1990年代前半に成立した新憲法において三権分立制がとられているが、大統領に首相の任命権が付与されており、連邦議会は連邦会議と国家会議の二院制となっている。
エ・・・妥当
ロシアでは、1993年12月に国民投票により、新憲法が採択されました。
これにより、ロシアは三権分立制がとられるようになりました。そして、憲法に基づき、国家元首として大統領を置き、議会は、連邦会議(上院)と国家会議(下院)の二院からなるロシア連邦会議を置かれています。よって、本肢は妥当です。
オ.中国では、最高権力をもつ一院制の全国人民代表大会(全人代)の下に、常設機関である常務委員会が設けられ、法令の制定、条約の批准など広範な権限をもつとともに、国務院が設けられ行政を担当している。
オ・・・妥当
中国は、議会に相当する全国人民代表大会(全人代)が、最高の国家権力機関です(一院制議会)。
さらに、全人代は、全人代常務委員会とともに、立法権を行使します。また、国務院は、最高の国家行政機関として、国務院総理を長として行政権を行使します。よって、本肢は正しいです。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問46|民法・記述式

改正民法に対応済

作家Yに雇用されている秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限しか付与されていなかったが、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した。しかし、Xは、Aに事務機器を購入する権限があるものと信じて取引をし、Yに代金の支払いを請求したところ、Yはその支払いを拒絶した。このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。この場合において、Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。「Xは、Yに対して、」に続けて、考えられる請求内容を二つ、40字程度で記述しなさい。

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改正民法に対応済

【答え】:権限外の表見代理に基づき代金支払いの請求をするか、使用者責任に基づき損害賠償請求をする。(44字)

【解説】

問題文の状況を整理します。

  • 秘書Aは、作家Yに雇用されている
  • 秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限を与えられている(代理人A、本人Y)
  • 秘書Aは、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した
  • 事務機器の売主Xは、Aの無権代理について善意無過失
  • 事務機器の売主Xは、Yに対して支払い請求をしたが、Yはその支払いを拒絶した

状況状況において

このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。

Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。

下記2つを検討します。

  1. 秘書Aは、作家Yに雇用されていることから、Yの「使用者責任」を検討
  2. 秘書Aは無権代理を行っていることから、「表見代理」を検討

使用者責任

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条1項)。

「事務機器の購入」は事業の執行としてなされた行為で、それによって、Xが代金を受領できないというのは、損害を受けていることになります。

よって、使用者責任を追及することは可能です。

したがって、

Xは、Yに対して、使用者責任に基づき損害賠償請求をすればよいです。

表見代理

  • 秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限を与えられていて
  • 権限外の行為(事務機器の購入)を行っています。
  • また、Xは善意無過失です。

よって、表見代理に基づいて、代金支払いの請求をすればよいです。

上記2つをまとめると、

「Xは、Yに対して、」権限外の表見代理に基づき代金支払いの請求をするか、使用者責任に基づき損害賠償請求をする。(44字)


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問44|行政法・記述式

以下に引用する消防法29条1項による消防吏員・消防団員の活動(「破壊消防」と呼ばれることがある)は、行政法学上のある行為形式(行為類型)に属するものと解されている。その行為形式は、どのような名称で呼ばれ、どのような内容のものと説明されているか。40字程度で記述しなさい。

消防法29条1項
消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。

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【答え】:即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に直接実力を行使するもの。(44字)
即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に実力行使するもの。(41字)【解説】

本問の質問内容は、

「消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。」

上記、消防吏員・消防団員の活動(行為形式・行為類型)がどのような名称で呼ばれているか?

どのような内容のものか?

上記2点です。

消防吏員・消防団員の活動(行為形式・行為類型)がどのような名称で呼ばれているか?

まず、行政法学上の行為形式(行為類型)には、下記のようなものがあります。

そして、本問の内容は、即時強制に当たります。

どのような内容のものか?

