未分類

令和3年・2021|問45|民法 40字問題

Aは、Bに対して100万円の売掛代金債権(以下「本件代金債権」といい、解答にあたっても、この語を用いて解答すること。)を有し、本件代金債権については、A・B間において、第三者への譲渡を禁止することが約されていた。しかし、Aは、緊急に資金が必要になったため、本件代金債権をCに譲渡し、Cから譲渡代金90万円を受領するとともに、同譲渡について、Bに通知し、同通知は、Bに到達した。そこで、Cは、Bに対して、本件代金債権の履行期後に本件代金債権の履行を請求した。Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、BのAに対する弁済その他の本件代金債権に係る債務の消滅事由はなく、また、Bの本件代金債権に係る債務の供託はないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字)【解説】

Aは、Bに対して100万円の売掛代金債権(以下「本件代金債権」といい、解答にあたっても、この語を用いて解答すること。)を有し、本件代金債権については、A・B間において、第三者への譲渡を禁止することが約されていた。しかし、Aは、緊急に資金が必要になったため、本件代金債権をCに譲渡し、Cから譲渡代金90万円を受領するとともに、同譲渡について、Bに通知し、同通知は、Bに到達した。そこで、Cは、Bに対して、本件代金債権の履行期後に本件代金債権の履行を請求した。Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、BのAに対する弁済その他の本件代金債権に係る債務の消滅事由はなく、また、Bの本件代金債権に係る債務の供託はないものとする。

【問題文の状況】

  1. A(債権者)は、B(債務者)に対して、100万円の債権(本件代金債権)を持っている
  2. 本件代金債権には、譲渡禁止特約が付いている
  3. 譲渡禁止特約がある本件代金債権を、AがC(第三者)に譲渡した
  4. Cは、譲渡の対抗要件(通知or承諾)を備えている
  5. 当該代金債権を譲り受けたCは、Bに対して本件代金債権の履行を請求した
  6. B(債務者)が、C(譲受人)の請求に対して、履行を拒むことができるのは、どのような場合か

【Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か】

まず、問題文に「第三者への譲渡を禁止することが約されていた」と書いてあるので、債権譲渡・譲渡禁止特約に関する内容と判断できます。

この点について、民法の条文を考えます。

  • 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない(民法466条1項)。
  • 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない(民法466条2項)。

つまり、上記の通り、譲渡禁止特約が付いていても、債権譲渡が可能(有効)であることが分かります。次に、民法466条3項を考えます。

  • 2項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる(民法466条1項)。

上記から、Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、

譲受人Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(45字)

です。「譲受人C」は「C」でよいです。

【40字程度にまとめると】

Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字)


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

【行政書士過去問】令和2年・2020|問15|行政不服審査法|本試験の問題と解答・解説

再審査請求について定める行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。
  2. 審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
  3. 再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。
  4. 再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。
  5. 再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】

1.法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合であっても、処分庁の同意を得れば再審査請求をすることが認められる。

1・・・誤り

行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。

つまり、「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがない場合」は、再審査請求はできません。

よって、誤りです。

2.審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。

2・・・正しい
再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却します(行政不服審査法64条3項)。

よって、本肢は正しいです。

【詳細解説】

再審査請求では「①原処分」と「②原裁決(1回目の審査請求に対する裁決)」のいずれを対象として争うこともできます。上記条文では、「②原裁決」を対象としてされた再審査請求についての規定です。

この「原裁決(1回目の裁決)」が違法・不当であったとしても、「①原処分(一番初めの処分)」が違法・不当のいずれでもないのであれば、再審査請求は棄却されます。

 

3.再審査請求をすることができる処分について行う再審査請求の請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる。

3・・・誤り

行政庁の処分につき「法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合」には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができます(行政不服審査法6条1項)。
そして、再審査請求は、「原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。)」又は「当該処分」を対象として、1項の法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。

