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令和3年・2021|問35|民法

Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。なお、次の各記述はそれぞれが独立した設例であり相互に関連しない。

ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:4

【解説】

ア.Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

ア・・・誤り

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができません(民法899条の2第1項)。

つまり、Bは、遺言の内容の通り、甲建物ついての相続登記がないと、甲建物の全部が自分のものだとEに主張できません。

 

イ.Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

イ・・・誤り

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、一定期間、その居住していた建物(居住建物)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(居住建物取得者)に対し、居住建物について無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を有します(民法1037条1項本文)。

そのため、本問の場合、Bは配偶者短期居住権を有しているため、甲建物に一定の期間無料で住み続けることができます。よって、「CとD」は、Bに対して、甲建物の明渡しや不当利得返還請求はできません。

 

ウ.Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

ウ・・・正しい

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、②配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、その居住していた建物(居住建物)の全部について無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得します(民法1028条1項本文)。

ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、配偶者居住権を取得しません(民法1028条1項ただし書き)。

よって、本問は正しいです。

「甲建物(居住建物)が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合」なので、Bは配偶者居住権を取得しません。

 

エ.家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。

エ・・・正しい

遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、下記①または②に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができます(民法1029条)。

①共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

つまり、②の通り、甲建物の所有者になる人の不利益(デメリット)を考慮してもなお、配偶者Bの生活を維持するため特に必要と認める場合、家庭裁判所の審判で配偶者居住権を取得できます。

よって、正しいです。

 

オ.遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

オ・・・誤り

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。

つまり、配偶者居住権の設定登記は「登記義務者であるD」と「登記権利者であるB」との共同申請で行います。Bは、単独で配偶者居住権を登記することができないので、誤りです。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問5|憲法,政教分離

地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性に関連して、最高裁判所判決で考慮要素とされたものの例として、妥当でないものはどれか。

  1. 国または地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地として提供する行為は、一般に、当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として、憲法89条*との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。
  2. 一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても、同時に歴史的、文化財的な保護の対象となったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場としての意義を有するなど、文化的・社会的な価値に着目して国公有地に設置されている場合もあり得る。
  3. 日本では、多くの国民に宗教意識の雑居性が認められ、国民の宗教的関心が必ずしも高いとはいえない一方、神社神道には、祭祀儀礼に専念し、他の宗教にみられる積極的な布教・伝道などの対外活動をほとんど行わないという特色がみられる。
  4. 明治初期以来、一定の社寺領を国等に上知(上地)させ、官有地に編入し、または寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって、国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じており、これが解消されないまま残存している例もある。
  5. 当該神社を管理する氏子集団が、宗教的行事等を行うことを主たる目的とする宗教団体であり、寄附等を集めて当該神社の祭事を行っている場合、憲法89条*の「宗教上の組織若しくは団体」に該当するものと解される。

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【答え】:3
【解説】

1.国または地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地として提供する行為は、一般に、当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として、憲法89条*との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。

1・・・妥当

問題文は「神社」となっておりますので
孔子廟(こうしびょう)判決」ではなく、平成22年の判例の内容で考えていただいて大丈夫です。

判例(最大判平22.1.20)によると

国又は地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地としての用に供する行為は,一般的には,当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として,憲法89条との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。(選択肢1

もっとも,国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されているといっても,当該施設の性格や来歴,無償提供に至る経緯,利用の態様等には様々なものがあり得ることが容易に想定されるところである。例えば,一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても,同時に歴史的,文化財的な建造物として保護の対象となるものであったり,観光資源,国際親善,地域の親睦の場などといった他の意義を有していたりすることも少なくなく,それらの文化的あるいは社会的な価値や意義に着目して当該施設が国公有地に設置されている場合もあり得よう。(選択肢2

また,我が国においては,明治初期以来,一定の社寺領を国等に上知(上地)させ,官有地に編入し,又は寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって,国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じた。(選択肢4

このような事例については,戦後,国有地につき「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」が公布され,公有地についても同法と同様に譲与等の処分をすべきものとする内務文部次官通牒が発出された上,これらによる譲与の申請期間が経過した後も,譲与,売払い,貸付け等の措置が講じられてきたが,それにもかかわらず,現在に至っても,なおそのような措置を講ずることができないまま社寺等の敷地となっている国公有地が相当数残存していることがうかがわれるところである。

これらの事情のいかん(内容によっては)は,当該利用提供行為が,一般人の目から見て特定の宗教に対する援助等と評価されるか否かに影響するものと考えられるから,政教分離原則との関係を考えるに当たっても,重要な考慮要素とされるべきものといえよう