即時強制とは、義務を命じる余裕のない緊急の必要がある場合に、行政機関が、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に実力行使することを言います。

以上をまとめると

即時強制と呼ばれ、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に直接実力を行使するもの。(44字)

または、

即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に実力行使するもの。(41字)


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。
行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。

1:併合提起された訴訟 2:速やか 3:救済の必要 4:差止め 5:義務存在確認 6:相当の期間内 7:職務執行命令 8:公の利益に対する障害 9:公益上の必要 10:代執行 11:重大な損害 12:義務付け 13:回復困難な損害 14:迅速 15:償うことのできない損害 16:本案 17:標準処理期間内 18:訴えの利益の消滅 19:手続の執行 20:合理的な期間内

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:6、イ:12、ウ:15、エ:16

【解説】

行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。
行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ア:相当の期間内]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[イ:義務付け]訴訟の提起を認め、またその[イ:義務付け]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ウ:償うことのできない損害]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[エ:本案]について理由があるとみえるときは、仮の[イ:義務付け]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[イ:義務付け]訴訟を提起することができることになった。

「最判昭59.12.18」の詳細解説はこちら>>

ア.行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。

ア・・・相当の期間内
アは、不作為の違法確認の訴えの内容です。「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条5項)。よって、「アには相当の期間内」が入ります。

イ.ウ.エ.しかしこの訴訟類型(不作為の違法確認の訴え)は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。

イ・・・義務付け
ウ・・・償うことのできない損害
エ・・・本案
「不作為の違法確認の訴え」だけでは、不作為が違法かどうかの確認しかしないので、救済手段として弱いです。
原告としては、許可処分といった一定の処分が欲しいわけです。そのため、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、
「義務付け訴訟」を認めました。したがって、「イには義務付け」が入ります。

さらに、義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる「償うことのできない損害」を避けるため緊急の必要があり、かつ、「本案」について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(仮の義務付け)ができます(行政事件訴訟法37条の5の1項)。

よって、「ウには償うことのできない損害」「エには本案」が入ります。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問42|行政法

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

・・・課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ ア ]ならしめるものと解するのが相当である。

(最一小判昭和48年4月26日民集27巻3号629頁以下)

1:審査庁 2:違法 3:除斥期間 4:確定 5:当然無効 6:裁量 7:納税者 8:失効 9:第三者 10:遡及 11:裁定 12:出訴期間 13:消滅 14:失権 15:時効 16:不可争 17:取消し 18:公益 19:公権 20:不法

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:5、イ:12、ウ:9、エ:16 

【解説】

・・・課税処分につき[ア:当然無効]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[イ:出訴期間]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ウ:第三者]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[エ:不可争]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ア:当然無効]ならしめるものと解するのが相当である。

ア.課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけである

ア・・・当然無効
イ・・・出訴期間「課税処分について〇〇を認めたらいつまでも争うことができる」と書いてあります。課税処分が無効であれば、出訴期間はないので、いつまでも争えます。よって、「アには当然無効」が入ります。

また、「イには出訴期間」が入ります。

ウ.課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、・・・

ウ・・・第三者
課税処分が「課税庁と被課税者との間」にのみ存在するものであれば、第三者は関係ないので、第三者の保護を考慮する必要はありません。よって、「ウには第三者」が入ります。

エ.不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生、、、

エ・・・不可争力
不服申立期間が過ぎると、争うことができなくなります。よって、「エには不可争」が入ります。不可争的効果=不可争力です。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問41|憲法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ ア ]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ ア ]が必要となってくる。表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ ウ ]と呼ぶことができよう。この[ ウ ]が表現の[ ア ]として用いられるときには、[ エ ]に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。
もとより、道路のような公共用物と、[ イ ]が自由に出入りすることのできる[ ア ]とはいえ、私的な[ エ ]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ ウ ]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[ エ ]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。(最三小判昭和59年12月18日刑集38巻12号3026頁以下に付された伊藤正己裁判官の補足意見をもとに作成した)
1:手段 2:とらわれの聴衆 3:ガバメント・スピーチ 4:時間 5:一般公衆 6:プライバシー 7:公共の福祉 8:敵対的聴衆 9:フェア・コメント 10:デモ参加者 11:パブリック・フォーラム 12:内容 13:警察官 14:思想の自由市場 15:方法論 16:管理権  17:権力関係 18:社会的権力 19:場 20:現実的悪意の法理