よって、「請求先(再審査庁)は、行政不服審査会となる」が誤りです。
再審査庁は、「法律で定められた行政庁」です。

4.再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行わなければならない。

4・・・誤り
審査請求の裁決が既になされている場合、再審査請求は当該「裁決」を対象として行う必要はなく「原処分」を対象と行うこともできます。

これは選択肢3の「行政不服審査法6条2項」の解説の通り、

再審査請求は、「原裁決」又は「当該処分」を対象として、法律に定める行政庁に対してします(6条2項)。

5.再審査請求の再審査請求期間は、原裁決があった日ではなく、原処分があった日を基準として算定する。

5・・・誤り

再審査請求は、「原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したとき」または、「原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したとき」は、することができません。ただし、正当な理由があるときは、上記期間を経過した後も行えます(行政不服審査法62条)。

よって、再審査請求の再審査請求期間は、原「裁決」があった日を基準として算定するので、誤りです。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問44|行政法 40字問題

A私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、学校教育法15条1項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40字程度で記述しなさい。なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

(参照条文)
学校教育法
第15条第1項
文部科学大臣は、公立又は私立の大学及び高等専門学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。(以下略)

>解答と解説はこちら


【答え】:行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止等を求めることができる。(39字)【解説】

A私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、学校教育法15条1項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40字程度で記述しなさい。なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

【文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか】

「行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものを言います(行政手続法2条6号)。

つまり、文部科学大臣の勧告は、「行政指導」に当たります。

 

【誰に対して】【どのような手段をとることができるか】

学校教育法に基づき、勧告を受けた」という記述から、この勧告(行政指導)は、法律に根拠のある行政指導です。

そして、行政手続法36条の2第1項本文によると

法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」

と規定しています。

「行政指導をした行政機関」は、「文部科学大臣」です。

そして、できる手段は「行政指導(勧告)の中止その他必要な措置をとることを求めること」です。

よって、上記をまとめると

行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止その他必要な措置を求めることができる。(46字)

これだと少し長いので「当該勧告の中止その他必要な措置」を「当該勧告の中止等」に変えます。

【40字程度にまとめると】

行政指導に該当し、文部科学大臣に対して、当該勧告の中止等を求めることができる。(39字)


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問14|行政不服審査法

行政不服審査法が定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。
  2. 審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。
  3. 審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
  4. 再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。
  5. 審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】

1.審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。

1・・・誤り

処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、「処分の効力、処分の執行又は手続の続行」の全部又は一部の停止その他の措置(執行停止)をとることができます(行政不服審査法25条2項)。

そして、審査請求人の申立てがあった場合において、「処分、処分の執行又は手続の続行」により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない
ただし、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」、又は「本案について理由がないとみえるとき」は、執行停止をしなくてもよいです(行政不服審査法25条4項)。

つまり、「本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない」は誤りです。「本案について理由がないとみえるとき(審査請求で棄却裁決が出る場合)」は、執行停止をしなくてもよいので誤りです。

 

2.審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。

2・・・誤り

執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができます(行政不服審査法26条)。

つまり、審査庁は、執行停止をした後に、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことも可能なので誤りです。

 

3.審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

3・・・正しい

「執行停止の申立てがあったとき」、又は「審理員から執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき」は、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければなりません(行政手続法25条7項)。

よって、本問は正しいです。

 

4.再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。

4・・・誤り

処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、「処分の効力、処分の執行又は手続の続行」の全部又は一部の停止その他の措置(執行停止)をとることができます(行政不服審査法25条2項)。

第25条(第3項を除く。)の規定は、再調査の請求について準用する(行政不服審査法61条)ので、再調査請求の請求人は執行停止を申し立てることはできます。

よって、誤りです。

 

5.審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。

5・・・誤り

処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができます

ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできません(行政不服審査法25条3項)。

つまり、審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合でも、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできるので、誤りです。

■ただし書きの部分は、執行停止ができる内容が限られていることを示しています。

例えば、処分庁が「免許取消処分」を行ったとします。

この場合、審査庁が「処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない」場合、審査庁は、免許取消処分の効力を停止させることができます。