そうすると,国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が,前記の見地から,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては,当該宗教的施設の性格,当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,当該無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。』

としています。よって、選択肢1、2、4については「地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性」の考慮要素とされたものの例なので、妥当です。

2.一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても、同時に歴史的、文化財的な保護の対象となったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場としての意義を有するなど、文化的・社会的な価値に着目して国公有地に設置されている場合もあり得る。

2・・・妥当

選択肢1の解説参照

3.日本では、多くの国民に宗教意識の雑居性が認められ、国民の宗教的関心が必ずしも高いとはいえない一方、神社神道には、祭祀儀礼に専念し、他の宗教にみられる積極的な布教・伝道などの対外活動をほとんど行わないという特色がみられる。

3・・・妥当ではない

判例最大判昭52.7.13:津地鎮祭事件)によると、

元来、わが国においては、多くの国民は、地域社会の一員としては神道を、個人
としては仏教を信仰するなどし、冠婚葬祭に際しても異なる宗教を使いわけてさし
たる矛盾を感ずることがないというような宗教意識の雑居性が認められ、国民一般
の宗教的関心度は必ずしも高いものとはいいがたい。他方、神社神道自体について
は、祭祀儀礼に専念し、他の宗教にみられる積極的な布教・伝道のような対外活動
がほとんど行われることがないという特色がみられる。・・・問題文の内容

このような事情と前記のような起工式に対する一般人の意識に徴すれば、建築工事現場において、たとえ専門の宗教家である神職により神社神道固有の祭祀儀礼に則つて、起工式が行われたとしても、それが参列者及び一般人の宗教的関心を特に高めることとなるものとは考えられず、これにより神道を援助、助長、促進するような効果をもたらすことになるものとも認められない。

そして、このことは、国家が主催して、私人と同様の立場で、本件のような儀式による起工式を行つた場合においても、異なるものではなく、そのために、国家と神社神道との間に特別に密接な関係が生じ、ひいては、神道が再び国教的な地位をえたり、あるいは信教の自由がおびやかされたりするような結果を招くものとは、とうてい考えられないのである。

以上の諸事情を総合的に考慮して判断すれば、本件起工式(市が主催した市立体育館の起工式)は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定しえないが、その目的は建築着工に際し土地の平安
堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従つた儀礼を行うという専ら世
俗的なものと認められ、その効果は神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められないのであるから、憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動にはあたらないと解するのが、相当である。』

問題文の内容は、「市が主催した市立体育館の起工式が、合憲なのか違憲なのかを判断する際に考慮した要素の内容です

一方、本問で問われているのは「地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性」の考慮要素ではないので、妥当ではないです。

4.明治初期以来、一定の社寺領を国等に上知(上地)させ、官有地に編入し、または寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって、国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じており、これが解消されないまま残存している例もある。

4・・・妥当

選択肢1の解説参照

5.当該神社を管理する氏子集団が、宗教的行事等を行うことを主たる目的とする宗教団体であり、寄附等を集めて当該神社の祭事を行っている場合、憲法89条*の宗教上の組織若しくは団体」に該当するものと解される。

5・・・妥当

選択肢1と同様の判例(最大判平22.1.20)によると

本件神社物件を管理し,上記のような祭事を行っているのは,本件利用提供行為の直接の相手方である本件町内会ではなく,本件氏子集団である。本件氏子集団は,前記のとおり,町内会に包摂される団体ではあるものの,町内会とは別に社会的に実在しているものと認められる。
そして,この氏子集団は,宗教的行事等を行うことを主たる目的としている宗教団体であって,寄附を集めて本件神社の祭事を行っており,憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に当たるものと解される。

しかし,本件氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を町内会に支払うほかは,本件神社物件の設置に通常必要とされる対価を何ら支払うことなく,その設置に伴う便益を享受している。すなわち,本件利用提供行為は,その直接の効果として,氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にしているものということができる。

そうすると,本件利用提供行為は,市が,何らの対価を得ることなく本件各土地上に宗教的施設を設置させ,本件氏子集団においてこれを利用して宗教的活動を行うことを容易にさせているものといわざるを得ず,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものである。前記事実関係等によれば,本件利用提供行為は,もともとは小学校敷地の拡張に協力した用地提供者に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったもので,本件神社を特別に保護,援助するという目的によるものではなかったことが認められるものの,明らかな宗教的施設といわざるを得ない本件神社物件の性格,これに対し長期間にわたり継続的に便益を提供し続けていることなどの本件利用提供行為の具体的態様等にかんがみると,本件において,当初の動機,目的は上記評価を左右するものではない。

