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令和2年・2020|問9|行政法

行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
  2. 行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。
  3. 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。
  4. 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
  5. 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

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【答え】:1
【解説】

1.処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
1・・・妥当
判例(最判昭36.3.7)によると、「瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から、誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものと解すべきである」としています。
よって、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るもの(一目で分かるもの)であるかどうかにより決すべきということなので妥当です。
2.行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。

2・・・妥当ではない
判例(最判昭29.8.24)によると、「行政庁の処分は、特定の規程のない限り、意思表示の一般的法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時に、その効果を生ずるものと解すべき」としています。
つまり、本肢の「行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である」というのは妥当ではありません。
「発信されたとき」ではなく、「到達した時」です。

3.課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。

3・・・妥当ではない

本肢は「当該瑕疵に明白性が認められなければ」が妥当ではありません。

判例(最判昭48.4.26)によると、「課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である」としています。

よって、課税処分が当然に無効となる要件が上記の判例と問題文では異なるので妥当はありません。

【判例解説】
上記判決文は、「課税処分が当然に無効となる要件」についての内容です。

課税処分は「課税庁と被課税者」との間にのみの話である。
だから、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のない。
↓このことから考えると
①当該課税処分における内容上の過誤(課税処分の間違い)が、課税要件を満たしていない場合であって、
かつ、
②税金に関する行政の安定と円滑な運営を考慮しても、不服申立期間が過ぎて、争えなくなることを理由に、税金を課された人がその課税処分で不利益を受けることが著しく不当と認められる
といった例外的な事情がある場合に限って、課税処分が当然に無効となる

4.相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
4・・・妥当ではない
本肢は「定められていなければ、適法にすることはできない」が妥当ではありません。
「定められていなくても、適法にすることができる」が妥当です。判例(最判昭和63.6.17)によると、
「指定医師の指定の撤回によって上告人(医師)の被る不利益を考慮しても、なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるから、法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定医師の指定の権限を付与されている被上告人医師会は、その権限において上告人(医師)に対する右指定を撤回することができる」としています。つまり、撤回すべき公益上の必要性が高い場合、「撤回できる」という規定が明文化されていなくても(法令上の根拠がなくても)、処分の権限があれば、その権限で撤回できるということです。

5.旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

5・・・妥当ではない

【自作農創設特別措置法の背景】
戦前、大地主が小作人に農地を貸して、農業を行われていたが、戦後、国が全国の大地主(たくさん土地を持つ人達)から土地を買い上げ、安い価格で小作人に売渡し、自作農民を増やす改革を行いました。
本肢は、国が全国の大地主の農地について、「農地買収計画の決定」をし、それに対して、この計画を取り消してください!と願い出て、それに対して、国はその願いを認めて、取消裁決をしました。

※訴願とは、現在の不服申立てのようなもので、現在は廃止されてありません。

【問題文】
この取消裁決の本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、
あくまで取消裁決は「処分」である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことができる〇か×か
という質問内容です。

本肢は「取り消すことを妨げない(取り消すことができる)」が妥当ではありません。
「原則、取り消すことはできない」が妥当です。

判例(最判昭29.1.21)によると、
「旧旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、「行政機関は、終審として裁判を行うことができない」のであって、終審としては裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わせることは何ら差し支えないのである。本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行っているのであるが、行政機関がするものであるから、行政処分に属するわけである。
かかる(このような)性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。」としている。

つまり、訴願に対して裁決を出した後に、裁決庁が自分でその裁決を取り消すことは原則できないということです。

【分かりやすく言うと】

1.農地買収計画の決定(処分)
2.農地所有者が、上記計画を取り消してください!と願い出る(訴願、今でいう審査請求)
3.上記訴願(審査請求)に対して、国(審査庁:裁決庁)はその願いを認めて、取消裁決をする

ここで、審査庁は、一度裁決を下した「取消裁決」を取り消すことができるか?

