行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
- 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
- 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
【答え】:2
【解説】
取消訴訟は、「処分又は裁決があつたことを知った日から6ヶ月月を経過したとき」または「処分又は裁決の日から1年を経過したとき」は、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条1項2項)。
本肢は「処分または裁決の日から6ヵ月」が誤りで、正しくは「処分または裁決を知った日から6ヵ月」です。
2・・・正しい
「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」又は「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、「選択肢1の14条1項2項」の規定にかかわらず、これに対する「裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」又は「当該裁決の日から1年を経過」したときは、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条3項)。
よって、正しいです。
本肢のような規定はないので、誤りです。
不作為の違法確認訴訟については、出訴期間はありません。
なぜなら、行政庁の不作為が継続しているということは、その間、ずっと行政庁の違法な状態が続いているということです。
そのため、その間はずっと、訴訟提起できます。
義務付け訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。
【義務付け訴訟に出訴期間の規定がない理由】
義務付けの訴えは、①行政庁が一定の処分・裁決をすべきにもかかわらず、処分・裁決をしない場合(非申請型)や、②申請や審査請求がなされた場合(申請型)に、「行政庁に一定の処分・裁決をしてください!」と求める訴訟です。
①(非申請型)については、申請はしていないものの、処分や裁決を求める場合です。
例えば、隣地の建物が違法建築物であり、今にも倒壊しそうな場合に、所有者に対して是正命令処分をしてください!と求める場合です。
この場合、1年とか6ヶ月といった具体的な期間として、出訴期間を定めることができません。
上記の状況であれば、ずっと義務付けの訴えを提起できるのが当然です。
②(申請型)については、申請や審査請求をして、拒否処分を受けたり、不作為の場合です。
不作為の場合を考えると、不作為が続く限り、義務付け訴訟ができるので、これも1年とか6ヶ月といった具体的な期間として、出訴期間を定めることができません。
拒否処分の場合は、「取消訴訟」又は「無効確認の訴え」と併せて提起することが要件となるため、取消訴訟と併合提起する場合、取消訴訟の出訴期間が適用され、無効確認訴訟については、そもそも出訴期間はありません。
よって、出訴期間の定めをする必要はありません。
【取消訴訟の出訴期間】
差止め訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。
【差止め訴訟に出訴期間の規定がない理由】
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができます(行政事件訴訟法37条の4第1項)。
つまり、この条文から、「一定の処分又は裁決」がされていない間でないと訴えを提起できないことが分かります。
そのため、出訴期間の規定を別途さだめることはしていません。
| 問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:物権 |
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| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
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| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
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| 問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
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