以上のような事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すると,本件利用提供行為は,市と本件神社ないし神道とのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして,憲法89条の禁止する公の財産の利用提供に当たり,ひいては憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権の付与にも該当すると解するのが相当である。』

つまり、宗教的行事等を行うことを主たる目的としている氏子集団が、憲法89条の宗教上の組織若しくは団体」に該当することは、「地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性」の考慮要素の一つなので、妥当です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問34|民法

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
  2. 損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。
  3. 過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足りる。
  4. 不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。
  5. 不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

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【答え】:5
【解説】

1.訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照ら
して全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。

1・・・妥当

判例(最判昭50.10.24)によると

『訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性(確実性)を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。 』

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

2.損害賠償の額を定めるにあたり、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、身体的特徴が疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を斟酌(しんしゃく)することはできない。

2・・・妥当

判例(最判平8.10.29)によると

不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有しており(首が長かった)、これが、加害行為(交通事故)と競合して傷害を発生させ、又は損害の拡大に寄与したとしても、右身体的特徴が疾患(頸椎ねんざ:けいついねんざ)に当たらないときは、特段の事情がない限り、これを損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃく(考慮)することはできない。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

 

3.過失相殺において、被害者たる未成年の過失を斟酌する場合には、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足りる。

3・・・妥当

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項)。

そして、判例(最大判昭39.6.24)によると

民法第722条第2項により被害者の過失を斟酌(しんしゃく:考慮)するには、被害者たる未成年者が、事理を弁識するに足る知能を具えていれば足り行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要しないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本問は妥当です。

  • 事理弁識能力:物事に対しての良し悪しを判断する知能(7才程度の能力)
  • 責任能力:注意をすればよくない結果が生じることが予想でき、その結果、自分がどのような責任を問われるのかを理解できる能力(12才程度)

つまり、責任能力の方が事理弁識能力よりも高い能力と言えます。そして、上記判例の通り、被害者に事理弁識能力があれば、被害者の過失も考慮し、損害賠償額もその分小さくなくなるということです。

 

4.不法行為の被侵害利益としての名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値につい
て社会から受ける客観的評価であり、名誉毀損とは、この客観的な社会的評価を低下させる行為をいう。

4・・・妥当

他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法723条)。

判例(最判昭45.12.18)によると

民法723条にいう名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すものであつて、人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価、すなわち名誉感情は含まないものと解すべきである。

と判示しています。よって、本肢は妥当です。

 

5.不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。

5・・・妥当ではない

判例(最判平8.1.23)によると

『人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが、

具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である。

そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものである

と判示しています。

よって、本問は「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される」が妥当ではありません。

正しくは「臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断されるものではない」です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問4|憲法,プライバシー権

捜査とプライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 個人の容ぼうや姿態は公道上などで誰もが容易に確認できるものであるから、個人の私生活上の自由の一つとして、警察官によって本人の承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めることはできない。
  2. 憲法は、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。
  3. 電話傍受は、通信の秘密や個人のプライバシーを侵害するが、必要性や緊急性が認められれば、電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される。
  4. 速度違反車両の自動撮影を行う装置により運転者本人の容ぼうを写真撮影することは憲法上許容されるが、運転者の近くにいるため除外できないことを理由としてであっても、同乗者の容ぼうまで撮影することは許されない。
  5. GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものであるが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。

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【答え】:2
【解説】

1.個人の容ぼうや姿態は公道上などで誰もが容易に確認できるものであるから、個人の私生活上の自由の一つとして、警察官によって本人の承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めることはできない。

1・・・妥当ではない

判例によると、

「憲法13条は、国民の私生活上の自由が、国家権力に対しても保護されることを規定している。
そして、個人の私生活上の自由として、承諾なしに、みだりにその容ぼう等を撮影されない自由をする。」

と判示しています。

よって、「警察官によって本人の承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めることはできない」は妥当ではありません。

2.憲法は、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。

2・・・妥当

判例(最大判平29.3.15)では、

『憲法35条は,「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ,この規定の保障対象には,「住居,書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。』としています。

よって、本肢は妥当です。

準ずる私的領域」とは、住居や所持品に直接含まれないが、個人のプライバシーや財産権が関係するその他の領域や状況を指します。

例えば:「通信の内容(手紙やメールの内容が無断でチェックされない権利)」。さらには、コンピュータやスマートフォンに保存された個人情報やデータが無断でアクセスされない権利も含まれます。

3.電話傍受は、通信の秘密や個人のプライバシーを侵害するが、必要性や緊急性が認められれば、電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される。

3・・・妥当ではない

「電話傍受」とは、「通話内容を盗聴すること」です!