答えは、できない。

なぜなら、自分で裁決をした後に、やっぱりその裁決をやめるということは、できないから。

いわゆる「不可変更力」のことです!


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識・経済
問20 国家賠償法 問50 一般知識・経済
問21 国家賠償法 問51 一般知識・社会
問22 地方自治法 問52 一般知識・経済
問23 地方自治法 問53 一般知識・社会
問24 地方自治法 問54 一般知識・社会
問25 情報公開法 問55 一般知識・情報通信
問26 行政法 問56 一般知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 一般知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

最大判平20.6.4:国籍法3条1項違憲判決

論点

旧国籍法3条1項によると、結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子が日本国籍を取得するためには、認知後に父母が婚姻をする必要があると規定されていたが、この規定は憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか?

事案

結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子(原告)が、出生後に「日本人の父」から認知を受けたことを理由として、

法務大臣あてに日本国籍取得の届出をしたところ、国籍取得の条件を備えておらず、日本国籍を与えなかった。

かつての国籍法3条1項では、「日本人の父」と「外国人の母」との間に出生した後に父から認知された子につき、「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り」日本国籍の取得を認めていた。

この国籍法3条1項が、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか?

判例

旧国籍法3条1項によると、結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子が日本国籍を取得するためには、認知後に父母が婚姻をする必要があると規定されていたが、この規定は憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか?

違反する(旧国籍法3条1項は、違憲)

かつての国籍法3条1項によると、結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子が日本国籍を取得するためには、認知後に父母が婚姻をする必要がある。

しかし、父母の婚姻という子がどうすることもできない事です。

そのどうすることもできない事情によって国籍取得の可否が決まるというのは不合理な差別であるため、憲法14条1項に違反するとしました。

最判昭56.7.16:違法建築物の給水装置新設工事申込の拒否

論点

違法建築物についての給水装置(上下水道)新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき、市は、不法行為法上の損害賠償責任を負うか?

事案

違法建築物についての給水装置新設工事申込があり
市の水道局給水課長が、建築基準法に違反することを指摘して、申込の受理を事実上拒絶し、申込書をその申込者に返戻した。

判例

違法建築物についての給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき、市は、不法行為法上の損害賠償責任を負うか?
→ 市は、不法行為に基づく損害賠償責任を負わない

上記申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではない

また、建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎない

他方、右申込者は、その後1年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間、右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していた。

この事実関係の下においては、市は、受理の拒否したことについて不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。

>>判例の内容はこちら

民法736条の条文解説

養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、親族関係が終了した後でも、婚姻できません(民法736条)

「~と~との間では、親族関係が終了した後でも、婚姻できません」という構造になっているので、下記のように分けます。

①「養子若しくはその配偶者」又は「養子の直系卑属若しくはその配偶者
②「養親」又は「その直系尊属(養親の直系親族)


①と②のとの間では親族関係が終了した後でも、婚姻できません

つまり、下記4パターンは、親族関係が終了した後でも、婚姻できません。

  1. 養子若しくはその配偶者」―「養親
  2. 養子若しくはその配偶者」―「その直系尊属(養親の直系親族)
  3. 養子の直系卑属若しくはその配偶者」―「養親
  4. 養子の直系卑属若しくはその配偶者」―「その直系尊属(養親の直系親族)

使用者責任

使用者責任とは?

「使用者責任」とは、被用者(例えば従業員)が、業務中に第三者に損害を与えてしまった場合に、使用者(例えば、会社)も損害賠償責任を負うことを言います。

使用者責任の成立要件

使用者責任は下記をすべて満たす場合に成立します。

  1. 被用者と使用者との間に指揮・監督関係がある
    →雇用関係がなくても、事実上の指揮・監督関係があれば足りる
  2. 被用者の行為が一般不法行為の成立要件を満たしている
  3. 被用者の行為が、事業の執行についての行為である(事業執行性
    →行為の外形から見て被用者の職務の範囲に属するものと認められれば足りる(最判昭39.2.4)
  4. 使用者が選任・事業の監督について相当の注意をしていなかった
  5. 被用者の行為により第三者に損害が生じる