一方、「免許取消処分」を「業務停止処分」に「変更」といった「処分内容を変更」を行うことはできません。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問43|行政手続法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の[ ア ]と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて[ イ ]に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ ウ ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ ウ ]が定められているところ、本件[ ウ ]は、[ エ ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ ウ ]の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ ウ ]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。

(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)

1. 公平 2.審査基準 3.名宛人以外の第三者 4.弁明 5.条例 6.意見公募 7.説明責任  8.根拠 9.慎重 10.紛争の一回解決 11.要綱 12.諮問 13.処分基準 14.利害関係人 15.議会の議決 16.規則 17.不服の申立て 18.審査請求 19.適法性 20.聴聞

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:9.慎重、イ:17.不服の申立て、ウ:13.処分基準、エ:6.意見公募【解説】

行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の[ ア:慎重 ]と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて[ イ:不服の申立て ]に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ ウ:処分基準 ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ ウ:処分基準 ]が定められているところ、本件[ ウ:処分基準 ]は、[ エ:意見公募 ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ ウ:処分基準 ]の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ ウ:処分基準 ]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。

【ア】 行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の[ ア ]と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて[ イ ]に便宜を与える趣旨に出たものと解される。

ア・・・9.慎重

不利益処分をする際に「理由を提示するよう」求めているのは、行政庁の判断の「[ ア ]と合理性」を担保(保証)して、恣意的(身勝手)な判断をしないようにしています。

アには「慎重」が入ります。

理由を提示する意義としては「公平さ」を保つわけではなく、きちんと行政庁に処分が妥当かを根拠づけさせるためにあるので、「慎重」の方が適切です。

そもそも、処分理由を明らかにする目的は、処分そのものの慎重合理性を確保することです。

「根拠」や「適法性」を入れても意味が通じてしまうので、これは間違えても仕方ありません。

【イ】 行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の[ ア :慎重 ]と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて[ イ ]に便宜を与える趣旨に出たものと解される。

イ・・・1. 不服の申立て

「処分の理由を名宛人に知らせる」のは、処分理由から、不利益処分が「妥当なのか」「違法ではないか」を、名あて人(処分を受ける予定の者)に考えてもらう材料としてもらうことにあります。さらに、その後、「審査請求・再調査の請求」をする際の材料にもなります。よって、イには「不服申立て」が入ります。
「審査請求」だけでなく「再調査の請求」の材料にもなるので「不服申し立て」を入れた方が妥当です。
※「不服申し立て」の種類として「審査請求」「再調査の請求」「再審査の請求」の3つがあります。再審査の請求は、処分ではなく、裁決があった後に行えるものなので、上記には「再審査の請求」を入れていません。

 

【ウ】 「同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ ウ ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。」

ウ・・・13.処分基準

『どの程度の理由を提示すべきかは、「当該処分に係る[ ウ ]」を含めて総合的に判断して決める』と書いてあります。

よって、ウには「処分基準」が入ります。

 

【エ】 本件[ ウ:処分基準 ]は、[ エ ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており

エ・・・6.意見公募

「処分基準」は、「命令等」に含まれるので、処分基準を定めるにあたっては、意見公募手続が必要となっています。

よって、エには「意見公募」が入ります。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問13|行政手続法

行政指導についての行政手続法の規定に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとされているが、その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られる。

イ.行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

ウ.行政指導をすることを求める申出が、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対して適法になされたものであったとしても、当該行政機関は、当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。

エ.地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が法律に置かれているものであれば、行政指導について定める行政手続法の規定は適用される。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:3(イウが正しい)

【解説】

ア.行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとされているが、その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られる。

ア・・・誤り

行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはなりません(行政手続法32条2項)。

上記の通り「行政指導」について、「根拠が法律にある行政指導に限定する」旨の規定はないので、すべての行政指導に適用されます。

よって、誤りです。

イ.行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

イ・・・正しい

行政指導に携わる者(担当者)は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る(処分権限を持っている)旨を示すときは、その相手方に対して、一定事項を示さなければなりません行政手続法35条2項)。