そして、判例(最判平11.12.16)によると

電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、このことは所論も認めるところである。

そして、重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。』

つまり、後半部分の「電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される。」が妥当ではありません。

正しくは、「電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許される」です。

【分かりやすくいえば】

電話傍受以外の方法では、重要かつ必要な証拠を入手できることが著しく難しい場合、電話傍受が捜査上やむを得ないのであれば、法律の定めに従って電話傍受をしても憲法上許される、ということです。

本問を見ると「電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される」は妥当ではないです。

4.速度違反車両の自動撮影を行う装置により運転者本人の容ぼうを写真撮影することは憲法上許容されるが、運転者の近くにいるため除外できないことを理由としてであっても、同乗者の容ぼうまで撮影することは許されない。

4・・・妥当ではない

判例(最判昭61.2.14)によると

『速度違反車両の自動撮影を行う本件自動速度監視装置(オービス)による運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいつて緊急に証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであるから、憲法一三条(プライバシー権)に違反せず、また、右写真撮影の際、運転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容ぼうを撮影することになつても、憲法一三条、二一条(通信の秘密)に違反しない

としています。

よって、本問は「運転者の近くにいるため除外できないことを理由としてであっても、同乗者の容ぼうまで撮影することは許されない」が妥当ではありません。

正しくは「運転者の近くにいるため除外できないことを理由として、同乗者の容ぼうまで撮影することは許される」です。

5.GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものであるが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。

5・・・妥当ではない

判例(最大判平29.3.15)では、

『GPS捜査は,対象車両の時々刻々の位置情報を検索し,把握すべく行われるものであるが,その性質上,公道上のもののみならず,個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間に関わるものも含めて,対象車両及びその使用者の所在と移動状況を逐一把握することを可能にする。

このような捜査手法(GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法)は,個人の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴うから,個人のプライバシーを侵害し得るものであり,

また,そのような侵害(個人のプライバシーの侵害)を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において,公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり,公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。』

よって、本肢は妥当ではありません。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問33|民法

Aが甲建物(以下「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア.甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

イ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。

ウ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

エ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、その不適合がBの過失によって生じたときであっても、対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求することは妨げられない。

オ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら

【答え】:4
【解説】

ア.甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

ア・・・誤り

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます(民法536条1項)。

よって、甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができるので、誤りです。

「妨げられない」は「~できる」と言葉を置き換えると分かりやすいです!

 

イ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。

イ・・・正しい

契約不適合により「追完請求」や「代金減額請求」があった場合でも、「債務不履行に基づく損害賠償の請求」や「解除権の行使」を別途行うことはできます(民法564条)。

よって、本問は正しいです。

 

ウ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

ウ・・・誤り

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(民法563条1項)。

例外として、下記4つのいずれかに該当する場合は、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができます(民法563条2項)。

  1. 履行の追完が不能であるとき。
  2. 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  3. 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
  4. 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

よって、「履行の追完が合理的に期待できるとき」は、上記例外に該当しないので、原則通り、履行の追完の催告をした上で、履行の追完がないとき代金の減額を請求することができます。

本問は「Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる」が誤りです。

 

エ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、その不適合がBの過失によって生じたときであっても、対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求することは妨げられない。

エ・・・誤り

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(民法563条1項)。

しかし、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるもの(買主の責任)であるときは、買主は、代金の減額の請求をすることができません(民法563条3項)。

よって、本問は「対価的均衡を図るために、BがAに対して代金の減額を請求をすることは妨げられない」は誤りです。

「妨げられない」は「~できる」と言葉を置き換えると分かりやすいです!

不適合がBの過失によって生じたときは、BはAに対して代金の減額を請求することはできません。

 

オ.Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。

オ・・・誤り

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができなくなります。(民法566条本文)

上記1年は「通知期間」で「行使期間」ではありません。よって、本問は「Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない」となっているので誤りです。

契約不適合責任の「通知期間」と「行使期間」の違い

①1年は「通知期間」

②5年というのは「責任追及期間」です!

責任追及とは、「追完請求」「代金減額請求」「損害賠償請求及び契約解除」の4つを指します。

この2つは異なります!

