抵当権の順位譲渡も抵当権の順位放棄も「後順位抵当権者」の優先弁済権の額を増やしてあげるためのものです。
違いは、「後順位抵当権者にあげる優先弁済権の額(計算の仕方)」です。
前提条件と計算の仕方
1番抵当権者A:被担保債権400万円
2番抵当権者B:被担保債権300万円
3番抵当権者C:被担保債権100万円
抵当不動産が競売にかかって600万円で売却されたとすると、弁済を受けることができる金額は下記の通りです。
A:400万円
B:200万円
C:0円
抵当権の順位譲渡
AがCに対して、順位譲渡したとすると、AとCの優先弁済額の合計(400万円+0円=400万円)の範囲内で、順位譲渡を受けたCから先に弁済を受けることができます。
つまり、400万円の範囲内で、Cから先に弁済を受け、残りをAがもらう流れとなります。Cの被担保債権は100万円なので
C:100万円
A:300万円
B:200万円(順位譲渡に関係しないから金額は変わらない)
抵当権の順位放棄
AがCに対して、順位放棄したとすると、AとCの優先弁済額の合計(400万円+0円=400万円)の範囲内で、被担保債権額の割合に応じて按分します。
つまり、Aの被担保債権額=400万円、Cの被担保債権額=100万円なので、400万円を、Aが4/5、Cが1/5で分けて、弁済を受けます。
A:320万円
C:80万円
B:200万円(順位放棄に関係しないから金額は変わらない)
となります。
【分母が5となる理由】
「被担保債権額の割合に応じて按分する」とは、全体(被担保債権額の合計)のうち、AやCがどれだけの被担保債権額を持っているかで考えるということです。
つまり、Aの被担保債権額=400万円、Cの被担保債権額=100万円ということは、
Aは、全体(500万円)のうち400万円を持っていて
Bは、全体(500万円)のうち100万円を持っています。
よって、A=400/500=4/5となり、B=100/500=1/5となります。
民法テキストの目次
総則
- 権利能力・意思能力・行為能力
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
- 心裡留保
- 虚偽表示
- 錯誤
- 詐欺
- 強迫
- 失踪宣告
- 代理の基本
- 無権代理の基本
- 無権代理と相続の関係
- 表見代理
- 時効の基本
- 「時効の完成猶予」と「時効の更新」
- 取得時効
- 消滅時効
物権
- 即時取得
- 占有権
- 占有保持・占有保全・占有回収の訴え
- 囲繞地通行権
- 竹木の枝・根の切除
- 共有
- 地役権
- 留置権
- 先取特権
- 質権
- 抵当権
- 抵当権の順位変更
- 抵当権の順位譲渡・順位放棄
- 法定地上権
- 根抵当権
債権
- 債務不履行
- 債権者代位権
- 詐害行為取消権(詐害行為取消請求)
- 連帯債務
- 保証債務(保証の基本)
- 連帯保証
- 債権譲渡
- 債務引受
- 弁済
- 相殺
- 契約解除
- 贈与
- 売買
- 契約不適合責任
- 賃貸借
- 転貸・賃借権の譲渡
- 貸人の地位の移転(賃貸人の変更)
- 賃貸借の終了
- 請負
- 委任
- 寄託
- 組合
- 事務管理
- 不当利得
- 不法原因給付
- 不法行為
- 使用者責任
- 工作物責任
親族
- 婚姻の基本
- 婚姻の無効と取消し
- 婚姻の解消
- 嫡出の推定
- 「嫡出否認の訴え」と「親子関係不存在確認の訴え」
- 認知
- 普通養子縁組
- 特別養子縁組
- 親権
- 扶養
- 相続欠格と相続廃除
- 特別受益者の相続分
- 単純承認・限定承認・相続放棄
- 遺言
参考条文
(抵当権の処分)
第376条 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