使用者責任の効果

使用者責任が成立すると、被害者は、使用者に対して、損害賠償請求ができます(民法715条)。

被害者は、被用者に対しては一般不法行為に基づいて損害賠償請求ができます(民法709条)。

求償の範囲

使用者が、被害者に対して損害賠償をした場合、使用者は被用者に対して求償することができ(民法715条3項)、具体的には、「使用者は、事業の性格、規模など様々な事情を考慮して、損害の公平な分担という観点から、信義則上相当と認められる限度」について、被用者に対して請求ができます(最判昭51.7.8)。

使用者が、他の加害者側(加害者)に求償する場合・・・負担部分を超える部分について求償できる

使用者が、他の加害者側(使用人)に求償する場合・・・負担部分を超える部分について求償できる

加害者他の加害者の使用人に求償・・・負担部分を超える部分について求償できる
使用者他の加害者に求償する場合・・・過失割合に応じて求償できる

一方の加害者に複数の使用人がいた場合の使用者間・・・責任割合を超える部分

 

民法テキストの目次

目次

総則

物権

債権

親族

参考条文

(使用者等の責任)
第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

契約不適合責任

契約不適合責任とは?

売買契約において、売主が買主に引き渡したモノや権利に何らかの欠陥があった場合、売主は買主に対して様々な責任を負います。

この責任を「契約不適合責任」と言います。この契約不適合責任の内容を一つ一つ見ていきます。

買主の追完請求権

引き渡された目的物が「種類、品質又は数量」に関して契約の内容に適合しないもの(不適合)であるとき、
買主は、売主に対し、原則として、目的物の修補代替物の引渡し又は不足分の引渡しといった「履行の追完請求」ができます(民法第562条1項本文)。

ただし、例外として、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法で履行の追完ができます(民法第562条1項ただし書)。

また、上記不適合が、買主の責めに帰すべき事由によるとき、買主は、履行の追完請求ができません(民法第562条2項)。

【具体例】

売主Aと買主Bが「バナナ500個」の売買契約を締結した。買主Bが引渡予定していた日に取りに来ず、1週間後に取りに来た。結果としてバナナ100個が腐ってしまった。この場合、引渡予定日に取りに来なかった買主の責任なので、買主Bは売主Aに追完請求はできません。

買主の代金減額請求権

引き渡された目的物が「種類、品質又は数量」に関して契約の内容に適合しないもの(不適合)であるとき、
買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金減額請求ができます(民法563条1項)。

上記1項の規定にかかわらず、下記1~4の場合には、買主は、無催告で、直ちに代金減額請求ができます(民法563条2項)。

  1. 履行の追完が不能であるとき
  2. 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
  3. 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき
  4. 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

そして、1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、買主は、代金減額請求ができません(民法563条3項)。

【具体例】

 売主Aと買主Bが「建物」の売買契約を締結した。買主Bが引渡し前に、その建物を見に行って、誤って窓ガラスを割ってしまった。この場合、買主Bに責任があるので、買主Bは売主Aに対して代金減額請求はできません。

買主の損害賠償請求および解除権

売主が買主に引き渡したモノに契約不適合があった場合、買主は売主に対して追完請求や代金減額請求ができるだけでなく

債務不履行に基づく損害賠償請求」や「契約解除」を行うこともできます(民法564条)。

移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任

「売主が買主に移転した権利」が契約の内容に適合しない場合(一部他人物売買で一部を権利移転しない場合も含む。)についても、上記「追完請求権」「代金減額請求権」「損害賠償請求権」「解除権」を行使することができます(民法565条)。

例えば、「売った不動産に地上権・地役権・質権・対抗力のある賃借権等が付着していた場合」や「一部他人物売買の場合」です。

契約不適合責任の期間制限

原則:

目的物の瑕疵については、使用や時間の経過によって判断ができなくなります。そのため、早期に解決しておく必要がある。そのため、買主は、種類・品質(数量・権利移転は除く)について契約不適合(瑕疵)を知ったときから、1年以内に、売主に対して契約不適合の旨を通知する必要がある。 (a)通知しない場合、買主は、その不適合を理由とする「①追完請求」「②代金減額請求」「③損害賠償請求及び④契約解除」はできなくなる。

通知をすることで、①~④の権利は通常の債権の消滅時効の期間内に行使すればよい。

つまり、 ()買主は不適合を知ったことになるので、消滅時効の主観的起算点により、不適合を知った時から5年経過もしくは、引渡しから10年経過で①~④の債権が消滅する。

さらに、 (c)買主が不適合を知らなかったとしても、消滅時効の客観的起算点により、引渡しから10年経過で①~④の債権が消滅する。

例外

売主が」引渡しの時に目的物が契約の内容に適合しないものであることについて知っていたり(悪意)、または、知らなかったとしても重大な過失がある場合(重過失)には、売主を保護する必要はないので、1年間の期間制限が適用されず、買主は目的物について契約内容の不適合を知ってから1年経過したとしても、売主に責任追及ができます

ただし、 d消滅時効の通常の考え方は適用されるため、「買主が契約不適合を知ってから5年」もしくは「引渡しから10年」経過すれば買主の①~④の権利は消滅する

民法テキストの目次

目次

総則

物権

債権

親族

参考条文

(買主の追完請求権)
第562条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(買主の代金減額請求権)
第563条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任)
第565条 前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第566条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

売買

売買とは?

売買とは、売主が「モノや権利」を買主に渡すことを約束し、買主が代金を支払うことを約束することで成立し、売買の効力が生じます。

例えば、売主が買主に200万円で自動車を売買するとすると。
売主が買主に自動車を引渡すことを約束し
買主が売主に200万円を支払うことを約束することで成立します。

手付とは?

手付とは、売買契約を交わす時に、買主が売主に対して渡すお金を言います。

そして、手付には「解約手付」「証約手付」「違約手付」の3種類があります。

解約手付」は、あとで契約解除できる権利を置いておく(留保する)ための手付です。

  • 買主から解除する場合、売主に渡した手付金を放棄して(手付金を売主にあげて)解除することができます(民法557条)。
  • 売主から解除する場合、買主が履行に着手するまでは、手付の倍額を買主に渡して(償還して)解除することができます(民法557条)。

【具体例】

買主が手付金として100万円を売主に支払った後に、
① 買主が解除する場合
売主が履行に着手する前であれば、手付金として支払った100万円をそのまま売主にあげることで解除できる
② 売主が解除する場合
買主が履行に着手する前であれば、手付金として受け取った100万円にプラス100万円を売主が上乗せして(合計200万円)買主に渡すことで解除できる。

証約手付」は、契約が成立した証拠のための手付です。

違約手付」は、債務不履行があると没収される手付です。

売買契約に関する費用

売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担(折半)します(民法558条)。

例えば、契約書を作成するための費用としては、「印刷費用」、「契約書に貼付する収入印紙の費用」、「公正証書で売買契約を締結するときは公証人に対する費用」等があります。

売主の義務

車や不動産などの売買を行う場合、売主は、登録や登記を買主に移転して、買主が対抗要件を備えるようにさせる義務を負います。(民法560条)

他人物売買も有効ですが、他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売ったときはは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。

民法テキストの目次

目次

総則

物権

債権

親族

参考条文

(売買)
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(売買の一方の予約)
第556条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。

(手付)
第557条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

(売買契約に関する費用)
第558条 売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。

(有償契約への準用)
第559条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)
第560条 売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。

(他人の権利の売買における売主の義務)
第561条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

保証債務(保証の基本)

保証人とは?