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【答え】:ア:19、イ:5、ウ:11、エ:16

【解説】

ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ア:場]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ア:場]が必要となってくる。表現の[ア:場]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[イ:一般公衆]が自由に出入りできる[ア:場]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ア:場]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ウ:パブリック・フォーラム]と呼ぶことができよう。この[ウ:パブリック・フォーラム]が表現の[ア:場]として用いられるときには、[エ:管理権]に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。
もとより、道路のような公共用物と、[イ:一般公衆]が自由に出入りすることのできる[ア:場]とはいえ、私的な[エ:管理権]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ウ:パブリック・フォーラム]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[エ:管理権]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。

ア.イ.ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ ア ]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ ア ]が必要となってくる。表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。

ア・・・場
「表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。」
上記から、表現をする「場所や手段」がなければ、相手に表現を伝達することができません。
そして、その例として「道路、公園、広場」となっているので、「手段」ではなく「アには場」が入ることが分かります。さらに、「[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。」
ということから、「イには一般公衆」が入ります。道路や公園、広場は、誰でも自由に出入りできる場所だからです。

ウ.表現の[ア:場]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ ウ ]と呼ぶことができよう。

ウ・・・パブリック・フォーラム
公園、広場、公会堂、道路などの公の施設は、それぞれ本来の目的をもっているが、同時に集会により一定の表現を行う場所としても有用であり、これをパブリック・フォーラムと言います。よって、「ウにはパブリック・フォーラム」が入ります。

エ.道路のような公共用物と、[イ:一般公衆]が自由に出入りすることのできる[ア:場]とはいえ、私的な[ エ ]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ウ:パブリック・フォーラム]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[ エ ]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。

エ・・・管理権
公共の場を、私的に利用することは、パブリックフォーラムとしての性質が異なります。私的に利用するということは、私的な管理権に服すると言い換えることができます。よって、「エには管理権」が入ります。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問40|会社法・剰余金

会社法上の公開会社の剰余金の配当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
  2. 剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。
  3. 指名委員会等設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。
  4. 配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。
  5. 剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。

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【答え】:5
【解説】

1.剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
1・・・正しい
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができます(会社法453条)。
剰余金の配当について、回数制限はないので、何度行っても大丈夫です。
2.剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。
2・・・正しい
公開会社である株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません(会社法109条1項:株主平等の原則)。
よって、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されません。
3.指名委員会等設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。
3・・・正しい
指名委員会等設置会社には取締役会を置かなければなりません(会社法327条1項4号)
そして、取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨を定款で定めることができ、実際に、中間配当を行う場合、取締役会の決議が必要です(会社法454条5項)。よって、本肢は正しいです。

株主総会決議があれば、配当は年に何回でも行えますが(選択肢1)、取締役会決議での配当は、年に一回だけとなります(本肢)。

4.配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。
4・・・正しい
配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の特別決議によらなければなりません(会社法454条4項、309条2項10号)。よって、本肢は正しいです。
5.剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
5・・・誤り
株主は、その有する株式につき「①剰余金の配当を受ける権利」「②残余財産の分配を受ける権利」「③株主総会における議決権」その他この法律の規定により認められた権利を有します(会社法105条1項)。そして、上記①と②の両方の権利を全部与えない旨の定款の定めは無効です。本肢は。①剰余金配当請求権のみ付与しない旨の定めなので、定款に置くことは許されます。

よって、誤りです。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問39|会社法・委員会設置会社

監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社以外の株式会社における取締役に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。
  2. 取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。
  3. 取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。
  4. 業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。
  5. 取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。

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【答え】:5 

【解説】

1.取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。
1・・・正しい
監査等委員である取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができません(会社法331条3項)。また、指名委員会等設置会社の監査委員は、指名委員会等設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は指名委員会等設置会社の子会社の会計参与若しくは支配人その他の使用人を兼ねることができません(会社法400条4項)。上記2つは、委員会設置会社の監査を専門とする取締役の話です。本問は、委員会設置会社以外の株式会社なので、取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができます。よって、正しいです。