※簡単に言えば、「処分を行う担当者が行政指導をする場合
処分することができることを伝えるときは、根拠法令等を示さなければならない」ということです。

そして、行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならりません行政手続法35条3項)。

よって、本肢は正しいです。

ウ.行政指導をすることを求める申出が、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対して適法になされたものであったとしても、当該行政機関は、当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。

ウ・・・正しい

行政庁又は行政機関は、行政指導をすることを求める申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければなりません行政手続法36条の3第3項)。

つまり、「処分や行政指導」を行えばよいだけであり、当該申出に対して「諾否の応答」はしなくてもよいです。

よって正しいです。

具体例】 例えば、Aが「Bは法令違反をしているから行政指導をしてください!」と申し出た。

それに対して行政機関が調査を行い、「これは行政指導が必要だ!」と判断し、行政指導を行った。

この場合、行政機関は、Aからの申出に対して、Aに対して「Bに行政指導をしました!」と諾否の応答をしなくてもよいです。

■本問は「処分等の求め」に関する内容です!

何人(誰でも)も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、「当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関」に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができます行政手続法36条の3第1項)。

【具体例】 違法建築物を見つけた場合、その旨を行政庁等に知らせて、除去命令を出してください!と申出をすることができます。

そして、「行政庁又は行政機関」は、行政指導をすることを求める申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければなりません(行政手続法36条の3第3項)。

【具体例】 上記具体例でいえば、行政庁等が、調査をして、「確かに違法建築物だ!」と分かれば、違法建築物の所有者に対して、除去命令を出したりしなければなりません。

※ 行政指導を求める場合、その行政指導が根拠規定が法律にあることが要件です。

エ.地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が法律に置かれているものであれば、行政指導について定める行政手続法の規定は適用される。

エ・・・誤り

下記4つについては、行政手続法は適用除外です(行政手続法3条3項)。

  1. 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。
  2. 地方公共団体の機関がする行政指導
  3. 地方公共団体の機関に対する届出(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
  4. 地方公共団体の機関が命令等を定める行為

行政手続法3条3項2号の通り、地方公共団体の機関がする行政指導は、根拠が法律にあるものに限らず、すべての行政指導について行政手続法の適用除外です。よって、誤りです。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問42|行政法

感染症法*の令和3年2月改正に関する次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

教授A: 今日は最近の感染症法改正について少し検討してみましょう。

学生B: はい、新型コロナウイルスの感染症防止対策を強化するために、感染症法が改正されたことはニュースで知りました。

教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。

学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。

教授A: そのとおりです。この問題には決着がついていないようですので、これ以上は話題として取り上げないことにしましょう。では、改正のポイントについて説明してください。

学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。

学生B: はい、刑法総則が適用されるほか、制裁を科す手続に関しても刑事訴訟法が適用されます。

教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。

学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。

教授A: そうですね、制裁を科すとしても、その方法には様々なものがあることに注意しましょう。

(注) * 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

1. 罰金 2.過料 3.科料 4.死刑 5.公表 6.即時強制  7.行政代執行 8.仮処分 9.仮の義務付け 10.間接強制 11.課徴金 12.行政刑罰 13.拘留 14.損失補償 15.負担金 16.禁固 17.民事執行 18.執行罰 19.給付拒否 20.社会的制裁

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:6.即時強制、イ:1. 罰金、ウ:12.行政刑罰、エ:2.過料【解説】

【ア】教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。

学生B: はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。

ア・・・6.即時強制

「入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置である」というのは、国民の身体に実力行使しているので、「即時強制」または「直接強制」となります。

直接強制は、アの後に記載されているので、アには「即時強制」が入ります。

■ちなみに、「代執行」とは、代替的作為義務(他人が代わってなすことのできる義務)が履行されない場合に、「行政庁もしくは第三者」が自ら、義務者に代わって義務を履行し、その費用を義務者から徴収することを言います。