①買主が売主に対して、契約不適合責任を追及するためには

原則として、「契約不適合を知ってから1年以内に通知しなければならない」

となっています。

もし、この1年を経過するまでに通知をしないと、その後、売主に対して責任追及はできなくなります。

②もし、1年以内に通知した場合は、
「不適合を知ってから5年以内」もしくは「引き渡しから10年以内」に責任追及しなければなりません。

この期間を過ぎると、売主に対して責任追及はできなくなります。

つまり、①②の2つの期間があり、通知期間内に通知をし、かつ、責任追及期間内に責任追及をしなければなりません。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問3|憲法

インフルエンザウイルス感染症まん延防止のため、政府の行政指導により集団的な予防接種が実施されたところ、それに伴う重篤な副反応により死亡したXの遺族が、国を相手取り損害賠償もしくは損失補償を請求する訴訟を提起した(予防接種と副反応の因果関係は確認済み)場合に、これまで裁判例や学説において主張された憲法解釈論の例として、妥当でないものはどれか。

  1. 予防接種に伴う特別な犠牲については、財産権の特別犠牲に比べて不利に扱う理由はなく、後者の法理を類推適用すべきである。
  2. 予防接種自体は、結果として違法だったとしても無過失である場合には、いわゆる谷間の問題であり、立法による解決が必要である。
  3. 予防接種に伴い、公共の利益のために、生命・身体に対する特別な犠牲を被った者は、人格的自律権の一環として、損失補償を請求できる。
  4. 予防接種による違法な結果について、過失を認定することは原理的に不可能なため、損害賠償を請求する余地はないというべきである。
  5. 財産権の侵害に対して損失補償が出され得る以上、予防接種がひき起こした生命・身体への侵害についても同様に扱うのは当然である。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】

1.予防接種に伴う特別な犠牲については、財産権の特別犠牲に比べて不利に扱う理由はなく、後者の法理を類推適用すべきである。

1・・・妥当

予防接種に伴う特別な犠牲について、判例(東京地判昭和59年5月18日)では下記のように言っています。

憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」と規定しており、公共のためにする財産権の制限が、社会生活上一般に受忍すべきものとされる限度を超え、特定の個人に対し、特別の財産上の犠牲を強いるものである場合には、これについて損失補償を認めた規定がなくても、直接憲法29条3項を根拠として補償請求をすることができないわけではないと解される。

そして、右憲法13条後段、25条1項の規定の趣旨に照らせば、『財産上特別の犠牲が課せられた場合』と『生命、身体に対し特別の犠牲が課せられた場合』とで、後者の方を不利に扱うことが許されるとする合理的理由は全くない

従つて、生命、身体に対して特別の犠牲が課せられた場合(後者)においても、右憲法29条3項を類進適用し、かかる犠牲を強いられた者は、直接憲法29条3項に基づき、被告国に対し正当な補償を請求することができると解するのが相当である。

よって、本問は妥当です!

2.予防接種自体は、結果として違法だったとしても無過失である場合には、いわゆる谷間の問題であり、立法による解決が必要である。

2・・・妥当

「国家補償」は「国家賠償」と「損失補償」とがあり、

「国家賠償」は、公権力の行使を行った公務員の「故意または過失」による「違法行為」が対象です。一方、

「損失補償」は、「適法」な公権力の行使による損害が対象です。

そうすると、「予防接種が違法だけど無過失」となると、「国家賠償・損失補償」のどちらも対象ではないことになります(いわゆる谷間の問題)。

これについて、学説では「立法による解決が必要である」という考え方があります。

よって、妥当です。

3.予防接種に伴い、公共の利益のために、生命・身体に対する特別な犠牲を被った者は、人格的自律権の一環として、損失補償を請求できる。

3・・・妥当

憲法13条の学説として「予防接種に伴い、公共の利益のために、生命・身体に対する特別な犠牲を被った者は、人格的自律権の一環として、損失補償を請求できる。」としています。これはそのまま覚えればよいでしょう!