2.取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。
2・・・正しい
取締役会設置会社については、原則、代表取締役が業務を執行します。
また、代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定された者も、業務を執行します(会社法363条1項)。したがって、代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていません。
「取締役会の決議によって選定された者」のみ業務を執行できます。
3.取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。
3・・・正しい
取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。)の業務を執行します(会社法348条)。よって、代表取締役が他に選定されても、取締役会設置会社以外の会社の取締役は、業務執行権は当然には消滅しません。業務執行権が消滅するのは、業務執行権が消滅する旨が定款に定められていた場合です。
4.業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。
4・・・正しい
社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の①業務執行取締役若しくは②執行役又は③支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいいます(会社法2条15号)。したがって、「業務執行権のない子会社の取締役」であれば、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができます。よって正しいです。一方、
「業務執行権がある子会社の取締役」は、親会社の社外取締役にはなれません。
5.取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。
5・・・誤り
「委員会設置会社を除く取締役会設置会社」において、①取締役の数が6人以上で、かつ、②取締役のうち1人以上が社外取締役である場合、取締役会は、「重要な財産の処分及び譲受け」および「多額の借財」についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の特別取締役をもって行うことができる旨を「取締役会」で定めることができます(会社法373条1項)。
言い換えると、「a)重要な財産の処分及び譲受け」および「b)多額の借財」についての議決権を持つ取締役が特別取締役です。つまり、特別取締役は、「特別取締役」兼「取締役」なので、a)・b)以外の決議事項の決定にも加わることができます。よって、誤りです。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問38|会社法・株式取得

株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
  2. 譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
  3. 承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
  4. 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
  5. 合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。

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【答え】:1

【解説】

1.株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
1・・・妥当ではない
合併および会社分割などの一般承継の場合、株式の売買による取得とは異なり、「会社の承認を要する旨の定め」をすることができません。よって、妥当ではありません。
2.譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
2・・・妥当
譲渡制限株式の譲渡について、株主からの承認の請求等があった場合、譲渡を承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません。ただし、定款に別段の定めがある場合は、定款の定めに従います(会社法139条1項)。よって、本肢は妥当です。
3.承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
3・・・妥当
判例によると、承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である、としています。
よって、本肢は妥当です。

4.株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
4・・・妥当
株式会社が特定の株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の特別決議によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会社法156条1項、309条2項2号)。よって、本肢は妥当です。
5.合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
5・・・妥当
子会社は、原則、その親会社である株式会社の株式を取得してはなりません会社法135条)。
ただし、例外として、合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合は、例外的に親会社の株式を取得できます(同条2項2号)。
この場合、子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分(売却等)しなければなりません(同条3項)。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問37|会社法・株式会社の設立

株式会社の設立手続における創立総会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
  2. 創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
  3. 創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
  4. 発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
  5. 創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。

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【答え】:4【解説】

1.設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
1・・・誤り
募集設立の場合には、発起人は、払込みの期日又は払込み期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません(会社法65条)。よって、創立総会を招集するのは「設立時取締役」ではなく、「発起人」です。また、「設立登記の前までに」ではなく、「遅滞なく」です。

2.創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
2・・・誤り
創立総会において、書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、一定の時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行います(会社法75条)。
また、電磁的方法による議決権の行使も認めています同法76条)。よって、本肢は「書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない」となっているので誤りです。
3.創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
3・・・誤り
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います(会社法73条)。したがって、「議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する」は誤りです。
創立総会の決議の数字について>>
4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
4・・・正しい

例えば、当初定款で定めていた出資額を1000万円として
実際に出資があったのが200万円だった場合
差額の800万円が出資額の不足です。

定款の定めた出資額に著しく不足がある場合、「発起人又は設立時取締役」は不足額を支払う義務があります。(会社法52条

出資額の不足により発起人又は設立時取締役の負う義務」及び「任務懈怠による発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任」は、総株主の同意がなければ、免除することができません(会社法55条)。本肢は、任務懈怠の内容であり、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできないので正しいです。任務懈怠による損害賠償責任を免除するには、「総株主の同意」が必要です。

5.創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
5・・・誤り
創立総会において、定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後2週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができます会社法97条)。本肢は「会社成立後」が誤りです。正しくは「当該決議後2週間以内に限り」です。【注意】 定款変更に反対した設立時株主は、株式の買取請求はできない!事業を始めていないので、株式の買い取ってもらうにしても、いくらで買い取るの?と具体的な計算方法が分かりづらいです。それであれば、設立時発行株式の「引き受けを取り消して」支払った代金を返してもらう方が妥当なので、「買取請求」ではなく「取消し」ができるとなっています。


平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・政治
問19 国家賠償法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 地方自治法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・社会
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 行政法 問54 一般知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 一般知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略