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者を言います(民法446条1項)。

保証債務の成立

保証契約は、書面または電磁的記録(電子的な契約)でしなければ、無効となります(民法446条2項3項)。

保証債務の範囲

保証人が負う債務の範囲、「主たる債務」だけでなく「利息、違約金、損害賠償」等その債務に従たるすべてのものを含みます(民法447条1項)。

さらに、原状回復義務についても保証人は負います(最判昭40.6.30)。

保証債務と主たる債務の関係

保証人の負担が債務の目的又は態様が、主たる債務より重いときは、主たる債務の限度まで減らされます(民法448条1項)

【具体例】

主たる債務が100万円の場合、保証債務(保証契約)も最大100万円です。保証債務はあくまで、主たる債務を保証するだけなので、保証債務だけ150万円としても、100万円となります。また、主たる債務が100万円で、主たる債務者が50万円を返済して、残額が50万円になれば、保証債務も50万円に減ります。

また、主たる債務の目的又は態様が、保証契約の締結後に加重された場合、当然には保証人の負担は加重されません(民法448条2項)。保証債務も加重するには、別途保証人と契約が必要です。

保証人の要件

債務者が保証人を立てる義務を負う場合、その保証人は、下記2つの要件を満たす必要があります(民法450条1項)。

  1. 行為能力者であること(制限行為能力者はダメ)
  2. 弁済をする資力を有すること

保証債務の性質(付従性・随伴性・補充性)

付従性(ふじゅうせい)

主たる債務の債務(主債務)が消滅すれば、当然に、保証債務も消滅します。この性質を「付従性」と言います。

随伴性(ずいはんせい)

主たる債務の債務(主債務)が、別の者に移転した時は、保証債務も移転します。この性質を「随伴性」と言います。

【具体例】

下図のように、はじめは、Aが「貸金債権」と「抵当権」を有しています。

この貸金債権をCに譲渡(債権譲渡)することで、当然に抵当権もCに移ります。つまり、抵当権の譲渡契約などをしなくても当然に、Cに移ります。

補充性

主たる債務者が債務を履行しないときにはじめて、保証人は履行の責任を負います。この性質を「補充性」と言います。

保証人の権利(催告の抗弁権と検索の抗弁権)

催告の抗弁権

主たる債務者から履行請求があったとき、保証人は、まず主たる債務者に対して請求してください!と主張できます。これを「催告の抗弁権」と言います。

検索の抗弁権

主たる債務者から履行請求があったとき、保証人が「①主たる債務者に弁済する資力があること」と「②執行が容易であること」を証明した場合、主たる債務者の財産から先に取り立てをさせることができます。これを「検索の抗弁権」と言います。

民法テキストの目次

目次

総則

物権

債権

親族

参考条文

(保証人の責任等)
第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(保証債務の範囲)
第447条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

(保証人の負担と主たる債務の目的又は態様)
第448条 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。
2 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。

(保証人の要件)
第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。
2 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

(他の担保の供与)
第451条 債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

(催告の抗弁)
第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

抵当権

抵当権とは?

抵当権とは、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を言います(民法369条1項)。

例えば、AがBに対して100万円を貸し、債務者Bがその保証(担保)として、B所有の土地に抵当権を設定した場合、債務者B(抵当権設定者という)が返済期限に100万円をAに返済しないとき、債権者A(抵当権者という)は、「抵当権が設定された土地」を競売にかけて、その代金から100万円(+利息)の弁済を受けることができます。

このとき、土地の占有者は、所有者Bです。

物上保証人とは?

上記は抵当権設定者が債務者Bですが、第三者が抵当権設定者となる場合があります。この第三者を物上保証人と言います。

例えば、AがBに対して100万円を貸し、「債務者Bの親C」がその保証(担保)として、C所有の土地に抵当権を設定した場合、「抵当権者がA」で、「抵当権設定者はC」です。

このCが物上保証人です。

抵当権を設定できるもの(抵当権の目的物)

抵当権は、不動産地上権永小作権に抵当権を設定することができます(民法369条1項・2項)。言い換えると、抵当権の目的物は、「不動産、地上権、永小作権」だということです。

抵当権の効力の及ぶ範囲

抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(抵当不動産という。)に付加して一体となっている物(付加一体物)に及びます(370条)。

付加一体物とは?