■「人格的自律権」とは、個人が自分自身を支配し、自己決定を行う権利のことです。
つまり、個人が自分自身の人生に関する重要な決定を自分で行い、
その決定に基づいて自分の生活を進める権利があるということです。

この問題文の内容では、
予防接種を受けることで、自分の身体や生命に特別な犠牲を被ることがあるかもしれないが、
それでも公共の利益のために予防接種を受けることが必要な場合があるということです。

そのような場合、個人は自己決定を行い、予防接種を受けることを選択することができますが、
その際に生じた損失について、損失補償を請求することができるということです。

4.予防接種による違法な結果について、過失を認定することは原理的に不可能なため、損害賠償を請求する余地はないというべきである。

4・・・妥当ではない

「予防接種が違法だった場合、過失を認定することは不可能だから、損害賠償を請求する余地はない」という判例や学説はないので、妥当ではありません。

5.財産権の侵害に対して損失補償が出され得る以上、予防接種がひき起こした生命・身体への侵害についても同様に扱うのは当然である。

5・・・妥当

判例(大阪地裁昭和62年9月30日)によると、

「憲法29 条 3 項で公共のために財産権につきなされた特別な犠牲に対して損失補償の必要を規定しているところよりすれば、憲法は、右 29 条 3 項の規定の当然の合意として、公共のためになされた本件各予防接種のような予防接種により本件各被害
児がその生命、身体に受けたような特別な犠牲である副作用による重篤な被害に対して、財産権につき保障している損失補償を下廻ることのない、換言すれば、右財産権につき保障している補償と少なくとも同程度の損失補償が必要であることを規定しているものと解するのが相当である」とした。

そして、上記解釈は、「憲法 29 条 3 項は、財産権について公共のための特別な犠牲がある場合には、これにつき損失補償を認めた規定がなくても、直接同条項を根拠として補償請求をすることができるものと解されているところ、この解釈が、生命、身体について前記特別な犠牲がある場合においても妥当することは勿論である」として、29 条 3 項の勿論解釈により認められると明確に判示した。

つまり、財産権の侵害に対して損失補償が出され得る以上、予防接種がひき起こした生命・身体への侵害についても同様に扱うのは当然であるということです。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問32|民法

債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。
  2. 債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。
  3. 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。
  4. 債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。
  5. 債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。

>解答と解説はこちら

【答え】:5
【解説】

1.債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。

1・・・誤り

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使することができます。ただし、「①債務者の一身に専属する権利」及び「②差押えを禁じられた権利」は、債権者代位権を行使できません(民法423条1項)。

本問は「債務者の取消権」は、上記①②に該当しないので、債権者代位権を行使できます。

  • 一身専属権とは、「慰謝料請求権」や「財産分与」、「夫婦間の契約取消権」等
  • 差押え禁止の債権とは「年金受給権」や「生活保護受給権利」等

>>債権者代位権の基本はこちら

 

2.債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。

2・・・誤り

債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができません。ただし、保存行為は、被代位権利を行使できます(民法423条2項)。

よって、債権者は、債務者に対する債権の期限が到来していないと、原則として、被代位権利を使えないので、誤りです。

【詳細解説】

「債権の期限」とは、例えば、貸金債権であれば、返済期限です。返済期限が到来するまでの間は、債務者は、「借りたお金を自由に使う権利」があります。

そのため、「この返済期限が到来していない間に被代位権利を行使できる」となると、債務者は、「借りたお金を自由に使う権利」を不当に侵害されることになります。

よって、「債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使できない」としています。

3.債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。

3・・・誤り

債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができます。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅します(民法423条の3)。

よって、本問は、「債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない」となっているので誤りです。正しくは「債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできる」です。

民法423条の3にある通り、債権者は、被代位権利を使って、自分に対して動産の引渡しをするように請求できます。

4.債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。

4・・・誤り

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることができます。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行することができます(民法423条の5)。

よって、本問は、「債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない」となっているので誤りです。正しくは「債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできる」です。

【詳細解説:「債権者代位権」にある具体例を使って解説します】 

 

5.債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。

5・・・正しい

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることができます。この場合においては、相手方(第三債務者)も、被代位権利について、債務者に対して履行(弁済)することができます(民法423条の5)。

つまり、債権者が、被代位権利を使った場合、債務者の相手方(債務者の債務者:第三債務者)は、債務者に対して「履行をすることを妨げられない(履行することができる)」ので正しいです。

 


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問2|基礎法学

法令の効力に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。
  2. 法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。
  3. 日本国の法令は、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および、航空機内であっても、その効力を有しない。
  4. 一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、後法である一般法が優先して適用され、当該特別法は効力を失う。
  5. 法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。

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【答え】:5
【解説】

1.法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。

1・・・妥当ではない

法律は、原則、公布の日から起算して20日を経過した日から施行します。ただし、例外的に、法律でこれと異なる施行期日を定めたときは、その定めに従います(法の適用に関する通則法2条)。

つまり、上記例外の規定により、法律で施行期日を別に定めたときは、その定めた日から施行することもできます!