今回、「人を入院させる義務」は、他人が代わってなすことはできません。
なぜなら、Aさんに入院させる義務を負わせて、他人であるBさんが入院しても意味がないからです。
そのため、「代執行」は入りません。

即時取得と直接強制の違い

  • 直接強制「義務の不履行があった場合」が対象
  • 即時強制そもそも「義務」がない場合が対象
直接強制も即時取得も、「直接に義務者の身体や財産に実力を加える」点では同じです。 違いは、「そもそも義務があるか、義務がないか」です。

直接強制

義務の不履行があった場合に、直接に義務者の身体や財産に実力を加えることを「直接強制」と言います。 【具体例】 成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法3条です。3条1項には、「規制区域内に所在する建築物について、 多数の暴力主義的破壊活動者の集合のために使用する場合、国土交通大臣は、使用禁止を命じることができる」と規定しています。 つまり、これを理由に使用禁止命令を受けた場合、命令に従う「義務」が発生します。この義務に従わない場合、6項に、「国土交通大臣は、第1項の命令に違反したときは、当該建築物について封鎖その他使用できないよう必要な措置(建物の実力封鎖)を講ずることができる。」と規定しています。つまり、命令による使用禁止義務があり、義務の不履行があると(命令に従わない場合)、直接義務者が使用できないように実力行使されるということです。

即時強制

「即時強制」は、そもそも義務がなく(義務の存在を前提としない)、行政上の目的を達成するために直接身体や財産に対して実力を加えることです。 【具体例】 路上で寝ている人がいた場合に、「起きて路上から離れてください!」と義務を命じていては、それまでに車にひかれてしまうかもしれません。緊急で路上から離れさせる必要があります。そういった場合に、義務を命じず に、その人を安全な場所に移動させる行為が即時強制の一例です。  
【イ】 当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

イ・・・1. 罰金

「懲役」と「100万円以下のイ」と並列で並んでおり、一般的には、「懲役」も「イ」も同じ「行政刑罰」である可能性が高いです。

そして、金銭納付を命じる行政刑罰には「罰金」と「科料」がありますが、

「科料」は「1,000円以上1万円未満」の間でしか定めることができません(刑法17条)。

「100万円」ととなると、「罰金」しかないの、イには「罰金」が入ります。

 

【ウ】学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や100万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。

教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。

ウ・・・12.行政刑罰

これは、選択肢イでも解説した通り、「懲役」も「罰金」も「行政刑罰」に分類されます。

よって、ウには「行政刑罰」が入ります。

【エ】教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。

学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではなく、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。

エ・・・2.過料

「行政上の秩序罰」と言えば「過料」です。

よって、エには「過料」が入ります。

ちなみに「過料」は「行政刑罰」ではありません。

 


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問12|行政手続法

理由の提示に関する次の記述のうち、行政手続法の規定または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものは
どれか。

  1. 行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するものと認められる者から請求があったときは、当該処分の理由を示さなければならない。
  2. 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないことを理由とするときは、申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない。
  3. 行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。
  4. 公文書の非開示決定に付記すべき理由については、当該公文書の内容を秘匿する必要があるため、非開示の根拠規定を示すだけで足りる。
  5. 旅券法に基づく一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由については、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかに関し、その申請者が事前に了知しうる事情の下であれば、単に発給拒否の根拠規定を示すだけで足りる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】

1.行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するものと認められる者から請求があったときは、当該処分の理由を示さなければならない。

1・・・妥当ではない

行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、許認可処分をする理由について、利害関係人から請求があったとしても示す必要はありません。本問のような内容は条文に規定されていません。

よって、妥当ではありません。

2.行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないことを理由とするときは、申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない。

2・・・妥当ではない

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません

ただし、(例外として)「法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合」であって、「当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるとき」は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足ります(行政手続法8条1項)。