例えば、「取外しの困難な庭石」「土地に植えられた木」「建物の場合、扉や窓」等です。

>>付加一体物の詳細解説はこちら

抵当権の性質

抵当権には「付従性」「随伴性」「物上代位性」という3つの性質があります。

付従性

「抵当権は単独では存在できない。特定の債権と一緒に存在する」という性質が付従性です。

例えば、上記事例では、AはBに100万円を貸しているので、Aは「100万円の貸金債権」を有します。

これを保証するために「抵当権」を設定しているので、「100万円の貸金債権」と「抵当権」は一緒に存在します。

言い換えると、「100万円の貸金債権」が消滅すれば(Bが返済すれば)、自動的に「抵当権」は消滅します。

そして、この抵当権と一緒に存在する債権(100万円の貸金債権)のことを「被担保債権」と言います。

随伴性

抵当権は、被担保債権と一緒に移動する」という性質が随伴性です。

例えば、上記事例で、抵当権者Aが「100万円の貸金債権」を第三者Cに譲渡(債権譲渡)したとします。この場合「100万円の貸金債権」はAからCに移動します。それに伴って、抵当権もAからCに移動します(抵当権者もAからCに変更となる)。

物上代位性

抵当権の設定された不動産が別の「価値」に変わった場合、その「価値」から弁済を受けることができる性質を物上代位性と言います。

例えば、例えば、AがBに対して100万円を貸し、債務者Bがその保証(担保)として、B所有の建物に抵当権を設定した。この建物が火災に見舞われ、火災保険金が下りる場合、「抵当権の設定された建物」が「火災保険金」という別の価値に変わっています。

この場合、火災保険金から、100万円の弁済を受けることができます。この場合、抵当権者は、火災保険金が支払われる前に差し押さえる必要があります(民法304条1項)。

抵当権の対抗要件

抵当権は、登記をすることで、第三者に対して対抗することができます(民法177条)。

抵当権の順位

同一の不動産に、数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後によります(民法373条)。

一番初めに設定された抵当権を「1番抵当権」
その後の二番目に設定された抵当権を「2番抵当権」と言います。

この場合、1番抵当権から先に弁済を受けることができます。

そして、1番抵当権が消滅すると、2番抵当権が1番抵当権に順位が上がります。

抵当権の被担保債権の範囲

「抵当権の被担保債権の範囲」とは、分かりやすくいうと、「抵当権で保証される範囲(金額)」ということです。

「抵当権の被担保債権の範囲」は、元本だけでなく、利息も保証されます。ただし、利息については、他の債権者がいる場合は、「満期となった最後の2年分」としており(民法375条1項本文)、他の債権者がいない場合にのみ、利息のすべてが保証されます。

>>「満期となった最後の2年分」とは?

抵当権の侵害

第三者が「抵当権が設定された不動産」を損傷させたり、価値を下げる行為をした場合、抵当権者は「妨害排除請求」や「損害賠償請求」をすることができます。

また、抵当権設定者(債務者)が損傷させたり、価値を下げる行為をした場合、債務者は、期限の利益を主張することができなくなります(民法137条2号)。

不法行為に基づく損害賠償請求権

例えば、土地の不法占有者が小屋を作って生活をしており、汚物やゴミをその土地に埋めていた場合、そのままだと、価値が下がってしまいます。

このような場合、それらの除去費用を損害賠償請求により、回収することができます。

民法テキストの目次

目次

総則

物権

債権

親族

参考条文

(期限の利益の喪失)
第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(物上代位)
第304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない

(抵当権の内容)
第369条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第370条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

第371条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

(抵当権の順位)
第373条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

(抵当権の順位の変更)
第374条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

(抵当権の被担保債権の範囲)
第375条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。