例えば、本問のように「法律の施行日を公布日とすること」もできます。

よって、「公布日から直ちに法律を施行することはできない」は妥当ではありません。

【関連ポイント】条例」は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して10日を経過した日から、これを施行する(地方自治法16条3項)。

 

2.法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。

2・・・妥当ではない

「法律の効力発生日」とは、「施行日」を指します。そして、法律は、原則、公布の日から起算して20日を経過した日から施行します(法の適用に関する通則法2条本文)。したがって、公布日とは別に、施行期日を定めない場合、上記原則通り、公布の日から起算して20日を経過した日が施行日となります。

よって、「公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。」が妥当ではありません。

 

3.日本国の法令は、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および、航空機内であっても、その効力を有しない。

3・・・妥当ではない

(国内犯)
第1条 刑法は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。(属地主義)
 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。(旗国主義:きこくしゅぎ

つまり、刑法は、外国の領域内や公海上であっても、日本国の船舶および、航空機内では、刑法の効力を有します。

したがって、本問は妥当ではありません。

【質問内容の理解】 本問は、〇だと仮定すると、「すべての日本の法令について、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および、航空機内であっても、その効力を有しない」こととなります

つまり、「外国の領域内や公海上において、日本国の船舶および、航空機内であっても、その効力を有する」法令があれば、×となります。

したがって、「外国の領域内や公海上において、日本国の船舶および、航空機内であっても、その効力を有する」法令を考えると答えを導きやすいです。

そして、刑法が上記に当たるので×と答えを導きます!

【関連ポイント】 刑法は、上記1条の通り、「属地主義(どこの住民・国籍であっても、その土地の法令が、適用される考え方)」を採用していますが、例外的に「属人主義(行為を行った土地や被害者の国籍にかかわらず、行為を行った者の国や地方公共団体の法令が適用される考え方)」も採用しています。

「属人主義」は、刑法3条(国民の国外犯)や3条の2(国民以外の者の国外犯)で、規定しています。

刑法3条の例) 日本国外において殺人罪を犯した日本国民にも刑法を適用する

刑法3条の2の例) 日本国外において、日本国民に対して殺人罪を犯した日本国民以外の者にも刑法を適用する

 

4.一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、後法である一般法が優先して適用され、当該特別法は効力を失う。

4・・・妥当ではない

「一般法」と「特別法」の関係では「特別法が優先」して適用されます(特別法優先の原則)。

また、旧法・前法(昔の法律)と新法・後法(新しい法律)では、新法・後法が優先されます(新法(後法)優先の原則)。

「新法(後法)優先の原則」と「特別法優先の原則」の関係では、「特別法優先の原則」が優先されます。

したがって、「一般法が新法・後法(新しい)」で「特別法が旧法・前法(古い)」の場合、古い特別法が優先します!

 

5.法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。

5・・・妥当

本問は「限時法・時限立法・時限法」と呼ばれるものです。

限時法(げんじほう)とは、有効期間の定められている法令を言います。時限立法とも言います。本肢の通り「法律の中で明確に定めている場合、原則、その時期の到来により当該法律の効力は失われる」というのは妥当です。
例えば、アメリカで起きた同時多発テロ事件に基づいて、「テロ対策特別措置法」が制定されました。この法律は、2001年11月2日からの2年間の時限立法でした。
その後、この法律を延長しようとしたが、ねじれ国会が原因で延長が成立せず、2007年(平成19年)11月1日、期限切れで失効となりました。

また、近年では、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(法テラス震災特例法)」があり、平成24年4月1日から3年間の時限立法でしたが、2度にわたる延長を経て令和3年3月31日に期限を迎え失効しました。

【関連ポイント】 有効期間を限らないで制定された法令(有効期限がない法令)は、恒久法(こうきゅうほう)です。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問31|民法

AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。この契約に関する次のア~オのうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

イ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。

ウ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

エ.Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

オ.残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

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【答え】:3

【解説】

ア.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

ア・・・妥当

債務不履行に基づく損害賠償については、債権者は、損害の証明をする必要はありません(民法419条2項)。

よって、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができます。

 

イ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。

イ・・・妥当ではない

判例(最判昭48.10.11)によると

債権者は、金銭を目的とする債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求できない

と判示しています。

よって、本問は「請求することができる」が妥当ではなく、正しくは「請求することはできない」です。

 