よって、本問の場合、理由を示す必要がある場合もあるので妥当ではありません。

【問題文と解説の理解】

まず、「申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないこと」を理由に拒否処分をする場合、

①その形式上の要件の不適合が「客観的指標により明確に定められている場合」

②上記以外の場合

の2つに分かれます。

①の場合は、例外に当てはまり、申請者の求めがあったときのみ理由を示せばよいですが、

②の場合は、原則通り、理由を示す必要がある可能性もあります。

■質問内容は「申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない」〇か×か?なので

理由を示す必要がない場合〇

理由を示す必要がある場合が一つでもあれば、×となります。

今回②の場合だと、理由を示す必要があるので、×となります。

3.行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。

3・・・妥当

行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、同時に理由を示す必要はありませんが、「当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き」、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければなりません

よって、本問は妥当です!

4.公文書の非開示決定に付記すべき理由については、当該公文書の内容を秘匿する必要があるため、非開示の根拠規定を示すだけで足りる。

4・・・妥当ではない

判例(最判平4.12.10)によると

『公文書の非開示決定通知書に付記すべき理由としては、開示請求者において、本条例九条各号所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得る(分かる)ものでなければならず

単に非開示の根拠規定を示すだけでは、当該公文書の種類、性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合は別として、・・・理由付記としては十分でないといわなければならない。』

としています。

つまり、「公文書の非開示決定に付記すべき理由」は、開示請求者が、非開示事由の条文のどこに該当して非開示なのか理解できることが必要、単に非開示の根拠条文を示すだけでは、原則、理由の付記としては不十分ということです。

5.旅券法に基づく一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由については、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかに関し、その申請者が事前に了知しうる事情の下であれば、単に発給拒否の根拠規定を示すだけで足りる。

5・・・妥当ではない

判例(最判昭60.1.22)によると

『一般旅券(パスポート)発給拒否通知書に付記すべき理由としては、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して一般旅券の発給が拒否されたかを、申請者においてその記載自体から了知しうる(分かる)ものでなければならず

単に発給拒否の根拠規定を示すだけでは、それによつて当該規定の適用の基礎となつた事実関係をも当然知りうるような場合を別として、旅券法の要求する理由付記として十分でないといわなければならない。』

としています。

つまり、「一般旅券(パスポート)発給拒否通知書に付記すべき理由」は、通知を受けた者が、「どのような事実」において、「どのような法令を適用」して、一般旅券(パスポート)の発給が拒否されたかを、通知内容から理解できることが必要、単に根拠条文を示すだけでは、原則、理由の付記としては不十分ということです。考え方としては、選択肢4と同じです!


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問41|憲法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

問題は、裁判員制度の下で裁判官と国民とにより構成される裁判体が、[ ア ]に関する様々な憲法上の要請に適合した「[ イ ]」といい得るものであるか否かにある。・・・(中略)・・・。
以上によれば、裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は、身分保障の下、独立して職権を行使することが保障された裁判官と、公平性、中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員とによって構成されるものとされている。また、裁判員の権限は、裁判官と共に公判廷で審理に臨み、評議において事実認定、[ ウ ]及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ、[ エ ]を行うことにある。これら裁判員の関与する判断は、いずれも司法作用の内容をなすものであるが、必ずしもあらかじめ法律的な知識、経験を有することが不可欠な事項であるとはいえない。さらに、裁判長は、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることも考慮すると、上記のような権限を付与された裁判員が、様々な視点や感覚を反映させつつ、裁判官との協議を通じて良識ある結論に達することは、十分期待することができる。他方、憲法が定める[ ア ]の諸原則の保障は、裁判官の判断に委ねられている。
このような裁判員制度の仕組みを考慮すれば、公平な「[ イ ]」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)は制度的に十分保障されている上、裁判官は[ ア ]の基本的な担い手とされているものと認められ、憲法が定める[ ア ]の諸原則を確保する上での支障はないということができる。

(最大判平成23年11月16日刑集65巻8号1285頁)