ウ.残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

ウ・・・妥当

金銭の給付を目的とする債務不履行に基づく損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができません(民法419条3項)。

つまり、大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなったとしても、債権者Aは、債務者Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができます。

 

エ.Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

エ・・・妥当ではない

債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時いずれか早い時から遅滞の責任を負います(民法412条2項)。

そして、『残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていた』ということは、債務に不確定期限がついていたということです。

不確定期限の場合、履行遅滞になるのは「期限になった後で履行の請求を受けた時点」「期限になったことを知った時点」のうち早い時点からです。

本問は、Bはどちらも満たしていないので、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金は請求できません。

 

オ.残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

オ・・・妥当

債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(民法412条3項)。

よって、Bは10月1日にAから請求を受けているので、Aは、Bに対して、「500万円」と「経過した2ヵ月分の遅延損害金」を請求できます。

 


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和3年・2021|問1|基礎法学

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

そもそも、刑罰は[ ア ]的に科すべきものであるか([ ア ]刑論)あるいは[ イ ]を目的として科すべきものであるか(目的刑論)が、いわゆる刑法理論の争いである。
[ ア ]刑論すなわち絶対論では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。しかして、刑罰は、国家がこの原理に基づいてその権力を振るうもので、同時にこれによって国家ないし法律の権威が全うされるというのである。
これに対して、[ イ ]論すなわち相対論においては、[ イ ]の必要に基づきて国家は刑罰を行うというのである。たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

(出典 牧野英一「法律に於ける正義と公平」1920年から<適宜新かな新漢字に修正した。>)

  1. ア:応報 イ:社会防衛 ウ:故意犯 エ:仮執行
  2. ア:教育 イ:社会防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予
  3. ア:応報 イ:国家防衛 ウ:故意犯 エ:仮執行
  4. ア:教育 イ:国家防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予
  5. ア:応報 イ:社会防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予

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【答え】:5

【解説】

ア.そもそも、刑罰は[ ア ]的に科すべきものであるか([ ア ]刑論)あるいは[ イ ]を目的として科すべきものであるか(目的刑論)が、いわゆる刑法理論の争いである。
[ ア ]刑論すなわち絶対論では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。

ア・・・応報

[ ア ]刑論・・・では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。」ということから、「善い原因・要因には、善い結果」が、「悪い原因・要因には、悪い結果」が起こるのは当然と言っています。これは「因果応報」のことなので、アには「応報」が入ります。

イ.[ イ ]論すなわち相対論においては、[ イ ]の必要に基づきて国家は刑罰を行うというのである。たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

イ・・・社会防衛

「国家防衛」とは、外敵の侵略から国家を防衛することです。一方、

「社会防衛」とは、犯罪から社会を防衛することを意味します。

よって、イには「社会防衛」が入ります。

ウ.たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。

ウ・・・累犯

たとえ、小さい犯罪でも、重い罰を科す必要があるのは、「故意犯:わざと罪を犯した」か「累犯:何度も罪を犯した」かのどちらかです。

刑法38条1項では「罪を犯す意思がない行為(故意ではない)は、原則、罰しない。」と規定しています。つまり、「故意でなければ、原則、罰がなく、逆に、故意であれば、罰がある」ということです。これは、「故意となれば罪を重くする」というわけではなく、故意となれば罪となる」ということです。つまり、ウには「故意」を入れるよりも「累犯」を入れた方が妥当ということです。

何度も犯罪を犯す者(再犯者・累犯者)については、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下となります(刑法57条・59条)。これは、刑が重くなっているので、エには「累犯」が入ります。

【再犯と累犯の違い】 第1の犯罪について「懲役刑」の「執行を終わり若しくはその執行の免除を得た」後、「5年以内に更に第2の犯罪を犯し」、それが有期懲役の場合が「再犯」です。さらに、そのような犯罪が3回以上続く場合「累犯」です。

エ.たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

エ・・・執行猶予

仮執行宣言」とは、民事訴訟の判決に付随して出すことのできる裁判で、当該判決が確定する前でも執行することのできる効力を与えるものです。そして、「仮執行」は仮執行宣言に基づいて、強制執行することです。つまり、仮執行は「民事訴訟」の話で、今回の問題文の内容は、「刑事訴訟」の内容です。よって、「仮執行」を入れるのは妥当ではないです。

一方、判例によると「犯罪が単発的、偶発的なものである」場合、執行猶予となるケースもあるとしています。つまり、「執行猶予」が入ります。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略