1. 憲法訴訟 2.民事裁判 3.裁決 4.行政裁判 5.情状酌量 6.判例との関係 7.司法権 8.公開法廷 9.判決 10.紛争解決機関 11.決定 12.法令の解釈 13.裁判所 14.人身の自由 15.立法事実 16.評決 17.参審制 18.議決 19.法令の適用 20.刑事裁判

>解答と解説はこちら


【答え】: ア:20.刑事裁判、イ:13.裁判所、ウ:19.法令の適用、エ:16.評決【解説】

問題は、裁判員制度の下で裁判官と国民とにより構成される裁判体が、[ ア:刑事裁判 ]に関する様々な憲法上の要請に適合した「[ イ:裁判所 ]」といい得るものであるか否かにある。・・・(中略)・・・。
以上によれば、裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は、身分保障の下、独立して職権を行使することが保障された裁判官と、公平性、中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員とによって構成されるものとされている。また、裁判員の権限は、裁判官と共に公判廷で審理に臨み、評議において事実認定、[ ウ:法令の適用 ]及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ、[ エ:評決 ]を行うことにある。これら裁判員の関与する判断は、いずれも司法作用の内容をなすものであるが、必ずしもあらかじめ法律的な知識、経験を有することが不可欠な事項であるとはいえない。さらに、裁判長は、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることも考慮すると、上記のような権限を付与された裁判員が、様々な視点や感覚を反映させつつ、裁判官との協議を通じて良識ある結論に達することは、十分期待することができる。他方、憲法が定める[ ア:刑事裁判 ]の諸原則の保障は、裁判官の判断に委ねられている。
このような裁判員制度の仕組みを考慮すれば、公平な「[ イ:裁判所 ]」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)は制度的に十分保障されている上、裁判官は[ ア:刑事裁判 ]の基本的な担い手とされているものと認められ、憲法が定める[ ア:刑事裁判 ]の諸原則を確保する上での支障はないということができる。

【ア】 「裁判員制度の下で裁判官と国民とにより構成される裁判体が、[ ア ]に関する様々な憲法上の要請に適合した「[ イ ]」といい得るものであるか否かにある。」

「裁判員制度の仕組みを考慮すれば、公平な「[ イ ]」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)は制度的に十分保障されている上、裁判官は[ ]の基本的な担い手とされているものと認められ、憲法が定める[ ア ]の諸原則を確保する上での支障はないということができる。」

ア・・・20.刑事裁判

この空欄は、「裁判官は[ ]の基本的な担い手とされているものと認められ」が一番わかりやすいです。

裁判員裁判が対象としているのは「刑事裁判の第一審」です。

つまり、裁判官は、刑事裁判の基本的な担い手とされているといえます。

よって、アには、「刑事裁判」が入ります。

【イ】 「裁判員制度の下で裁判官と国民とにより構成される裁判体が、に関する様々な憲法上の要請に適合した「[ イ ]」といい得るものであるか否かにある。」「裁判員制度の仕組みを考慮すれば、公平な「[ イ ]」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)は制度的に十分保障されている上、裁判官は[ ア ]の基本的な担い手とされているものと認められ、憲法が定める[ ア ]の諸原則を確保する上での支障はないということができる。」

イ・・・13.裁判所

公平な「何」における適正な裁判が行われることが、制度的に(法令により)保障されているのか?を考えます。

『「何」における』は「場所」を指す言葉でもあります。

適正な裁判を行う場所は「裁判所」なので、イには「裁判所」が入ります。

 

【ウ】 裁判員の権限は、裁判官と共に公判廷で審理に臨み、評議において事実認定、[ ウ ]及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ、[ エ ]を行うことにある。

ウ・・・19.法令の適用

裁判員裁判において、「①事実認定(有罪か無罪か)」「法令の適用・量刑(どの法令を使うか・刑の重さをどれ位にするか)」については、裁判員と裁判官の双方が話し合って決めますす。

一方、「③法解釈(法律をどのように解釈するか)」は裁判官のみの権限となっています。

よって、問題文では、「事実認定」「量定(量刑)」が記載されているので、「ウ」には「法令の適用」が入ります。

【エ】 裁判員の権限は、裁判官と共に公判廷で審理に臨み、評議において事実認定、[ ウ ]及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ、[ エ ]を行うことにある。

エ・・・16.評決

証拠をすべて調べたら、今度は、「事実を認定」し、法令を適用して、被告人が有罪か無罪か、「有罪だとしたらどんな刑にするべきか」を、裁判官と一緒に議論し(評議)、決定する(評決)ことになります。

このように、合議制の裁判所で、裁判内容を確定するために評議・採決することを「評決」と言います

よって、エには「評決」が入ります。

ちなみに、

「評決」とは、裁判員と裁判官が話し合って被告人の有罪・無罪、有罪なら下す刑罰を決定することです。

「判決」は、その評決を裁判長が宣言することを指します。

そのため、ここに入るのは判決前の「評決」が妥当です。

※「裁決」は、審査請求や再審査請求に対し、行政庁が行う決定を言います。今回の文章は、審査請求や再審査請求の話ではないので、裁決は入りません。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問11|行政手続法

行政手続法が定める意見公募手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示して、広く一般の意見を求めなければならない。
  2. 命令等制定機関は、定めようとする命令等が、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等であったとしても、自らが意見公募手続を実施しなければならない。
  3. 命令等制定機関は、命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするときでも、意見公募手続を実施しなければならない。
  4. 命令等制定機関は、意見公募手続の実施後に命令等を定めるときには所定の事項を公示する必要があるが、意見公募手続の実施後に命令等を定めないこととした場合には、その旨につき特段の公示を行う必要はない。
  5. 命令等制定機関は、所定の事由に該当することを理由として意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名及び趣旨について公示しなければならないが、意見公募手続を実施しなかった理由については公示する必要はない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1
【解説】

1.命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示して、広く一般の意見を求めなければならない。

1・・・正しい

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。

よって、本問は正しいです!

2.命令等制定機関は、定めようとする命令等が、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等であったとしても、自らが意見公募手続を実施しなければならない。

2・・・誤り

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、原則、意見公募手続が必要です(行政手続法39条1項)。

ただし、例外として、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときは、意見公募手続が不要です(行政手続法39条4項5号)。

【理由】 他の期間がすでに同一の命令を定めようとする際に意見公募手続きを行っているのだから、重ねて意見公募手続を行う必要性が小さいからです。

3.命令等制定機関は、命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするときでも、意見公募手続を実施しなければならない。

3・・・誤り

命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、原則、意見公募手続が必要です(行政手続法39条1項)。

ただし、例外として、命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするときは、意見公募手続が不要です(行政手続法39条4項5号)。

【理由】 命令の根拠(おおもと)となっている法令がなくなるわけだから、そもそも命令等の存在意義はなくなります。法律がなくなることについて、国民等が意見を言うことはできないので、上記も意見公募手続は不要となっています。

4.命令等制定機関は、意見公募手続の実施後に命令等を定めるときには所定の事項を公示する必要があるが、意見公募手続の実施後に命令等を定めないこととした場合には、その旨につき特段の公示を行う必要はない。

4・・・誤り

命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、「命令等を定めない旨」並びに「命令等の題名」及び「命令等の案の公示の日」を速やかに公示しなければなりません(行政手続法43条4項)。

よって、「その旨(命令等を定めなかった旨)につき特段の公示を行う必要はない」というのは誤りです。

5.命令等制定機関は、所定の事由に該当することを理由として意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名及び趣旨について公示しなければならないが、意見公募手続を実施しなかった理由については公示する必要はない。

5・・・誤り

命令等制定機関は、例外に該当することにより意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、「命令等の題名及び趣旨」「意見公募手続を実施しなかった旨及びその理由」を公示しなければなりません(行政手続法43条5項本文)。

よって、「意見公募手続を実施しなかった理由については公示する必要はない」は誤りです!


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略